ライラの抱える小屋は青蛇山脈沿いを順調に北上し、夜になる頃にはハーモニウム周辺に到達していた。
ハーモニウムも寄るかどうか迷うところだったが、人間族優遇地域である当地ではラン王女たちは良くてもディアーネさんやアイリーナらがあまりいい顔をされない。
まあ、雨もパラついてきていたので無理に出ることもない。三時間に一度程度のトイレ休憩ではライラの翼を屋根にして木陰などで済まし、夜通しの移動を続けることにした。
本当、ベッドだと疲労蓄積が少なくて助かる。馬車だとやっぱり寝るのにも体勢や隣席に気を使ったから、いくら移動中に暇でも居眠りでやり過ごすのは難しかった。
柔らかい寝床に足を延ばしたまま移動できることが、こんなにも快適だとは。エロ目的での発明品だが、もっと移動客室としてのポテンシャルを追求していってもいいのかもしれない。
いっそのこと全席二段ベッドなんてどうかな。……寝転がり続けないといけないのは逆にストレスだろうか。いや、でも北の森から大陸南部までだって、長くて二日三日だしなあ。休憩タイミングは自在に挟めるんだし、やっぱり椅子よりいい気がするな。
……なんて俺が夢を膨らませているとは露知らず、夜半にはラン王女とフィオーナはすやすや眠ってしまい、俺は邪魔にならないよう離れた位置に陣取って……ミラさんとこっそりセックスに没頭する。
「本当に音とか大丈夫だよね……?」
「平気よ平気。姉さんだって何も言わないじゃない」
見られても聞かれても平気なように、ベールのように音声結界と場所指定幻影を設置する。
ベッドの上という極めて限定された空間でコントラストを作っているので、中間地点にいるとだいぶ気持ち悪い状態になるはずだが、そこはみんな雌奴隷だけあってそれとなく察して場所をよけてくれるので助かる。いや、ナリスだけはブツブツ言ってたけど床に寝転がってみたら「うわ、この床固いのになんか寝心地いい!」と変な喜びを発見したらしく、今はもう普通に床で寝入っている。
それはそれとして、あどけないラン王女の寝顔がほんの3メートル先に見える状態で、ミラさんの熱い肌と快楽を貪るのは背徳感が強くて痺れる。
背面側位というやつか、横向きに寝たミラさんを後ろから抱きながらお尻に腰を叩きつける。
彼女の適度に締まりつつボリューミーな裸体を堪能しながら、比較的楽な姿勢で膣肉の快楽に酔いしれる。
この体勢は互いに重さや勢いを負担しあわないので焦る必要がない。その分、積極的に動かないと盛り上がっていかなくもあるけれど、どうせ時間はたっぷりあるし、幻影が効いているなら慌てることもない。
「うふふっ……♪ こうして、部外者が目の前にいる状況で、犯されるとっ……♪ 自分がセックス奴隷になった……って、実感できて……熱くなるわねっ……♪」
「ミラさんは、欲望を、解放、しすぎてる気が、するけどな……っ」
スパン、スパン、スパン、とミラさんの大きめの褐色のお尻が波打つ。
背徳感と開放感を味わい尽くすためか、ミラさんは早々に全ての衣服を投げ捨てて首輪以外は丸裸になってしまった。それもまた、俺……いや、自らの性欲への盲従を宣言しているようで心地いい。
俺とセックスするからには、セックスを心から楽しんで欲しい。性欲を肯定し、快楽を存分に味わい、妊娠の予感をも積極的に楽しんで、幸せな瞬間としてセックスを認識して欲しい。
そんなドスケベ男のエゴに、心底ドップリと身を任せてくれるミラさん。
派手な姉妹の中では能力こそ目立たないけれど、彼女の性格と肉体はとことん俺に合っているといえる。
口でこそ少し諫めるようなことも言うけれど、俺はだんだん、そんな彼女と踊るように性欲をぶつけ合うのが楽しくなっている。
楽しもう。快楽を、どこまでも。
ただただそれだけに邁進するミラさんという美しい宝石が、手つかずのままに俺に与えられる。これもまた、他の姉妹に負けず劣らず奇跡的なことだと思う。
積み重ねは少なくても、俺という存在にあまりにもピッタリの、「今」という刹那に全てを捧げるエクスタシーの化身。
俺は残りの寿命の中で、彼女という存在にどれだけ痕跡を刻み、どれだけ楽しみ尽くせるだろう。
ついついそんな事さえ考えてしまう。
肉棒に雌肉が絡みつき、離さない。股間同士の快楽が、互いをどんどん責め上げる。
閃光にも似た快感のスパークを脳裏に感じながら、それでも俺はミラさんの絶頂を招くために腰を振りたくり、ミラさんもまた動きを合わせる。
激しい動きと、互いの肉体に夢中になっている実感。吐息と打音と水音と、思考を一瞬ごとに止めるほどの性感。
褐色の存在感ある裸身を抱き締め、交差した手のひらでおっぱいを握り、体じゅうで感じながら、ミラさんの胎内に絶頂の証拠を、解き放つ。
「あ……っ……っ──────っ♪」
「くは……あ、あっ……!」
そして、その最もはしたない瞬間を、他国の姫君の目の前で迎えたという背徳感。
同じ方向を見る体位で、俺とミラさんは声もなくそれを共有する。
……いや。
「………………」
いつの間にかラン王女は目を開いていた。その事実に気が付いて心臓が跳ねる。
いや、薄目。
薄目開けて寝る種類の人ってたまにいるよね。何故か。昔ランツやジャンジャックが薄目どころかゆっくり目を動かしながら寝ててびっくりしたことある。
ね、寝てるよね。あれ寝てるよね。
……と、声に出せずに固まっている俺を、ミラさんは不思議そうに見る。
確認するのも気が引ける。い、意識はないはずだ。あっても幻影を破ることはないはずだ。
気にしつつもミラさんを放すと、次の餌食……もとい、順番待ちの雌奴隷が入ってくる。
今は夜半。起きている娘だけの密やかな順繰り交尾。
起き上がって荒い息をつきながらポタポタ精液を流して場所を譲るミラさんと、愛液で股間をクチャッと鳴らしながら同じ位置に寝るシャロン。彼女が済んだらディアーネさんとアンゼロス、マローネも待っている。
相変わらず薄目がジッとこちらを見ている気がする。気のせいだろうか。
と思いながらもシャロンのおっぱいを見せつけるようにグニュグニュと上下左右にこねくるように揉み、後ろからの挿入も片足を上げさせて思い切り下品に突っ込んでみる。
……反応……してるような、してないような。
「なっ、何……を」
黙って妙な動きをする俺にシャロンが困惑する。
しばらくして幻影の外にいるのでその俺の動きが分からないはずのディアーネさんがふと気づき、珍しく少し目が泳ぎ、手信号で俺に伝えてくる。
内容は「YOU場所バレてる」。
伏兵や狙撃兵に撤退を指示するやつ。
……うん。なんかそんな気がしてた。というかそんな簡単に割れるものなんですかこの幻影って。
黙ってにゅぽんとシャロンからちんこを引っこ抜くと、シャロンは不満そうな顔をした。
「……種付け、して下さらないのですか?」
「幻影が切れてるけどいいのか」
「…………ええと。少しだけ時間を下さい」
「いや、諦めよう?」
即時中止案件だろうに何故保留の言葉が出るんだお前は。
「い、今なら気付かない振りをしたらいけるんじゃないかと思って……」
「いや、この会話した時点で無理だよそれ」
一旦挿入されたちんこにすごく未練があるらしい。
まあわかるけどね? 俺も惜しいけどね?
ちょっと冷静になろう。うん。さすがに同室でハメてるのバレたら一旦言い訳ぐらいしよう。
「あの……実は魔法の心得もある方でして……目の前に幻影が張られたのをついつい破ってしまい」
幻影破りは、綻びを見つけさえすれば簡単。目の前の間違った像をまやかしと信じ、正しい像があるという認識を念じて強めてやればいい。
ふとまどろみから浮いてきたラン王女は寝起きのぼんやりした気分で何の気なしに解いてしまったため、俺とミラさんの濃厚な一発と、従順なシャロンへの下品な挿入までしっかり目撃してしまったらしい。
「多少の才能で解ける強度じゃなかったはずなんだがな」
ディアーネさんは唸る。
ちなみにフィオーナは全く気にせず寝ている。寝相はすごくいい。そんなところで変な才能見せなくても。
「……その、すぐに言えばよかったのでしょうが……あの、ドラゴンライダー様に恥を掻かせるような真似を、本当に申し訳ありません」
「あ、いや、君が謝ることではなくて」
全面的に俺たちが悪いと思うのだけど、ラン王女は無粋にも覗いてしまった自分が悪い、というスタンス。
互いに恐縮しあう。
……そしてラン王女は視線を外しつつ。
「……フィオーナさえいなければあのまま身をお捧げするところだったのですが」
「待って。俺捧げられても困る」
「……え」
何驚いた顔してるの王女。
……しばらくポカンとしたあとに、ああ、と得心した顔で。
「す、すみません。順番が違いましたね。神話的にはまず癒しの奇跡を受けてから」
「だから神話って何だよ!?」
「し、しーっ! フィオーナが起きてしまいます!」
慌てる王女。フィオーナはピンと伸びた姿勢でしっかり寝たまま。
「……とにかく。その、目的地に着いたら少しお話ししなければいけません。この神話の落としどころについて」
「……何はともあれ、話し合いは重要そうだな」
異文化は手ごわい。改めて、そう実感する。
(続く)
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