そっとスマイソン家に戻って一息。
 あの調子でディアーネさんや他の外交上手の女たちに任せておけば、いずれは風当たりもよくなるだろう。
 それまでは大工仕事の習熟に励むか。「ヤリ部屋」のみでなく、普通に家の家具も作ったりアレンジしたりで練習できるしな。
 さしあたっては青のエルモたちに作ってもらったテーブルと椅子の研究をしよう。
 彼らは独特の構造で家具を組む。素人が考える無骨な直線設計でなく、謎の曲線や穴を多用し、釘も使わない。それなのにガッチリと作ったものに強度で負けず、軽く仕上げるのだ。
 コツを聞いたら「木材に対する繊細なセンスが要るやり方だから、人間に教えても多分できないよ」と言われてしまった。
 しかし、実際にやっている以上は何かの理屈はあるはずだ。
 完全に同じ手間で同じ精度のものは作れないにしても、どういう基準で何をやっているのかくらいはわかれば真似をする余地もあるだろう。
 そう思ってエルモ製のテーブルのひとつを解体し、部品を調べていたら、どこからともなくテテスが現れた。
「こーんにーちはー。今日も孕まされに来ましたー♪」
「……うん。いいけど玄関入る前に脱ぐのはやめてくれ。人に見られたらやばい」
 どうも俺の目に触れる前に全裸になっておきたい的な基準があるらしい。雌奴隷なりの、ご主人様に手間をかけさせまいというプライドみたいなものがあるようだ。
 とてもいい心がけだと思うけど、ポルカ以外でお願いしたい。
 でも元気に素っ裸のテテスはとても魅力的だと思う。元々普通に若い肌がポルカ暮らしでさらに美しく磨かれ、体型も血色も望みうる最高の芸術的裸体だ。
 さすがに曲線面というかおっぱいのボリュームに関しては……うん。ちょっと真っ向勝負に出てはいけないけれど、まだまだ可能性のある歳だ。
 そこは膨らみかけの身体を思うさま楽しめる愉悦と考えれば悪い事でもない。
 何より、玄関先でそんなあっけらかんと裸になって交尾宣言をしている16……いやそろそろ17歳か。そんなお年頃の女の子が、本当は大貴族の一員で、才気あふれる騎士で魔法使いでもある、というてんこ盛りな事実が、とても満足感を煽ってくれる。
 下衆だとは思うが、やはり自分が手に入れていいはずもないプレミア感の塊を思うさま貪れるというのは気分がいいものだ。
「孕ませエッチ、お願いできます? 朝方もやりましたけど……♪」
「……ま、子作りは急がないといけないしな」
「♪」
 テテスは言葉通り、起き抜けにも一発やっている。というか、「朝の儀式」の前にテテスに一発中出ししてから始めるのが最近の恒例だ。
 できるだけ毎日種付けしなければならないというテテスの事情にも合致するし、寝ぼけた体をテテスの膣を使って覚醒させる、という贅沢感も気に入っている。
 だから今始めるとしても二回目で、義務を外れた駄目押し。というか、単なる快楽目的。
 そんなことはわかった上で、お互いに「子作り」と念押しするのだ。
 それが楽しいし気持ちいい。テテスと俺は、本来それを求めた関係のはずだから。
 しっかりノルマはクリアしたうえで、たっぷり快楽も楽しむ。俺がよく掲げているエッチと妊娠の順序理論にもかなう。
 結局俺たちは快楽目的で、子作りはそのついでだ。それを確かめ合っているのだ。
 ……と、テテスと密やかな気持ちの交換をしながら抱き合った時、扉がさらにガチャッと開いて。
「ちょっと待ってよ。だったら私も混ざる!」
 元々その場にいたかのように話に入ってきたのは生意気そうな銀髪娘。
 コルティだ。どこで聞いていたのやら。
 ……意外と近くで入るタイミングを窺っていたのか。あるいは遠くから慌ててチャンスに飛んできたのか。
 どっちでもいじらしいな。
 申し訳程度に来ていたローブをとっとと脱ぎ、黒首輪一丁になって髪を整え、そして俺に向き直るコルティ。
「いいでしょ?」
「……なんかコルティさんって強圧的ですよねー」
「何よ」
「別にエッチに入ってくるのはいいですけどー。そんなに生意気してると……」
「なんで人間に竜の私が生意気とか言われるのよ!」
「私にそういう接し方する分には気にしませんけど、ご主人様にはもうちょっとしおらしくしないと奴隷の自覚が足りないって言われても仕方なくないですか?」
「ど……奴隷だけどっ! コイツがどういう態度まで許すかは……」
「ドラゴンだから、で和を乱したら駄目ですよ? わかってますよね?」
「むぐぐ……」
 テテスは巧みにコルティを挑発する。真昼間、おまんこ丸出し同士だというのを感じさせない堂々たる舌戦だ。
 コルティの乱入を止めるのは雌奴隷的にマナー違反だが、その上でアドバンテージは握ろうという腹だろう。
 本当なら仲裁するところだが、今日は少し放っておいてみよう。
 と、面白がっていたら背後の寝室からさらに声。
「コルティが入るのでしたらやむを得ません。私も数に入りましょう」
 真面目な顔で帯を解き始めているエマの姿。
「な、何がやむを得ないのよ!?」
「あなたが癇癪を起こしても私なら止められますから」
「アンタね!? 私の方が年上だってのにどれだけナメてるのよ!?」
「あなたが軽率な竜だということには誰も異論をはさまないと思います。レイラがいるなら彼女に任せても良いですが、あなたが単独でここに来たのなら私が主様とテテスさんをお守りしなければ」
「守るって……ちょっと!」
「主様は気を許したかもしれませんが、私はあなたが気分屋で危険な竜だという認識を改めていませんよ」
「う……ううーっ!」
 コルティ哀れ。
 まあ、一度悪竜と呼ばれた身なら、潔癖のエマにはそう言われてしまうものなんだろうけどさ。
「エマ。待て」
 俺は重々しくエマを制した。
 エマは「主様」と少しバツ悪げに口をつぐむ。
 俺は少しだけ嬉しそうなコルティを横目に見つつ、エマに向き直り。
「脱ぐのはそこまでだ」
「……はい?」
「パンツだけは俺の手で下ろす」
「そ、そっちですか」
 コルティも呆れた顔をした。テテスは「ですよねー」と苦笑い。
 そう。パンツをテテスもコルティもさっさと脱いでしまった(というよりテテスの脱衣は家に入る前だったし、コルティはローブ一枚引っ掛けてきただけだったのでそもそも穿いていなかった)ために、俺はパンツを脱がすチャンスを貰えなかった。エマだけは穿いていたのだ。
 そりゃ脱がすだろう。脱がすよね。
「女の子の柔らかいお尻を滑るパンツ……素晴らしい。世界最高の光景のひとつだと思う」
「あ、いえ、あの……まあ既に捧げた身ですし、主様がそうおっしゃるなら否定はしませんが」
 エマは困惑しながらもパンツ脱がしに耐えてくれる。
 いい。とてもいい。途中まで脱がしたお尻も趣深いよね。
 ……少し上げて少し下げて。楽しみつつも名残惜しく脱がして。
 首輪一丁、裸の女の子三人。俺は一人着衣で彼女たちを見下ろして頷いている。
 ……うん。それまであまりなかった組み合わせなせいか、なんとなく互いに居心地悪そうなのがちょっと新鮮。
 誰も包容力というか調整担当がいないのが原因かな。
「よし。ついでだ、他にも呼ぼう」
「ほ、他にもですか?」
 テテスが意外そうな顔をする。俺は頷く。
 せっかくだしな。俺の雌奴隷相手の手綱捌きの練習もしよう。

 というわけでエマに裸のまま呼びに行かせた他の要員。
「……へ、変な組み合わせを試すもんね……何なのこれ」
 先の三人と同様に、イマイチ溶け込める気がしないままに身をモジモジさせつつ脱いでいるのはベアトリス・トレジア。
 さらにもう一人。
「……半端な胸ばっかりってやつ?」
 海賊獅子娘、ガラティア・ラルド。
 彼女がなんとなくつぶやいた言葉に、他の四人がギロッとガラティアを睨む。彼女だけは持て余すほどの大ボリューム……とはいかないまでも、世間的には貧乳には分類されない程度には胸が育っている。
 ちょうど貫頭衣を脱いでそれが露わになったところだったので、ガラティアはビクッと身を抱いた。プレゼントしたネックレスがその胸に挟まる。
「そうじゃない。……なんというか、頑固なじゃじゃ馬たちで楽しみたい気分でね」
 俺がコンセプトを発表すると、総じて「心外な」と言わんばかりの顔。
「じゃじゃ馬!?」
「ひどーい。ご主人様、私がいつそんな手間かけたっていうんです」
「……従順だったつもりなのですが」
「……が、頑固ってわけじゃ……ない、と思うけど」
「馬じゃないし!」
 一度に言われてツッコミきれない。
 特にテテスお前、去年のこと知ってる奴がいないからってしれっと手間かけさせてないみたいな。
「はいはい、文句はそこまで! お前たちみんな俺のチンポ係がやりたくてついてきたんだろ!?」
 強気でいく。すると全員がウッと黙って勢いを失う。
 うんうん。そういう欲望に素直なとこ好きだぞ、五人とも。素直すぎやしないかと心配にもなるけど。
「まずは落ち着いてパンツ脱がすの待ってろ」
 俺はそう言い置いてベアトリスの尻に取り付き、パンツをじっくり堪能しつつ脱がす。
 うんうん。ちょっと筋肉質な小尻だけど、これはこれで。
 ガラティアもまだパンツは脱ぐな。ちょっと待ってて。ベアトリスのお尻に存分に頬擦りしたらそっちもやるから。……と、ジェスチャーで送りながらベア尻を堪能するのをやめない勇気。
「……脱がしてから好きなだけ触ればいいじゃない」
「それは無粋なんだよ……!」
「……わかんない」
 ベアトリスは困ったように呟く。うん。わかってもらえなくてもいい。
 しかし俺は堪能させてもらうぞ。所有者特権として。

(続く)

前へ 次へ
目次へ