ジョニーは家の中にいたらしい。この小屋が丸ごと遊覧飛行していたなんて思いもしないようだった。
「こんなところにいつの間に離れを作ってたんだ? まあいいんだけどさ」
「あー……なんか用?」
「どうもこうもあるかよ。最近急に首輪娘が増えたかと思ったらみんなに何も言わずに雲隠れしやがって」
「い、いいだろ。俺が街にいないのなんてよくあるじゃん」
「そりゃそうだけどさ。……上がっていい?」
「いやちょっと待てジョニー。用件を先に言え」
 今、小屋の中は五人の雌奴隷が素っ裸で汁まみれだ。
 俺も下半身はフルチンだ。上半身だけなら平常に見えるが、落ち着いてお喋りができる状態とは言えない。
 できればジョニーには出直してほしい。
 とはいえ、首輪娘が倍増とは言わずともそれに近い勢いで急に増えたことで不審がられているのなら、そのうえ乱交現場だと推察させて帰すのはちょっとあれだ。よくない。
 もはや無駄な努力と思う方も多いことでしょうが、俺は街でそこそこに好青年だと思われていたいのです。ほら、お袋の世間体とかもあるし。
 っていうか運んでたはずのライラはどこにいるんだろう。まあいつものようにライラに素っ裸で挨拶されてもジョニーに与える心証はやっぱりアレになるので困るけど。
「用は……まあ簡単に言や安否の確認っつーかさ。親父世代のシニアからつつかれてんだよ、お前親友だろ、噂の真相聞いてこいって」
「……親友?」
「いやそこに疑問呈するの酷くねえ!?」
 ジョニーは幼馴染ではあるけど親友かどうかは……ちょっと見解が分かれるな。だってほら、ガキンチョの頃以来会ってなくて、二年前に再会してそれから酒飲み友達程度の付き合いだし。
 アイザックなら親友と呼ぶのはやぶさかではないんだけど。
「んで噂って何だよ」
「そこはほら、腰据えて聞きたいしさ。上がっていい?」
「こ、ここは作業場なんだよ。人に見せたくないもんとかあるから上げたくないんだ」
 ナイス言い訳、俺。
 実際、ここのところ大工仕事に勤しんでいたんだし「作業場」という表現は間違いではないはずだ。
 人に見せたくないもんは……裸のアップルたちだけど。そこを説明する必要もない。
「ホントかよ?」
 ジョニー、疑惑の眼差し。
 疑う要素はないだろ。お前は何の権限があって俺のプライベートをそうまで暴くというんだ。
 ……いや、疑わしい性生活してるからですよね。はい。正直もう致命的な疑惑が持たれている気がします。
 と、ギリギリの攻防をしていると、足元で音もなく動くものが。
 視線をできるだけ動かさずに、それでもちらりと確認した感じ……セレンだ。
 四つん這いで足元に這い寄り、口元に人差し指を立ててウィンク。
 そしてアップルを手招きして……って、おいおい。この状態でなんかする気か。
 小屋は高床、窓枠もヘソより高いので見られる心配はないとはいえ、他の男の声が聞こえる中で汁だく汗だく全裸のまま、金髪ハーフエルフ二人が巨乳を揺らしてちんこに顔を寄せる。
「茶なら家の方で用意するから、そっちで待っててくれよ。誰か留守番いるだろ」
「ま、まあ……いたけどさ。エアリさんってなんかこう、雰囲気が落ち着かないっていうか……ほら、こういう話だろ。ドラゴンに睨ませるのは卑怯だろ。正々堂々男同士で話すもんだろ」
 なんか変な理屈をこねるジョニー。今日の留守番はエアリだっけか。
 あっちはあっちで裸族なので、裸で応対してないか心配だったが、ジョニーの様子を見るに一応なんか着てたようだ。
 でも卑怯ではないだろう。下世話な話を暴こうとするのはそれ自体が睨まれて然るべきだろう。
 ……なんてまともに応対している陰で、セレンとアップルは「続きしちゃおうよ♪」「い、いいのかな……♪」とこそこそアイコンタクトとジェスチャーで意思疎通を図っており、結局さあこれからという場面でお預けされているアップルはセレンの誘いに乗って、危険な奉仕を始めてしまうのだった。
 ジョニーと喋っている俺のちんこに、アップルは情熱的にキス。セレンは太ももにパイズリするように身をこすりつけて気分を高める。
 幻影なんて使った様子もない。勘付かれたら誤魔化せない。
 そのスリルの中だからこそ、興奮している。
 もしも見つかってしまったら……まあ、彼女たちの場合開き直って終わりな気もするけど。
 どうせ最初から雌奴隷。ジョニーが強引に見たところで、普通の夫婦生活を覗き見られたのと同じで、恥ずかしくはあっても意外なことではない。
 むしろ隷属する姿を誇り、見せつけてしまうのもいい……という、破滅的な昂揚が二人に共有されていくのが、吐息や体温から、理屈でなく感じられる。
 アップルは愛しげなキスからもはや完全にちんこを口内に迎え入れ、負けじとセレンも俺の腰にキスをして隷従と愛情をアピールする。
 そんな下半身を悟られないように、俺は窓からジョニーへの姿を取り繕う。
「こういう話も何もあるか。ドラゴンに睨まれて困る話なんてポルカでは出来やしないぞ。あいつら普通の話し声なら街中どこにいても聞こえてるんだぞ」
「そ、そういうもんなのかもしれないけどさ」
「だいたいそういうのってキールの役目だろ。なんで今回に限っておっさん連中のパシリがお前なんだよ」
「……キールは最近バーバラちゃんに手綱握られてて、お前の都合の悪いことはさせてもらえないんだ。それにこのネタはうちのジェシカも興味持ってて……」
「男同士の話っていうのはどうなったんだよ」
「し、仕方ないだろ、シニアにも嫁にもせっつかれて俺の逃げ場なんてあるかよ!」
 なかなか苦しい立場のようだなジョニー。
 それはそれとして俺は付き合う義理なんかないぞ。
「とにかくあっち行っててくれよ。俺は片付けてから行くから」
「怪しいな」
「お前なあ……適度な距離感ってもんがないのが田舎者の特徴なんだぞ」
「なんだよ都会っ子ぶりやがって!」
 あえて音を立てないように気を使いながらも、ねっとりとアップルの舌と喉が俺のちんこを刺激し続け、セレンの巨乳が俺の右足を左右往復するように乳首の主張をし続けている。
 俺は不審な動きや声の上ずりを見せないようにするのが大変だ。
 ……というか、むしろアップルたちは俺に声を上げさせようとしている気がしている。
 だんだん気が大きくなり、危険な遊びのゲームオーバーを意識するあまり、その最悪の結末に魅力を感じ始めている。
 俺が緊張でそうなってしまっているだけなのか、それとも彼女たちの動作から感じられる共感が本当なのか。
 二人して、雌奴隷としての本当の姿をジョニーさらけ出して社会的な立場をなくし、そして本格的に雌奴隷として、肉欲だけの日々に逃げ込むしかなくなる……そんな結末を、急かしているように思える。
 一方で、ジョニーは業を煮やしてそのままドアに近づき、手を伸ばしてきた。
「おいっ!」
 声を上げてしまうが、ジョニーは取っ手を握り、開けようと力を込めて……動かない。
 あれ?
 鍵はつけてないんだけど。
 ……と思ったら、これまたこっそりドアに近寄ったジャンヌがドアに何やら細工していたらしい。ドアの前で股間から精液流したまま胡坐をかいて、指を立ててニヒヒ笑いをしていた。
「あれっ、開かない……なんだこれ」
 ガチャガチャと音を立てるジョニー。さすがにアンゼロスとオーロラもベッドで伸びたままではいられず、身を起こして事の成り行きを見守る。
「……おいアンディ、開けて」
「やだ」
「欠陥建築じゃねえの!?」
「小屋作ったのはエルフだかんな!」
「お前の発注が悪かったに決まってる!」
 いやドア開かないのは誰が悪い論じゃなくて。
「見せられないもんがあるって言ってるだろ!?」
「裸のセレンちゃんとかか!」
 ……なんでそれを。
「その辺の木に服が引っかかってるぞ!」
 ……そういやみんな脱ぎ散らかしてから小屋に入ったんだったね。
「そ、それは干してるのが飛んだだけで」
「どう見てもオーロラさんのパンツとかも見えるぞ! オーロラさんの服なんて高いだろうに無防備に風で飛ぶような干し方するのかよ!」
 なんでオーロラのパンツをピンポイントで鑑定できるんだジョニー。
 ……おそらく段違いに高そうだからかな。エルフ領の織物の方が下手な都会の高級品よりすごいんだけど、デザインはやっぱりエルフの下着はシンプルというか素っ気ないんだよなあ。
 っていうかやっぱり外で脱ぎ散らかしてから入室させるのはやめよう。そのうち本当に盗難される。
 ……と、けっこう深刻に大ピンチだというのに、俺のちんこを唾液まみれにしたアップルは熱に浮かされたような目で微笑み、そっと身を離して……おもむろに自らの尻を突き上げる。
 両手両脚を突っ張り、上半身を低くして……そのまま犯して、とねだってくる。
 声で主張することも、俺もそれを諫めることもできない。ドア一枚、もしかしたらすぐに開けられてしまうかもしれないというのに、エスカレートしていく欲求を、ただただ満たそうと本能に従っていく。
 俺はジョニーの行動を警戒するフリをしながら、結局その痺れるスリルを求める姿に勝てなくて……黙って、挿入した。
「もしもそうだとして……お前そんなに必死で見たいのか、ジョニー」
 喋るタイミングで、アップルを犯す動きを緩めつつ、喋り終わると腰を早める。
 それでも水音も肌のぶつかる音もなるべく立たないように、なんとか調節はする。
「もしここにセレンが裸でいるとして、お前ドア開けてどうする気だ?」
「え、いやー……それは……」
 実際に素っ裸の雌奴隷の膣を堪能しながら、ジョニーを冷静に問い詰める。
「そんなにガチャガチャして開けて、セレンに悲鳴上げさせて、お前は何も悪くないと言い張るのか?」
「い、いや、俺は真相究明の役目があるだけでな」
「見せられないものは見せられないものだからお前に教えるつもりもないけど、もしもそうだったら……ジェシカにどう報告するんだ。昼間からあいつエッチしてたんだぜ、と言って回るのか? セレンもオーロラも以前からずっと、俺の恋人だってことはみんな知ってるよな。恋人や夫婦の寝室に飛び込んで、あいつらエッチしてたんだぜー、とか子供みたいに叫んで回るのがポルカ流だって言い張るつもりかジョニー?」
 ジャンヌの細工は所詮、音も立てずに数十秒でできる細工に過ぎない。完全に開けられないとは言えない。
 この瞬間も、ギリギリの攻防だ。
 ……それなのに、アップルとのセックスは続いている。喘ぐのを我慢しつつ、ジョニーの存在をダシにして、俺とアップルは快楽を倍加させ、脳髄に響くような甘い快感に酔っている。
 長くは持たない。今にもイキそうだ。
 もしもその瞬間、ジョニーに扉を開けられてしまったら。
 アップルの膣内にドプドプと注ぎまくり、無毛の股間から白濁が溢れる様を他の男に見られたら。
 その精神的刺激で、俺もアップルも追い詰められている。
 ……そして。

「そこまでじゃ、門番小僧。あまり他人の嫌がることをするものではないぞ。特に竜の乗り手には」

 屋根の上からライラの声がした。
「え……あ、ライラ……さん」
「我は比較的寛容じゃがな。この男はもはや七頭の竜に忠誠を誓わせる身じゃ。敵対行為と思われてしまえば、どこから氷柱の槍が飛んできて体に穴が空かぬとも限らん。恋に狂う竜は統制できるものではないからのう」
「いえ、四頭です」
 シュトン、と屋根から音がして、さらにエマの声。……様子を窺ってたか。
「三頭はただの雌奴隷。主様の肉欲のためだけにお仕えし、竜の誇りは捧げぬと決めたはず」
「さりとて、その誓いをどこまで厳密に解釈するかは奴らめの裁量。浮世の者が黒首輪どもに油断してよいという話でもあるまい」
「……それはそうなのですが」
 エマの語気が弱まる。
 それに対し、ジョニーはというと。
「え、ええと……つまり黒い首輪の三人はそういう雌奴隷っていう」
「……ほ。まあ、好きに思うておくが良い」
 ……ライラ、ごまかしたな。せっかくぼやかしておいた首輪の意味をうっかりバラしてしまったのを。
 と、外の失言を認識はしつつも、結局アップルの胎内に精液を噴射することは我慢できず。
「ん……っ、ぅ……っ♪」
 アップルのかすかな鼻声と、ブビュ、ビチュッ、と膣が立てる音は誤魔化しきれず、ジョニーが聞きつけないかとヒヤヒヤしつつもたまらなく気持ちよくて。

 しばらくしてジャンヌの細工を外して外に出ると、俺の体面に配慮したのか、そこそこちゃんと服を着たライラと、いつものようにきっちりした服装のエマが、ジョニーを既に追っ払っていた。
 そして散らかした服は二人で回収してくれていたらしく、受け取って小屋の中のみんなに渡す。
「ほ。もしもうっかり都合の悪いところを見られたら、こう、後頭部をトンとやった上で幻影でも使って記憶をあれしてやるつもりでおったんじゃがの」
「正直、もう少し早い段階で彼は排除しようと思っておりましたが」
「ほ。それこそ飼い主殿の体裁が悪かろう」
 ……一応、ライラは俺たちを放っておいたわけではなく、インターセプトしようとするエマやリェーダたちを牽制してくれていたらしい。

「……癖になりそう」
「いいなーアップル。凄い気持ちよさそうだったし♪」
「次は僕もきわどいエッチお願いしていいかな……」
「ふふ、わたくしも負けませんわ♪」
「あんまりアンディの肝っ玉に負担かけるでねえだよ」
 ……ええと、好評で何よりです。はい。

(続く)

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