シャリオは静かに語り出した。
「ここのところ、ずっと考えていた。何故私は求められていなかったのか。ライナー様は女が要らぬなどという方ではなかったのに」
「そこはデリケートな問題だからとりあえずもうちょっと場を整えてから真剣に考えていくべきだと思う」
 40人すっぽんぽんの乱交祭りで場が暖まったところで語り出すことじゃないよね。
 あとこれ以上ライナーの死体蹴るのは気が進まないんだけど。嫌な奴だったけど死人は冒涜するものじゃない。
 ……という俺の言葉もむなしく、シャリオはそのまま話を続けてしまう。
「我々竜は、性行為を人間とは違う意識でとらえてしまいがちだ。ミスティ・パレスの青竜たちや、我らのパレスの竜たちを見てもわかる通り……もしも欲するならば、と、我々は望む以上に性の快楽を提供しようとしすぎてしまう。……ライナー様はおそらく、そんな竜の性を汚らわしく思ったのだ」
「多分違うと思うんだけどなあ……」
「いや、お前はライナー様と数回程度しか顔を合わせていない。何も知らないだろう」
 俺のおずおずとした指摘を聞き流してシャリオは続ける。
「ライナー様はレンファンガスやリアンの街で女を買ったことは幾度かある。元女王スターナもライナー様と関係していた。だが、私には数度手を付けただけ、レイラたちは褥に呼ぶことすらしなかった。明確に竜を褥から遠ざけていた」
「……そんなことしてたのかよライナー」
 なんというか……うん。
 ドラゴンの聴力はちょっとした町一つくらい難なくカバーするほどに鋭敏だ。バレバレなのに……そのうえ自分を慕っているとわかっているドラゴン娘を送り迎えに使いながら、娼婦を買っちゃうのか?
 ……って、現にこの場にスーパー娼婦が二人いる俺が言うことじゃないのかもしれないけれども。
 しかし、わからなくもない部分はある。
 カールウィンでは女を抱こうとしたってあの状況だ。勇者の名のもとに適当に抱いても誰も文句は言わないだろうが面子には傷がつくだろうし、それに……言っちゃなんだけど、みんな痩せ細っていたうえに身なりに気を遣う余裕もなく、例え裸になられてもあんまり嬉しくない(俺をして、だ)程度にはみすぼらしい女が多かった。
 それこそ……ああ、そうか。だからシャリオに出会った時は我慢できずに手を付けたのか。
 しかし、そこから外の世界でプロの女を覚え、余裕が出てくると、ドラゴンに手をつけなくなった。
 それはつまり、ドラゴンライダー……英雄としての見栄が性欲を上回ったということじゃないか。
 俺なんか英雄なんて肩書きにプライドは全然ないし、最初からライラもマイアもエッチのために契約していたくらいだ。いくら女にだらしなく、下衆なスケベと思われても全く構わない。
 でも、元から稀代の剣士、勇者として名を上げたライナーは違う。性欲がある程度満たされ、男としての自信をつけてしまえば、みっともない女への欲望を周囲に見せたくはないだろう。
 ライナーのそういう考えは、何となく見えてきている。
 あいつはあそこから本当に大陸の覇王の座に羽ばたいたかもしれない男でもあった。
 そうなった時に、英雄としての態度を維持していくにあたり、主戦力であるシャリオやレイラたちには、男女としてベタベタせずにあくまで「戦力」として立たせ、性欲の処理なんて「それ」しかできないような女で充分、と切り分けるつもりだったんだろう。
 あいつがそうしてレイラたちにも一向甘い顔を向けず、カッコつけたまま玉座に座る姿は、容易に想像できる。
 だが、シャリオはそれを自分の落ち度からできた距離感だと思っている。
「あの方は高潔な方だった。女王も抱いてはいたがあの通り見下していた。私も翼や護衛として役立つ手前、近くにおいてはもらえていたが……浅ましい雌と思われていたのだろう。……あの方の愛をこの身に感じたいと、安易に持ちかけてしまった我が身が恨めしい」
「そういうことじゃないと思うんだけどなあ……」
「さっきから曖昧な否定ばかりするものだな」
「いや、ライナーはそんなに立派な考えでやってたわけじゃないと思うんだ。男としての共感」
「お前が勝者だというのは認めるが、死者を愚弄するのは感心しない」
「……まあそれはいいや。で、なんでエッチがやぶさかじゃなくなるんだ」
「……あの方は雌としての竜を必要としていなかった。レイラやコルティたちの言葉で、それが納得できてしまった」
 あ、あー。
 そういう答えになっちゃう……?
「そして、お前が雌の交尾穴を必要とするのであれば……まあ、腕の治療の礼に射精のひとつもさせてやるのはやぶさかではない。元より竜にとっての交尾はパレスを見ればわかるように、あの通りだ。そう勿体付けるものではない」
「うん。落ち着こうシャリオ。ちょっと座って」
 俺はシャリオを座らせ、対面で溜め息。
「あのな。もし自分が死んだ後、ライラやマイアがすぐにそうやって他人に股開いたら俺だいぶ傷つくぞ」
 死んだ後なんだから傷つくも何もないけど。
 しかしシャリオはムスッとして(でも全裸なのでどうしても顔よりおっぱいに視線が吸い寄せられる)反論。
「元よりライナー様に差し出して不興を買ってしまった身なのだ。この淫らさがなければ、もっとライナー様は心を開いて下さったかもしれない。そう思えば忌まわしい性に過ぎない。それをお前が食い散らかして、悪竜としての罪の贖いに少しでもなるとすれば、一石二鳥というものだろう」
「まずその不興を買ったというのが不確実だ。多分お前が思うほどライナーはエロいことが嫌いじゃない。開き直れなかっただけだと思う」
「だからお前がライナー様を何故語る!」
「っていうかさあ、レイラやコルティでもだいぶギリギリなのに、お前に手を出したら俺完全に死んだライナーから何もかも寝取ろうとする最悪な奴じゃん!」
「なんだと! その気もないのに何故治そうとする!」
「いやちょっと待って。お前に治療を勧めたのは最終的にセックスしたかったからというわけじゃないよ」
 シャリオは正座から身を乗り出してがるるるモード。
 っていうかつまり俺、シャリオに治療勧めた時点でセックス目当てって思われてた?
「主様。先ほどからシャリオも言う通り、そう堅く考えすぎずともよいのですよ」
 横から声をかけてきたのはエマだった。
「……エマ」
「何もシャリオはあなたに竜の忠誠まで捧げようとしているわけではありませんし、コルティたちだってそうです。ただ、パレスを見ればわかる通りに、竜の操は軽いもの。未だ誰のものでもないと竜自身が考えているのなら、誰に与えても良い。無論、主様の竜たちはみな、己が操は主様だけのものと思っていますが……ライナーは竜たちにそう思わせていなかったというだけのことです」
「ええー……」
 それってむしろライナーの悲惨度が上がる解釈じゃないか。
 いや、ライナーが悪いんだけどさ。カッコつけてないでもっとイチャイチャして独占欲ぶつけてればよかったんだけどさ。でもこんなに若くして自分が死ぬなんて思っちゃいなかっただろうに……。
 そんな同情というかなんというか、微妙な顔をやめられない俺に、ライラも苦笑交じりの声をかける。
「ほ。自分だけを相手にせよと求めるのなら、きちんとそう伝えねばな。人の感性で竜に節操を求めてはならん。竜は力ゆえの孤独の千年を生きる怪物ぞ。人とは、あまりにも違う」
「……だってさあ」
「何より、その女はつまるところ『自分が淫乱過ぎて我慢が出来ぬのでハメてくれ』と頼んでおるのじゃぞ。些末な題目など気にしておる場合か」
「……え、そうなの?」
「つまらぬ言い訳を聞き流せば、そうとしか聞こえんかったぞえ」
 それ聞き流していいやつじゃなかったよね?
 ……っていうか、他の雌奴隷やドラゴンたちを見ても「まあそんな感じでしょ」みたいな顔をしている。
 いいのかそれで。
「そもそもハメてもらう気が本当にないんなら、すっぽんぽんで乱交会場に来る女なんていませんよね?」
 コスモスさんが明るくまとめる。その横には恥ずかしげに俯くレディ。
 いや、それは俺が安直に裸をドレスコードにしてしまったせいで……ええと……。
 シャリオを見ると、普段は磁器のように真っ白な頬を赤く染めて視線を外し、しかし否定はしない。
 最初からその気だったのか……いや、言われてみれば確かにその気が全くないのに参加したなら、それはそれで女としておかしいけど。
「シャリオは羨ましいのですよ。ご主人様。雌として必要とされ、満たされるという体験ができた他の竜が」
 レイラが背後から絡みつくように抱きつきながら囁く。
 ……シャリオは否定しない。もはや言うことはない、とばかりに、じっとマットの一点を見つめて口を尖らせている。
 俺は溜め息をつき、そして身を乗り出してシャリオの肩を掴み。
「……俺は独占欲強いぞ。本当にお前が自分の貞操をライナーのものじゃないというなら、俺のものにするからな。これからずっと俺だけに胎を使わせろ」
「……それは」
「命令だ。悪竜め」
 俺はあえて退路を塞いだ。自分と、シャリオの。
 そんなことを宣言する必要なんてないのかもしれないけれど、それが(俺たちの基準で)不貞を働かせることへのケジメだ。
 誰でもなくドラゴンライダーとしての俺の意思で、シャリオはなんとなくではなく、敗北した悪竜の義務として、俺に身体を捧げる。
 いつか今夜のことを誰かに語らねばならなくなっても、はっきりと行為の意味を言えるように。
 そこまでして、ようやく俺の方の気持ちの準備も整う。
「……わかった。誓おう。……私の胎は、お前のものだ。エマとリェーダの主、偉大なる乗り手、アンディ・スマイソン……」
 シャリオはそう言って身を倒し、股を開く。
 鋭い印象の顔貌に対して、その身体はあまりにも女性的だ。ドラゴン女性の身体はどれも皆素晴らしいけど、シャリオも例外ではない。
 ただ、左腕が途中までしかないのだけが、彼女の欠けたるものだった。
 レイラには劣るがしっかりと量感のある胸を強めに掴み、既に度重なる眼前でのセックスですっかり興奮してしまっていたらしい性器を無遠慮に指で荒らしながら、俺はシャリオに囁く。
「お前も俺のマンコ係になるっていうなら、帰って殉死なんて許さないからな。いつでもコレを使えるようにポルカに住め。スケベな恰好でレイラたちと一緒に俺のチンポを心待ちにして生きろ。俺が死ぬまでだ」
「んぅっ……く、そんなっ……♪」
 コレ、という拍子にマンコ穴に指を強く押し込み、ねじり、グチュッと音を立てる。
「命令だ、淫乱悪竜。これは俺からの罰だ。罰を終えるまでは逃がさない」
「……わ、わかっ……んあぅっ……♪」
 ……本当に今夜のことを誰かが聞く機会があったら、俺はどこまで邪悪な人物像になるんだろうな。
 主を殺された美女たちが、その下手人と一緒に、一生涯、怨敵の肉便器として過ごすことを悦んで誓う夜。
 人間の価値観で言ったら絶対に俺は最低の邪悪だ。
 しかし、シャリオの雌肉の悦びようと乳首の強い勃起を指で味わっていれば、そんな自省もすぐに薄れる。
 この穴にちんこを埋めてやりたい。
 肉棒を強く欲していながら満たされなかったこの穴に、満足と精液を刷り込んでやりたい。
 ……他人のもののはずのこの胎に、俺の子を孕ませてやりたい。
 理性と相反する本能の欲望が、雌の喜びに悶えるところを想像すらしていなかった銀の美女の痴態によってムクムクと形を成していく。
 歯を剥くようなゲス笑い(のつもり)をしながらシャリオにのしかかる俺を、今まで食い散らかされた十数人も、見ているだけの全裸美女たちも、熱い視線で見つめている。
 その感情は、欲望に突き抜ける俺への称賛か、あるいは呆れか。
 媚肉の中に強引にちんこで押し入ると、シャリオは彼女らしからぬ高い声で悦んだ。
「ひぁぁぁっ……はいっ……入ってっ……広げられてっ……♪」
「久しぶりの感触か、シャリオ。……これからはずっとこのチンポがお前の胎の主だ。コイツに射精させるためにお前は生きるんだ」
 そう。そのために「生きる」。文字通り、死ぬのをやめさせる。
 それを思い知らせ、念を押すように俺は彼女の膣奥でグリグリと亀頭を押し付け、自己主張する。
「わ、わかっ……わかった、からっ……♪」
「から?」
「……もっと、激しくっ……他の奴に、してたみたいに……激しく、犯してっ……♪」
「……本当に淫乱だな、この肉便器ドラゴンはっ!」
 シャリオのリクエストに応えて、俺は彼女の上で腰を振り始める。
 シャリオは娼婦たちのように腰を返すこともなく、かといってキスやハグで愛情表現することもなく、ただただ犯されるだけ。
 だが、他人のもののはずの女を大々的に犯すという興奮は、その稚拙さを補うに充分だった。
 癖にならないようにしないとな、と重々自分を戒めながら、俺はスパンスパンと音を立てながら腰を激しく動かす。
 さすがにもう体力も厳しくなってきている。まだ20回もいっていないのに馬鹿な、という感じだが、難敵もいたし神経も使う儀式だった。
 全力で激しく犯せるのはこれが最後だろう。しばらく休むか、まったりとしたセックスで余力を取り戻すかしないと満足いくセックスは続かない。
 そこに、グロリアさんが首輪を持ってきてくれた。
「射精する前にかけちゃいなさいな」
「……え?」
 渡された首輪は黒。
 あれ? 黒はレイラたち用に用意してたのしかないはずなんだけど。
「ああ、色はあたしが勝手に変えた。ごめんね、白のまんまが良かった?」
 グロリアさんがストレートのままの首輪を指で挟み、ぴーっとしごくように指を移動させると、黒が白に変わっていく。
 ああ、そうか。絵の具を変色させた魔法の応用か。
「黒の、ままで、いいです……っ!」
「ん、ちょっと待ってね」
 すぐに色を戻し、グロリアさんから受け取った首輪をシャリオにおぼつかない手つきでつける。
「シャリオっ……お前も、奴隷だ……俺の雌奴隷だ……! わかったか、シャリオ!」
「……わかっ……わかった、わかってるっ……♪」
「これからはいつでもセックスさせるんだ、おっぱい揉ませてケツ突き出すんだ、チンポ大好きシャリオ!」
「出すっ……揉ませる、ハメさせる、からっ……出して、出して、射精っ……私も、私も欲しいっ……♪」
 あの、強くて厳しくて、何よりも凛々しかった敵ドラゴンが、喘ぎながらとんでもないことを誓う。
 そんな彼女に、まさに決断の証、誓いの証明として、俺は精液を叩き込もうと腰を振りたくる。
 ふと、脳裏に閃光剣の声が脈絡なく蘇る。勇気とは決断だ。アンディ・スマイソンは私が初めて選んだ勇者だ。
 ……こういう意味じゃないよね絶対、と思いながら。
「シャリオっっ……!!」
「あぁ、落ちる、落ちるっ……落として……ぁあぁぁっ……♪」
 シャリオの中で、腰がぬかるむような量の射精を炸裂させる。

 こうして、今夜のセレモニーの全プログラムは終了した。
 そう。もう、この先に優先すべきことはない。
「さて、それじゃあ参加してもいいな?」
 ブレイクコアが進み出て、私も私も、と雌奴隷たちが次々に前に飛び出して。

 ……その晩のその先のことは、もう順序立てて思い出せない。
 誰のおっぱいと誰のお尻、誰のオマンコに包まれたのか。
 ただただ、視界の全てが女の子の肌で覆われ、ちんこは絶え間なくヌルヌルの快楽を感じながら、俺は誰彼構わず射精を繰り返した。

(続く)

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