レディ・スワローは左右のコスモスさんとグロリアさんをキョロキョロと見る。
白い裸身のグロリアさんはニッと頼もしい笑みを浮かべてサムアップ。
褐色の裸身のコスモスさんはどこの店の看板娘か、という営業スマイルで、手のひらを向けつつ軽く肩をすくめる。
どちらも最初をレディに譲ることで合意している。というか、まず処女であるレディの貫通を済ませてからでなくてはベテラン娼婦として大人げない、という意識が共通しているようだった。
「こ、心の準備が足りないんだけどっ!?」
「足りるのを待ってたら夜が明けちゃうよ」
「手伝ってあげるから♪」
「手伝うってちょっ……コスモス!?」
素っ頓狂な声を上げるレディ。
コスモスさんがススッと寄ってレディの体を抱き寄せ、褐色の豊満な体同士をくっつけ合いながら、極めて卑猥な手つきで、彼女のヘソから鳩尾にかけてのライン、そして内腿から会陰にかけてのラインをなぞり、耳元に息をかける。
音が立つか立たないかという微妙な息吹だったにもかかわらず、驚くべきことにレディは目にみえてゾゾゾゾッと身を震わせ、体の力が抜けかかる様子を見せる。
触った場所もあまりクリティカルな場所じゃない。それなのに、だ。
ヒルダさんに比肩する絶技をコスモスさんは備えている。それがありありとわかる瞬間だった。
まあセレスタが世界に誇る風俗業の総本山の最強娼婦と思えば、不思議でも何でもないけど。
医学的アプローチからヒルダさんが性への探求を極めたのなら、この人はガチで限りない性欲の只中を数百年かけて潜り抜けた、真の「性の怪物」といえるだろう。
それに対し、未だに経験のないレディはほとんど赤子のようなものだ。
「え、やっ……やめ、てぇっ……!?」
「カタくなってちゃ駄目よスワロー♪ せっかくこの、娼館よりセックスが当たり前の空気でサクッと処女散らせるんだから、楽しまないと♪」
「そ、そんな……そんなのっ……!」
どうでもいいけど「サクッと処女散らせる」ってそれはいいことなのか……いやレディはとっとと捨てたいだけなんだからいいのか。
改めて、主義じゃないなあ、なんて今更思う。
このままでは「見た目だけ綺麗になっても人間関係こじらせる」といえば納得もするし、人助けと言えば人助けかもしれないけど。
俺の望むラブラブセックスでもチヤホヤパラダイスでもないし、孕ませというセックス本来の意味もない。ただただ経験させる、というだけの意味しかないセックス。
しかも……言っちゃなんだけど、相変わらずあのだるだるのデブだった姿がどうしてもよぎる。
醜かった時のプライドをいつまでも捨てられないというのは、相手する側も厳しいものだ。
……腕組みをしつつ、少し考えて。
「……レディ」
「え……?」
「ちょっと座って。ふたりも一緒に」
…………。
裸の美女三人を前に、俺は間抜けな姿ながらこだわりを語る。
「できればごっこ遊びと思って付き合ってほしい。レディは『醜く太った姿の着ぐるみで周囲の目を欺いていた女の子』という設定でお願いします」
「……それ完全に事実じゃない?」
俺の提案にグロリアさんは困惑。しかしレディは口を尖らせる。
「アタシの姿が着ぐるみだったってのかい。確かにそりゃあ見苦しかったと思うけど、こちとら二百と数十年は自分の姿だと思ってきたのに、いくらなんでも馬鹿にされすぎる」
「……そここだわるとこ?」
えー、という顔をするグロリアさん。
そしてコスモスさんは。
「実際そういうことにした方が外でも通りがいいんじゃないかな♪」
と、賛成してくれた。
そこまでは強要しづらいんだけど。
「あ、アタシはアタシだよ。だいたい……そんな設定を作ったからってどうだってのさ」
「俺が気持ちよくなります」
「……男ってのは面倒ね」
「アレが完全な仮の姿ってことにしてくれないと結構つらいんだって!」
何度も繰り返すが、俺は割と見た目に関して贅沢者なのだ。だからエルフやドラゴンが雌奴隷に多いわけで。
傷痕なんかは気にしない方だと思うが、面相が変わるレベルのだるだる肥満は無理。
そんな俺の苦しみを、コスモスさんは汲んでくれる。
「じゃあ短時間、幻術で認識いじっちゃいます?」
「……に、認識?」
「はい♪ 娼婦には結構贅沢を言うお客さんいますから。シチュエーションの微調整に幻術使うのはわりとメジャーなんですよ」
「確かにそれは……ワザとしてはアリなんだけど、後で辛くならないかしら」
コスモスさんの提案に、グロリアさんが微妙な顔をする。
「そこはそれ、次に控える私たちが何のためにいるんです? って感じで♪」
「……なるほどね。いいけど」
「認識いじるってどういうことですか」
再度質問する。微妙にわからない。
グロリアさんがため息交じりに教えてくれる。
「ま、要は思い込みたい内容を事実だと本気で信じる、自分騙しの魔法ね。例えば、今犯してるのは実妹だとか実の娘だとか、隣の奥さんだとか。そういうシチュエーションプレイの希望に、魔法でちょいっと一押し加えて本気で信じ込ませれば、束の間のインモラルな欲が満たされるってわけね。もちろん本気で頭の中を書き替えたら支障があるから、効果は短時間、せいぜい20分くらいかしら」
なるほど。
「スワローちゃんが自分では演技できないっていうなら、アンタの頭のほうをどうにかすればいいわよね、っていう」
「……埒明きませんし、それで」
美しくなった今のレディだけを見ればいい。ただそれだけなのだが、なかなかできない俺としては願ったり。
……逆に、これを悪用すればどんなに好みと外れる相手だって抱く可能性がある、と思うと複雑なものがあるが。
「お願いします」
「♪」
「じゃあ、アタシがかけてもいいけど……コスモス、アンタが」
「はいはーい♪」
グロリアさんに譲られて、コスモスさんが俺の唇にスッ、と自分の唇を重ね……自然に後頭部に回った彼女の手が、まるで春風を吹かせるように爽やかな何かを頭の中に送り込んで。
「────!」
聞き取りながらも自分では表現できない詠唱を耳にしながら、俺は自分の認識が変わるのを感じる。
ああ。
そうだ。
彼女は──。
レディを組み敷く。
あんな化け物のような姿でみんなを騙していたなんて信じられないほどに女性らしく整った裸体。
恥じ入りながらも、隠す手を両側から掴み止められているレディは、視線をさまよわせながら浅い呼吸を繰り返す。
「悪い子だ」
「い、いきなり……何さ」
「主人に反抗して、そんな態度を取るなんて」
「……は? 主人……?」
「犯されたかったなら素直に言うんだ。悪い子は尻穴調教の刑だぞ」
「ひっ……な、何を……?」
レディは困惑している。
当たり前の事じゃないか。「雌奴隷なのだからみんな俺が孕ませる」。
それが、周りで見守っている他の雌奴隷たちもみんな望んでいることだ。
それは彼女も望んでいることで、「今さらそれを不思議に思うはずなんてない」。
「……ねえコスモス。ちょっと様子おかしくない?」
「面倒なのでもうひとつついでに認識仕込んじゃいました♪ 着ぐるみから出てきた子は生来の雌奴隷、元から当然に犯すべき相手だ、って思えば勢いもつきますし♪」
「……なんか辻褄合わないっていうか……それ絶対後で本人慌てるやつ」
「あんまりウダウダしてるとそれこそ夜が明けちゃうんですよ。私たちが終わってもまだドラゴンたちが残ってるんですから♪」
「……はぁ。しょうがないわねぇ」
コスモスさんとグロリアさんが何か意味ありげなことを言っているが、俺はそんなもの気にはしない。
醜い鎧に隠れていた処女奴隷を雌にする。
その目的を達成するために、彼女の股を開いてちんこで貫くことだけを考える。
彼女はいつから俺に犯されるつもりだったのか。生まれた時からだ。
俺に捧げる処女を守るために、あんな姿で周囲を騙してきたのだ。三百年も。
「犯してやるから素直に言え、レディ。雌奴隷マンコをご主人様に捧げます、今日で母親になる喜びを教えてください……と」
「……コスモス、アンタ、これ……」
「そういうことになってるから大人しく従ってね、スワロー♪ 元々まっ裸で待ってたのにこれ以上面倒な問答は嫌でしょ?」
「……うー……」
レディはなんだか妙に迷う。「生まれた時から決まってること」なのに、今さら何が気に食わないのだろう。
……しばらくしてレディは観念し、上目遣いで、呟くように。
「……あ、アタシの……雌奴隷マンコを、捧げますから……チンポを、ここに……」
「いい子だ」
羞恥を押さえつけながら、葛藤しながら。
それでも褐色の股座、ピンクの小陰唇と膣肉をおずおずと差し出すように数センチ腰を上げ、精一杯誘う姿がそそる。
俺はレディの唇に深くキスをして、見つめる。
「ん……ん、ぅ……!! っ、っっ……♪」
深く執拗なキス。思えばレディにこれをするのは初めてか。
俺の舌でレディの舌を追い、巻き込み、口中で踊るように舌を動かし、啜る。
それが酷く衝撃的だったようで、レディはキスを終えたところですっかりイキかけている。
「……なんだ、そんなにキスが好きなのか、レディ」
「……う、うん……すご、い……♪」
「あらら……」
「意外な弱点ね……たまにキスめちゃくちゃ弱い子っているみたいだけど」
「あの面相じゃわざわざキスなんてしてもらえなかったでしょうしね……♪」
今までふてくされていたような困ったような顔をしていた、どちらかというと気の強そうなレディの顔は、キスの余韻で一気に隙を見せる。
表情から緊張感がなくなってしまうと、レディはむしろあどけないとすら言えた。
初めてその呆けた顔を見てしまうと……俺は少し楽しくなって、レディに幾度もキスを重ねてしまう。
最初は恐れるようだったレディも、俺が幾度かついばむうちにキスの受け入れ方を知り、そしてむしろ積極的に舌を強請るようになる。
「ん……ん、はぁっ……ん、んんんっ……んぁ、んんっ……♪」
唇を、顎を、唾液でベトベトにしながら、貪るレディ。
彼女は300歳くらいでノールさんと同い年くらいといったか。
むしろ100歳の(ダークエルフとしては)若いシーマさんたちにも似た無邪気な印象を見せながら、舌を求め、激しく絡みつく。
やがて、俺が舌を啜り上げた瞬間に彼女はビクビクッと震えあがり、下腹部で生暖かい感触がする。
潮を吹いていた。処女なのに。
「はぁ……はぁ……はぁっ……あ……♪」
まだ舌が欲しい。
そう主張するように唇を半開きにしたレディに、俺は改めて。
「……犯されたいなら、言え」
優越感を滲ませながら、半笑いで囁く。
「唇も、胎も……犯し尽くしてやる。エロ奴隷め」
「……は、い……♪ 犯して、ご主人……さま……♪ 熱いキス、しながら……処女、破って……♪」
「ふふっ♪ あーあ、素直になっちゃった、つまんないの♪」
コスモスさんがレディの頭を撫でながら楽しそうに言う。
俺は要望通りにレディにのしかかり、彼女の唇を幾度も吸い直しながらちんこの位置を……調整するのはグロリアさんがしてくれる。
エルフ娼婦とダークエルフ娼婦に手伝わせながら、奴隷の処女をゆっくりと貫き、押し拡げて……。
はたと気付く。
なんか俺変なこと言ってなかった?
と、少しすっきりした頭でレディを見下ろす。
……レディは潤む瞳で俺を見上げている。ちんこは深々と刺さり、処女の血を含みながら痛みに耐える膣は、キシキシとした独特の感触を生んでいる。
「……雌奴隷……で、いいからっ……もっと、キス……♪」
「……レディ」
先ほどまでと、何があったのかと思うほど別人の反応。
俺は記憶を辿り、自分がコスモスさんの魔法で少し変になっていたのを理解する。いや、自分で望んだんだけど。
……ちょっと思ったのと違う感じにやる気を出してしまっていたけど、まあいいか。
コスモスさんに悪気はないのだろう。少しでも早く自分たちの番に回ってこないかな、という急かしはあったにしろ。
そして、そのやる気タイムのうちにレディはすっかり可愛くなってしまっていた。
キスかあ。キスでこうまで態度が変わるとは思わなかった。
そして自己暗示。キスをすることで「本性」が引き出せたのだ。培った「ボス」としての見栄の下の、女の子としての本性を。
グロリアさんの言う通り、それは見方を変えた単なる「事実」であって、何も間違っているわけじゃない。
あの太った姿を「仮の姿、もう必要ない着ぐるみ」として意識の外に追いやり、彼女にもう重ねないための自分への強調だ。
そして、彼女にまた強烈なディープキスを浴びせ、腰を振って快楽を呼ぶ。
キスの快楽と膣の快楽を同時開発して、関連付ける。
気持ちのいいことを全身で関連付けて、彼女の充実したセックスライフへの感性を整えてやる。
そして、左右で苦笑交じりに眺める娼婦たちの瑞々しい裸も横目で意識しながら、俺は今日初めての快楽に翻弄される彼女に、トドメとしてレロレロと渦のような絡み舌を披露しつつ、まだ絶頂出来るはずもない膣にたっぷりと精液を叩き込む。
「んぅ……んぅ、う、んんんんーーっ……♪」
レディは甘えるようにキスを続けながら、膣内に炸裂する精液の圧力に打ち震える。
ぷは、と舌を離し、濃密な唾液の橋をかけながら身を離して、ちんこを引き抜く。
よだれで酷い顔になりながら僅かにピンクに染まった精液溢れる膣穴を晒し、切なそうに俺を見上げるダークエルフの少女の姿。
ひとまず、これでいいのかな。中出しは当然ヒルダさんかコスモスさんが避妊ケアをしているだろうし。
「よかったじゃない、スワロー♪ 気持ちいい初体験だったみたいで♪」
「……う、うん……♪」
レディは息を震わせながら、夢から覚めたような、覚めたくないような、どこか寝ぼけたような頷きを返す。
すぐにでもグロリアさんとコスモスさんへの首輪授与に移るべきかと思ったが、二人ともレディが落ち着くのを待っている。
やがてレディの呼吸も追いつき、おずおずと近づいてきたフェンネルがその股間を拭う段になって、ようやくレディは閉じていた口を開く。
「……あの……」
2オクターブくらい高い声。
今の姿には相応しく聞こえるが、むしろ今までどれだけ無理して低く喋ろうとしていたんだ、と呆れるほどの音階の変化が、彼女の心境の変化を如実に表している。
……表してしまっていた。
「……雌奴隷……って、今から……なっても、いいの?」
「……ええと」
「……ごめん。言うこと聞くから……可愛くしろっていうなら、するから……」
「どういう……」
「……キスされて……キスで、ようやく今の姿に自信が持てたっていうか……キスを当然みたいにできる顔になれたんだ、って実感して……そしたら急に、セックスもすごく……なんていうか、ピントが合った感じがして」
キス。そこから続く、男女の交歓。
他のダークエルフたちにとって当然の青春が、目の前にあるのに。
呪われて拗ねたまま、無理してオバサンぶろうとしていたことへの悔恨と反発が急に来たのか。
理屈は何となくわかるが、急に見た通りの喋り方、態度になったレディに今度はこっちが追い付かない。
「……今、余ってるのは白しかないけど」
「……うん」
もちろん、レディはシタールに戻れば通常の町の統治をしなくてはならない。
首輪のつけっ放しでは問題もあるだろう。だからちょうどいいのか。
……派手に中出しされたのに、なんだか照れくさそうにもじもじしているレディに、予備の首輪をそっとかけてやり。
グロリアさんとコスモスさんが控えめに手を叩き、外野の雌奴隷たちにそれが広がる。
……なんだろう。妙に心温まる感じになっちゃったけど……普通に異常なエロセレモニーの最中なんだよね。
(続く)
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