最初に相手したネイアとベアトリスは、精液が垂れ落ちた下半身をフェンネルとジャンヌに拭いてもらっている。
フェンネルは性分として他人の世話をするのが好きなんだろうか。
まあ、見てるだけってのも暇なんだろうとは思う。自分が中心になっておいてなんだけど、中心に来る謂れのない子はとことん暇なセレモニーだ。
ジャンヌは……なんというか、最初の経産婦雌奴隷ということで、責任感みたいなものが芽生えているのを感じる。
そして、ジャンヌを見る周囲の雌奴隷たちの目も、そういったものに対する特別な尊敬が含まれている気がする。
裸の小さな女の子が、自分より年上に見える娘たちの体をせっせと拭き清めているのは一見して微笑ましい光景にしか見えないのだけれど、そこに漂う空気はやっぱり大人同士の距離感だ。
「あ、あんまり全部拭き取らないでよ……せっかくアイツが出してくれたのに」
「心配しなくても膣の中までこそいだりはしねえだよ。胎ん中に残ってる分だけで充分孕めるだ。垂れて出たのは余計な分だで、ほっとけばかぶれちまうだよ」
「う、うー」
ベアトリスは出されたザーメンが無情に拭き取られていくのが惜しいらしく、ジャンヌに拭かれることを嫌がるそぶりを見せていたが、暴れて揉めるのもうまくないと思ったのか、結局従う。
対してネイアは大人しくフェンネルに任せるままだった。
「すみません……」
「長い夜ですからね。全部後回しにしていると大変ですし」
「はい……」
フェンネルのしっとりした態度にはやはり妙な母性があるよなあ。子持ちでもないし、年齢だって確かまだ二桁で、ここにいる中ではかなり若い方のはずなんだけど。
……二桁ってだけで若い括りになるのも改めて凄いな。うん。
さて。
ガラティアからちんこを引っこ抜き、次に行かねばならない。
ドラゴン五名と娼婦組二名、それとレディは前述の理由で後に回すとして、残りは……アゼルリゼルの猫組と、ノールさんたち四人のダークエルフ組か。
それとナリス。
……おおまかにナリスとアゼルリゼルをまとめて猫ルート、ノールさんたちをダークエルフルートと考えよう。
どっちのルートを先にするか、と、彼女らを見回しながら考えること五秒。
ノールさんたちにしよう。
終盤は強敵との連戦になる。その前に気を休めてくれそうなナリスや猫たちを置いて息継ぎとしたい。
「ノールさんと、ミラさんたち……来て」
「あら、次が私たち?」
「ふふ、よろしく♪」
「ミラさんたちってなんだー! シーマさんもちゃんと呼ばないとぶつぞー! ルキノはその他でいいけど」
「私をオチにしようとすんのやめてくれない!?」
四姉妹は揃って新酒場の中央に進み出る。
比較的長身のノールさんと、だいたい平均身長かそれよりちょっと高い程度の三姉妹。
ノールさんも長身とは言っても俺より高いということはないけれど、しかし、実際の身長以上の存在感を見せるディアーネさんとは逆に、ノールさんは絶えずしなやかに色っぽいポーズで、意識を高身長に向けさせない。
なんというのかな。そうと認識する前に彼女の雰囲気、いうなれば「世界」に巻き込まれる感覚といえばいいだろうか。
隣にあえて似たような姉妹が並ぶことで「あ、この人結構背丈あるな」と初めて気づくけれど、そうでもなければ視界内に一人だけが浮き出ているような感覚というか……彼女の仕草、腰つき、体の角度、それらが全て別格の魅力を見せつけて、男の視線を逃がさない。
ダンサーというものの職業的能力なんだろうか。あるいは、そういう佇まいであるからこそダンサーとして伝説のような存在になっているんだろうか。
「さて、誰から首輪つけるの? もしかして四人まとめて犯しながらつけちゃう?」
軽く髪を掻き上げながら、試すような視線を向けるノールさん。
横に並ぶミラさんは髪が短いのでわかりやすいとして、シーマさんとルキノさんは……髪を下ろしてると本当に双子みたいだな。表情の雰囲気で見分けはつくけど。
彼女たちの瑞々しい褐色の裸体が並び、そのどれもが今後一生、俺への隷属セックスを求めている……改めてそれを認識すれば、なんと夢のような話だろう、と現実感のなさに眩暈がする。
いや、実際はそれ以上に数多くの裸体が今も俺を取り囲んでいるし、言うまでもなく全部が同じように隷属を誓おうとしているんだけどさ。
セレンに出会う前、ディアーネさんの裸やエロ絵巻を見てこっそりシコシコしていた、ほんの二年前……こんな状況を俺は想像できただろうか。
できやしない。できるわけがない。たったひとりの女性とベッドインすることすら夢物語だと思い始めていたあの頃に。
「首輪は全員、先に付けちゃおう……ノールさんから」
「ん……」
数歩先のバーカウンターに用意していた首輪を取り、戻る。
ノールさんには黄色。孕ませ奴隷の首輪。
「これをつけるってことは……俺に孕ませてくれって絶えずおねだりするってことでもあるんだ、ノールさん。……あらためて言うけれど、本当にいい?」
「……ふふ。何度も言ってるわよね。孕ませられるものなら孕ませてみなさいって」
ノールさんはその魅力的な裸体を俺に近づけ、耳元に囁く。
「ソレ、つけてくれたら……もっと可愛く言い直してあげるわ」
「…………っ」
ごく、と喉が鳴る。
挑発的に「孕ませられるものなら孕ませてみろ」というのも、とても刺激的ではあるけど……彼女は、隷属の証を受け入れて、どんな風に言い直すのか。
妄想しようとして、やめる。
そんなことに使う時間がもったいない。考える気力がもったいない。
ただ、手に持っている首輪を彼女につけさえすれば、それが聞けるのだ。
砂漠の宝石蝶が妊娠を強請る言葉。
……しびれるような興奮を覚えながら、俺は美しい首筋に、黄色い首輪を嵌める。
「……つけちゃった」
ノールさんは、どこか苦笑のような響きを乗せた声で呟いた。
俺はそれをどう解釈すればいいんだろう。俺は何か悪いことをしただろうか。あるいはノールさんには俺にもわからない感慨があるのだろうか。
少し混乱しながらも、俺は彼女の次の言葉を待ち……ノールさんは相変わらず蠱惑的な仕草で、下から強調するように胸に腕を巻き付け、身を軽くくねらせながら。
「……貴方の赤ちゃん、いっぱい産ませてね。……私の旦那様……♪」
聞いたことのないようなしおらしい声で、囁いた。
「…………!」
ガツンとくるような衝撃。
他の娘たちなら「当たり前」の言葉だけど……あの自由人のノールさんがこんなことを言うとは思っていなかった。
座っていれば膝に乗り、しかし手を伸ばせば逃げる、そんな猫のような性質の彼女。
そんな彼女の一足飛びな愛の告白に……俺はついついよろける。
「……似合わない?」
苦笑気味に言うノールさん。
……ああ、そうか。
さっきの苦笑も……そういうことか。
なんとなく、スッと理解する。
彼女は彼女なりに、愛に溢れた男女関係にも憧れている。ただ、旅して踊る自分の性質にも、今までそれを軸にしてきた自分の態度にも似合わないのはわかっている。
首輪をつけたことは、そんな自分の生き方にとっては不誠実で、今のような告白も似合わないのはわかっていて。
それでも、やってみたかったのだ。
自分にとって異質だとしても、だから信じてもらえないとしても。
諦めながらも、やってみたかったのだ。
ならば。
「……いつか似合うまで言わせるだけだよ。俺の孕み奴隷、ノールさん」
精一杯の気合で受け止める。
ドラゴンたちの隷属だって受け入れたんだ。ノールさんのそんな願望くらい受け入れてみせる。
そんな俺の言葉に、ノールさんは少し口を尖らせた。
「……奴隷なのにさん付け?」
「いや、ヒルダさんとかディアーネさんもそうだし」
「……聖獣とか、結構年上でも呼び捨ててるのに」
「それは……う、うーん」
呼び捨ての基準って結構曖昧ではある。最初の関係が重要っていうか。
友好的な関係から始まるとその後もついつい敬語出ちゃうけど、敵対ないしそれを疑うような関係だと相手が偉くても呼び捨てに抵抗ないんだよね。
その辺一度整理すべき……なのかなあ?
「……今夜はノールって呼んでよ、旦那様……♪」
「の、ノール」
「……ふふっ。おとうとクンにそう呼ばれるのも心地いいわね♪」
彼女にとって俺は義弟なのか、それとも旦那様なのか。
どちらでもいい……どちらも楽しむつもりなんだろうな。きっと。
おもむろに彼女は俺を抱きしめてキスをして。
「首輪。あのコたちにも渡してあげて。……もう私のココ、孕む気になっちゃってるんだから♪」
「う、うん」
ノールさんに促され、俺は青い首輪をミラさんたちにつけることにする。
「やっぱりノール姉さんはオトコを落とす手管に凄みがあるわね……」
「こないだまで処女の私らにゃああいう雰囲気は無理だよねぇ」
「シーマには無理だね、うん」
「や、ルキノも無理だって絶対!」
「二人ともやめなさいって。アンディ君……ご主人様が首輪持って困ってるわよ」
この三人は三人でいるからしっとりした雰囲気が無理なんじゃないかな、と思う。
いや、それでもいただきますが。
美人にヤッていいと言われたらどんな軽い雰囲気でもヤリますよ俺は。
(続く)
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