とりあえずあらかたのところは聞き回った。
 ライナー配下組は……まあ、文句があったら言ってくるだろうということで放置。
 正確には問題あるのはシャリオだけなんだけど、彼女に関してはまだ俺の方でも腹が据わり切っていないので、セレモニー不参加含めて好きにさせたいと思う。
 セレンに納得させられかかったものの、なにも今、彼女の価値観に挑戦する必然はない。
 いつかは彼女の自死を諫めなければいけないかもしれないが、それは少なくとも対話の段階をすっ飛ばして「今」でなければいけないものでもないだろう。
 あと完全に正直なところを言うなら、今回は人数多すぎてそれどころじゃない。同時処理するには重た過ぎるので、また別の機会にじっくり向き合いたい。
 そして俺は追加首輪をぬりぬりと塗り直し。注文受けちゃったからには気まずくてもやるのだ。
「ねーお父さん、アンディさんって何作ってるの?」
「……サラ、あんまりお客さんの事情を知りたがるのはいけないことだ」
 ……ほんとごめんジャッキーさん。


 準備ができたところで、改めて会場と日取りの決定。
 そしてブレイクコアへの伝令にはマイアを飛ばす。
 マイアは俺から離れるようなお使いはやりたがらないのだが、エルフ領の奥地に外部のライラやエマを向かわせるのはアイリーナたちがいい顔をしない。
 じゃあマイアの家族を……というのも、今回は追加の竜を(マイア一族を差し置いて)入れる話だし、ちょっと伝令頼むのは気まずいよね。
 で、場所は結局のところポルカの新酒場で決定。
 40人なら入り切れるし、今は夏なのでアイザックたちも来ていない。
 ポルカから離れ過ぎるとブレイクコアの負担になるし、かといってエルフ領内だとダークエルフやシルバードラゴンが相当数入る都合上、根回しの手間がだいぶ大きくなってしまうし……と、悩んでいるところでセボリーからの提案があったのだった。
「修理するならいいそうです」
「修理……?」
「冬になったらまた使うし、その前に雨漏りとかしてないか調べて、あと蜘蛛の巣や埃を払ってくれれば、って」
「ああ」
 ちょっと空けてるとすぐ建物ってのは駄目になる。
 人が住んでいればすぐに気が付く異常も、放置されることによってどんどん拡大する。
 比較的近所にあるのでそういう被害とは無縁に思えていたが、季節限定の新酒場は実際「使っていない」のは事実なわけで、雪も消え、豪雨もない夏のポルカでも、どんな風に壊れているかわからないのだ。
「雨漏りチェックか……都合よく雨でも降って雨漏りがわかればいいけど」
「水が垂れてたら床や壁が変色するんで、すぐわかるんじゃないですか?」
「……それもそうか」
 誰も応急処置をしないっていうのはそういうことだろう。
 たかが雨漏り、それだけのことでも相当に見目の悪いことになる。
「建物の異常に関してはエルモさんたちに調べてもらうって手もありますし。家師の人たちってそういうのを探す魔法とか得意なんですよ」
「……他力本願じゃないかな」
 スマイソン家の建築時や家具製作でお世話になってる、エルフの家師、つまり大工のエルモ。
 彼らに手伝ってもらうというのも……今更だけどちょっとだけ気がひけるよな。乱交祭り会場の事前準備みたいなもんだし。
「なにも罰当番じゃないんですから、そんなに気にすることじゃないですよ。マスターとの単なる貸し切り契約の話なんですし、お金で解決したって文句言われる筋合いないですから」
「……まあね」
 何かと風紀に問題があるので、雌奴隷内でとにかく済ませたいと思ってしまうが、確かにマスターとしては「なんだかわからん酒盛りに場所を貸すついでに綺麗にしておいてもらう」という条件さえクリアすればいいわけで、俺たちがそれをエルモたちに頼んでもズルいということはないか。
「じゃあエルモに依頼しておこうか」
「あ、じゃあ今夜あたり言っときますね。アイリーナ様のツケってことで。多分飲みに来ると思うんで」
「……あいつら馴染み過ぎじゃない?」
 夜の酒場は街のおっさんたちの溜まり場だ。広い新酒場を使う冬場はともかく、夏の今は街のおっさんたちと相席も覚悟することになる。
 ウチの女衆はそれでもヒルダさんやアイリーナの卓越したおっさん受けの良さによって溶け込んでいるけれど。
「割と家師の人たちは人間族の皆さんと仲良く飲んでますねぇ。腕相撲したり歌ったり踊ったり」
「……さすが青」
 ボイス爺さん率いる海男の氏族は下までワイルドで陽気だ。

 ……という会話をしたのが数日前。

 表面上はみんないつも通り。
 街にはセレスタやシルフィードからの商隊がいくつか出入りし、エルフたちのポルカ進出がまた十人単位で増えるので住居と仕事の調整の相談に乗り、軽食テラスの準備が進んで開店予告も出て、そちらが話題になってる隙にエルモたちの新酒場検査と補修も済み。
 みんな取り繕って過ごしつつもソワソワしている数日が過ぎ、いよいよ予告した日の夕方になる。

 酒場の中はアイリーナやセレンが灯した照明魔法で明るく照らされている。
 しかし窓は木戸で閉じ、外から見ると相変わらずの閉鎖施設のまま。
 入り口も閉めたままだが、店員用の裏口だけは開けてあり、そこにセレンが立ってみんなを迎えていた。
「今日で雌奴隷が16人も増えるんですよねえ」
「ほんとは7人だけの予定だったんだけどな……」
 ネイア、ベアトリス、ガラティア、エマ、リェーダ、レイラ、コルティ。それだけが当初の予定。
 そこにノールさん、ミラさん、シーマさん、ルキノさんのオニキス勢、コスモスさん、グロリアさんの娼婦勢、そしてアゼル・リゼルの猫勢に、おそらく呼ばれたことを不思議がっているであろうシャリオが加わる。さらにレディ。
 実際レディどうしたもんかなぁ。俺、たぶんヒルダさんに煽られて彼女とセックスする羽目になるんだろうけど。多分レディは納得してないだろうし、俺も元のレディがチラついている限りは気持ちがいまいち盛り上がれないと思う。
 それにしても16人。16人か。
 ……今まで20人以上を雌奴隷にしておいてなんだけど、さすがにこの数を一晩で雌奴隷に加えるのは無茶が過ぎるよなあ、と震える。
 だって一度で今までの倍とは言わないにしても、それに近い数になる。
 全員の気持ちを精査したかというとやっぱり十分とは言えない気もするし。セレンには納得させられちゃったけどやっぱり一度白紙に戻してからゆっくり進めないといけなかったんじゃないかな、と今さら悩みたくなる。
 そんな俺を見て、セレンはどことなく困ったように笑う。
「アンディさん。……首輪が欲しいのは、証が欲しいのは、女の子たちの方なんですよ。忘れないで」
「……いや、でもさあ」
「首輪はあなただけの性欲を受け入れる証。……だからアンディさんが責任を感じてしまうのも間違いじゃない。でも、怯えないで。一人一人を見て、その人を誰か他の男に抱かせられるかを考えれば、答えは簡単なんです」
「うーん……」
「その繰り返しなんですよ。……そうだ」
 セレンは、一番に現れたオレガノとセボリーのペアを手招きし、俺の背中を押した。
「中に入って、一人ひとり、全員アンディさんが脱がせてあげて下さい。ちゅーもしてあげて」
「え」
「今までの雌奴隷には、全員自分のものだっていう確認になりますし、今回からの雌奴隷もしっかり自分のモノにする実感が湧くはずです。ご主人様に剥かれるのを嫌がる雌奴隷はいないはずですしね♪」
 変な気の回され方をしてしまった。
「裸がドレスコードなんですから、アンディさんがしっかりチェックチェック♪」
「た、確かに脱がすのは好きだけどさ」
 オレガノとセボリーを見ると、二人とも少し赤くなりながらも上目遣いに俺を見て、頷いた。
「……じゃ、じゃあご主人様……♪」
「お願いしますね……♪」
 壮大なスケベセレモニーの始まり。それは女たちの脱衣係。
 得体の知れない事実の重さに唸るよりは建設的か。
 俺は二人に気圧されつつも頷き、裏口から酒場に入る。

 セレンと一緒に酒場の中の準備をしたのは、アイリーナとジャンヌ、そしてアップルの三人。
 長い夜になるため、体を拭くための布の用意や、体を拭うための湯を沸かすかまどの炭火起こし、そして四十人近くが寝そべるためのマット並べ。
「そろそろ始まるだか。じゃあ脱がねえとだ」
 オレガノたちの肩を抱いて酒場入りした俺を見て、ジャンヌは屈託なく上着を脱ごうとする。
 それを「ちょっと待って」とアップルが止める。
「ジャンヌちゃん。セレンの提案で……」
「ん……?」
 エルフの聴覚で聞き取った内容を、少し赤くなりながらジャンヌに伝えるアップル。
 俺はそれを尻目に、まずはオレガノから脱がしにかかる。
「あの……アップルさんやジャンヌさんからじゃないんですか……?」
「順番は俺の勝手。だろ?」
 子供を産んだからとか、古参からとか、そういう序列を雌奴隷たち自身は気にするかもしれない。
 だけど、俺の欲望は必ずしも順番通りに働くわけじゃない。
 あくまで俺の欲望優先。それがこのハーレム状態を秩序立てるルールだ。
 だから、オレガノの裸から見たいと思ったとしても誰が怒るはずもない。
 控えめな態度ながら、時に俺を驚かせるほどの淫欲を秘めるエルフ娘の尻を少し強めに撫でてから、その帯を解き、服を一枚ずつ脱がしてカウンターに載せていく。
 大人しく脱がされていくオレガノ。夏場も日に当たらない白い肌が暴かれていくにつれ、生活圏を共にする「街の仲間」から、俺とのセックスを何より望む「雌奴隷」の表情に変わっていく。
 やがてその身に残るのは首輪とパンツだけ、という姿になり、最後の一枚に勿体つけて手をかける俺の腕を握り、誘導するようにパンツを下ろさせる。
「…………♪」
 これからこの場を満たしていく淫らな裸体の、最初のひとつ。
 それになったことを無言で悦びながら、オレガノはパンツを片手に弄ぶ俺に囁く。
「ちゅーもしなさい……って、セレンさんに言われました」
「……そうだよな」
 こちらはまだ一枚も脱がないまま。
 たった一人で裸になった変態雌奴隷は、俺に服従のキスをしようとする。
 それを俺は受け入れて、高ぶった彼女の舌に絡め返す舌遣いで応えた。

 続いて、セボリー。
 比較的長めの衣服を着ていたオレガノに対し、酒場から直接来たのか、メイド服をそのまま着ていたセボリーは、脱がせる際の感慨もまた一味違う。
 脱がせる俺をどこまで手伝っていいのか迷うような手の動きは見ていて楽しいが、半年前はこの場所で給仕として駆け回っていた衣装で、今日は裸にされるために来ている……というのは実に趣深い。
「セボリー」
「……はい、なんでしょう」
「オーダー。……給仕さんのパンツくれ」
「……ご注文、ありがとうございます……ですかね♪」
 脱がすのは自分の手で、というのは俺の趣味だが、目の前でじっくりと見せつけて脱いでくれるのであれば女の子自身に脱がせるのも乙なもの。
 セボリーは俺のゲスい注文に即座に乗り、苦笑しながらお尻を突き出すようにパンツを脱いで、身を起こさずにそのままふるふるっとお尻を振ってみせてくれる。
 華奢な腰つきの尻たぶが揺れ、無毛の恥部と校門が目の前でチラチラした。
「グッドだ、給仕さん」
「はーい……チップは弾んで下さいね」
「?」
「おちんちん……は、今日は大忙しですから、濃厚キスでお受けします♪」
 苦笑しながらセボリーにディープキスの「お支払い」。そして、脱いだパンツ以外の残ったメイド服も、キスをしながらいやらしく肌をさすり、脱がし落としていく。

 それが終わるとジャンヌとアイリーナ。
「ちびっこ二人だと、いけないイタズラをする気分になるな」
「経産婦に何言うだ……♪」
「ふむ。氏族長に悪戯をするのはいけないことには違いあるまい♪」
 片手でアイリーナの帯を解き、片手でジャンヌのシャツの下に手を這わせて、少し母乳の滲む乳首を探り当てて。
「そういえば子供たちは?」
「マイアの母ちゃんたちとか、男爵の奥さんが引き受けてくれただよ……なんとなく察してただ……っ♪」
「……まあ今さらってとこなんだろうなあ」
「男爵邸の女衆は、なんだかんだでわらわたちの立場を理解しておるぞ……ま、現に仲良く腹を膨らかした女が二人もおれば、小言を言うても無駄と悟るものじゃろ……♪」
 アイリーナのつるぺた胸、ジャンヌの母乳乳首。
 それらをゆっくりとした手つきで暴き出し、双方に舌を付けて舐め比べる。
 ジャンヌの母乳は甘く、アイリーナの乳首は少しオリーブの香りがする。肌に香油でも塗ったのかな。
 その味の差を楽しみながら、二人の腰に手を回し、パンツを後ろから引っ張り下ろす。
 霊泉で磨かれた赤ん坊のようなもち肌の小さなお尻が二つ、ぷりんと弾力を示して外気に晒される。
「こーんな小さい子から……」
 そして、二人のお尻をむにゅっと掴んでから振り向き。
「アップルみたいな子まで、みんな俺のセックス奴隷ってだけでも贅沢過ぎるのにな」
「……♪」
 アップルはおもむろに近づいた俺に、全く自然なことのように唇を合わせつつ、ちびっ子たちの感触の余韻残る手をむっちりお尻に差し込まれるのを拒まない。
「でも、アンディの贅沢は、人を助ける贅沢だでな」
「相手が誰でもよい女はそなたには靡かぬじゃろ。そなたでなくては幸せになれぬからこそ、奴隷と脅されてもそなたの物になりたがる」
「ま、心配はしてねえだよ。アンディがしつこいのは分かってるでな♪」
 理解の深い幼な妻、いや幼な奴隷たちに恵まれて幸せだと喜んでおけばいいんだろうか。
 まさぐり合っているうちにアップルもまた、首輪を残して裸になっていた。
 そこに現れるテテスにナリス、アルメイダとシャロン。
「こーんばーんはー」
「私ここ来ていいんでしょうかね……」
「今さら逃げるなナリス」
「そうよ、なんだかんだ言ってもエッチは嫌いでないのでしょう?」
「そりゃそうなんですけどー……って、なんで私に向かってくんですかっ」
 ガントレットで最初に脱がすのはナリス決定。裸になったら帰るのなんのと言わないだろう。
 もちろん他三人は協力的だったし、ナリスはキスで暴れるのをやめた。

(続く)

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