雌奴隷の一部の首輪が黄色く塗られ始めたことは、こっそり楽しむ二人の暗号で済ますはずが、あっという間にポルカにおける一種の事件になっていた。
「おいアンディ。吐け、どういう意味だ」
町の広場を横切ろうとしたら、いきなり出会い頭にキールにヘッドロックされて問い詰められる。
「なんだよ、何の話だ!」
「首輪だよ! なんだよ黄色くなってる子たち! 本人たちに聞いても『秘密』って言われるばっかりで、みんなどういう意味か予想して賭けてんだぞ!」
「待てよ、昨日の今日だろ!? どんだけ暇なんだよ! 誰と誰だよ賭けてんの!」
昨日の晩にテテスにあげたのが最初。アルメイダたちが色塗り首輪を真似し始めたのが今朝。そして今は昼前、六つの鐘をみんな待ってる時間帯。
首輪の色なんて注目してる暇人多すぎないか。ただのファッションだと思わないのか。
「ちなみに俺の予想はアナル経験者だ」
「堂々と昼の往来で何を言ってやがるデブ」
「もうデブじゃねーっつーの! ジョニーの方がむしろ太ってるくらいだっつーの!」
現在、黄色首輪を装着するに至っているのはテテス、シャロン、アルメイダにアップル。
ナリス以外のガントレットナイツにアップルを加えるという人選は、微妙に納得がいかないらしい。
他にも「レンファンガスで何かやらかした罰とかそういうのじゃないか」「借金持ちの印?」「実はあの四人で特殊部隊作るんじゃないの」「自慢げにしてたから昨日アンディとヤッた印とか?」なんて予想がジョニーやその他、町のおっさんたちの説だとか。
「単なるニューファッションだ」
「……嘘つけこの野郎、黄色に統一する意味があるか! 首輪の色塗り解禁ってんなら赤とか青とか他の色塗るだろ!」
「ぎ、ギブギブ……!」
ギリギリギリ、とキールの腕に頭を締め上げられる。キールのくせにツッコミどころがそこそこ的確なのがなんか腹が立つ。
そこに明るいお声掛け。
「はぁいキール君。ちょっといい? アンディ君借りたいんだけどなー♪」
「げ、ノールさん……あ、いや、これはちょっとしたおふざけでして」
「いいからいいから」
手を放して言い繕おうとするキールから、ノールさんが俺の身を救出してくれる。
「男の子が仲良くしてるのも悪くはないけど、鎧着た子が往来でそういうのはよくないと思うわー」
「う」
番兵ルックのキールだった。
その恰好で住民に組み付いている姿は、確かに何事かという感じではある。
そして気まずそうにしているキールに明るく手を振って、ノールさんは俺の腕を抱いて広場を離れる。
「……で、どういう意味なの?」
「ノールさんもですか」
「だって気になるじゃない。首輪がそこそこ大事なものなのは外野として見ててもわかるし」
首輪組とは一線を引くノールさんだが、それでもやっぱり気になっちゃうか。
まあ、ノールさんにまで隠すことじゃ……ないよな。
「……えーと、重点的妊娠奴隷の証……みたいな感じで考えてたんですが」
「え? そういうのあるの? っていうか弟君、私も誰でもガッツリ中出ししちゃうから関係なくない?」
「いやテテスは早めに孕ませないといけない話になっちゃったんです……で、テテスだけのつもりだったんです」
それにしても、自分も思い切り孕ませセックスしてるって自覚しっかりあったんですねノールさん。ノリ軽いけど。
……まあ妊娠の可能性を女性側が軽く考えてるわけないんだろうけどね。
「なんでテテスちゃんだけなの?」
「どうも跡取りが欲しい貴族の親父さんが、テテスに結婚させて後継者作りに専念させたいってことになってまして……で、テテスが自宅監禁されてキレて、自分はもうオトコに孕まされてるってハッタリ言ったら逆に喜んじゃったとかで」
「……人間の貴族って時々わかんないわよねえ。オトコは誰でもいいってこと?」
「レンファンガスは王室からして代々婿取りで続いてるんで、種馬婿への忌避感が弱いんだと思いますが……」
などと、周りの耳をはばかりながら説明して歩く。
で。
どこに行っても住民の皆さん方が話を聞きたそうな顔をしているのでたまりかね、町外れのローリエたち四人娘の家に避難。
もちろん昼どきは酒場勤めのセボリーや男爵邸のメイドをするフェンネルはいないため、ローリエとオレガノだけしかいなかったが、その二人は既に噂を聞き付けていて、その上首輪の意味の話もどこからか入手していて。
「黄色いっていうか黄緑色になっちゃうね……これだと」
「顔料変えましょうか」
二人して首輪に彩色の真っ最中だった。
「おいオレガノ、ローリエ。何してんの」
「ご主人様。いらっしゃい」
「色……塗ってる」
「あのな。黄色に塗ったら頻繁に犯しに来てくれのサインとかそういう話じゃないからな?」
「えっ?」
「違うの?」
きょとんという顔をされる。
真っ向から信じて疑っていなかったらしい。
「モテモテねえ……」
ノールさんも苦笑い。
いや、これは結構問題だ。というか俺へのプレッシャーばかりが燃え上がってしまう。
というわけで、この手の話題に知恵を貸してくれそうな……というか、ノリをわかってまともに相手してくれそうな人を探すと、グロリアさんしかいなかった。
「俺の世間体が危険で危ないんですが良い知恵は」
男爵邸の一室。
どうも男爵とも(スケベマインド的に)ウマが合ったようで、ちょっとした物置に使っていた部屋を貸してもらったグロリアさんは、最近描いた絵を壁一面に飾っているところだった。
自分で裸婦画専門と言い切るだけあって全部裸の女の絵だ。ヤッてるところもあればそうでもないのもある。昨日リェーダにポーズ取らせて描いたものもあった。男爵が見たらムホーッと大喜びする部屋だろうな。
それはそれとして。
「雌奴隷作りまくりの首輪野郎って思われてる時点でアウトくさいから世間体は諦めたら?」
グロリアさんはドライだった。
いや、まあ傍から見たら無駄な努力に見えるんでしょうが。
「それでも諦めなければ守れるものは残っている! 俺はそう信じているんです!」
「……台詞だけ聞くとなんか悲壮なシーンに見えるわよね」
ある意味悲壮な話なんです。全部開き直ったらきっとお袋も泣く。いや既に泣いてるんじゃないかというツッコミはちょっと待って処理しきれないから。
「つまり黄色が目立って変な噂になってるっていうのがよくないんでしょ? じゃあ他の人のも別の色で全部カラフルにしちゃえば?」
「……あ」
キールの言っていたことを逆手に取る方法か。
そう。確かに「全員カラー首輪に変更」ということにしたなら、たまたま第一陣が黄色ということで誤魔化せるはずだ。
「そんな簡単な手が……」
「なんで思いつかないのよ」
「火消し方向にしか頭が行かなくて……」
「アンタって柔軟なんだか違うんだかわからないわよねぇ」
返す言葉もない。キールにしっかりヒント貰っておきながらグロリアさんに言われるまで全く気付かないとは。
「……ふぅ。さて、こんなものかな。まだ壁は余ってるけど」
グロリアさんは絵を飾り終えて満足げに息をつき、そしてくるりと振り向いて俺のアゴに指を唐突に這わせる。
「さて。それじゃ相談料」
「うぇ?」
「あたしは身内じゃないんだぜぃ? タダで悩み事を聞いてやる義理はないかんね」
「え、金取るのっ?」
「ふふん。……ある意味お金より需要があるやつ♪」
しゅる、とグロリアさんは片手で服を緩める。
……って。
「エロですか!?」
「こちとら昨日はすっかりスカされたからねー。ハメるハメるって言いながら放置して。そりゃあいつでもヤレる娼婦よりもドラゴンの方が大事かもしれないけど、こっちも期待させられりゃモヤモヤしちゃうんだよ? オトシマエつけてくれなきゃ困るわよ……♪」
スカートを脱ぎ落とし、尻を突き出し。
グロリアさんは色っぽい目で俺に続きを促す。
「ま、本当なら焦らされた分、一晩くらい付き合ってほしいところだけど。……あのお姉ちゃんの方もスカされてたからガチで絞っちゃったら不憫よね。今日のところは相談料、ガッツリ一発密着中出しで納得してあげる……♪」
例え避妊されているとわかっていても、色っぽいエルフ娼婦にこう囁かれて、胸が高鳴らないわけがあるだろうか。
そう。別に俺は不毛なセックスが好きなわけじゃない。孕ませたくないわけじゃない。
高揚と熱情に駆られて始めるセックスがいい。欲望よりも先に義務が来るセックスにはしたくない。それだけなんだ。
「それじゃ……払いますよ、グロリアさんに……相談料、チンポで……!」
「ふふっ……カラダ売る側には長いこといたけど、ザーメンで代金払わせるってのも倒錯的で燃えるわよね……♪」
エロ絵巻的ロマン。
極めて男性的な論理でのセックス。
グロリアさんはそれに深い理解を持ち、その対象になることを楽しめる淫乱だ。
ヒルダさんとは別の意味で、男の欲望に共感しつつ受け止められる女性だ。
美しいエルフの身でありながら、その感性を持つ彼女の稀有さに感謝しながら、俺は壁に手をついて尻を突き出すグロリアさんにちんこをズヌリとねじ込んでいく。
ロングヘアを傾け、色っぽい耳からうなじへのラインを露出し、薄暗い部屋でグロリアさんは俺の欲望に身を委ねる。
いや、俺自身がグロリアさんの熱く湿った欲望に呑み込まれていく。
「んんっ……ふ、うっ……♪ えへへぇっ……わかる、あたしの子宮……お待ちかねの極上オチンチンだぞーっ……♪」
自分の下腹をさすり、自らの胎に語り掛けるグロリアさん。
「ずっと飢えてたオチンポが来たぞー……って、ふふっ♪」
「美女が自分のオマンコにエロいこと言い聞かせるのは捗りますね」
「でしょ。ネタバレなんだからね……♪」
次のエロ絵巻のアイディアだろうか。……なんて、確かめるのも野暮か。
絵師グロリアのいちファンとして楽しみにしつつ、娼婦グロリアに相談料ザーメンを収める客として、せっせと励ませてもらおう。
ねっとりと熱い膣内を往復。深呼吸のようにゆっくりと長いストロークから、だんだんと彼女の膣肉の所有権を主張するような激しく短く、深々と子宮を狙う動きへと移行する。
壁に子供のように手を突き当てて、グロリアさんは抑えた喘ぎ声を上げながら腰を突き出し、ちんこを迎える。堪能する。
長いセックス経験がある彼女ならではの、存分に楽しみ、楽しませながらも余裕と積極性を感じる腰遣いで、俺は一直線に射精へ向けて導かれていく。
「どうっ……って、もうイッちゃうのかしらっ……♪ ふふ、ちょっと勿体ないけど、射精していいわよっ……もちろん、奥でっ……♪」
「う、ううっ……」
「期待して待ってる子宮ちゃんに、ちゃあんと飲ませてね……っ♪」
煽るグロリアさんに、俺は逆らうこともなく、そのまま細かく強く腰を叩きつけて、射精。
「んあっ……は、あああっ…………きた、ああっ……♪」
ビュルルルッ、ビュルルルルッ……と、いつもながら異様な量の白濁汁を吐くちんこ。
それを受け止めて、少し苦しげに片目をつぶりながらも器用に膣を緩めて汁を逃がし、逆流させるグロリアさん。
「……ほんっと、男前な射精よねえ……♪ 量だけならオーガにも全然劣らないんだから♪」
「……ご馳走様でした」
「それはこっちの台詞。あたし食べる側、アンタ食べられた側♪」
グロリアさんはちんこをやわやわと膣で労わりつつ、微笑みかけてくれる。
「……さて。残ったお汁はあのお姉ちゃんの方にあげなさい。妹にだけハメてあげてお姉ちゃんは待たせたままお預けなんて可哀想だったじゃない」
「昨日は続けようにも雰囲気がですね……」
「はいはい。言い訳は今度聞くわ……ん、ふぅっ……♪」
ちゅぽん、と膣からちんこを引き抜くと、グロリアさんは背を震わせつつ色っぽく溜め息。
俺はそのちんこをしまい、未だ露出しているグロリアさんの尻を眺めながら、改めてレイラにハメることを考える。
そうだな。考えてみれば、首輪授与の儀式で妹は経験者なのに一人だけ処女ってのも可哀想だ。
みんなの首輪の再塗装前に、レイラの処女は貰っておくとしよう。
(続く)
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