一度セレスタ屋敷に戻って休憩。
「バスター卿を相手取るとなったら少々厄介だ。フェリオスのように最終的に腕ずくというわけにはいかない」
 屋敷内の女子浴場。
 ディアーネさんは半身浴をしながら大きく溜め息をつく。
 ちなみに風呂はエマが気を利かせて準備してくれていた。ライラがいないのでドラゴンの熱でボコボコッと沸かすわけにはいかないが、もともとちゃんとした設備なので普通に手作業で薪を焚いて沸かせる。
「さすがの戦神でもバスター大騎士長まではねじ伏せられないか」
 アルメイダが頷き、体の泡を流す。夏の日差しの下で出撃したのか、少し日焼け跡がある肌に泡が流れるのが目に楽しい。
「戦闘力の面でも決して楽な相手ではないが、人望が違うからな。正面から喧嘩になればレンファンガス中枢を丸ごと敵に回しかねない。それにテテスと事前に接触できないのでは、実際にバスター卿が強硬な態度に出た原因の妊娠の事実を確かめられない」
「……確かに、先にテテスと内緒話をさせてくれるような手抜かりをする方ではないな、彼は」
 焦点は、テテスの「妊娠」がハッタリなのかどうか。
 妊娠しているのであれば、完全に責任を取る気でいくしかない。孕ませたのに手放す選択肢は道義的にも感情的にも有り得ない。
 そしてその場合、バスター卿に対しては完全に下手に出ていく必要がある。
 お預かりした娘さんと「火遊び」しただけならギリギリ個人の問題で済むが、妊娠出産はそうはいかない。赤ん坊が生まれる、つまり双方の血を引く人間が一人増えるというのは、気の迷いでは済まない。
 バスター卿がテテスにかこつけて、こちらの持つ戦力を当てにした要求をしてきても、無碍には突っぱねられなくなる。先にそのあたりについて合意形成しておけば妊娠しても「それはそれ、これはこれ」にできたのだが、こちらからなし崩しに関係は作ってしまったわけだし、条件面でイニシアティブは取られても仕方ないよね、となるわけだ。
 逆に本当は妊娠してないとなれば、もう少しこちらも毅然とした態度に出てもいい。
 しかし、妊娠の真偽は向こうが背後で握っているわけで、結局のところタフな交渉になってしまうだろう。
「テテスは色々考えて行動しているように見えて土壇場でやらかす節があるからな……頭が痛い」
 ディアーネさんは濡れた髪をかき上げて上を向く。
 浴場にはランプを入れる換気口付きの白いガラスフードがあるが、結局ランプを使うと煤が溜まったり時々消えたりして面倒なので、エルフがいる時は照明魔法で光球を浴室内に浮かべている。今日の照明はネイア作だ。
 そのネイアがベアトリスの長い髪を洗ってやっているのを横目に見つつ、俺はナリスのおっぱいを揉んでいた。
「……もっのすごい何の不思議もないような顔で女湯に入ってくるのはもう百歩譲って不問としますけど。なんでよりによって私の乳揉むんですかこのやろう。騎士長とかディアーネ百人長とか揉みごたえたっぷりのがそっちで乳浮かべてるんだからそれ揉みなさいよ!」
「舐められたものだな。このおっぱい大好きポルカっ子の俺を!」
 ナリスの背後で俺は胸を張った。
「巨乳も微乳もそれぞれの良さがある! ナリスっぱいにはナリスっぱいの良さがある! 確かに巨乳を手のひらいっぱいに掴むことの素晴らしさは格別だが、ナリスの微妙なおっぱいを手のひらに収めることの尊さはそれに勝るとも劣らない!」
「大声で微妙って言うな! 響くし!」
「というわけでたっぷり堪能させてほしい」
「ほんとなんなんですかアンタは……」
 ナリスは赤くなりながらも不本意そうな顔で、俺の手の甲を掴みつつ乳揉みを許す。
 それを微笑ましげに見守るシャロン。
「あなたの魅力も認めてもらってるんだからいいじゃないの」
「そういう納得の仕方でいいんですかねぇ……」
「ナリス。チンポ入れていい?」
「いいですけどお湯の中でハメるのはやめて下さい。のぼせて溺れながらイくのとかヤですから」
 低い声ながらも即答で許可が来るのが心地いい。
「むぅ……ナリスの方が先か……」
「アルメイダ。もしかして先に欲しかったのかしら?」
「それは、その……テテスも妊娠したようだし……私もできるだけ早く子を成したいので……」
「アルメイダさんって妊娠したら兵士稼業どうするつもりなんですか。まさかボテ腹のまま槍踊りするわけにもいかんでしょう……っっ、こらスマイソン十人長っ、イジるのは湯船の外で!」
 ナリスが上がりかけたお尻に後ろから手を差し込み、おまんこに指タッチする悪戯。声を荒げて咎めながらも、俺の手を掴んで一緒に上がらせようとするナリスがやっぱりかわいい。
「へっへっへ」
「なんですかその笑い方。やけに素直じゃねーかとか言いやがりますか。私だって溜まってたんですよ悪いか畜生」
「全然悪くないぞ。素直にエッチしたがる女の子は大好物だ」
「そこで大好きだ、とか素直に言わないのがスマイソン十人長らしい抜けっぷりというか」
「大好きだ」
「っ……い、言うの遅いっ! もうノーカンです!」
 ナリスをからかうのはやっぱり楽しいなあ。自分で言えって言ったくせに真っ赤になって。
 そして、洗い場の壁に手をついて、俺に向かってクイッと尻を突き出す。
「は、早く済ませて下さいよ。終わったらテテスちゃん迎えに行かなきゃいけないんですからね!」
「わかってるわかってる。でも堪能させてくれ」
 湯気で薄ぼんやりと霞む視界の中、ナリスの突き出したお尻に改めて手を差し入れ、おまんこ穴を人差し指で軽くぐりぐりとこじる。
 元々お湯で濡れてはいたが、数十秒も入り口をこねくっていれば、陰唇が物欲しげにヒクつき始め、ヌルリとした感触に指先が滑り始めるのを感じる。
 そのまま指を侵入させて反応を楽しんでいこうとするも、むずかるようにナリスは尻を振り、指を振り払う。
「……そんなの、いいですからっ……早く突っ込んじゃえばいいんですよっ……!」
「善意でほぐしてるのに」
「アンタさっきからどれだけ期待させてたと思ってるんですかっ……もうさっさと奥の方にガツーンと下さいよっ……♪」
「……スケベになったもんだ」
「完っ全にアンタとテテスちゃんのせいですけどね!」
「テテスにレズプレイでもされた?」
「知ってて聞いてんでしょ!? テテスちゃんに乱交に引っ張り込まれまくったの言ってるんですよ!」
 うん。知ってるけど。
 でも再確認すると味わい深いよね、と比較的厚みの少ない骨盤を尻ごと掴みながら思う。
「じゃあご希望通り……ガツーンといくからな……!」
「っ……た、多少は手加減して下さいよ……痛いのはヤですから……っ」
「難しい加減を要求するな」
 立ち上がり、万端に反り返ったちんこを膣穴にあてがい、彼女の肌の触り心地を亀頭で確かめるようにぐりぐりと押し付け、その存在感にナリスがゾクッと震えたのを確認して。
 ぐぐっ、と久しぶりの彼女の膣に侵入していく。
「うあっ……き、きた……っっ……♪」
 肉穴。
 いつも友達感覚の彼女が、「肉棒」を求める「肉穴」という存在に変わる瞬間。
 その境界線を踏み越える瞬間はいつもどこか背徳的で、だからこそ駆け抜ける充足感がある。
「ああ……」
「はぅ……ん、ふぅっ……♪」
 彼女の要望通り、奥を突く。
 強烈な突き方なんて、本当は滅多にしない。俺は射精量だけはオーガみたいだが、セックススタイル自体は良くも悪くも強烈さなんてない。だから、所詮は俺基準の範囲内での「ガツーン」だ。
 それでも熱い膣肉をかき分け、ナリスの膣奥に到達してみせた時、ナリスは「これを待っていた」という鼻声を出して舌を突き出す。
 俺たちの正解。二人で落ち合う、下半身の快楽の待ち合わせ場所。
 そこでうまくランデブーできたことを確かめつつ、ナリスの尻を揺すり、自分の腰を打ち付け始める。
「……うぅ……つ、次には私も……なんてねだったら、朝になってしまうな……」
「アルメイダ。正直になってもいいんじゃないのかしら?」
「そ、そうは言いますが騎士長。フェリオス大騎士長の件は明日になれば当然伝わり、ただでさえ後手に回るしかない交渉の主導権がさらにバスター大騎士長の方に……」
「私たちは雌奴隷。ご主人様のためなら、どれだけ淫乱であってもいい女よ。つられて欲情してしまった宣言はご主人様を悦ばせこそすれ、黙っていることが正解なんてことはないでしょう?」
「は……で、ですが……」
 コソコソとアルメイダとシャロンが話しているが、残念ながら俺にも丸聞こえ。聞かせたくてわざとそういう音量で喋っているのかな、と邪推したくなるが、シャロンはともかくアルメイダはそんなに器用ではない。単に俺がナリスの膣に夢中すぎて聞こえていないと思ったんだろう。
 でも実際、ナリスの膣は気持ちいい。
 すっかりエロエロ生活に慣れたあとの禁欲で、貪欲さが倍加されているというのもあるだろう。ナリスの持つ女としてのポテンシャルが最大限に発揮されているような快楽だ。
「悪いな……アルメイダ。今回は確かにハメてやれないけど……!」
 ナリスと腰を打ち付け合いながら、俺はアルメイダに宣言する。
「テテスを連れ戻したら、思いっきり孕ませセックスしてやるから……!」
「……ちょっ、い、いいところなんですから、よそ見しないでっ……こっちに集中してくださいよっ……♪」
 ナリスが喘ぎながら抗議する。彼女の言う通り、俺の射精欲は暴発寸前だった。そしておそらくはナリスも絶頂しそうになっている。
 実際、気を散らしていられたのはそこまでだった、
 肉棒を襲う快楽の加速が、やがて勝手に腰を早め、ナリスの中に精液を噴出することしか考えられなくなる。
 そして、射精。
「んぐぅぅぅっ……♪」
「く、はっ……!!」
 湯船から出ているとはいえ、やはり湯気にまみれた風呂場。
 ナリスの膣内に白濁を撒き散らしながら、無呼吸運動に力尽きて喘げば、吸い込む空気はやはり湯気が多すぎてクラッときて、ナリスの尻にザーメンを撒き散らしながら、俺はふらっと尻餅をつく。
 ちょっと無茶をした。
「大丈夫ですか」
 エマがそっと体を支えてくれる。ずっと控えていてくれたのだった。
 そして、痙攣を長く続けながら精液をだらしなく飛ばし続けるちんこには、おもむろに寄ってきたマイアが顔を近づけ、口で処理を引き受ける。
 改めて、贅沢だな、俺。
 そう思いながらマイアの頭を撫で、射精の後処理をゆっくりとお願いする。

 ちなみにリェーダとライナー派の三人は、風呂に同席はしなかった。
 貴族屋敷の浴場が広いといっても限度はあるし、少しでもゆったり浸かりたいというナリスの希望が通った形だ。
 とはいえ、風呂の中でやらかしていたのは伝わっていたらしく、エマのハンド冷風サービスで涼んでから客間に行くと四人は少し気まずそうな顔をしていた。いや、リェーダは恨みがましい顔というべきか。
「精液処理なら私にお申し付けくだされば……」
「性欲処理じゃなくて精液処理かよ……じゃなくて、たまたまナリスとヤリたい気分になっただけだから」
「んな堂々とヤッてきた宣言しないで下さいよ!?」
 ナリスに尻を膝蹴りされた。

「さて、それじゃあ本丸に行くとしようか」
 ディアーネさんがいつもの軽装に袖を通し、皆を見渡す。
 もはや夜も遅いが、本日のクライマックス。バスター侯爵家への乗り込み。
 明日になり、向こうがこちらに出向いて来ては本当に受け身になるしかない。少しでも主導権を取るなら、出向くのはこちらから、要求を言うのもこちらからだ。
「ドラゴンたちは控えていてくれ。バスター卿と剣呑な空気になりたいわけではない。本当に手がなくなれば呼ぶかもしれないが、その時までは待機で頼む」
 マイア、エマ、リェーダをそう言って待機させる。ライナー派の三人に関しては、シャリオは言うに及ばず、レイラとコルティは「雌奴隷」として降っただけだからドラゴンとしての示威は義務の外だ。
 まあそれでもドラゴンが複数頭いるっていうのは、この街の住人としては知りたくない事実だろうけど。
「ドラゴン以外は……アンディとガントレットの三人はもちろん、ネイアとベアトリスもついてきて欲しい。交渉のとっかかりは多い方がいいからな」
「はい」
「……もう眠くなってきたんだけど」
 ごめん。もうちょっと頑張ってくれベアトリス。


 そして。
 俺たちはシャロンの案内で、バスター侯爵家に到着。
 無論、ここは本来の所領から離れて首都生活するための別宅であり、バスター卿の本来の資産はその働きもあってとんでもないらしいが、屋敷自体の単純な大きさとしてはセレスタ屋敷と大した差はない。
「さて。不躾だが、通してくれるものかな」
 もしも追い返されたとしても、用があると先に言い出しておけば、翌日以降の訪問でもこちらから切り出すのが筋になる。
 そうなった時のイメージトレーニングもしながら待っていたが、門衛はこちらの訪問を伝えに行ってからしばらくして、「会われるそうだ」と言ってすんなり通してくれた。
「こちらの訪問は察知されていたか? まあ、ベルガに口止めもしなかったから無理もないが」
 ディアーネさんは状況を楽しむように呟く。
 俺はその隣で頷きながら、だんだん緊張が高まっていく。
 さすがにフェリオスみたいな簡単な解決が二度続くとは思えない。どう出てきてもいいように色々考えておかなきゃ、と気は焦るのだが、結局のところバスター卿が何を言い出すのか全然想像ができなくて、ただ気持ちが空転していた。

 で、通されたのは応接室。
 城で言うなら謁見の間、という感じで、そこまで偉そうではないもののきちんとした格式を感じさせる大きな部屋。
 そこで向こう正面に座っていたのはバスター卿……ではなく。
「お初にお目にかかる。アレクの先代にてバスター侯爵を務めていたイーグルである」
 ……先代侯爵。真っ白いヒゲの老人だった。
 鼻から下は真っ白だが頭髪は綺麗にない。眉毛も長く、その下から除く眼光はさすがのものを感じる、そんな男。
 バスター卿はその横に控えていた。
「我が娘の件であるな」
「……は、確かに」
 バスター卿といきなり鼻先ぶつけ合うつもりでいた俺たちは、その親の登場で機先を制される形になる。
 いや、まあ確かに娘が出先で妊娠したとなれば、兄より親が出てくるのが当然っちゃ当然なんだけど。
 先代はゆっくりと俺とディアーネさんを見比べ、独特の間で俺たちの発言を制し。
「……妊娠したという話は、伝わっておるか」
「……ええ。もちろん」
「知っての通り、我が不肖の息子、現バスター侯爵アレックスは、子がない」
 先代は小さく溜め息をつき、バスター卿は居心地が悪そうな顔をした。
 ……って、この流れは……思ってたのと風向きが違う?
「もう五十路にもなる貴族がだ。……となれば、テテスの子というのが我が家にとって重要な存在だというのは、おわかりか」
「…………」
「単刀直入に言おう」
 先代は強い眼光を放つ。

「赤子の名づけはなんとしてもこちらにお任せ戴きたい……!!」

 え?
 迫力出していきなりそこ?

(続く)

前へ 次へ
目次へ