シルバードラゴンの女性たちの全裸誘惑接待はとても俺の好みを心得ている歓待ではあった。
もし俺以外を相手に突然やれば「下品過ぎる」と怒る奴もいるだろうし、あるいはドスケベでも「いきなり脱ぐとは何事だ」と逆の怒り方をする者もいるかもしれない。ストリップなんかも裸ならそれでいいやってもんでもないというし。
俺は美女の裸なら単純に嬉しい派です。自分の手で下着脱がすのはそれとは別の征服感を満たす行為。
で、彼女らはどんどん増えて10人を超えたあたりで普通に俺の周囲が埋まった。屋内なのでそんなに場所が広くなく、もう割り込む隙もない。
新しく来た女性も帯に手を掛けつつ困惑していた。
「ガラム殿、私はどうしたらいいんでしょう」
「ムゥ……。順番を待て。いや、いっそのこと乗り手殿は寝室に移動していただく方が」
だんだん本末転倒になり始めたので俺は制止した。
「ちょっとまってガラムさん。とても嬉しい状態でそのうちまた是非やってもらいたくはあるんだけど、今夜は先約があるから」
「む?」
変に正直な本音が漏れてしまった俺に、首を傾げるガラム翁。
「ディアーネさんとしばらくぶりに再会したばかりなんだ。今夜はこちらのご婦人方とのお楽しみは遠慮させてほしい」
「アンディ。私は後回しでも構わないぞ」
「俺が早くディアーネさんとセックスしたいんです」
きっぱりと言うと、ディアーネさんは少し照れたような顔をして目を逸らす。
普通なら顔しかめて怒られるよね、こういうの堂々と言ったら。この場の誰も疑問に思ってないようだけど。
「っていうか、ドラゴンに囲まれて素直に鼻の下伸ばせるだけで凄いわよねあいつ……いくら綺麗でもドラゴンなのに。このうちの何人かは、この前の戦いでやり合った相手なんでしょ」
ベアトリスが指摘するが、それに反論したのは手持無沙汰にしていたリェーダ。
「我々など恐れをなすに値しない、所詮雌だ、という覇気もまた英雄の条件だ。私はむしろ一度は対峙したからこそ、スマイソン殿のそういった雄としての芯の強さをよく感じる。力を知らず姿に惑わされるより、知ってなお雌として扱う雄にこそ我々は求められたいのだ」
「……ドラゴンって時々全然わかんないよね、ネイア」
「えっ? あ、はい」
「……何その『あっそういう反応する方が普通なんだ?』みたいなびっくり顔」
ネイアも割と極まった戦士だから、ドラゴン的なマッチョ恋愛観には共感しているのかもしれない。
あんまり超人になり過ぎると、女として振る舞うことにさえ障害が生まれるんだろうな。
そして。
「主様。それはそれとして、リェーダの話はどうするのですか」
リェーダに代わって話を振ってきたのはエマだった。
気になるか。なるんだろうな。自分の次の配下ドラゴンになるだろうと思ってるわけだし。
俺としては、もうちょっとこっちでカールウィン周辺の現場責任者してほしいんだけど……。
ディアーネさんを見ると、彼女は「私の顔色を窺うな」と肩をすくめた。
「好きにしろアンディ。よく考えて決めろ……などという段階でもないように見えるが」
「そ、そうは言っても……」
「今のお前なら、どう扱っても誰からも文句は出まい。急にエマやマイアと同じ扱いがしづらいなら、とりあえず抱くだけ抱いておいたらどうだ。どうせお前は一度犯せばいずれその気になるんだろう」
「なんかディアーネさんだいぶ判断が雑になってません?」
「お前に隷属したいという女の出現に、今更文句をつける気はない。二十何人目だ。三十人を超えているかもしれないじゃないか。……それがドラゴンにしろただの人間にしろ、もうお前が持てあますことはないだろう」
「うぅ」
「それに大人のドラゴンを増やすというのは悪い話でもない。いざという時にはライラと同じ扱いができるユニットが増えるわけだから」
そういやライラもそういう視点から推奨してたっけ。
っていうかそんなドライな感じでいいのリェーダ。
……と思って彼女を見たら、飼い主の一声を待つ大型犬のような顔で俺の答えを待っていた。
咳払い。
「えーと。……それじゃあ今は味見だけでも、って感じでいいのかな」
「もちろんです。お忘れかもしれませんが私は元よりあなたに敗北し、屈服した者。いかなる命令でも受け入れるつもりでいます」
「……そういうアレだっけ」
そうだったな。そういえば。本来は襲撃時の償いと、パレス存続のための積極的奉仕が目的だったっけ。
売り込みが激しいから何かちょっと認識がズレてたような気もしなくもない。
最初は俺たちにパレスを潰されないための逼迫した使命感だったんだと思うけど、そのうちライナーよりも上等なドラゴンライダーだという実感から、それ以上に早く自分の身の振り方を固めたいという欲も出てたんだろうな。
そういう感じで考えれば納得というか罪悪感は少ないけど。
「力の契約という形式に気後れがあるのかもしれませんが、いずれの形にせよ私はこの身を捧げる覚悟でいますので……むしろ細かい話は抜きにして、子種だけでも頻繁に仕込んでいただく方が嬉しいところですが。異種族ゆえ、そう簡単には孕めません。ご寿命までの五十年の猶予は人には長いでしょうが、我々が確実に孕むには短すぎます。一刻も早くこの胎をお使いください」
「なんか予想と違う方向にガチすぎない?」
「私も雌。良きにつけ悪しきにつけ、雌は子作りの有無を気にせずに人生設計などできぬものです」
前のめり過ぎる。
ちょっと頼もしいかと思っていたけど、こいつアルメイダ系のいったん思い込んだら猪突猛進するタイプか。
「わかった」
俺は頷き、そしてまだ俺を囲んでいる全裸ドラゴン美女たちからお酌をもらって一口飲み、リェーダを指差す。
「じゃあ今日はディアーネさんとお前をベッドに上げよう」
「……ありがとうございます!」
今の俺、間違いなく昔話の悪い王様だよね。グロリアさんが見たら面白がって指枠作りそう。
やがて日も暮れ、夜になる。
俺に代わる代わるお酌をしてくれた全裸ドラゴン美女たち(もちろん酒任せにおっぱいを触ってもお尻を撫でても誰も怒らなかった)も、恥ずかしい思いをさせるだけさせて解散の流れに文句を言うこともなく、やがて俺たちはいつかエマとの初夜を行おうとした家にしけ込んで、今夜のお楽しみへと流れる。
知らぬ家の玄関を入ってその場で、まるで外套を脱いで掛けるようにディアーネさんは服を景気よく脱ぎ、玄関先に畳んでしまう。夏場なので軽装だったディアーネさんは見る間に巨乳を晒してしまった。
「ディアーネさん、気が早いですよ」
「実は最初から、お前と堂々とセックスできる展開になるのを待っていたんだ。もしもさっきの宴の場でお前が誘われるままに乱交を始めていたら、すぐに混ざるつもりだった」
艶っぽい顔でそう言われると苦笑しかできない。やっぱり溜めるタチだなあ。
ドラゴンの性的に色々気にしない気質に慣れているっていうのもあるんだろうけど。
それを見て、マイアも真顔で服を引き抜くように脱ぎ始めてしまい、それを見て慌ててエマも倣う。さらにリェーダもそのエマを見て戸惑いながらも服に手をかけるという謎の連鎖反応。
繰り返しますがここは玄関で、まだ寝床は視界に入っておりません。
ちなみにベアトリスは上等すぎる酒に感動してがぶ飲みして即潰れたため、それをネイアが背負っている状態。玄関でみんなが脱衣を始めたのでそもそも家に入れない。
「何をやってるんですか……」
「この家はもうアンディのための乱交スペースだ。服を着て入ることなど無粋だ」
そして勢いのまま下着まで脱ごうとしているエマとリェーダをディアーネさんは見咎める。
「そこまでだ、二人とも。マイアを見ろ」
「はい?」
「えっ……」
シルバードラゴン二人はマイアを見る。最後のぱんつ一枚だけは履いたまま、俺に背を向けて見返り、待っている。
ディアーネさんもその一枚だけは残している。
ありがたい。
「……アンディはこれから犯す女の下着を脱がせるのが好きだ。今後も奉仕するつもりならよく覚えておけ。この男は雑食過ぎて巨乳も貧乳も孕ませも尻穴もなんでもアリだ。だからこそ、こうして特に喜ぶポイントは知っておいた方がいい」
「そうですね……確かに」
「なるほど……」
感心するエマとリェーダ。
そして玄関先に立ったまま入れないネイアは小さく抗議する。
「それも玄関でしなければいけませんか? もう少し入ってからでよくないですか? ベアトリスを下ろしたら私も参加しますから……」
「お前も染まったよなあ」
「……染まらずにいたら逆に辛いだけですし」
ネイアの困惑気味の微笑み。やっぱり俺は苦笑するしかない。
それはそれとして、ディアーネさんのお尻を久方ぶりに自分の手で露出させる喜びは噛みしめるのだった。
(続く)
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