娘に言い負けた上にベアトリスによる暴行により、テオ船長は完全に屈した。
ヒルダさんから一応の手当てを受け、寝床で丸くなって背を向けてしまう。
「……どこへでも行ってしまえ。お前がいなくなったあとに、言う通りに女漁りでもしてやるさ」
「……親のそういう宣言ってすっごい気持ち悪いね……」
ガラティアはげんなりした顔をした。
うん。確かになんかきついよね、親がそういうこと言うのって。
「お前が言い出したことだ」
「……ま、まあ、父ちゃんだって今から幸せになってもいいと思うけどさ……でもアランみたいに手を付け放題つけて悪名轟かしたら本当に縁切るからね」
「……その男について行くお前がそれを言うか」
「う」
気まずそうに俺……というか、周囲の女たち含めてこっちを見るガラティア。
本当にこればっかりは反論できない。
「……こ、コイツみたいに、手を付けたら全員嫁に取る! ってくらい、男らしい態度取ったらいいし」
「何が男らしいんだ。始末が悪いだけだ」
はい。すみません。
俺は小さくなったが、主にドラゴン三頭が反論。
「ほ。女を多く飼うは王者の風格じゃ」
「アンディ様はちゃんと寄ってきた女だけしか雌奴隷にしないし。一度雌奴隷にしたらちゃんと愛用する」
「むしろ女性側の要望に充分すぎるほど応えておられます」
お前たちの視点だとそうなるんだ……。
あ、でもマイア、寄ってきてない女も一応雌奴隷にしてるので正確ではないぞ、その認識。積極的に自分で捕まえたのはネイアくらいだけど。
「ろくな財も力もないものは女を娶ってもロクなことにはならん。勢力強き者がそれに見合うだけ女を集めるのはむしろ義務じゃろ」
アイリーナもたいへんオーガ的な男根主義をまるで常識のようにのたまう。
でもねアイリーナ。俺そういうつもりじゃなく、単にエロいことしたい子に順番に手を付けて独占したがっただけなんだよ。
……で、それを聞いたグロリアさんは苦笑い。
「好みの男を支える、女のほうの力を度外視する考え方よねえ。まあ男尊女卑社会のエルフだとしょうがないけど、獣人にはあんまり通用しないんじゃない?」
「そうかのう」
「アフィルム半島のブランバクス公国だと、むしろ女の方が主体の価値観になるっていうし」
「異文化じゃのう。だいたい、我らも女の力を度外視はしておらん。ドラゴンを手懐けるスマイソン殿の功績も無論勘定のうちじゃが、わらわや空色のオーロラ、桜の名代クリスティをはじめ、女の側の権力の多さもなお、寄り合う理由になっておる。スマイソン殿を中心とした一種の超国家同盟じゃ。精力強き者がドンと中央におれば、それこそ雪玉のように味方が増え、互いの安全も利益も高まる」
「超国家同盟……」
だいぶ強そうな単語が出てきたぞ。
あとアイリーナ。せいりょくってニュアンス今こっそり変えたね?
「野放図に女にデレデレしているだけに見えて、それだけ多くの高貴な女を上下なしの一列に並べてしまう、なんてことが自然にできるのがアンディの強みだよね。結果論だけどさ」
「まさに、それが王者の力ですわ♪」
アンゼロスとオーロラも俺を自慢するように弁護してくれる。
背中を向けたまま、テオ船長はぼそりと。
「……外から見れば悪い薬でもやっているようにしか見えん」
「薬かぁ……」
「ある意味、中毒性は高いですわね、アンディさんとの睦言は♪」
それもどうなの。俺ちんちんから麻薬出るマンなの?
かくして、海賊の娘ガラティアは翌日、赤クジラ島から旅立つことになった。
「結局こうなるのかよぉ」
「ガラティアは俺が密かに狙ってたのに!」
「お前滅多なこと言うなよ! 船長地獄耳なんだぞ!」
「結局手ぇ出さなかったんだから怒られる筋合いはねぇだろ!」
案の定、恐怖のテオ船長の一人娘とはいえ紅一点だったガラティアの離脱に、赤クジラ海賊団の船員たちは嘆き悲しんだ。が、俺にガラティアが懐いてしまったのは古参船員たちはうすうす気づいていたらしい。
「せめて俺らの誰かの嫁になるとか……そうは言わないまでも船長のあと継いで女海賊船長とかさ……そういうのになると思ってたのによう」
「やだよ、お前らみたいな繊細さの欠片もない垢まみれの筋肉野郎に埋もれて生きるなんて!」
「な、なんだとこのクソガキィ!」
ガラティアは舌を出してからライラの陰に隠れる。とりあえずライラが一番頼れる保護者だというのは理解したらしい。
「……俺たちは先に行くけど、あとの話は頼むぞ、バウズ」
「ああ。もともとそういう計画だものな」
バウズはこれから麻薬患者たちをポルカに運び、治療するという俺との約束に基づいて行動する。
俺たちはそれに一歩先んじて大陸に戻り、色々拾いながらポルカまで帰るのだ。
「大陸に行くのって初めてなんだけど……せ、セレスタだよね? こっちと言葉同じなんだよね?」
「基本的にはな。アクセントがちょっと違う程度だ」
ラパールは北西語圏。言葉には不自由しない。言葉に関してはトロットとセレスタの差の方がきついくらいだ。
「や、やっぱりこっちと同じ喋り方してたら田舎者って思われるかな? 恥かくかな?」
「セレスタ人はある意味都会者ってほとんどいないから、気にすることはないと思うぞ」
「え……で、でも都会はあるんだよね?」
「あるといえばあるけど……長命種も短命種も、獣人もオーガもマーマンもみんな勝手に生きてるからな。文化は均一化してない。例えば一番大きい街は首都クイーカだけど、長命種の多いクラベスのエルフはクイーカ人を田舎者だと思ってるらしいし」
「え、えぇ……じゃあどっちに倣えばいいの……?」
「自分のやりたいようにやってていいんだ。住むんじゃなければそれで問題ない」
移住するとなると場所に合わせて常識も学ぶ必要はあるが、少なくともセレスタでは田舎田舎と互いに言い合う水かけ合戦状態なのだから、どれが一番正しいということはない。
「こっちではファラールっ子が最先端だから、そこの流行だけわかってればいいんだけどなぁ……」
「ま、そんなに気負わなくていい。なんたってドラゴンがついてんだ。田舎者だからって誰も手出しなんかできやしないよ」
「そ、そっか……」
納得したガラティアを馬車に乗せ、海賊たちが見送る中、俺たちは飛び立つことにする。
「……じゃーな、お前らっ! 一応、達者でな!」
ガラティアは微妙に憎まれ口のニュアンスをにじませながら、窓から仲間たちに手を振る。
「一応ってなんだ!」
「どうせすぐに海が恋しくなるぞ!」
「いつでも戻って来いよ! 嫁にしてやるからな!」
「なるかー! バカー!」
拳を振り上げ、大きな声で怒鳴ってガラティアは身を引っ込める。
「……ったく、あいつら。あたしを子供だと思って」
「嫁にするって言うからには、大人扱いしてるんじゃないのか」
「あれはガキの頃からなんだよ。本気で言ったら父ちゃんに怒られるに決まってるから、みんな冗談で言うんだ。気色悪い」
「うーん……どうかな」
何人かはわりと本気で言っていた気がする。
「ま、これからは雌奴隷なんだから関係ないわよね☆」
「……う、うん」
「うんうん、素直が一番よ、ガラちゃん☆ じゃ、早速雌奴隷しましょっか」
「え?」
ヒルダさんはまだ海賊団の顔が判別できるような距離なのに、もうガラティアの服を脱がし始める。
「え、ええっ、いきなり!?」
「どうせ雌奴隷仲間とアンディ君しか見てないんだから、むしろ積極的に裸にならなきゃ。隙あらばおっぱい見せておまんこ広げて交尾せがむくらいでいいのよ☆」
「で、でもアタシ以外誰も……」
「みんな譲ってるのよ☆」
いや、あまりにも早くヒルダさんが彼女をエロに導こうとしてるせいで、みんなついていけてないだけだ。
そして「譲ってる」という言葉で牽制されて、なしくずしてみんな裸になるという流れにも行けずにみんな困惑している。
馬車の中で一人だけヒルダさんにストリップさせられるガラティア。
文句を言おうにも雌奴隷になると言ってしまったのは自分なので言えず、唇を変な形に開いて震わせつつ真っ赤になって身を抱くだけだ。
「流れで乱交タイムするばかりじゃなくて、時には空気読まず一人で脱いで誘うくらいは当然できなきゃ、アンディ君チンポ専用奴隷なんて勤まらないわよ☆」
「そ、そっ……そうなの?」
「いやそんなことないから」
ヒルダさんの暴論に反論するが、それを言い終わる前にベアトリスもバッと立ち上がって服を脱ぐ。
「わ、私だってできるんだから!」
……逆の意味で空気読まない子だ。
「うんうん。じゃあ二人で仲良くアンディ君のおチンポにキスして雌奴隷らしく誘いましょうか☆」
「こ、コイツと一緒に?」
「ベア子ちゃん。アンディ君は雌奴隷が喧嘩したり意地悪したりするのは嫌いなのよ。仲良くできない子はいつも反省させられて後回しの罰ゲームよ☆」
「う、うー……」
ベアトリスとガラティア。
黒髪と金髪の、若くて跳ねっ返りで、でもカラダの欲求には素直な娘たち。
彼女らがちょっと睨み合いながらも、俺のズボンから引きずり出したチンポに裸で跪いて左右からキスをし、セックスをねだる。
ちょっとヒルダさんの急で強引な指導には置いてかれそうになりながら、その姿に俺はニヤニヤせざるを得なかった。
「……あ、アンディ……」
「……私とえっちしよ?」
「あ、アタシに入れてよ」
……うん。入れよう。
(続く)
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