レディの部下、あるいは領民たるシタールの一般市民の面前だというのに、オーロラは躊躇もなく服を脱ぎ捨てていった。
 剣を帯びるための上等なベルトに始まり、夏物の袖なしのブラウス、やや短めのスカート、そしてブーツ。
 下着姿になり、やや上気した艶っぽい表情で、視線を軽く俺やアンゼロス、そしてアイリーナ、正面のチンピラじみた若い男や中年の獣人、浅黒く日焼けしたオーガなどの即席楽団の呆然とした表情に振ってから、ブラジャーを当然のように外し、髪を払う。
 あまり豊かではないながら、白く上品に膨らんだ乳房が、夕闇をほどく篝火の光に照らし出される。
 そして男たちの視線を受け、どこか挑戦的に目を細め、微かな笑みを浮かべて……パンツも脱ぎ落とし、それを見せびらかすように指に吊るして胸の前にぶら下げつつ、腰を前に突き出すように挑発的なポーズを取ってみせる。
「この通り。ドラゴンライダー、アンディ・スマイソンの名を刻む雌奴隷の首輪のみが、この身の証。主たるアンディさんに、今後生涯、あらゆる淫らな行為を約した身ですわ。常々それを声高く主張してみたいと考えていたところです」
 オーロラのすごいところは、こういうのを一人でやることを厭わないというか、むしろ皆に先んじてやってみせる異様なまでの度胸だ。
 でもそれはそれとして、そこまでする必要はあるのかな。
 いや、手続き的な必要じゃないんだよね、多分。やってみたかったというのが本音だよね。
 雌奴隷を自他ともに認めながら、結局は俺のセックスを順番待ちしているだけの境遇。そこからもう一つ踏み込んでみたかったんだろう。女としては惨めで異常で、取り返しのつかないような……痺れるような雌奴隷体験への一歩を。
 ちょうどここには南のエルフもいない。白エルフは男女問わず捕まり、即座に売られる……少なくともほんのしばらく前まではそうだった、危険な街だ。
 ここでは、ここでだけは……あえて肩書きから名乗るのでもなければ、オーロラやアイリーナでさえ「ただの知らないエルフ女」でしかない。
 さらにここでは俺のドラゴンライダーという権威が秘されていない。
 つまり、「俺の世間体につく傷は少なく、エルフの共同体にも迷惑がかかる可能性は低く、その上、派手なエロを咎められる筋合いもない」という……俺が普段気にしているリスクを限りなく小さくできるロケーションなわけで。
 オーロラが堂々と雌奴隷として振る舞い、それを俺が(意図を深読みしてたのとあっけにとられたのが半分ずつで)止められないという事態に、他の雌奴隷たちもようやく今が「望んでいた絶好のチャンス」だと思い至る。
 オーロラに続いてストリップを始め、小さな裸体を晒したアイリーナを皮切りに、他の雌奴隷たちもまるで何かに押されるように服を脱ぎ捨て、首輪以外の一切を身に付けぬ女体を見せつけ始める。
「い、言われてみれば……僕もこういう風に雌奴隷らしいこと、してみたいと思ってたんだ……♪」
「恥ずかしいことこの上ありませんが……っ、ご主人様だけのものであることが証せるのであれば、雌奴隷らしく裸になることなど、むしろ誇りっ……♪」
 紅潮した顔で倒錯を口にするアンゼロス、やや俯きながら自分に言い聞かせるようにして服を脱ぎ落としていくフェンネル。
「ふふふー。ついに本格奴隷デビューって感じね☆」
「……えっちするのはアンディだけの特権だからね?」
 緊張していないどころか「待ってました」とばかりに、軽く踊るような勢いで脱ぐヒルダさん。誰にともなく釘を刺すような口調で言うルナ。
 そして満足げなライラやマイアは勿体つける様子もなく投げ捨てるように服を脱いで、椅子に座る俺に抱きつき、しなだれかかる。
 そして比較的新参ゆえに思い切りができないエマ、ネイア、ベアトリスは、脱ぎ残り組で顔を見合わせつつ、皆が脱ぎ終わってから脱ぎだすのでは空気に取り残されるという焦燥からか、やや遅れてごそごそと脱いでいく。
「……ペンダント貸してよ」
「私だって必要です」
「……き、気の持ちようですよベアトリス」
 ……あー。そっか、こいつらは首輪ない組だから最後の装備品である首輪が残らないのを気にしてたのか。
 代用品のペンダントでもあるだけで気持ちが違うみたいだから、早めに何か用意してあげるべきかな……。
 さらに最後に残るはグロリアさん。
 彼女は別に雌奴隷ではないので、文脈上混ざる理由は本当にないのだが。
「よっしゃこい」
 なぜか気合満々の様子で、むしろ空気を察して他より先んじて素っ裸になっていた。片腰に手を当てて自分のカラダを見たくば見ろ、という、ある種男らしくすらある潔い脱ぎっぷり。
 脱ぎで素人には負けられない、と言い切ったコスモス本舗の娼婦たちの悪影響が見受けられる。
「…………」
 俺は彼女に何か声かけるか迷って、とりあえずスルーすることにした。
 まあ本人が一緒にされてることに納得してるなら別にいいや。
 この場で大事なことは、絶好の場ができたことによる雌奴隷たちの自己満足と、俺にうっかり捧げられそうになっている街の処女の皆さんをレディに放免させることだ。
 そして肌色と革色以外の色彩を持たない女たちが、見せつけるように俺を囲んだのを見計らって、俺のズボンの股間部分を愛しげに撫で回しながらアイリーナが総括する。
「ここにある女たちは、スマイソン殿の類まれな英雄性と性豪ぶりに芯まで惚れこんだ女ばかり。もはや親の眼前で浅ましく股を開いて肉棒を強請れと命じられても、喜んでそうする女たちよ。我らの主人ときたら贅沢者、それぞれに能力も顔もカラダも選りすぐりでのう。彼のためにこの淫らな身分になることは、生半な女ではかなわぬこと。適当な女にこの精液を受ける役を割り込まれては、我らの誇りに悖るのじゃ」
「ゆえに、どうかその女性たちはお引き取りを……わたくしたちは奉仕の順番待ちで、たまらないのです♪」
「…………」
 レディ・スワローは女たちの急なストリップショーと宣言に対し、絶句したまま。
 一緒に来ていた楽団は女たちの肢体から視線を外せず、元より少々悲壮な覚悟だった半裸の処女のみなさんは困惑気味に視線を交わし合っている。
 うん反応に困るよね。すみません。

 ……しかし、彼らとしてもただ固まってるだけでは終われないようで。
「確かに性交のお相手は不要というのはわかりました……が、それだから帰れというのは、こんな恰好にされた彼女らの覚悟に対して、少々無体というものではないでしょうか」
「そ、そうだね。その通りだよオスカー。それだよ」
 レディ・スワローの横にいたオスカー氏は、レディ、そして少女たちの体面を慮ったようだった。
 いくら恩人とはいえ、ポッと出の男に対する接待なんて用途で処女を捨てさせられる。その決断はする方もさせる方も並々ならぬものがあり、やっぱいいや解散、では収めようがないのだ……という事情が、彼らの様子からは見えてくる。
「酌でも舞いでもさせてやらなくては、歓待をする側としての面目も立ちません。どうか、ご配慮を」
「こんなのを頼み込むってのもなんかおかしいけどホラ、こっちもこっちでこう……街を変えてくれたライラさんに返さなきゃいけないものはあるだろうさ、って気勢上げて来てるからね?」
 普段どこか面倒そうな中にも切れ味のある雰囲気のレディが、なんとも気まずげに早口で言うあたりに何ともいえないおかしさがある。
 俺は膝に乗るオーロラ、そしてしなだれかかるライラに目で問い、了承の色を受け取って口を開く。
「それじゃあ……給仕と踊りの方向で頼もうかな。もううちの雌奴隷たちはヤル気満々みたいだし、酒は雌奴隷の口から飲ませてもらうことになりそうだ」
「あ、ああ、じゃあそうさせるよ……全く、前の印象どころじゃなく、とんだヤンチャ者のドラゴンライダーだったねえ」
 半裸の処女たちは楽団の掻き鳴らすエキゾチックな音楽に合わせ、ぎこちなく踊り出す。
 先ほど戻ったばかりの元麻薬患者の子もなんとなく振り付けを揃え切れているあたり、きっと郷土の祭りのダンスか何かなんだろう。
 ペースは決して激しくなく、たまにピョン、ピョンッと跳ねることはあっても、柔軟性や速度の要求される動きはない。
 それでもほとんど丸出しの娼婦じみた衣装で妙に納得のいく妖艶さが演出されるあたり、元々こういうセクシーな踊りとして考案されたものかもしれない。何にせよ眼福と思いつつ、俺はアイリーナとオーロラにそれぞれ囁く。
「アイリーナ。チンポを取り出して。オーロラ。せっかくだしオマンコに入れちまおう」
 聞いたアイリーナはニヤつきつつベルトを外して俺の下半身を露出させる。そしてオーロラはというと、唾を飲み込んで俺を横目で見返す。
「……良いのですね?」
「お前たちがやり始めたことだろ? せっかくだから自慢しきらせてもらうさ。……どちらにしろあの楽団やレディは、処女たちを素直に受け取ってたら、きっと俺が犯すまでずっと監視してただろうし」
 囃子を呼んで篝火をたき、食事を用意しつつも、下品な催しを自称し、ほぼ裸の娘を献上する。
 これでまさか「宴」が健全に終わるつもりはなかっただろう。娘たちが決心を鈍らせ、逃げだしたらやはり面目が潰れるだろうし、俺がちゃんと「食う」まで、レディたちも見ている前で行われる手筈だったはずだ。
 つまり、どちらにしろこの「歓待」で、俺は彼らの前でセックスすることになっていた。
 ならば遠慮することはない。堂々とセックスはさせてもらおうじゃないか。
「……あぁ……女ばかりの前でなら、幾度となくアンディさんに種付けをされてまいりましたが……こうして見ず知らずの殿方もいる中で始めてしまうのは、またひとつ殻を破る思いですわ……♪」
「今後もそう何度もやらないとは思うけどな」
 やはり緊張も興奮もしていたのか、篝火のオレンジの光の中で赤く染まった耳を愛でつつ、オーロラに背面座位でちんこを沈めていく。
 彼女の活きのいいぷりぷりした膣襞に、未体験の状況で興奮しきったちんこを飲み込ませていく。
 オーロラと俺が交尾するのを、楽器を演奏する男たちは凝視している。彼女の隠されることのない裸体は今や、男たちの視線でも犯されている。
 そして彼らと俺たちの間の空間では、見知らぬ少女たちがおっぱいもお尻も丸出しで恥ずかしげに踊り、そしてこちらの始めたセックスにも興味を示している。
 俺はオーロラを犯しながらも処女たちの舞いにいやらしい視線を送る。
 舞う少女たちは俺とオーロラの結合部から目が離せない。
 そして彼女らを踊らせる奏で手は、踊る少女もまぐわうオーロラも、そして周りに控えて順番を待つ俺の自慢の美女たちの姿をも記憶し、おそらくは今後何度も思い出してオナニーに耽るのだろう。
 互いに決して触れ合うことなく、互いの存在を出汁にして高まり続ける興奮状態。
 俺はオーロラとの異常なセックスに興奮しているのか、あるいは恥じらい続ける処女たちの姿を眺めながら雌奴隷の膣を使う贅沢に浸っているのか、あるいは極上の雌奴隷たちを剥き出しで自慢できるという下劣な優越感に浸っているのか、自分でもわからなくなりながらオーロラを駆り立て、腰の上で跳ねさせて射精へと向かう。
 流れ続ける音楽。給仕と時々交代しながら続く舞い。
 どこかガチャガチャとやかましいエキゾチックな南洋の音色が、俺たちの絶頂の気配に少しだけ反応して、どこか落ち着かない雰囲気を作る。
 そして、俺は酒を裸のフェンネルから口移しで与えられつつ、それを吐息で喉に大半こぼしながらオーロラの膣内に射精。
「あっ……は……あああああああああっ……♪」
 オーロラの感極まった声が響く。
 処女たちは皆、もしかしたら自分が受けていたかもしれない精を目の当たりにして動きを鈍らせ、勢いよく溢れる白濁の量に絶句する。
 幸せそうに大股を開いてそれを見せつけるオーロラは、俺の雌奴隷であることをどこまでも後悔しない。
 これこそ雌。自分という存在の本分、と、全身のわななきと甘ったるい吐息で表現する。
 男たちは壮絶なまでのエルフ娘の開花から目が離せずにいる。

「つ、次は私……私でしょっ?」
「ベアトリス。……全く、すっかり淫乱雌奴隷だな、お前も」
「言いたいだけ言っててよ。……お、オモチャになってあげる」
「ははは。じゃあオモチャの自慢をしようか」
「えっ……え、ちょっとっ……きゃああっ!」
 俺はベアトリスを抱えて立ち上がり、数歩ほど観客に近づいてベアトリスを突き上げ、その結合を見せつけてみせる。
 ベアトリスは悲鳴を上げながらも俺から離れようとしない。相変わらず楽団からも舞い手たちからも決して諫める声は上がらず、表面上は音楽も踊りも続きながら、視線は集中し続ける。
 ……や、やばい。この趣向、くせになりそう。


「……ね、ねえバウズ。えっと……お料理、貰って部屋に入ってしまっていいのかしら……」
「そうしよう。俺が文句は言わせん」

(続く)

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