真昼間の路上まで娼婦を幾人も連れてきて、自慢でもするように連続ファック。
やっちゃいけないというわけではないが、実際にやってみせた男はあまりいないという。
「普段だと個別に料金発生するしね。露出趣味でも、せいぜい一人か二人連れてここらを練り歩いて、シメにお部屋で一発二発楽しんで……ってところよ。あと、酒場にわざわざ連れて行ってストリップショーさせようとしたりするくらい? まあ、みんなにサービスするわりに、指名者だけ高いお金払うことになるし、やっぱりあんまりやる人いないわよね」
「イザベルコインならではの乱痴気だよね、今回みたいなのは」
というのを解説してくれている娼婦の皆さんは、未だ堂々とした裸のまま、路上で俺の体を愛撫してくれています。
あちらこちらの店先や酒場、あるいは物陰には同じくコスモス本舗を訪れる前、あるいは後の男たちがちらほらと見えており、急に始まった贅沢で卑猥な光景に見入っている。中にはシコシコとちんこを擦っているおっさんの姿もある。ちょっとやめて欲しいけど、露出ファックを言い出した俺が悪いといえば悪いので強くも言えない。
「こうまでやってみせたお客は、過去30年くらいはいないわね。お客さん、これは拍手もされるわよ」
「うーん……あ、ちょっとマルチェちゃん、チンポあんま責めないで。また出しちゃうから。もうコインないから」
「んぅ?」
お掃除フェラしていたマルチェちゃん(人間族のピュアブリード娼婦娘)は、精液の残滓を舐め取る舌使いからいつの間にかガチでイカせようとする首の動きになっていたので制止する。
「んー、個人でお相手してる時なら、後戯で一発や二発うっかりしちゃってもカウント外してあげるんですけどねー。さすがにこんな衆人環視では誤魔化せないかー」
ペロリと唇を舐めながら、マルチェちゃんはちんこから口を離す。
「イザベル姉さんも見てるしね」
「はいです。こんな人目のあるところで堂々と例外処理はいけませんですよ。もうそういう風に割引きしてもらうのが当たり前だと思って、お客さんがみんな値切ったりゴネたりするようになるですよ?」
「それは確かにやだ」
「払う段で急にケチになる男は嫌よねえ」
イザベル嬢の一声で、娼婦の皆さんは追撃の手を緩めてくれる。
俺としてはちょっと寂しいけど、不必要に出しまくって金払えと迫られ、カルロスさんに頼る展開は避けたい。ものすごいドヤ顔で俺を見下す彼の顔が思い浮かぶ。
「でもおフェラ一回なら……私Dランクだから10だよ? せっかくだから払ってぶちまけない?」
「え、待って、10って金貨で?」
「うん。どう? どう? 自分で言うのもなんだけど超安いでしょ?」
金貨10枚で、見た感じ13か14歳の女の子が路上で精液飲んでくれるのか。
正直言って子供の小遣いレベルだ。ほんとにそれでいいのか心配になる。
「そ、そこまで安いなら……」
ついついそれに乗ってしまいそうになったところで「はいはいはい」と早足で割って入ってくる影。
というか、透け布を妖しく纏ったアンゼロスだった。
「アンディ。乗せられてるよ。確かに安いっていうかメチャクチャだけど、アンディはそもそも、一枚もお金払わず、いつでもいくらでもチンポ入れに使える雌奴隷がいっぱいいるんだから、忘れないで」
「え、あ、ああ……うん」
「わ、白エルフ」
「え、あなたその服、ウチに入るの?」
アンゼロスの娼婦衣装に、娼婦の皆さん(その服自体はみんな丸めて道の端)はちょっとびっくりしている。
アンゼロスは腰に手を当てつつ溜め息。
「うちのアンディがお世話になってます。雌奴隷その1のアンゼロスです。北方エルフのハーフです」
「え、雌……?」
「ホントに? お客さん実はすごい大店の……?」
「大店なら雌奴隷飼えるってわけでもないと思いますが、少なくともただの童貞じゃないですよ、こいつは」
雌奴隷と自称したがるわりには、俺の扱いがぞんざいだよね、アンゼロス。
あと、そんなに童貞感まだ強いですか、俺。
「雌奴隷ってことは四六時中強制的にチンポ舐めさせられたりとか、片手間でおまんこ使われたりとかしてるの?」
「その程度じゃ奴隷ってほどじゃないでしょ。ちょっとお金もらったら私だってやるし」
「お金積まれなくてもやるのが奴隷でしょ?」
「いやいや、私のイメージではもっとこう……ハードでワイルドで……」
「イメージとしては焼き印とか、孕むと面倒だから子宮を物理的にアレしちゃうとかそんなんよね」
「それちょっと引く」
俺を女体の森の中心においたまま、ワイワイと雌奴隷についてイメージを述べる娼婦の皆さん。
アンゼロスは肩をすくめる。
「それくらいアンディがガツガツしてるとみんな嬉しいんですけど」
「いや子宮をアレされるのが嬉しい女の子なんていないだろ」
「そこはそうだけど、焼き印くらいはアリだよ僕」
「俺がやだよそんな痛々しいの!」
多分ポルカの霊泉やヒルダさんの力をもってすれば、戯れに焼き印押しても三日で消してしまうだろうけど、俺はそんな趣味はない。女の子の肌は自然な状態が美しいに決まっている。
……なんて話をしていたら、娼館からぞろぞろと雌奴隷たちが現れる。
さすがに娼婦の皆さんほど堂々としている娘はそんなに多くなく、胸や股間を透け布衣装の上から隠すように腕を閉じている子が多い。
ネイアやベアトリスは言うに及ばず、グロリアさんですら隠している側。
逆にエマやルナは何故か堂々としたものだ。羞恥心の置き場がちょっと違うのかもしれない。
「わー……この人たちみんなお客さんのアレ?」
「美女軍団だわ」
「むむ。だが技術では負けない」
雌奴隷たちの登場に、みんなで愛液ヌラつかせながら俺にはべったまま対峙する娼婦たち。
娼婦の皆さんも俺の面食い意識に充分合格するほど美人ばかりなのだけど、やはり雌奴隷たちは、彼女らから見ても綺麗どころらしい。ちょっと誇らしい。
ところで、ほんとどこから出てきたの……ってくらい見物の男がたくさん周囲に見える中、裸の女たちとほぼ裸の女たちが、お互い意地でも張るようにその体を見せ付け合って集まっているわけです。とてもシュール。
「ここからは私たちが引き継ぎます。本来、主様の精は我々に全てお恵みいただくべきもの」
エマが堂々と宣言する。
今ここに来ている雌奴隷側では一番幼く見える子がそう言い切ったことで、ギャラリーのスケベ男たちもザワッと動揺したのがわかる。
が、娼婦の皆さんもただで当て馬にされるのは気に食わないようで。
「んー、そっちの事情は知らないけどここは店屋なわけよ。つまり、例えご来店したのが名コックさんだろうと名給仕さんだろうと、おもてなしするのは店の方の役目なのよ」
「そうそう。急に来て『家の料理の方が絶対いい』って問答無用で店員の仕事取られちゃ困るよね」
筋は通ってる気もするけどなんで対抗するのですか。
あなたたちはプロ的にタダまんこや割引まんこってわけにいかないよね、って結論になったんでは。
「しかしアンディの風俗遊びはここまでだよ。現金を持ってる奴が来ていないからね。……プロの店屋なら、得のない客にこだわることは損じゃないの?」
娼婦たちの反撃をアンゼロスが押し返す。
商売人の娘だからか、店の例えはそのまま受けて立つようだ。
……って、そういや俺達の中で特に金銭を握る役はライラとヒルダさん、それにアイリーナになるのか。
一応それぞれ当座のぶんは持っているが、旅の間、全員が全員何千枚も持って歩くのは無理がある。
特に全体が動くための資金あるいは換金物は、いつもならディアーネさんが用意するのだが、今回は音頭を取る役が俺なので、周りがフォローしてくれている。
そうは言ってもみんな無一文ってことはありえないんだけど……まあここで使う金はないってことにしておかないと困るよね。
もし「あるよ」って言われても俺が困る。雌奴隷の持ち金で娼婦買うって意味がわからないよね。
というわけで、娼婦たちは物足りなさそうな顔しつつも解散して終了……と、なるはずが。
「わかりました。それじゃあこういうことでどうでしょう」
両者のジャッジのような位置にヌッと出てきたのはコスモス嬢。
「勝負です! コスモス本舗チーム対、チーム雌奴隷ズ!」
「ちょっと待ってください」
急に現れて脈絡なく勝負って。
そういう話じゃないでしょうに。
と冷静にツッコミを入れようと思ったら、俺が言葉を継ぐ前にグロリアさんがビッとコスモス嬢を指差して。
「チーム雌奴隷ズはちょっと有り得ない! あたし違うし!」
「グロリアさんは記録係です♪」
「ああなんだそれならよし」
いや待て、そこは問題じゃないし勝手に納得しないで。
「いや争点はこのあとサービス受けるか受けないかって話で、もう予算ないから切り上げましょうという流れがね? なんで勝負とかそういう話に」
「スマイソンさん。野暮は言いっこナシです。娼婦はビジネスでもありますが、プロのプライドという言葉もあるじゃないですか♪」
「はあ……」
「最高のエロスを味わっていただくつもりだったのに、自前の雌奴隷への繋ぎにされてお役御免じゃプライドに傷もつきます。そのプライドを守る戦いですよ!」
「……戦うんですか」
「無論、殴り合いじゃありませんよ? この場はどちらにも譲らず、いったん預かりとしましょう」
コスモス嬢は何かを手に持つような仕草をして、それを横に置くようにする。
「で、おちんちんまだビンビンのスマイソンさんにはちょっと可哀想ですが、勝負は三日後の精霊祭当日。そこまで禁欲してもらいます♪」
「禁欲!?」
え、俺今からそこまで管理されるの!?
「その日までムラムラしながら待っててください。今回お相手した子達を中心に、精鋭メンバーでオニキスさんちに乗り込みます。なんでも昼間はオニキスでヌードスケッチ会があるとか。そこをまず第一戦としましょう」
「はい?」
裸婦画スケッチがどう勝負になるんだ。
「オニキスの大旦那が怒らない範囲でいちばんエロっちい感じに描いてもらえた子が勝者ということで」
「その判定は誰がするんですか」
自分で言うのもなんだけど、俺が審査したら雌奴隷たちの方を贔屓しない保証はまったくない。
「もちろんスマイソンさんが」
「身贔屓しますよ?」
「それを覆すのがエロスのプロです♪」
……え、この人言い切ったよ? 審査員に対して。しかも描く人もこっち側なのに。
「そして第二ラウンドは深夜過ぎ。オニキスさんちにお邪魔してサービスの限りを尽くします。もちろんそちら側にもターンを回します。朝までに『コスモス本舗暮らしもいいな……』と思ってしまったら私たちの勝ちです」
「また曖昧な基準の勝負だ……」
「負けられない戦いがそこにある、という奴です。目に見える形でなくても、殿方の心に『また行きたい』という気持ちが残れば、それが私たちにとっては勝利といえます♪」
……あれ。
もしかしてそれってただの露骨な営業アピール作戦……?
「つまり僕たちは『別に娼館なんか行かなくても充分』と思わせればいいってことだね」
「フフフ、久々の真剣勝負ですわ」
アンゼロスとオーロラは「ルールは把握した」とばかりに不敵な笑みを浮かべている。
多分これ、乗せられた時点で相手が半分目的達成してるタイプの策だよ。
「公平を期すために、その日までの間は雌奴隷の皆さんたちに私たちの娼館の基礎講習をみっちりと受けてもらおうと思います♪ 正々堂々と戦いましょうね」
コスモス嬢はそうやって場を取りまとめる。
「あ、あの、つまりどういうことでしょう……?」
「雌奴隷としてアンディを満足させるだけ」
「ね、ねえネイア、何言ってたのあのダークエルフ。全部聞き取れなかったから教えてよ」
「あの。私が参加するのはやぶさかではありませんが、ライラ様や青り……ま、マイアなどもこの勝負に入れるのでしょうか」
「ヒルダさんやノールさんは数えてよいものかどうかも気になりますわね」
「アイリーナとフェンネルもいるよ。それに裸婦スケッチは僕たちだけじゃないから、どっちの勢力にも属さない子が勝つ可能性もあるね」
雌奴隷たちはやる気に燃え、娼婦の皆さんは娼婦の皆さんで「え、オニキス? オニキスの人なの? 人間なのに?」「オニキスでヒルダってあの伝説の……」「っていうかノールって宝石蝶? ずるいじゃん!」「イザベル姉さんどころかレスリー姉さんまで来て……只者じゃないわね」と若干混乱気味。
そしてギャラリーのスケベ男どもはというと。
「あいつどんだけ贅沢な精霊祭になるんだ……俺が代わりたい」
「あの伝説の種馬ってあいつじゃねえの? 遠目でわかる射精量ってどんだけだよ」
「それより聞いたか。ヌードスケッチだってよオニキス。しかもあのメンバーで。見に行かなきゃだろ」
「あんな綺麗どころが揃って……真昼間だってのに往来で3回もオナり続けちまったぜ」
「うわ汚ぇっ、ちゃんと砂かけとけ馬鹿」
朝のオアシスほど危険なことはないものの、こんだけすごいエロゾーンの中心にいるとなると、だいぶ嫉妬の視線もある。
さすがに物を投げてくる奴はいないけど。娼婦の皆さんが競うように全方向から裸体を押し付けてくれてるせいで、俺だけを狙うのは難しいんだろうな。
いやいや、しかし。
「この中途半端な状態で三日禁欲……?」
もうちょいフェラが続いたら出るかもしれない、というところまで来ていたのに、ここから禁欲が始まると思うとだいぶつらい。
あとライラやヒルダさんたちは納得してくれるだろうか。いいから射精しちゃえ☆ってなりそうだよね。
「頑張ってください♪ まあ、厳密に管理はしませんけど、たまには我慢した方が楽しめると思いますよ♪」
「…………」
「また伝説になるおまんこ祭り、しましょ……♪」
コスモス嬢に耳元で囁かれる。
伝説になるおまんこ祭り……か。
少し想像して、俺は期待だけでイキそうな気さえして、慌てて妄想を飲み込む。
……いいな。猫コロニーの乱交や、結界牢の全裸村に並ぶような……激しい祭りが、できるだろうか。
そう考えて、俺は禁欲を受け入れることにした。
(続く)
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