ヒルダさんとのセックスは限界に挑むと非常に恐ろしいが、彼女は俺の射精能力を調整した本人でもある。
大量の射精能力を維持しているとはいえ、その代わりに失っているものもある俺を慮りながらの交合は、まるで母が子を励まし、どこまでも慰撫するような安心感を与えているかのようだった。
「それに、してもっ……なんだか実家特権でアンディ君を独り占めにしてるみたいで、みんなに悪いわよねっ……今からでも、誰か呼んで混ぜる……?」
「みんなとは昼間も遊んだし、たまには一人だけ抱いて寝ることだってありますよ……あ、やば、出るっ……」
「ん、どっぷり出して……♪ 奴隷まんこに遠慮なんかしないの☆」
「それじゃ遠慮なく、っ……!」
正常位でヒルダさんを犯し、ガッチリと腰を両足で掴まれながら射精する。
水差し型の古いランプの炎の色に、汗で濡れた褐色の肌を艶めかせて、ヒルダさんは俺との快楽のひとときを満喫する。
既に首輪を除く全ての衣服は脱ぎ散らかされ、上掛けの布すらベッドから落ちて、彼女の裸身を隠すものは何もない。
甘く囁きあいながらもゆっくりと色々な体位で交わりあい、ひたすらに精液と愛液を混ぜ合う俺たちの姿を、隣のベッドのグロリアさんは指枠を作りながら真面目に眺めている。
「グロリアさんも……入る?」
「あたしはそんなに体力ないんだよ。そっちはそっちで遠慮なくどんどんやって。こうして一対一のセックスも落ち着いて眺める機会、あんまりないから新鮮」
「そんなもんかな」
「エロ絵の基本は一対一だからねー。とはいえ、横から眺めさせてくれる奴なんてそうはいないし、この旅に混ざってからもなしくずしでおしくらまんじゅうが多いし。それはそれで滅多にないモデルだけど、女のカラダをエロく描いてナンボのあたしとしては、基礎の勉強が嬉しいのよ」
「あら、勉強されちゃってるわね、私とアンディ君のねちょねちょ子作り☆」
「女のあたしがこう言っちゃあれだけど、ヒルダさん、あんたのカラダって本当に見栄えがいいわよね。どんなポーズで腰振っても最高にエロい絵ヅラになるわ」
「それはもう。昔からタルクで一番いやらしい女医さんで通ってたんだから☆」
後背位。俺に腕をつかませ、背を弓なりに反らせて後ろから突かせながら、ヒルダさんはなんともすごい自称をする。
「切った童貞は数知れず、娼館より気持ちいい診療所☆ ……なーんて、火竜戦争前あたりには言われてたのよねー」
「……そんなにヤリまくってたの? どこまでスケベなのよ」
「来るもの拒まず、挑戦者はもれなく天国を見せてあげるのが私のモットーだったのよ☆ ま、結婚してからは控えてたんだけどね、兄上たちの手前」
「あたしも割とお股はゆるいけど、そこまでになれる自信はないわ……」
自分でお股ゆるいって言うのもどうなの。
まあ娼婦の身となったら自嘲もしちゃうんだろうけど。……と思いながら、またヒルダさんの中に遠慮なく白濁を注入する。
同性かつエロビジュアル専門家であるグロリアさんが褒めるだけあり、ヒルダさんの裸身は本当に美しく、また男好きのする曲線に溢れている。
「……最初の最初はね、私だってそこまでえろえろじゃなかったのよ?」
ヒルダさんは俺の射精をたっぷりと胎に収め、もはや当然のように溢れかえっていくザーメンの奔流に目を細めて、ゆっくりと身を離し、俺のちんこに舌を伸ばして、締まりの悪い射精の残滓を美味そうに舐め取る。
「ん、ちゅ、んぅっ……れろっ。……確かね、昔……私が医者になりたてのころに、魔が差してレイプしてきた患者のオーガの子がいたのよね」
「オーガにレイプ……って」
今のヒルダさんなら余裕だろうが、あまり「えろえろじゃなかった」頃にそんなことをされたのなら、だいぶ酷い目にあったということじゃないだろうか。
だってあいつらのちんこ、余裕で子供か女性の腕ぐらいあるし。
俺の身近には気のいい奴らしかいないが、あいつらが本気で遠慮もなく女を犯したら命に関わる。
「まあ私も当時ひよっこだったおかげで、割と通常の趣味の男性にはお見せできないことになっちゃったんだけど」
「……ひよっこって……お見せできない、ってエロ的な意味で? 医者的な意味で?」
「ご想像。アンディ君がしおしおになっちゃったら困るし☆」
「手遅れだよヒルダさん……」
想像してちんこがだいぶ元気をなくしていた。
「あららー……」
「……ここまで聞いちゃったものは仕方ない。で、続きはどうなんですか。なんでそこからえろえろに」
普通に考えたら男性恐怖症、オーガ恐怖症にでもかかり、二度とセックスなんてするものか、となっても仕方ない。
「そのおまたの惨状はタルクの魔法医術でなんとかなったのよねー。昔からよくある話だったし、腕のいい魔法医はいたからね。でも、それを聞いてカルロス兄上がもう本当に怒っちゃって」
「……ああ」
家族を大切にする人だ。そりゃ妹がレイプでズタズタにされたとなったら怒らないわけがない。
そして、俺の前ではただの変な人だが、どうやらいざという時には暗殺者をも圧倒する胆力の強さもあるらしい。
そんな人を本当に怒らせたとなったら、もう相手の命運は決まったようなものだ。
「私がなんとか治った頃には……その相手のオーガの子、考えうる限りの残酷な方法であれしちゃってたのよね」
「……詳しく聞くと後悔しそうな話ですね」
「うん。だから詳しく言う気もないけど。……で、私としてはそういう不幸な事故が起きないようにしたかったの。そこで考えた結論は……私に酷いことしようとする気をなくせばいいじゃない☆ ってことで」
「え、その結論で」
「うん。要は最初から合意の上で全員受けて立って、満足させたらいいじゃない☆」
「……ええええ」
なにその結論。自己犠牲の極致?
エロい趣味だけが欠点かと思ってたら、どこまでも聖人なのかこの人は。
「え、えーと、今の説明でちょっと自分でも足りなかったなーと思う部分があります。別に私当時おぼこだったってわけでもなくて、一応何人かと付き合ったことあったからね? 人並みにはえろかったからね?」
「それでもそこに行き着きますか? 聖人ですかヒルダさんは」
「私のエロテクと愛情が足りなかったばかりに、邪な気を起こした患者さんを生き地獄の末死なせちゃったわけだもの。……普通の人からみたら、私だいぶエロいカラダだなーってことくらいはわかってたし、恒久的かつ平和的で私も満足する解決策はそこにしかないと思ったわけです。そこからありとあらゆるエロ魔法による安全性の確保と、実践的エロテクの習得の日々が始まったのよね☆」
「……いや、でもやっぱり……ええと、すごすぎますよ」
「そ、そーゆー目で見られるのはつらいのよねー。実際えっちなことは本当に好きだからこそ上達したって自覚はあるし、ザーメンもおちんぽも口にするの躊躇った覚えがない程度には大好きだし」
あくまで自分が軽い女であることを強調するヒルダさん。
とはいえ、この人が時折見せる超越的な精神性と、どこかズレた性行為への感性は、単なる変人の精神のアンバランスなんかではなく……人を超越した赦しの心と限りない努力の結果だと思うと、やはり。
どこか、彼女を「有能だけど困った人」と思っていた自分が恥ずかしくもなる。
「うわあ……な、なんというか、偉人? 超人? ごめん、あたし同じエロ業界の人とか思って気安くして本当ごめんなさい」
「な、なんでよう」
かしこまってしまったグロリアさんに、ヒルダさんが苦笑いを含みながらも本当に困った顔をする。
「昔話なんてするものじゃないわ。実家で気が緩んじゃったのかしら」
「少なくともディアーネさんに全く遜色ないくらいヒルダさんがすごい女性だというのはわかりました」
「え、えーと、気軽にエロいカラダとか軽口言ってごめんね……?」
「やーめーてーよー! 昔そういうことがあってエロにはオープンが一番って思ったってだけなんだからー! それ以上深い意味なんてないんだからー!」
ヒルダさんがベッド面をばんばん叩いて叫ぶ。
「そこらへんを考慮しつつ、雌奴隷になってもらったことを感謝しながら種付けすることにします」
「うぅ……それはいいけどぉ」
ヒルダさんは半べそになりながらも、俺が種付けすると言うと即座にお尻を突き出してくる。
思えば旦那さんも重圧だったんだろうなあ。こんなすごい人の夫でいるのは。
……とか思いつつ、そんな女性と無制限らぶらぶ子作りが堂々と可能な自分の境遇を、なんだか誇らしく思う自分の肝の太さにちょっとびっくりだ。
色んな凄い子を雌奴隷にしているうちに、俺のセンスも常人じゃなくなってきたのかなあ。
翌朝。
ヒルダさんと夜じゅう存分に楽しみ、若干寝不足のまま、ヒルダさんを片腕に絡ませて食堂に行く。
行き過ぎる人々はほとんどがダークエルフ。さすがの大家族で、気軽に挨拶を交わしあう中には十数年ぶりという相手もちらほらいるようだった。
「あら、コートニー姉上。随分久しぶりねえ」
「ヒルダ! って、結構前に結婚してたわよね、あなた。隣の子だれ?」
「んふふー。私の今のご・主・人・様☆」
「……ええと」
「ディアーネちゃんやノールちゃんともども、カレの雌奴隷でーす☆」
「……はっ?」
「いやヒルダさんちょっと待って。ディアーネさんは雌奴隷じゃないしノールさんとはそんな話すらしてない!」
「えー。でも二人ともいつでも無防備中出しファックさせてくれる関係じゃないの」
「朝に爽やかでないこと言うのはやめようよ! ほらあそこカルロスさんが!」
指差す。食堂の入り口あたりには当然、家を預かるカルロスさんが立っていて、こっちを引きつった笑顔で見ていた。
「やあ、昨夜はちょっと出てたから挨拶できなくてすまなかったねヒューマン。コートニーにまで手を出すつもりかこのやろう」
「濡れ衣もいいところです!」
「この際ディアーネとヒルダとノールは諦めるけど他の妹に手を出したら承知しないぞ!」
「いや、ノールさんも諦めるの!?」
「だってあいつ僕の言うこと全然きかないし……言い出したら絶対曲げないし……」
「そこはもうちょっと頑張りましょうよ」
「とにかく他の妹に手を出したら怒るからな! 血の色が緑になるまで生野菜だけ食わせてやる!」
「そこももうちょっと頑張りましょうよ」
「だってもっとひどいことしようとしたらナンシーも怒るし……」
なんで俺、カルロスさんに怒られながら励ましてるんだろう。
「それでこの白エルフの彼女は誰だい。君の新しい雌奴隷かいこのやろう」
「グロリアさんは今のところ……まあ乗り合いの客みたいなものです。絵描きの人ですけど」
「グロリアです。氏族は破門されてます」
グロリアさんが名乗ると、カルロスさんは愛用の眼鏡を押し上げて興味深そうな顔をした。
「ほう。絵描き」
「あはは、素っ裸専門ですけどねえ」
「……うん?」
「エロ絵巻が生業です。女エルフでは珍しいでしょうが」
「……つくづく珍しい人材を見つけてくるね君は」
カルロスさんは困った顔をした。まあ絵描きと言っておけば当たり障りなく済むものを、いきなりそんなとこまでカミングアウトされたら反応しづらいだろう。
「まあ、絵描きなら……そうですね、似顔絵でもやってみませんか」
「はい?」
「このオニキス商会は家族経営でしてね。精霊祭の宴はできる限り身内の芸で盛り上げることにしているんですよ。祭りの余興に腕前を披露すれば、うちも出し物が増えて助かるし、あなたの腕にどこからか声がかかるかもしれません」
カルロスさんは抜け目のない提案をしてきた。俺の女として紹介されたのでないなら、彼も商人として接する、ということか。
グロリアさんは急な提案に困惑し、俺に視線を送ってくる。
「で、でも、ダークエルフで盛り上がっているところに白エルフが混ざったらおかしいでしょうに」
「このタルクでも一番の大宴会です。賓客として異種族が混ざろうと、気にするものはありませんよ。もっとも、ダンスの誘いはあるかもしれませんが」
「……えーと」
グロリアさんはなんとか断る理由を探しているような素振りだった。
とはいえ彼女は雌奴隷ではない。お互い生業の顔で交渉しているところに、俺が助け舟を下手に出すのはよくないだろう。
「さっきも言いましたが、あたしはすっぽんぽん専業でして。裸婦ならいくらでも筆が走るんですが顔だけっていうのはちょっと……」
グロリアさんは頭を掻きながら、そういう方向に話を持っていくことにしたようだった。
ふむ、と腕組みをするカルロスさん。
と。
「かえってそのほうが盛り上がるんじゃない?」
「えっ」
予想しなかった方から急に声がかかって振り向くと、そこにはノールさんがいた。
「い、いやいやノール。いくらなんでも裸婦ってのは」
「ここはタルクじゃない。オアシスに行けばみんな堂々素っ裸よ。それにスケッチはあくまで芸術だもの、文句言うならもののわからない奴って笑いものだわ」
「そうは言っても……つまり精霊祭の真っ最中から庭でヌードモデルをさせるってことだろう? 誰がそんな恥を好き好んでかくんだ」
「あら、誰もモデルしないなら私やるけど?」
「ノォォォォォル!?」
いつもながら破天荒な人だな。
いや俺、見てみたいですが。無論素っ裸の婦女が堂々見られるチャンスはいつでもうれしいものです。
「アンディ君の一行でもそういうの喜んでやる子いっぱいいるわよねー☆」
「いやちょっとヒルダさん」
言われてみると最近そんなこと言ってた気がする!
「あ、あの、まあ確かにオアシスで水浴びするのも似たようなものですし、お祭りですからよければ私も」
「はいはいはい、私もやりまーす」
何故か近くで聞いていたダークエルフメイドたちも手を上げる。
「なんだここは聖人だらけか」
俺が真顔で呟くと、口をぽかんと開けていたグロリアさんは大きくため息をつき。
「君の言う聖人ってなんだろうね」
はい。確かに今の一言で一気に安くなったと思います。
(続く)
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