その場で告白大会が始まるのかと思ったら、準備があるとかで、いったん雌奴隷たちは解散する。
 準備といってもなあ、と思うが、まあ確かにいつ訪問があるか分からない部屋ではやりづらい。雌奴隷たちはむしろ見せ付ける意味で勇み立ちそうだけど、俺がせっかくの告白に集中できないし。
 ……でも告白かあ。
 うん。なんかこう、ちょっと心躍る。
 好きな相手からはっきりと好意を示されるのは嬉しい。
 男は照れくさくて二度三度とは言いづらく感じてしまうが、女の子は毎日だって愛を情熱的に囁いてほしいものだ、というのもどこかで聞いたことがある。
 こうして「しっかり告白するから聞いてね」という予告をされれば、俺もその気持ちがちょっとわかる。
「ちょっと普通の関係とは違うけど……好きな女の子に好きって気持ちを思い切りぶつけてもらって、嬉しくない男なんているもんじゃないよなぁ」
「ほほ。雌どもは毎日精一杯務めを果たして褒められるのを待っておるが、やはり直接の吐露が一番よいか」
「雌奴隷の義務って言われると……まあ頑張ってくれるのはありがたいけど、気持ちの上ではそれは好意って感じとはちょっと違うし。エッチに積極的なのももちろん俺にとっては嬉しい話だけど、そのハッピーと愛情の言葉はまた別のハッピーだと思うんだよな」
「なるほどのう。……精霊祭という情交祭りがすぐにあるゆえ、それとは別の形でそなたに幸福を与えたいという計算もあろうが。手持ちのない場所での誕生祝いというのは、かえって良い形で飼い主殿に気持ちを届けることに繋がりそうじゃの」
「ライラは乗らないの?」
「そなたが望むならいつでも言葉を尽くして愛を囁いてやろう。じゃが今日のところは、あやつらより先手を取るのは控えておいてやるのが、情けというものじゃろう。皆で知恵を絞ってたどり着いた妙案、横からさらって新味を薄れさせるのは忍びない」
 この町で快適に過ごせるのは、他ならぬライラが町の人間に友好的に接しているためだ。
 話し合いに参加できなかったのはそのためでもあるのに、ライラはみんなを立てようとしてくれる。いい女だ。

 正午が近くなった頃、どこからかアイリーナの声がする。
『そろそろ良いぞ。屋上に来るが良い』
「アイリーナ?」
 幻影の応用か。
 ライラやマイアのようにちび分身を飛ばしこそしないが、ある程度離れた相手に声を届けるのはそんなに難しい魔法ではない、らしい。
「客の相手は任せよ。もしもはしゃいで何か見られたとしても、我の趣味ということにしておこうぞ。無粋な邪魔は気にせず楽しむと良い」
「うん。助かる」

 ヘリコンの屋敷は町で一番高く、そして屋上には浴場がしつらえられている。
 だから屋上で天高い太陽の下、酒池肉林しても誰にも遠慮することはない。いや、あんまりでかい声で喘いだら聞かれて恥ずかしいだろうけど。
 そのへんはそこらの一般家屋もあまり防音構造になってないので、似たようなものだ。南方の町は風通しを重視してるから、魔法でも使わないと外に話し声だって普通に漏れる。
 この屋上は、ライラに捧げられる前、どう使われていたのか。豪商の屋敷だったというし、多分似たようなことを楽しんでたんだろうなあ、と思う。
 それでも羨ましいとは思わない。女の子の質で知らない誰かに負けるとは全く思えないほど、うちの雌奴隷たちは可愛らしく、美しい。
 ……そんな俺の愛しい女たちは、屋上で揃いのドレス様の薄布衣装を着ていた。
 陽光の中で彼女らのその服は体のどこをも隠せてはいない。もしも蝋燭や三日月の下なら、見えそうで見えない……というラインをキープしていたのかも知れないが、真昼の明るさの下では、単に「服を着ている」という体裁を整える以外のなんでもなかった。
「大胆な恰好してるなあ」
「裸でもよかったんだけど、それは精霊祭にとっておきたいしね」
 アンゼロスは少し照れくさそうに薄布の服をつまみ、くるりと回ってみせた。
 ささやかな胸、少しだけツンと自己主張している桜色の乳首、細く締まった腰と可愛らしいお尻が、ほんの少し色を加えるスケスケのドレスの下で順に躍る。
「では、始めようか」
 アイリーナも同じように、ほぼ裸としか言いようがない姿だった。
 遠い砂漠の地平を背景に、少し得意げに片手を腰に当てる、半透明ドレスのちびっこ氏族長。
 胸や股間を思わずジロジロと見てしまうが、アイリーナは体つき顔つきに似合わない妖艶な笑みを見せるだけだった。
「こほん。……アンディ。聞いて」
「ん、ああ」
 アンゼロスに向き直る。
 アンゼロスは俺の顔を上目遣いに見上げ、何度か居住まいを正すように肩を上げ下げして、勢いをつけて言葉を口にしようとしているようだった。
 そして、喉の首輪を軽く撫でて、グッと小さな拳を握り、おとがいを上げる。
「……まず、お礼を言わせてください。僕の……私の、ご主人様」
「お、おう」
 アンゼロスが「私」と言うのは不自然ではない。今までだって時々口にしている。
 だけど、改めて「僕」を捨て、自ら「私」に言い換えながら呼びかけてくるのは、やはりドキッとする何かがある。
 まだうなじの下辺りの長さから伸びていない、柔らかい髪を南風に揺らしながら、アンゼロスは言葉を続ける。
「私をあなたの雌奴隷にしてくれて、ありがとう。おちんちんを咥えさせてくれて、ありがとう。おまんこの奥にも、お尻の穴にも、あなたの熱さを感じる喜びを教えてくれてありがとう。いつも子作りエッチしてくれて、ありがとう。……私は、あなたのおちんちんに奉仕するのが、すごく幸せです」
「っ……」
 耳の裏が、カアッと熱くなるのを感じる。
 アンゼロスが、本当に幸せそうだったから。
 純粋なまでに幸せな笑顔で、俺の下劣な欲望に晒されることに感謝を示す。
 なんて倒錯的なことか。
「お誕生日、おめでとう。私のご主人様。これからも末永く、私を可愛がってくれると嬉しいです。……できたらもっと激しくしてくれると、もっともっと嬉しいです」
「……う、うん」
 俺はアホみたいに頷くしかなかった。潤んだ目で見つめるアンゼロスを抱きしめて、すぐにでもかわいがってやりたいが、それは二番手に控えるフェンネルに悪い。
 アンゼロスはもう一度俺に笑いかけると、真っ赤になったまま小走りで横に退く。
 そして、アンゼロスと同じく裸身をほぼ晒した半透明ドレスを纏い、着付けを気にしながらも進み出てくるフェンネル。
「……あの、それでは……私も」
「うん」
「……お誕生日、おめでとうございます。ご主人様。……今日ここに改めて、銀のフェンネル、あなた様に雌穴の全てを捧げますこと、誓わせて下さい」
 しっとりと、まるでよくある祝福か何かのように、俺に宣言するフェンネル。
 決して巨乳というほどではないが、透けた布の下でアンゼロスよりは豊かに女性を感じさせる胸に手を置き、続ける。
「私の膣も、直腸も、無論この口も。あなたの快楽を導くために捧げます。この先の生涯は、あなたのおチンポのために際限なくこの身をお使いください。森よりも精霊よりも、私はあなたの肉欲にこそ忠誠を誓います」
 上品に、それでいて情感をこめて、フェンネルは俺の性欲に何もかもを委ねると誓ってみせる。
 生粋のエルフである彼女にとっては何よりも大切な森と精霊すらも、俺とのセックスよりも軽んじてみせるのは、彼女の強い覚悟と帰依を表していた。
 そこまで入れ込まれてるのか……と、今まで割と離れて過ごしている俺にとって驚くほどの強い恭順だ。
 が、それに続くオーロラも、張り合うかのようだった。
「あなたの生まれてきたことに祝福を。この空色のオーロラ、あなたの勇気と愛情、そして劣情をこの身にて全肯定いたします。あなたの男性としての本能が、私の全てを支配することを是といたします。才も、財も、誇りも、恥も。全てあなたの望みのままに捨ててみせましょう。どんな要求にも喜んで従い、あらゆる辱めすら楽しんでご覧に入れます。雌奴隷オーロラ、今日このときをもって誓います。我が魂までも、あなたの精液で白く染めてくださいませ」
 言い募りながら興に乗っていくように、オーロラは片腕を掴むように身を抱きながらも、グンと胸を張る。白磁のような肌色は興奮に赤く染まり、乳首が想像に反応して勃起しているのが、薄布ドレス越しにもよくわかる。
「……難しいこと、言えないけど。アンディ、誕生日おめでとう。早く子供プレゼントしたいから、私で子作り頑張って」
 続くルナはシンプル。
 だがそれは彼女の情熱が薄いということではなく、淡白な短さの中にも「自分を使って」子供を作れという、直截的な奴隷としての服従と欲求を表現してもいる。
 南風に神秘的な銀髪をなびかせる彼女の身にも、いやらしい衣はよく似合っていた。
「……青竜マイア。我が主アンディ・スマイソン様の生誕の記念たる今日を心よりお祝い申し上げます。我が身はもとより主とのまぐわいのために捧げられしもの。けれど、今後一層ご満足いただけるよう誠意をもって尽くす所存」
 マイアは堅苦しい文言を吐きながら小さな膝で俺の前に跪き、祝福の印を結んで俺にさらなる奉仕を誓う。
 確かにマイアとは戦うための契約でなく、エッチを主眼として契約を結んだのだった。
 そして、なぜかその隣で同じように裸同然のドレスを纏ったエマも、対抗するように首に例のペンダントをかけ、跪く。
「銀竜エマ、主様の生誕の記念たる今日をお喜び申し上げます。この身もあなたの従僕たる身。いかような用途に使われるもお望みのまま。今日改めて、あらゆる場、あらゆる時に、あらゆる形で主様に奉仕をいたしますことを誓います」
 勢い込むのはいいけど君はもうちょい慣れながら行こう。覚悟は買うけど。
 二人を俺は撫でて立たせる。
 あとはヒルダさんと……アイリーナか。
 ヒルダさんは明るく踊るようにしながら進み出る。彼女の肌には同じ透け布もまた一味違って見えた。
「堅苦しい文言じゃおちんちんしぼんじゃうでしょ? ふふ、私はもっとちょ・く・せ・つ。アンディ君、お誕生日プレゼントは女医さん無責任孕ませ権でーす☆」
「無責任はちょっと」
「ノリ悪ーい。今までだってさんざん中出ししまくってるんだから『そんなの元々俺の権利ですよね』くらい言いなさいよー」
「旦那さんとはいつか話つけないと……とは思ってるんですけど」
「あ、じゃあ孕ませは前向き?」
「……もうさすがに覚悟は決めました」
「やん☆ じゃあオマケで女医さんの妹孕ませ権もつけちゃう☆」
「オマケで遠い国で頑張ってるディアーネさんを使わないでください……」
「え、そっち?」
「…………」
 ディアーネさんじゃないってつまりノールさんか。……いや、そっちの方が勝手に決めちゃまずいだろ。
 と、話がいつものようにこじれそうなところで、アイリーナがちょっとむくれて入ってくる。
「いつまでヒルダ一人にかまっておるのじゃ。わらわも相手せよ」
「……そ、そうだな」
 深く突っ込まないのもひとつの方策。
 そう思ってアイリーナに向き直る。
「コホン。……白のアイリーナ、そなたの雌奴隷の誓いを改めて立てよう。そのチンポをわが身の一部、その種汁を我が体液と心し、常から身に納めるを道理としよう。そなたもそのつもりでわらわのマンコを使うがよい。そなたのためならば何もかも捨て、朝夕問わずチンポの鞘となっても良い」
「お前、他の子たちが頑張って四角四面な言い回ししてるのに」
「わらわがそんな言い方をしても新味がなかろう。それにチンポの鞘となる身に、小賢しい言い回しなど無用じゃろ……♪」
「まあそうだけどさ」
 さんざん煽られた俺は、アイリーナに入れちゃおうかな、とベルトを緩めそうになる。
 だが。
「ま、待ってください」
「私たちが残ってるでしょっ」
 ネイアとベアトリスが声を上げる。
 見ると、二人もスケスケドレスを纏い、ちゃんと順番待ちをしていた。
 特にそんな恰好をしていないのはグロリアさんだけだ。
「んー……いいわねえ、争って服従の誓いをする雌奴隷……このネタもいただくわ。全く、本物のエロハーレムはネタの宝庫ね♪」
 ……そうですね。

(続く)

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