ドラゴン四頭の編隊飛行は、昼間に幻影なしで見たとしたら随分と目立つだろう。
ドラゴンを人里の一般人が目にすることは少なく、一頭を遠目に見ることさえ稀だ。本来は堂々とどこを飛んでも文句を言われるはずもないドラゴンたちだが、自分たちが恐怖の象徴であることは自覚しているので、無思慮に飛ぶことは滅多にないという。
ライラは時々すっとぼけて幻影展開なしで街に飛び込んだりするけど、思えばそれで俺たちが街の人々から一目置かれることも多い。ある意味気を回した結果、ああしているのかもしれないな。
それはともかく、四頭ものドラゴンが大して高くもない空(一応雲に時々入る程度には高いけど)を飛んでいく姿は、普通ならドラゴンパレスの近辺でしか見られるはずのない光景だ。
そのいかめしい見かけの真ん中にいる馬車の中では、十人近い美女たちが揃って一糸纏わぬ姿になり、次から次へと種付けを強請っている……なんて、誰が想像できるだろうか。
「アイリーナ様、欲張ってそんなに何度も飲もうとしないでください……みんな胎でご主人様の精を受けたくて待っているんですから」
「んっ……ん、ぷぁっ……はぁっ……なんじゃ、スマイソン殿が異を唱えておらぬのじゃから好きに吐精させてしまえばよいじゃろうに。どうせ時間はあるじゃろう」
「口でおちんちんを楽しむのは、せめて皆が一度ずつ子作りを済ませてからにしてくださいな」
「じゃから、そのようなことはわらわたちが勝手に段取ることではなく、じゃな」
華奢な体躯に首輪ひとつを身につけた、あられもない姿のアイリーナが、フェラチオを続行しようとしてフェンネルに文句を言われている。
「っていうかアイリーナだってマン汁だらだらじゃん。おまんこにねじ込まれないままフェラだけでいいの?」
俺がその額を指でちょこんとつつくと、アイリーナは口を尖らせる。
「そなたはわらわが我慢の利かぬ子供じゃと思うておろう。そして褥ではマンコ以外に能のない女と」
「そんなの気にしてたのか」
「わ、わらわとて使える雌奴隷でありたいのじゃ。もしも不意に劣情を催した時、いちいち下を脱がして使うしかないものと思われてはつまらぬ。こうして、口も気軽に使えるそなたの精液便所であるということを……」
「飲ませるのも嫌いじゃないけど、不意に欲情したら素直におまんこ突かせて欲しいなぁ。女の子に精液だけ出せばいいんじゃなくて、体のいろんなところ触りたいし」
「……むぅ。じゃが、わらわにもプライドというものが」
ちんこを小さな手で撫でさすりながら、俺の股の間で唸るアイリーナ。
アンゼロスは俺の体に寄り添って肌を押し付け、胸や腹を撫で回しながらそれに反論する。
「雌奴隷なら、アンディに命令されたら、誰が見てる前でも裸になってチンポ受け入れてみせるのが本懐じゃないかな」
「……むぅ」
「僕ならそうするよ。口で済ませたいっていうならいつでもそうするけど。アンディが入れてくれるならオマンコ中出しで孕ませてもらう方がいい」
ことさら煽ってくれるが、特に口での奉仕に拘ってるのはお前も同じだよな。アイリーナが譲らないからって、なかなかとぼけてくれる。
そのアンゼロスの股に挟み込まれるように抱きしめられた手を動かし、彼女の無毛の陰部とその先の尻穴のすぼまりの縁をいじくりながら、俺は苦笑する。
「まあ、人前でいきなり生ハメショーの主役になれなんて言わないけどさ」
「えっ、なんで」
不思議そうに聞き返すアンゼロス。……え、アイリーナ煽る与太話じゃないの。
っていうか「なんで」と言われても。
俺が絶句していると、後ろの座席から身を乗り出して、俺の肩首におっぱい乗せるようにグロリアさんがしなだれかかってくる。
「雌奴隷っていうんだから、そういうのはだいたい定番じゃないの?」
「定番ですかね」
「や、あたしも絵巻の中くらいでしか知らないけど。だいたい雌奴隷とか飼っちゃうタイプのキャラって自慢げにそういうの犯しながら登場するじゃない」
「そういうもんかな……」
「んで主人公もそういうの欲しいな……って感じで格安奴隷漁って。気性が荒かったりキズ入りだったりする雌奴隷を在庫処分みたいに手に入れてからがエロシーンスタート。調教して身も心もメロメロに! これよね!」
「ちょっと待って、つまり俺ってなんか醜悪なデブ富豪みたいな役じゃないかなそれ!?」
「普通そういうものでしょ雌奴隷飼う奴なんて……スマートな王子様だったら雌奴隷じゃなくて、側室とか愛人とかそんな感じにまとめるもんでしょう。わざわざヒドめの字面は使わないわよ」
「……反論できない」
あまり考えたことなかったけど、俺がもしエロ絵巻を描く立場なら……うん。だいたいそんな具合にまとめるね。
主体が王子様や貴族みたいなステキな身分だったら、雌奴隷ラブラブハーレムなんてのはちょっととっ散らかり過ぎている。
「ご主人様に逆らえない雌奴隷……というお題目を絵的に最大限わかりやすく魅せるなら、やっぱり裸に剥いて不特定多数に見せつけファックでしょ。女としての体裁やプライドを踏みにじって、性的オモチャ扱い。それくらいガッツリめにいきたいところよね、読者の期待に応えるなら」
ムフー、と鼻息荒く言うグロリアさんは創作楽しんでるなあ、と思う。おっぱいを首筋に感じながら。
「なるほど……確かに雌奴隷集団というと、そういうイメージになるのでしょうね」
「だいたいウチのコロニーではいつもやってる」
「一体どういうとこなのよそれ……」
納得するオーロラ、何故か自慢げなルナ、さすがにちょっと引いてるベアトリス。
三人の若い女の子がサウナみたいに裸で並んで座りつつエロ話をしているのは、いい目の保養だ。おっぱいは控えめだけど、なんかこうピチピチした雰囲気がいいよね。
……いかん、俺の感性がだんだん言い訳しづらいほどオッサン化している気がする。
って、なんかよく見るとベアトリスがペンダントつけてる。
「ベアトリス、それ俺がエマにあげたやつじゃ……」
「え? うん、ちょっと貸してもらってるけど」
「……なんで」
「エマ、これつけてると雌奴隷として扱ってもらえますから……とか言って貸してくれたよ?」
「……え、えー」
貸し借りはちょっと想定外だよ……エマ。
『あの、何かまずかったでしょうか? こうして飛んでいると私本人ではご奉仕できませんから、良かれと思って』
ちびエマの幻影が現れて、ちょっと申し訳なさげに尋ねてきた。
アイリーナの頭の上に小人サイズのエマが乗ってる感じなので、ちょっと可愛い。いや全裸幼女on全裸小人ではなはだ卑猥な図なんだけど。
「……まあ、そんなことしちゃ駄目とは言ってないな……俺も」
そして俺は非を認める。
エマに非はないんだ。うん。
エマとしては大切にすべき首輪や贈り物ではなく「オモチャ」として念押しの上で貰った物なんだよな。
その上で、微妙に疎外されているベアトリスが、雌奴隷の仲間に入る意思表示にも使えると思ったのだろう。
なら、そういうルールだと俺が自分で認識を改めるしかあるまい。
「ということはベアトリスは雌奴隷やりたいんだよな?」
「えっ? え、ええと……さ、さすがに知らない奴らに向かって、犯されてるとこ見せびらかすのはちょっと遠慮したいけど……」
ベアトリスは照れたように黒髪をいじる。……照れる場面なのか?
っていうか基本的にそういうのはほとんどやったことないから、それ以外はいいよっていう話なら、雌奴隷待遇ほぼ全部OKになっちゃうけど。
ちなみに「ほとんど」というのは多少猫コロニー以外でも覚えがあるからです。テテスやアルメイダを海賊相手に見せびらかしたときとか。タルクのオアシスでジャンヌにちんこハメながら入浴したときとか。
「あ、アンディ。さっきも言ったけど僕ならどこでも見せびらかしOKだから」
「落ち着けアンゼロス。お前一応セレスタの有名エースナイトだからな? トロットの大商会のご令嬢だからな?」
「でも雌奴隷だし……い、一番アンディの雌奴隷らしい雌奴隷でいたいし」
「む、むぅ……わ、わらわも」
「わたくしも、アンディさんがやってみたいと仰るなら……この身が既にアンディさんのチンポを潤し、射精を乞う道具でしかないことを万民に知らしめるのは、やぶさかではありません」
「アイリーナもオーロラも少し落ち着け。そういうことやると巡り巡って俺が一番大変な目に合う」
誰も知らないようなところで完全に関係ない人相手にやるならまだしも、お前らみたいにその筋で洒落にならない有名人が脳味噌ザーメン漬けな真似するのはまずいよ。
「あ、先生はいつでもOKよ? よそでももちろん全裸ファッキングお散歩いけるし、タルクでもだいたいそういうヒトだとみんな思ってるだろうし☆」
ヒルダさんはそうですね。……いやちょっと待て、さすがにそれはどうか。
例え地元ですら超エロいというのは知れ渡ってても、素っ裸で隷従宣言は別のインパクトだろう。
「あ、わ、私も……いえ、あの、私のことは誰も知りませんから、そういうお遊びにはうってつけかもしれません……」
ネイアも落ち着いてもらいたい。
恥ずかしそうに身を抱いて、耳まで真っ赤になりながらそういう想像してるのはもちろん可愛いし愛おしいんだけど。
あと誰も知らないっていうけど、各国のわりと有名な人たちに面割れてるからな。
「基本的にそういうのは俺の欲求をどうのこうのする以前に迷惑行為だからな?」
「そなたはこれだけ権力者を囲いながら、肝が小さいのう……」
両側からアンゼロスやフェンネルの手に包まれた俺のチンポの先をチロチロと舐めながら、アイリーナはつまらなそうな顔をする。
「あのな? 俺はラブラブがいいしチヤホヤされたいし青空おっぱいも種付けも好きだけど、そういうストイックな奴隷セックスの追求はあんまり気が向かなくてな? っていうかそういうのに権力使うのってホントどうかと思うわけでな?」
「題目として雌奴隷にしたのじゃから、雌奴隷らしいことをしたいという雌奴隷たちの要求に耳を傾けるのも甲斐性ではないかの」
「これ要求なの!?」
だとしたら確かに少々度胸を奮ってでも……いやいや。
あー、でもなあ。少しだけ興味があるといえばあるんだけど。いや、少しだけですよ?
翌朝の夜明けの頃に、ヘリコンの上空にたどり着いた。
結局あれから絶え間なくセックスしながらお喋りを続け、射精した数は15発くらい。俺としてはあまり頑張ってない数だけど一般的には限界挑戦クラスなのは知ってる。
まったりムードだったのでそれぞれ一発済むたびに始末を進め、着陸時には比較的落ち着いて身支度を整えられた。
夜明けのヘリコンでドラゴンの飛来に気づけたのは物見櫓の憲兵だけ……かと思いきや、結構多くの人が町をうろうろ。ライラを始めとした四頭の飛来にも歓声をもって迎えてくれるのは嬉しいけど……こんなに眠らない町だっけ?
「みんな朝まで徹夜してたのか……? なんかの祭りか?」
「ほ。精霊祭が近いからじゃろう。町が栄えてきたので準備も手間が増えておるのかも知れぬ」
人間体で全裸降臨しながらライラがそう言う。もちろんライラの裸に町民大喜びだ。
「精霊祭かぁ……じゃあここかタルクで精霊祭を迎えるってことになるのかな」
「ほ。それも良い。じゃが……」
ライラは全裸流し目のまま、俺に囁く。
「そなた、また今年も忘れるつもりかえ?」
「……え、何を?」
「ほほ。ディアーネに聞いておるぞ。……そなた、そろそろ誕生日じゃろう」
「……あ」
(続く)
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