ライラやマイアは、どちらかというとファッションに無頓着なほうだ。
程度の差はあれ裸族だからか。
あまり寝ないので寝癖頭になることはないが、髪型には他人が手を出さない限りほとんど変化をつけないし、服装などボロ布を巻いているだけみたいなのでも気にしない。
それでもとんでもない美女なので、多少違和感のある恰好でもアクセントになってしまって、なんか「そういうもの」として魅力的に見えてしまうのが、世の女性からすると妬ましいところだろう。
そういう二人と違い、エマは非常にきちんと身なりを整える。
綺麗に結い、整えた髪と、少しエキゾチックながら隙なく着込んだ衣服は、本人の佇まいもあって高貴なまでの清潔感を醸し出す。
彼女の衣服には独特のお香か何か焚き染めてあるらしく、ほんのわずかに香る花のような香りも、どこか違う世界から来たような感覚を覚えさせる。
いや、まあ、実際違う世界みたいなもんだけどね。
そんな彼女の、自分の知らない理屈で完成されたような美を、これから無作法なオスの性欲で蹂躙する。
献身的に俺に従いながらも、最後の一線を踏み越えずにいたことで保たれていた彼女の聖性を、汚す。
そこに、少々躊躇いがないとはいえない。
ほら、まずここで始めちゃうこと自体が俺としては想定外なわけだし。
忘れられがちだけど、俺はエロい雰囲気に自分で持ち込むのは苦手だ。大抵雌奴隷側にアプローチさせている。
それも多人数でやることで、第三者たる他の雌奴隷からも煽らせ、雰囲気成立失敗の危険を限りなく小さくしている。
いや、意識してそうしているわけじゃなくて、やる時はそういう形でエロに乗るおかげで円満成功しやすいという勝利の方程式だ。
で、今回のこういう形からの「入り」は、正直言って苦手な形になる。
前回、というかエマとの初体験失敗は、お互いに小さな出来事ではないはずだ。
それを踏まえての再体験には、互いに意欲や衝動よりも、見えない抵抗感、そしてそれを克服しなければならないという義務感がが絡みつく。
俺という奴は、勢いがあれば割ととんでもないこともできてしまうが、今回は鬼畜モードで無理に勢いをつけるのも控えたい。だってそれで泣かせたんだし。
ここに誰かが割り込んで煽ってくれるのも期待できない。この工房は夜でも作業できるように防音構造だ。
となると、もう事態を勢いよくガンガン動かす要因はなく。
平地でソリを走らせようとするようなしんどさが、うっすらと俺たちを包む。
エマはそれでも俺に全幅の信頼を寄せ、ここから俺がリードしてくれると信じて疑っていないわけだけど、さて……。
「……エマ」
「は、はい」
一度脱ぎ、きっちりと着付け直した服をさらに脱がす……という行為に、若干の間抜けさを感じつつも、この美しくてしっかりした少女を裸にしていくことにはちょっとした背徳感を覚える。
既に何度も裸は見ているが、自分の手で脱がしていくと、やはり「自分の自由に弄んでいる」という実感が湧く。
それと同時に、エマはタイプとして珍しくもある。
カラダが未発達だとか、身なりがしっかりしているというだけなら、アイリーナやアンゼロス、オーロラだって似たようなものだ。
が、それに加えて、エロに対してかぶりつきでも逃げ腰でもない子……というのは、あまりいない。
一言で言うなら、初々しい。
セックスに持ち込む、という観点からすると難儀な要素となるが、そういう子とセックスをするという実感自体は悪いものではない。
今まで俺の精液を顔中にかぶったりはしているものの、セックスという行為からは遠ざけられてきたエマ。
ここから先は未知のまま。
その先に向かうことを心に決めつつも、期待と怯えが拮抗する。強いドラゴンではあっても、セックスで味わう感覚と感情には不安が付きまとう。
そんなエマの気持ちが表情から手に取るようにわかり、俺は若干ながら気持ちに余裕が出る。
……そうだ。俺は女の子を乱暴に犯すのが本分なわけではないだろう。
女の子と愛し合い、ベタベタに、ラブラブにキスを重ねながら子作りをするのが得意で、理想のはずだろう。
今までに何度も主張してきたのに、エマというまっさらの素材を前にして気負い過ぎていたか。
苦笑いをして、俺はエマに手始めのキスをする。
「ん……っ」
エマは僅かにだけ鼻声を漏らし、それを受け入れる。
綺麗に整い、きめ細かな見た目通りの唇の感触。氷系のドラゴンだからか、その唇は思ったより冷たかったが、情熱的に唇を擦り付ければ温まる程度のものだった。
エマはその俺の唇の動きにほんの少し面食らった様子でいたものの、おとなしく受け入れる。
オスの欲望をおずおずと甘受する、その態度が愛おしい。
俺はそんなエマの頬を両手で挟み、もう一段深く侵略する。
「……っ!」
さすがにエマも目を見開く。唇だけでなく、舌での口内の格闘戦に入る。
甘く甘く、ねっとりと絡み付く、終わりのはっきりしない舌同士の剣戟。
それはエマにとっては新たな体験だったのだろう。歯をこじ開けて舌を舐め取る俺の舌に、どうすることも出来ないままエマは身を任せることになる。
既にその身からは一切の衣服は剥ぎ捨てている。彼女の細く白く小さな裸身を俺は抱きしめ、存分に口内を味わい尽くす。
……エマの舌、さすがにドラゴンだけあってちょっと長いんだよな。ライラとかマイアもだけど。
しゃぶり応えがある。
「……ん、ふっ……んんっ……ん、んっ……」
……そのまま数分。
いつの間にかエマは完全に脱力し、俺のなすがままになっている。
しばらくぶりに顔を離せば、その目つきはすっかりとろんとして、唇はだらしない形に開いている。
俺と彼女、二人分の唾液は体勢的に低い彼女の唇の端から溢れ、そして俺の舌と彼女の唇、舌の間にねちょっと細い橋をいくつもかけていた。
「……あ、主……様」
「……いい顔だ」
「え……あ、そのっ」
俺の意地悪い笑みに、エマはハッとして表情を引き締める。が、そんなのは滑稽なだけだ。
「可愛いぞ。俺のエマ」
あえて独占欲を囁く。それはきっと彼女の望むものだから。
その「俺のもの」という状態は、力の契約というドラゴンの思想が生んだものでしかなく、まだ俺自身の心からの実感とは言えないけれど。
そう聞いて、信じられないほどうれしいことを聞いたように表情を歪め、唇をわななかせる──これって判断しにくい表情だけど喜んでると信じる──エマに、俺は再び無粋な唇を押し付け、擦り付けて、その背中を、尻を撫で揉み、無遠慮に谷間を指で撫ぜ。
「犯したい」
「……はい……」
エマは至近距離で頷く。
「私も……犯されたいです」
少しだけ乱暴さの残る言葉で、同意を確認して。
彼女を長椅子に横たえて、俺も服を脱ぎ、覆いかぶさる。
あの晩と同様、少しだけ彼女は不安そうにしていたが、俺はその緊張をあえて解そうとするのはやめておく。
どうしたって普通緊張はするんだ。それが彼女の性格ゆえのことなら、そんな子がいてもいい。
みんながみんな、最初の最初からヒルダさんの手助けや満月の興奮、霊泉の鎮痛効果で最初からド淫乱でいる必要なんてない。
彼女という個性を尊重したまま、セックスをしよう。
細い白い裸体を抱き、その整った陰部を指で割り開く。
興奮で多少濡れてはいるがグチュグチュには程遠く、それでも精一杯に股を広げて俺を迎えようとするエマの気持ちを尊重して、俺は怒張したちんこでクリトリスを弄ぶようにして前戯をする。
「ふあ……あ、んんっ……ン、主様のっ……あるじさまの、これが……子作り棒っ……♪」
「変な言い方するなー……チンポでいいじゃん」
「は、はしたないかと……っ」
「逆に子作り棒の方がはしたない気もするけどな。……じゃあ子作りしようか、エマ」
「っ……♪」
「産んでくれるか、ピーターとエレニアの弟か妹……」
「あ、あの……私が……?」
「もしかしたら、次はお前が最初に孕むかもしれない。子作りってそういうもんだろ」
「…………っ」
「孕みたくないなら……入れない。孕みたいなら、子宮まで俺の匂いをつける」
「……その……」
エマは自分の股間を往復する亀頭の動きにいちいち反応しながら。
「……孕みたくないはず……ないですっ……主様の子を……っ♪」
「子宮まで俺のザーメンの匂いで満たされたい?」
「……満たして、くださいっ……♪」
エマは搾り出すように言う。俺はそれを聞き届けて、彼女の膣内に向けて角度をつけ……思い切り、突き刺す。
「っっっ……♪」
すぐに処女膜に突き当たるが、それを俺は強引に腰を押し付け、突き破る。
ゆっくりやるか、一気にやるか。そんなことを選ばせる真似はしない。
ここは俺のモノだと、下半身でわからせる。横暴な主の来訪を受け入れさせる。
態度は優しくしているが、彼女を……俺のセックス専用奴隷にすることは変わらないのだ。
だから、俺はそんな暴君であることを隠さない。
だが、エマは喉に詰まるような声を上げて痛みを押しつぶしながら、それでも俺を受け入れきれたことを喜ぶようにガッチリと足を挟み込み、俺の心変わりを許さないように引き寄せて。
俺は彼女の小さな裸体を体で捕まえ、腰でそのキシキシと血の滲む感触のする膣を味わいながら、絶頂に向けて腰を振りたてる。
最初から気持ちいいなんて都合のいいことが起きる仕掛けはここにはない。彼女にとっては長引くだけ痛いのだ。
だから、自分勝手に……射精だけを目指す。
「あるじ、さまっ……あるじ様……っ♪」
だが、エマは心からその勝手な結合を喜ぶように、全身と声で俺に愛情を伝えてくる。
健気な娘だ。
改めて、俺が貰っちゃってよかったのかな……なんて思ってしまうほどに。
しかし一瞬後にはそれを打ち消す。もう、俺のものにしたのだ。相応しくなくても、俺はエマの所有者だ。
それを自分から否定はもうしない。
「これでお前は……腹の奥まで、俺の、ドラゴン……だっ!!」
「ひぅぅぅっ……♪」
キツキツの膣内を強引に押し破り、小刻みに腰を振って、最後に子宮口に亀頭を叩きつけて、射精。
圧迫を持って噴き上がるそれを、銀竜の少女は必死に飲み込もうとし、やはり膣口から下品な音を立てて吹きこぼす。
「あ……あ、もったい……ない……っ♪」
「誰も腹には収め切れないよ」
ピンクに染まった精液の色が、彼女の純潔を奪ったことを示して薄く光る。
「……おい給仕の姉ちゃーん、こっちにも包み揚げ三人前ーっ! ……ライラの姐さん、よかったんですかスマイソンの奴ほっといて」
「ほ。さっきは言わなんだが、飼い主殿は既に屋敷におったぞ」
「え、なんだあの野郎、待ち合わせっつったじゃねえか」
「ほほ、まあそう言うなベッカーよ。飼い主殿の不始末の分はこの我の酌で返そう」
「あ、こりゃすんません……って、ならなおさらほっといたら腹空かすんじゃないですか」
「ほほほ。肉の代わりに雌を食ろうておる。じゃからそっとして置くのが良い」
「……なんだいつものことか」
「いつものことじゃな」
(続く)
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