セレスタという国は多様な種族を抱え、どこでも常に活気がある……といえば聞こえはいいが、治安が慢性的に悪い側面もあり、土着の暴力組織によって独特のルールで支配されている町も少なくない。
そんな中、新興のバッソンはそういった慣行的支配を行う者がまだおらず、クロスボウ隊の恐怖伝説によって治安を支えられているため、町歩きに特別な知識のいらない平和な町といえる。
そんな町において連れ込み宿というのは、そう目立つはずもない存在だ。俺もこんな場所にそんないかがわしい施設があるなんて意識したことはなかった。
だいたい、宿屋なんて酒場に併設されているものだ。ちょっと行きずりのお姉ちゃんと酒の勢いで一戦交えよう……なんてシチュエーションはそこで処理されてしまう。わざわざエロいことをするためにあるような宿なんて、このバッソンに別口であることすら知らなかった。
が、あるものはあるんだからしかたない。
「金貨で二十枚。今からなら日暮れまで。そこからもう半日取るんなら、また二十枚だ」
「日暮れまでって……あと三時間ぐらいじゃん」
「ご不満なら日が暮れてから来な。せいぜい小金ケチって気分を盛り下げてでも目先の得をとるんだね」
受付にいるのは愛想の悪い老婆。ただでさえ繁盛してなさそうなのに、こんな態度で大丈夫なのか……と余計な心配をしてしまうが、実際ゆっくりセックスするために気持ちを抑えて時間を潰すなんて馬鹿な選択肢はない。
まあ三時間もあればひとしきり楽しめるだろう。ガッツリ楽しみたいならそれこそ隊舎にとって返した方がいい。そんなことではなく、今すぐにベアトリスの申し出を受けたいと思ったからこそ、こんなところに入ったのだ。
多少惜しみつつもコインを銭受けに落とすと、老婆はアゴで奥を示す。
「空いてる部屋を使いな。ウチは防音だから、好きなように楽しんでもご近所に噂されるこたぁない。でも他の客とすれ違うのだけは面倒見切れないから顔見られないように注意しな。あと、内鍵かけないのはオススメしないね」
「あ、ああ」
防音……防音ってほどの建物には見えないんだけど。あと空いてる部屋って……雑な管理だな。
そこはかとなく不安になったものの、まあ俺としては邪魔されずにエッチできればそれでいいので、あまり細かいことは気にする必要はない。バレて困るご近所もないしな。
言葉がわからないので俯いているベアトリスを抱き寄せ、宿の適当な部屋に入る。
途中いくつか閉まっている部屋はあったので、こんな宿でも使う奴はそこそこいるようだった。
……そして、部屋はオンボロの寝床ひとつと古いロウソク立てがあれば御の字かな……なんて思っていたら。
「……おお」
思っていたよりは清潔だった。
激しくしても体が痛まない程度にはフカフカのベッドと、しっかり磨かれたランプ。壁紙も少し趣味の悪いピンクではあるが、不潔な感じはしない。ミニテーブルには水がたっぷり入った水差しと陶コップも置かれていた。
むしろ、酒場の宿部屋が貧相に思える程度には、手入れが行き届いている。
「……ちょっと割高かと思ったけど悪くないなぁ」
「そうなの……?」
「ん、まあな」
防音というのも嘘ではないようで、部屋の中で内鍵を閉めると外の音は何も聞こえない。他の客がみんな力尽きて寝入っているだけという可能性もあるが、まあそこに関しては俺が神経質になるべきところでもない。
でも割といいな。ボイドに教えてやろうか。……あ、でもオーガだと入れないかも。
「それで……その、どうすればいい、の?」
「んー、そうだな……って」
俺がひとしきり部屋を見回しているうちに、ベアトリスは無造作に服を脱ぎ散らかしていた。
その脱ぎ方には色気も何もあったものじゃなかった。子供が風呂に入る前といった感じだ。
「お、おいおいベアトリス。……口だけしおらしくてもそれじゃ興醒めだぞ」
「え、なんで……? あの、セックス……するんでしょ?」
「はぁ」
俺は軽く溜め息をついて、とりあえず服を集めてベッドの端に載せる。
そして、裸で突っ立っているベアトリスを引き寄せ、ベッドに座らせて、痛くない程度に軽くデコピン。
「あのな。服脱ぐのだって立派にエッチの一部なんだぞ? 男をガッカリさせない脱ぎ方ってのを覚えとかないと駄目だ」
「……え……でも、セックスってペニス入れてからのことでしょ……?」
「それに集中するためにも相手の気を散らさない態度ってのがな……まあ、おいおい教えるけどさ」
セックスの前に説教してもしょうがない。あと、すっぽんぽんで不思議そうにしているベアトリスになんと説明したらいいか悩むうち、自分がすごくおっさんになった気がした。
細かいことをネチネチ言ってやる気を削ぐのはいつだって年寄りだ。まあ、一発終わった後でじっくり説明すればいいことだろう。
「約束どおり、ベアトリスの子宮をチンポで可愛がってやる」
「……う、うん……」
心持ち低い声で囁き、ベアトリスを抱き寄せながら片手でベルトを外すと、股間にベアトリスの視線が集中するのを感じる。
……ほんと、素直だなあ。
出会いから何かと小生意気な印象ではあるが、ことセックスにおいては驚くほどに拒否感もなく、協力的だ。
だが猫獣人のように脳天気にセックスを楽しんでいる感じともちょっと違って、どこか未知のものにおっかなびっくり触れるような初々しさがあるのが新鮮な感じ。
「お前そんなにチンポ好き?」
「え……えっと……好きかどうかはわかんない……けど」
「その割には食いつくじゃん」
「……だ、だって、気持ち……よかったし……」
ベアトリスは口ごもり、身を縮めつつもブツブツとたどたどしく説明する。
「……こんな風に誰かに抱き締められるのなんて、初めてだったし……私なんかの裸で、そんなに喜ぶなら……それはそれで、嬉しいし……こうして全部何もかも、誰かにさらけ出して……こういうの、こんな気持ちになれるものなんだって、誰も教えてくれなくて」
「どんな気持ちになってる?」
「……い、言わないとだめ……? も、もういいじゃない、入れたら」
「しっかり説明しないとチンポはお預けだ」
「……酷い」
ゴソゴソとみっともなく身をくねらせながらズボンを脱ぎ落とし、シャツを脱ぎ、ベアトリスの裸体を撫で回しながら俺はネチネチと言葉で責める。
……あ、ネチネチはおっさん臭いってさっき忌避したはずなのに、いつの間にかまたネチネチしてる。
でもなー。でもこういう子には言わせたいよなー。色々と初々しい衝動を口で表現させたい。
「……アンタに……パパにチンポねじ込んで貰えると思ったら、それだけでおへその下が、ぎゅって、うずうずして……その感覚が胸まで広がって、ずっと響いてて……なんか、もうそれしか考えられなくて」
「うずうずとかぎゅっとか、そういうのじゃ伝わらないぞ」
「……すごく甘酸っぱくて、気持ちよくて……考えるだけでぼーっとしちゃうような、変な感覚……っ」
「それを、もっと味わいたくて誘ったんだ?」
「……そ、そうよっ……わかってるでしょ?」
「俺は女の子じゃないからなあ。でも、まあ」
脇腹を、肩を、腹を、太股を、首筋を。
無防備に裸体を寄せてくる彼女のありとあらゆる場所を、性器や乳首にはかからないように撫で回し、弄び。
そして、おもむろに彼女の股間に中指をひっかけるように押し付けて。
「っっ!!」
「俺もベアトリスのスケベマンコは味わいたい」
「っ……い、いちいちそういう言い方しないとヤれないの……!?」
「スケベマンコだろ?」
「だからっ……」
「スケベマンコだろ?」
「……そう、かもしれないけどっ……」
「俺のチンポずーっと欲しくてたまらなかったスケベマンコだろ?」
「……何度言うのよっ……ゆ、指、そんな乱暴に動かさないでよっ……」
「ベアトリスがちゃんと認めるまで」
「……スケベマンコ……でいいから、早くしてよ……パパ」
俺にぐちゅぐちゅと膣口を掘り返されながら、ふて腐れたように囁くベアトリス。
最後に「パパ」とつけるのは計算なのか天然なのか。どちらにしろ、俺の本能を蹴り上げるように刺激したのは事実で。
俺はベアトリスを突き飛ばすようにベッドに横たえ、その片足を抱き上げてその膣口にちんこを押しつけ……思い切り、押し込む。
「んくぅぅぅっ……♪」
「ふぉっ……!」
ベアトリスを高めていたのか、俺自身を高めていたのか。
ベタベタしながら期待に震えていたちんこは、ベアトリスの膣ヒダを無遠慮にずりゅずりゅと舐め進み、子宮近くまで突き進み、その締め上げに一度阻まれる。締めた膣ごと、ベアトリスの腰が動く。
だが、俺が勢いをつけて腰を二度三度と振り立てれば、ベアトリスの締まりもいつまでもそれを留め置くことはできず、すぐに子宮口にまでちんこが打ち付けられていく。
「ぅあっ♪ あぁああっ♪ はぁあっ♪ あんっ♪」
ベアトリスが嬌声を上げる。
あの王宮で敵対したのはまだ何ヶ月も昔の話ではないのに、今は俺のちんこをこんなにも好み、自ら連れ込み宿についてきて、ほとんど言いなりになってまでこうして子作りをねだっているのがとても不思議に感じる。
雌の悦びに体の芯まで浸った少女は、俺の感慨をよそに、どこまでも浅ましくいやらしい表情で抽挿を受け入れ、楽しむ。
俺も腰を振るうちに雑念も忘れていき、ただただ目の前の若い雌との交尾を貪ることに集中していく。
そして。
「ベアトリス、欲しいか……子種、ブチ込んで欲しいかっ……!」
「ほひいっ……こらね、ほひいっ……ぬからいれっ……♪」
快楽のあまり呂律の回っていない彼女に、俺は御伽噺で悪い呪文を教える邪悪な魔法使いの気分で囁く。
「孕ませてパパ、って言えよ……!」
「はらまへへぇっ……パパぁ、はらまへてぇ……あかひゃん、はらまへてぇっ!」
快楽に焦点を失った瞳で叫ぶベアトリスに、俺は満足して覆い被さり、そのままキスを重ねながら中出しを決める。
「んぅぅぅーーっ……♪」
ベアトリスはそれを甘く受け入れ、震える舌で俺の舌の侵略に絡みつきながら絶頂しつつ精液を受け入れる。
爆発的な量の精液が彼女の小さな膣を満たし、音を立てて隙間からプヒュッ、ブピュッと吹き出ていく。
落ち着くまで待ってからちんこを引き抜き、タライごと用意してあった濡れ手ぬぐいでベアトリスを拭いてやりながら、服の脱ぎ方や誘い方についてやんわりと教える。
「服を脱ぐにしてもな、雰囲気を大事にするんだ。乱交ならいざ知らず、これから一対一で愛し合おうっていうなら相手の反応を見ながら一枚ずつな。いくらすぐにでもセックスしたいからって、服はそこらに捨てるんじゃなくてちゃんとある程度後で着ること考えてまとめておかないと。あと俺、下着は俺の手で脱がしたい派だから」
「……細かいわね。お互いヤリたいんだから突っ込んでパンパンしたらいいじゃない」
「そういう物言いも男としてはあんまり嬉しくないの!」
「色々面倒なのねあんたも……」
ああ、ベアトリスが露骨にこっちをおじさん扱いしてる。
「あとさっきはああ言わせたけど、後でちゃんとヒルダさんに診てもらえよ。妊娠してたら困るだろ」
「え、なんで?」
「……なんでって」
「セックスって、子作り……でしょ?」
「……そうだけど」
ベアトリスが本気で何を言っているのかわからなそうな顔をしたので俺は何から説明したものかとこめかみを揉む。
「その……カールウィンでは相手とか選ばないもんだったのかもしれないけど、普通は子供産みたい相手を選ぶんだよ女って」
カールウィンの特殊な事情で、そもそも勇者であるベアトリスはセックスをする機会も必要もなかった。妊娠なんかしてる暇があったら、それより魔物と戦っていろ、ということだ。
そして、勇者でないカールウィン国民は一定の条件によって集められ、不特定の相手の子を産む。別に婚姻という制度はなく、育てるのも育児施設が別にあって親の仕事ではないので、セックスは本当に子を作るためにやる生産行為でしかない。
だから誰か特定の相手の子を選んで生殖し、産む、というプロセスがベアトリスの中に存在していないのだ。
それを説明するのに苦労する。
が。
「……べ、別にパパの子なら……妊娠してもいいし」
「……あのな」
「最初、腕治した時からそのつもりでやってたし……今さら妊娠するなって言われても」
「……ブライアンとか仲良かったじゃん。どっちかというとほら、子供作るならああいう」
「……その発想はなかったわ」
「え」
ベアトリスは真顔で言った。
「っていうか、ブライアン? え、ブライアンと子作り……私が?」
「何でそんなイヤそうなんだ……」
「……だってあいつ小うるさいもん」
「…………」
そういう扱いなのかよ……あんなに心配してくれてたのに不憫な。
聞かなかったことにしたい。
(続く)
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