いったん解散して、森で再集合ということで家に戻る。……よく考えたらポルカに帰ってきて男爵邸直行だったしな。
で、留守番してたナリスとテテス、ベアトリスに迎えられる。
「お、帰ってきましたか。おかえんなさいスマイソン十人長」
「お前最近宿屋暮らしじゃなかった?」
「いや、スマイソン十人長が空けるっていうならせっかくだから泊まってもいいかなーと。宿賃取られませんし」
「……まあいいけどね」
宿代くらい持ち出しじゃなくてガントレットナイツの経理に回したらどうか。バスター卿から正式に辞令回されてるんだし、そもそもポルカは田舎だから宿賃だいぶ安いんだし。
「おかえりなさいー。ディアーネ百人長どうでした?」
「どうって言われても……普通に頑張ってたよ。っていうかあの人、多少離れたくらいではちっとも影響ないし」
「ま、どちらかといえば飼い主殿がフラフラと冒険しておるよりは、安全なポルカにおる方がよほど奴めの精神の健康にはよかろう」
ライラが補足する。ああなるほど、と愛想笑いで応えるテテス。
「何か変わってた……?」
ベアトリスがおずおずと聞いてくる。手にはなんか雑な感じの布の筒を持っていた。
……もう片方の手に針とか持ってる。縫ってたんだろうか。
「変わってた……といや変わってたのかもしれないけど」
「ど、どう変わってたの!? みんなココみたいになってた!?」
「無茶言うな。ただ勇者いなくても大丈夫なようにドラゴンを常に哨戒させるように言ってきたのと、国政をデューク神官長……国王代理を中心に、こっちの官吏が動かすようになってただけだよ。市民レベルのことはまだまだこれからだ」
「……そ、そっか、よかった……帰ったら何もかも変になってたらどうしようって」
「変って……」
「だ、だってこっちの世界、何もかもわけわかんないもん……どこにそんなに食べ物しまってんのよとか、王宮でもないのに布があんなに余ってるとか」
「オレガノさんの服屋さんに昨日行ったんですよー」
テテスがフォローしてくれる。
ああ、それで縫い物か。
「何縫ってんの? っていうかテテス、縫い物とかできたんだ?」
「一応ってとこですね。ナリスちゃんの方がうまいです」
「ふふん。貧乏人ナメんなってわけですよ」
ナリスが珍しく得意げにする。
……あんまりそれ胸張ることじゃないぞ。
「縫ってるのはですねー。ぬいぐる……」
「わー! わーっ!」
急にベアトリスが大声を出してテテスに張り手をしようとしたので、テテスは冷静に針を向けて迎撃。
手に突き刺さる針。
「いっ……いたああああっ!?」
「ベアトリスー? 急に乱暴されると……私、こう見えて騎士なんで、痛い反撃しちゃうんだよねー?」
「な、あんたっ……!」
「恥ずかしいっていうのはわかるけど、ご主人様に隠し事とかできると思わない方がいいよー? 少なくともここでは絶対権力者だからね」
「いや、別にそこまで知りたいってわけじゃ……ああもう、ベアトリスちょっと手。ほら見せろ」
急に攻撃したのはベアトリス。テテスに怒るのもちょっと違う気がするので、とりあえずそれは後回しにしてベアトリスの手当て。
「痛いだろうこれ。ライラ、感覚幻影とかかけられるだろ」
「ほ。優しいことじゃのう」
「別にいいだろ。っていうか、お前がベアトリスに根に持つようなことあったか?」
「こんなもの、霊泉につければすぐ塞がるのに、いちいち手当てをしてやるのが甘いと言うておるんじゃ。刀傷に比べれば大したものでもあるまいに」
「だからって痛がってるのをほっとくな。……でもライラの言う通りだ。できるだけ早く温泉でも泉守りの所でも行ってきた方がいいぞ。すぐ治るから」
「そ、そういう……アンタのそういう変に優しいところが胡散臭くてヤなのよっ!」
バッと手を引いて胸に抱き締めるベアトリス。
「えー……」
「でもご主人様って大体こんな調子だよ?」
「まあちょっと情けなくてやたらエロいとこはあれだけど、優しいっちゃ優しいね、うん」
「やれやれ。とんだ野良猫じゃのう」
テテス、ナリス、ライラがベアトリスの感想にコメントする。
「とにかく、ベアトリスの作品がちゃんと出来上がるのを邪魔する義理はない。ゆっくりやってていいよ。……あとテテス、ナリス。一応居場所は伝えとくけど、俺これからアイリーナたちと一緒に森の温泉行くから」
「森の温泉?」
「なんですかそれ。銀の領地のあれじゃなく?」
二人は関知してなかったっけ。
「……あそこにいくんだったら連れてってよ。もう私、何度も行ってるし……こんな傷、街の女に見られたくないし」
ベアトリスは何度か治療で連れて行ってるから知ってるんだよな。
そして俺に入浴を見られるのは特に恥ずかしいことではないと思っている。
「なんなら二人も来るか? 温泉だから当然脱ぐわけだけど」
脱ぐだけじゃなく……と言外に含みを持たせる。
それを聞いてにっこり笑って「むしろ喜んで行きます」とばかりに頷くテテス、それとは対照的に微妙な顔でベアトリスをチラチラ見るナリス。
「……この子連れて行くんですかスマイソン十人長」
「何が不満なのよ」
ベアトリスがムッとした顔で言う。
ナリス、首を傾げて「うん? なんで私文句言われてるの? っていうかこの子って別に雌奴隷とかじゃないあれだよね?」という顔をする。
非常に説明は難しい状況なので疑問はそのまま持たせておくことにしよう。うん。
「んじゃ行こう。……その前にちょっと着替える。さすがに旅の後だしな」
温泉に入るにしたって、出た後に臭い服着ては台無しってもんだ。
「お手伝いしましょうかー?」
「いや、いいって。ついでにえろいこととかしたいなら温泉でやるから我慢しろって」
「ちぇー」
「なんかこー、テテスちゃんがすっかりガチエロ雌奴隷になってるのを見ると私悲しいや」
「ほ。ならばそなただけ居残るか」
「……エロってのはですね。常から全開じゃなくてたまに乗る分にはいいと思うわけですよ」
「ほほほ」
文句言いながらも離脱は拒否するナリスがちょっとかわいい。
森の中の温泉は着々と入浴設備が整い始めている。
「浴槽も最初の頃に比べると広くなったよなあ」
「水はけの確保が大変だっただよ。まあ工事したのはブルードラゴンの連中だっただが」
ちゃんと水の誘導路を掘り、近くに流れる川に霊泉水を出す。
それをしていなかったため、最初の頃は周りの地面が水浸しで、しかも霊泉水のために生育がよく、結果としてムワムワと濃密な緑の匂いが充満していたものだけど、それをきちんとしたためか随分空気も良くなった。
そして、石造りの浴槽もかなり広く確保された。
大きさで言うなら立派な大浴場……とまでは言わなくとも、公衆浴場と言っても差し支えない大きさだ。少なくとも十人やそこらが手足を伸ばして浸かっても、互いにぶつかるような広さじゃない。
湯量はそこそこ豊富なので、浴槽の広さをカバーしきれないということは全くない。
「むしろ広くて掃除が大変そうだなあ」
「湯垢に関しては、わざわざ手作業をしなくても除去できる魔法があるんですよ」
「へえ……さすがクリスティ」
「いえ、私のオリジナルスペルではなくて銀に伝わっていたものなんですが」
クリスティやアイリーナ、それにオレガノたち四人娘とジャンヌは、先に来て入浴していた。あとネイアも。
「これ最近作ったんですか? なんか古い遺跡みたいな石造り」
「木で作ると湯気で腐っちゃうからじゃない?」
ナリスとテテスは浴槽の近くに併設された大壁と、そこに作りつけられた石の棚に興味津々だ。
脱衣スペース、兼、森の外からまっすぐ来た場合の目隠しとして作ったものだが、どの石材も丹念にやすったような綺麗な表面を見せていた。
「ここらもブルードラゴンの仕事?」
「おおまかに石切って組むのはやってもらっただが、最後の表面仕上げはアタシがやっただよ」
「……この床とか壁とか全部?」
「んだ。綺麗にやればみんな喜ぶだで」
「すごいなジャンヌ」
「まだ壁一枚だ。将来はでっかい家にするだよ。アンディと雌奴隷のみんなが、えっちして酒飲んで泊まることもできるようなとこにするだ」
ジャンヌの野望は大きかった。
「ほ。それそれ、脱ぐがよい。いつまでも壁見物でもなかろう」
「ひゃっ、ちょっ、やめてくださいよ脱ぎますよ脱ぎますから!」
「みーんなもうすっぽんぽんなんだから、貧乳のナリスちゃんが出し惜しみしたって意味ないよ」
「うるさいやい! エルフ的には普通だって何度言ったら!」
「先に行くわよ」
微妙にこっちを気にして脱ぎ渋るナリス、もういつ裸になったのかわからないくらい自然に全裸になっているライラ、俺の隣についてきつつも可愛らしく脱いでいくテテスと、事務的かつ手早く脱ぎ捨てて何の遠慮もなく浴槽に向かうベアトリス。
「ここにいるだけで十人にはなるんだよなあ」
「全員集めちゃいます?」
「全員って言うにはさすがに狭いかな。入れなくはないけど」
そういやセレンとアップル、それにエマいないんだな。
「セレンたちとエマは?」
「セレンたちには子供預けてるだ。おっぱいやらにゃいけねえだで、こういう時は交代で見ることにするだよ」
「そっか。そういうのもありだな……っていうかドワーフとハーフエルフのおっぱいってお互い大丈夫なのか?」
「別に毒じゃねえってヒルダ先生も言ってただよ」
まあ、そりゃそうか。
「どうせピーターは誰のおっぱいじゃろうと見境なしじゃろ」
アイリーナが低い声で言う。うん。そうだよね。他に立派な胸の女性たちがいる中で、アイリーナが選ばれておっぱい吸わせる機会はほぼないけど。
「エマは?」
「一緒に残っただ。ドラゴンがみんな子供の守りを空けるのはよくないって言い張って」
「……エロにまだちょっと腰が引けてるのかな」
服を脱ぎ捨てた俺は、隣のテテスの腰を抱き……というか尻を撫で揉みつつ温泉に足を入れながら、エマをどうするか少し考える。ここからでも、ちょっと大きい声で呼べば多分届くよな。
……でも、やっぱやめとくか。既に俺のドラゴンになるって宣言はしてるんだから、無理に急いでエロに巻き込むことはないし。
「んんっ……ご主人様の手つき、ほんとやらしい」
「やらしくない手つきがいいのか?」
「もっといやらしく、穴とかいじってもいいんですよ♪」
俺にぴっとりとまとわりつき、恍惚とした顔で身を委ねるテテス。そしてそれを羨ましそうに見るエルフたち。と、若干不機嫌なベアトリス。
別にエマをここに入れなくたって、俺が足りないなんてことは全くないんだ。
「では、先ほどの続きをしようかのう」
「私も……」
ざぶざぶと、浴槽の中を泳ぐように寄って来るアイリーナとローリエが、テテスの尻の感触とみんなの裸体で既に屹立した俺のちんこに唇を寄せる。
それを変な顔で見ているベアトリス。
「……何してるの、アンタたち」
「ま、気にするな」
ベアトリスを雌奴隷にする気は今のところない。
でも、観客として刺激の種になってもらうには、ちょうどいい。
「私たちは、スマイソンさんとこういう契約を結んでいるんです」
ネイアがベアトリスの隣に移動し、少し妖艶に微笑む。
「……?」
「子供、産むんですよ。私たちみんなで……あの人の」
「へ……?」
ベアトリスは少し間抜けな声を出した。
(続く)
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