のどかな緑の草原、爽やかな風の中、小高い丘の草ベッドの上。
俺はなんともふわふわした気分でアイリーナに濃厚なキスを続けながら、下半身だけでクリスティを犯す。
「ん、んぅっ……はっ、スマイソン……殿っ……」
引っ張って強引にキスしたのに、ゆっくりと力を抜きながら中腰で俺に自分で吸い付いてくるアイリーナ。
「そ、んなっ……アイリーナっ……!?」
そして、そのアイリーナの「女の表情」に愕然としがらも、俺のツバつけただけの強引な挿入に悶えるクリスティ。
「っはぁっ……」
アイリーナは度々首を傾け変えながら、俺の緩慢な舌の動きに忙しなく反応を返してくる。
ちんこを包む暖かな膣の感触も、舌をくすぐる薄い舌の感触も、ひどく心地良かった。
「……言うておらなんだのは悪かった、クリスティよ……み、見ての通り、わらわはスマイソン殿に……その、カラダの方は全て許しておる。もはや子が宿っていても何もおかしくない」
「え、ええっ……!? まさかっ……あ、あなた、まだっ……そんな小さいのに」
「んむっ……ち、小さいと言うでないっ、ただ少し早めに成長期が止まってしまっただけじゃっ……150年も生きれば人間なら玄孫がいても良い年じゃぞっ……!」
「あ、そ、そうだけどっ……あぁんっっ……!」
なんかクリスティがごちゃごちゃとうるさいので、ゆらゆらと揺らす程度だった腰の動きを少し激しくし、強引に膣奥に侵入する。
ほとんど子宮をちんこの先でつつき続けるような深さで、俺は細かくカクカクと腰を振りながら、たこちゅーの口でアイリーナにキスの続きを要求した。
アイリーナはまだクリスティに何か言おうとしながらも俺へのキスを優先し、舌をしばらく絡めてからクリスティにまた言い募る。
「じゃからっ……な、何もそなたがそんな風に体を開く必要などっ……」
「い、いえっ、でもあなたの体じゃやっぱり子供はっ……っくっ……それに、氏族長自ら血を汚しては、どんなことになってしまうか……っく、あふっ……!!」
「それはそなたとて……んむ、ちゅるっ……んむぅ」
「わ、私は所詮名代だもの……それに、それなりには経験だってっ……」
「ふたりともうるせえ」
責めの強化にも黙らない二人をさらに激しく責める。
具体的には手を回して両者の尻穴に中指を突っ込んだ。
「はぅあっ♪」
「あ、やっ……!?」
アイリーナのパンツの中に手を入れてみてわかった。もうこの小娘濡れ濡れだ。
突っ込まれながらも微妙に集中しきれてないクリスティよりずっと具合が良さそうな感じだ。
……うん。
まあ、別に何も迷うことはない。俺が心地いいようにしてしまえばいいんだ。
「アイリーナ」
「ふぁ……っ」
キスと尻穴攻めで蕩け始めたアイリーナを見つめて、俺はクリスティの膣から強引にちんこを引っこ抜く。
「あぅんっ……!?」
そして、そのままアイリーナを抱き寄せ、パンツを必要なだけずり下げ。
「……す、スマイソン殿っ……♪」
「お前の方が淫乱そうだ」
「……か、かもしれんっ……♪」
クリスティをほっといて、そのままアイリーナの尻の間から膣に挿入。
「ふぁあっ……♪」
妙に嬉しそうな声を上げるアイリーナを抱きすくめ、立ったままズブズブと犯し始めた。
「あ、ああっ……」
クリスティはそれを驚いた目で見ている。
驚きの焦点はこの幼く見えるアイリーナがいともたやすく挿入されている事か、それともアイリーナがちっとも苦しげでも嫌そうでもなく、むしろ待ってましたとばかりの嬉しそうな表情であることか。
まあどっちでもいいや。心地いいから。
「アイリーナ……やっぱお前のまんこは淫乱で、窮屈でっ……すごくイイな……っ」
「そ、そなたの、せいじゃっ……そなたのっ……♪」
「なんか一生ここから出たくなくなってきた……エルフたちの気持ちがわかる……」
「え、エルフたちもなにも、わらわの中を知っておるのはそなただけじゃというにっ……♪」
「……ああ、そうだっけ?」
なんか色々と混線しているような気もするけどまあいいや。心地いいから。
俺はそのままアイリーナを腕の中に固定し、抱き締めたまま思うさま腰を振るい。
爽やかな風、美しい景色、暖かい日差しとクリスティの視線の中で。
アイリーナの子宮口に強く亀頭を押し付けて、射精。
「っく、はぁああああああっ……♪」
ひときわ悦楽に揺れる声を上げて、アイリーナも脱力する。
その別の生き物のように吸い付く膣に、ひとしきり精液を吐きつけて。
「おい、アイリーナ」
「…………♪」
若干トンでるアイリーナに嘆息する。
と。
「あ、あのッ……ご、ご満足で、ないの……ですか?」
クリスティが露になった胸を軽く抱くようにしながら質問してくる。
俺はクリスティを見て、フワフワした頭で頷いた。
「そ、それでしたら、また、私で……」
「……あー」
クリスティが胸を覆っていた腕を下ろし、おずおずと、しかし少しだけ期待した笑みを見せる。
「確かにお前も今は淫乱そうだ」
「い、淫乱……まあ、いいんですけど……」
俺は少し苦笑しているクリスティに再び襲い掛かる。
クリスティは今度は最初からやる気のようだった。先ほどはちっとも濡れていなかった膣がよく潤っている。
「あの、お手柔らかに……ひあっ!?」
何か言おうとしたクリスティの腰を掴み、バックから一気に挿入した。
先ほどは険しい岩窟の奥といった挿入難度だった膣奥まで、今度はヌルリと一気に入る。
「こ、こんなっ……」
「俺とアイリーナの汁でベトベトだからな」
「あぁっ……」
快楽に打ち震えるクリスティの肩。
「……もっとお前の体をよく見せろよ」
ふと思いつき、服をおもむろに引っ張る。引っ張って取れなかったので破り捨ててしまった。
「あ、ええっ……!?」
いい体だ。シャロンとまでは言わないが、出るところは出て締まるところは締まってる。
胸はアイリーナに比べればしっかりと母性的だがそこそこの大きさ。オーロラよりは大きめ、という感じか。
その全体的にしなやかな印象の美しい裸体が、無防備に太陽の下に晒されている光景。それが、俺をぼんやりと興奮させる。
「汗だくになるまで犯したくなるいい体だ」
「やっ、そんなっ……はぁぁっ……あ、あぁっ……!!」
俺は腰を振り始める。
…………。
しばらくして、俺はふと自分がしていることに疑問を持つ。
爽やかな風、うららかな日差し、花の香り。ここまではいい。
目の前には二度の強引な射精を受け、すっかりヘトヘトになって犯されるがままの全裸のクリスティ。周りには彼女の服の残骸。
そしてさっき犯したまま、半ケツ晒して寝転がっているアイリーナ。
放置されたままのランチとお茶。
「……え?」
血の気が引いた。
ちょっと待ていくらなんでもこれはマズい。
「う、うわっ……お、俺、なんてことを……っ!?」
慌てて犯していたクリスティからちゅぽんとちんこを抜く。
その膣の中から泡立った精液と愛液のミックスがでろりと零れた。
「スマイソン……さんっ……ああ、お茶の効果がもう……♪」
ボーッとした声で言うクリスティ。
「お、お茶の効果……!?」
「そなたは、まあ、被害者じゃ……気にするな、と」
中途半端に高まっていたちんこに、アイリーナが横からおもむろに吸い付く。
そのお茶とやらの効果か、それともアイリーナのワザか、俺のちんこはほどなくしてすぐに絶頂。
アイリーナの口の中に精液を吐きつける。
「……んぐっ……ん、んくっ……」
アイリーナはそれを必死に飲もうとしていた。吐いていいのに。
「申し訳ありません。北の森特産のカネツキ草という野草がありまして、お茶のちょっとした風味付けに使っていたのですが……人間族にはあまり耐性のない幻覚作用がありまして。ごめんなさい、知識としては知っていたんですが、桜の氏族で人間族にお茶をお出しすることなんてほとんどないもので、チェックし忘れてしまって……」
服がほとんどボロ布になってしまったので、裸のままのクリスティに申し訳なさそうな顔で謝られる。
「……い、いや、それはお互い様というかなんというか、レイプの方が明らかに酷いし……てか、アイリーナお前『毒蛇の眼』とかでなんとかできただろ」
「……ふむ。言われてみれば……まあわらわの方をずっと犯しておけば済んだ話じゃが」
「済まねえよ!?」
とりあえずクリスティに平謝り。
「本当にごめんなさい許してくださいというのもアレだけど許してください、できることはなんでもするんでポルカになんかしようとかそういうのはマジでマジで」
「いえ、まあ、えっちしたこと自体は割とどうでもいいといいますか、私も久々で少し夢中になってしまいましたしその辺は合意ということで……」
「……あー、えーと……」
それでいいんだろうか。強姦と言う事を帳消しにしても、一応氏族の代表者を欲望のままにお外でひん剥いてアレコレはかなりヤバげなんだけど。
「まあクリスティが良いと言っておるのじゃから収めておくが良い」
「……いいのかなあ。いきなりひん剥いて青姦とかかなりアウトな気もするんだけど」
「う、うーん……確かにお洋服を破られてしまったのは少し悲しいですけど……それだけは気をつけてくださいね?」
それだけなんですか問題は。
「まあ外でのまぐわいはエルフにとってはそれほどタブーではないからの……まあ、人目のないこと前提じゃが」
エルフすげー。是非見たいぞ。
「……それにしてもスマイソンさんの激しくて情熱的な愛し方は刺激的でした……♪ 空色の姫やアイリーナが夢中になってしまうのもわからなくはないです」
クリスティは犯されたことは全然堪えていないどころか、普通に笑顔でそんなことを言い出す。
この人もすげー。
「クリスティはバツ2じゃからの。まあ……ああいうものと思っておったほうがよいぞ」
「は、バツ2?」
「仕事もできてこれだけの器量良しじゃ、400年も生きておって嫁に取ろうという者がおらんわけがないじゃろ。……まあ、桜に限らずエルフの男はプライドが高い者が多いからの。デキ過ぎの上に懐の深いクリスティに耐え切れず、二度とも数年で別れてしもうたのじゃが」
「こーらーっ。あまり人のことぺらぺら喋らないのっ」
「くくく。そなた、わらわがイッておるのを良いことに、二度目は必要でもないのに自分から誘っておったではないか。仕返しじゃ」
「スマイソンさんが不満そうだったのだから良いじゃないっ」
平和にじゃれあってるけどクリスティをどうやって帰すんだ。難問だぞ。
「またいつでもいらしてくださいね♪」
と非常に寛大な言葉をいただきつつ、結局アイリーナのマントを渡して桜の氏族庄をあとにする。
「あ、あれでも忙しい女なのじゃから額面通りに受け取って足しげく遊びになど行くでないぞ?」
「それ以前にお前がいないと俺は森に入ること自体不可能なんだけど……」
「うむ。それでよし」
なんだか尊大に頷くアイリーナ。
次は……。
「橙などどうじゃ。武芸達者の多い面白い雰囲気の氏族庄なのじゃが」
「勘弁してくださいゴルクスんとこまで腹に精液入れたお前連れてくとか俺に殺意ありますかアイリーナ様」
「ほほほほ♪」
注ぎ入れたのは間違いなく俺なんだけどさ。なんでアイリーナが勝ち誇るのこの状況。
結局、来たのは赤の氏族庄。
泊まったことも連日の宴会で歓待されたこともあるし、中継地点として何度も訪れている銀に次いで俺には馴染みある場所と言えよう。
「さて。赤の名物というと……」
「料理は美味いな」
今しがた桜の氏族の極上一角馬ハムを食ってきてその場で言うのもなんだが、赤の氏族庄の料理は少なくとも例の謎フルーツをなんにでも使う銀料理(美味いことは美味いけどなんでも甘酸っぱいので飽きる)と比較すると随分トロットの料理に近くて良い。
同じ外縁部の氏族とはいっても、積極的に外の文化を取り入れる改革派とあくまで保守派の差があるんだろう。
「とはいえ、あのサンドイッチの後にまだ日も傾かぬうちから食事をねだりに行くというのもナンじゃの」
「だな」
まだまだ腹の虫も鳴かない。
「ならば赤の新氏族長にでもご機嫌伺いに行くとするか」
「新氏族長……そういやディエルはもう違うんだっけ」
「うむ」
一度、魔物領探索の依頼をされた時にちょっと見たはずだが、正直言って顔を覚えるどころではなかった。すぐにフェリオスが斬りかかってきたし。
「一応覚えよう。……そういや銀の新氏族長も知らない」
「まあそっちはそのうちでよいじゃろ。いずれポルカから森に出入りするならどうしても会うことじゃろうし」
「うん」
二人でのこのこと元・ディエル屋敷に向かう。
「初めましてではありませんが、こうしてしっかりとした親交を暖めるのは初めてのようなのでよろしく。俺が赤の氏族長のマルクと申す者であります」
若干背の低いエルフ青年が新しい赤の氏族長。
俺より5センチぐらい低いだろうか。エルフ男は長身が多いので、ちょっと珍しい。
それはいいけど敬語が適当すぎて腹がもにょもにょする奴だ。
「よ、よろしく。アンディ・スマイソン十人長だ」
「少し領内を散策させてもらうぞえ。彼が森をよく知らぬというでのう」
「は、了解っ。そ、それはともかくアイリーナ様……いや呼び捨てでいいんだよねもう俺氏族長だし。この間送った木彫りの像は気に入ってもらえたですか」
「そちは呼び捨て以前に真っ当な言葉遣いを誰ぞに習え阿呆」
アイリーナが不機嫌そうに突っ込んだ。よかったやっぱりエルフ的にもアレだったんだ。
「だ、だって俺エルフ語しかっ!」
「氏族長ともあろう者が森の外の言葉ができんでどうする。銀では子供でさえトロットの言葉を喋るというに赤の長がこれでは先が思いやられるわ。あとあの像はなんだかわからぬのでゴルクスにやった」
「う、うわーん!」
勉学が得手でないのはわかるがいくらなんでもちょっと弱すぎないかマルク君。
マルク君から一角馬使用の許可を(アイリーナが半ば強引に)取り、牧場に歩いていく。
「あのマルクという男は生まれがちょうどわらわと数年違いでのう」
「あれで!?」
打たれ弱すぎて、てっきり俺より年下かと思った。
「昔からわらわに色目を使ってきおる」
「……それがその、贈られたっていうなんかの像?」
「おそらくは馬か何かのようじゃったがランバージャックグリズリーにも岩人形の死に際にも見えた」
「……不器用なんだ」
「ゴルクスは『今まさに死の淵から蘇らんとする聖獣のいななき』とか名付けておった」
「……ゴルクスが見た死の淵の聖獣ってあれだよね、肉スライム」
つまりよくわからないというアイリーナの指摘は正しそうだ。
「というかそんなぶきっちょで言葉もアレっぽい奴、氏族長に据えて大丈夫なのか赤」
「あれでも武勇はディエルに迫るという評判じゃ。岩人形程度なら剣一本でなんとかなるというし」
俺の周りではそれほど怖がられていないが、岩人形は普通の歩兵では十人がかりでやっつけようというレベルの魔物だ。
つまりマルク君はちびのくせにエースナイトにも近いらしい。まあアンゼロスも小さいけど。
「それに氏族を盛りたてようという意欲だけは誰にも負けぬ。じゃからこそ、ディエルも指名したのじゃろう。多少不器用でもなんでも、周りがなんとかすればよい。今は意欲が最重要な時期じゃてな」
「それなりに評価してるんだ」
「あくまでそれなり、じゃ。奴の求愛はゾッとしない」
「……俺には平気でアレコレされるくせに」
「へ、平気ではないっ……そ、それにそなたは、あ、相性が良いし……時々は頼りになるではないか」
もじもじと顔を赤くしながら言うアイリーナ。可愛い。
思わず抱き締めそうになる。が、桜の氏族でも大失敗した後だ、慎重に周りを見渡して……。
……って。近くの木立の影から顔がいくつか覗いている。
「…………」
一本の木の陰から、黒い長耳、長い黒髪、綺麗な赤毛、古ぼけた帽子の鍔。
なんか童話みたいだ、と思った。
「えーと」
「?」
俺が冷めた声で何を言おうか迷うと、アイリーナも振り向く。
多分俺と同じような表情。
「……なにしとるんじゃそなたら」
「ディアーネさん、ライラ、オーロラ。あとネイア」
四つのシンボルがビクリと動いた。
そして、おずおずと出てくる。
「……アイリーナ。アンディを連れて案内していたという話は聞いたが」
「それだけではないのでしょう?」
気まずそうに、それでも威厳を保とうとするディアーネさんと、にっこり笑いつつ猜疑心丸出しのオーロラが問い掛けてくる。
「う……ま、まあ、何の話かは知らぬが、スマイソン殿が不自由するようなことにはさせておらんはずじゃぞ?」
「…………」
「…………」
変な顔で黙るディアーネさんとオーロラ。ああなんか良くわからないが良くわからない勢いで伝わってるぞ。何かが。
「ほ。さてさて、まあ何をしていたかは我は問わぬ。しかし何処に行こうとしておったのじゃ。馬なんぞより我の翼の方が速いぞえ?」
「い、いや、どうせここに来たんだから聖獣にでも会いに行こうかと思っただけで」
「ほほほ。なるほどなるほど」
頷くライラ。その横にいたネイアが愛想笑いしつつ。
「あの、ライラさん。ちょっと前から疑問だったんですけど翼とか飛ぶとかどういう……マイアさんの話ではないですよね……?」
「よしよし、ちとばかり分け前が減るが、たまには派手にいくのも良い。乗るが良い、我が飼い主殿」
ライラはバッと服を脱ぎ捨てる。
ギョッとするネイア。他はもう慣れて反応なし。
そして、脳だけに響く幻影衝撃。
ズン、と赤の氏族庄の端にブラックドラゴン大出現。
「え、えー!?」
ネイアがよろけて帽子を取り落とす。
……そういや、ライラがドラゴンだって知らないんだっけネイア。
「乗るぞ。……まあ、今日ぐらいは大目に見るさ。もう抜け駆けはするなよアイリーナ。……少し心配したんだからな」
「たまの休暇、愛するわたくしのご主人様と過ごさせていただけるのなら……まあ、わたくしも帳尻を合わせましょう♪」
「あ、あのっ、ドラッ……それも、黒ってたしか火竜……!?」
「良いから乗らぬか。つまんで飛ぶぞえ」
「ひっ!? あ、の、乗ります乗りますっ」
俺とアイリーナはライラの手に乗せられてその背に運ばれる。
……はあ。アイリーナとふたりっきりの気ままな休暇も、最初はどうかと思ったけどこうして見ると少し惜しいな。
でも。
「まあ、赤の名物が聖獣迷宮なら……スマイソン殿の『名物』は、この賑やかさじゃな」
「どーゆー言い方だよ」
「わらわは嫌いではないぞ♪」
俺はライラの背のトゲに手をかけ、アイリーナは俺に抱きつくように掴まった。
「ゆくぞえ!」
黒い翼が空を打つ。
(続く)
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