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 で。
 やせ我慢という奴は長く続かないからやせ我慢という。やり通せたらそれは実力だ。
「……ヤバい、足腰ガクガク……」
 セレンのエロ医療光術も断り、双方無限ループで求めてくるセックスを重ねれば、そりゃ俺も影では自分のひ弱さを痛感することになる。
 だってそもそも俺は丸一ヵ月半も歩かない生活をしていたのだ。その後にちょっとハードな冒険があったとはいえ、そうそう簡単に俺は無敵の体力を手に入れられるわけがない。
 これもいつかは克服できるんだろうけど、いつでも回復が効くポルカからバッソンに帰った後、俺は毎日を健康に過ごせるんだろうか。いつかギックリ腰とかになるんじゃないかと気が気じゃない。
 というわけで俺は少しでも身体的苦痛を和らげるために温泉に向かう。
 と。
「っと」
 途中で温泉から帰ってくる途中のアンゼロスたちに出会う。
「どうしたアンディ、足取り変だぞ」
「お、お前ほどじゃない」
 アンゼロスは足首や手首に痛みが残っているらしく、時折ビクッとふらつく変な歩き方をしている。
 まあそれも今日明日には治ってしまうんだろうけど。それが霊泉の力だ。
「クンクン……匂うのう」
「匂うだな」
 ライラとジャンヌが俺に顔を近づけて、納得顔。お前ら動物か。
 ……あんま違わないか。
「あ、あーそーだよっ。セレンやアップルとちょっとしてきて腰が痛いからだな!」
「んー。ちょっと待ちなさいアンディ君」
 ヒルダさんが肩を竦め、やれやれという仕草で俺の前に立ちはだかった。
「何回したの?」
「い、いいじゃないですか何回でも」
「数え切れないほど?」
「……6回です」
 あまり回数を言うのは憚られる。だって「ズルい、自分たちにも3回ずつ」とか言い出しかねないし。
 けど、ヒルダさんはちょっとだけ口をヘの字にして、こめかみをくりくりと人差し指で抑えて思考モード。
 そして。
「歩けてるわよね」
「そりゃまあ」
「それならちょっと来なさい」
「……え、ええ、そっち女湯!?」


 南方最新の鍛錬医学理論によると、筋肉を効率よく鍛えるのに最適な鍛錬法は、故障しづらい環境で、力尽きるギリギリまで力を使い切った後、休息や回復措置を行うのがいいらしい。
「ボロボロになった肉体は、次こそは同じ負荷を許容できるようにちょっとパワーアップして治癒する。この現象を利用するには霊泉で癒される前に、アンディ君はもーちょっと頑張る方がいいわよねー?」
「ほ。そして今のところ、そなたが抱える女体の数はマイア含めて九」
「できれば一日一回ぐらいずつ犯すのがご主人様の甲斐性って奴だなや」
 うんうんとライラとジャンヌが並んで首肯する。相変わらず仲いいですね。
 それにヒルダさんも頷き返して、ピッと指を立ててみせた。
「さて問題です。ここにアンディ君の雌奴隷が4人います」
「異議あり。貴方に奴隷になって貰った覚えは」
「シャラップ」
 黙らされたぞ。理不尽な。
「で、アンディ君が現在までにこなしたのは6回」
「…………」
「足して10。近似値だと思わない?」
「……せめてここじゃないところで」
 温泉、女湯、更衣室。
 みんなすっかり服を脱ぎ、俺がやるよと言うのを待っている。
 否。一人、服を脱いで待っている、という言葉で表現すると語弊がある奴がいる。
「むー! んむー!」
 アンゼロス。手ぬぐいで猿轡を噛まされ、裸で縛り上げられて宙吊り。
「……なんでアンゼロス縛るんですか」
「えー、だってアンゼちゃん手足にヒビが入ってるから下手な体位だと痛くて可哀相でしょ?」
「正常位という選択肢は」
「それにアンゼちゃんも雌奴隷なら縛りプレイぐらいこなせなきゃ駄目じゃない?」
「俺的にはそーゆー観念ではないんですが」
「むぐー! むぐー!」
 可哀相なのでアンゼロスの猿轡を外してやる。
「ぷはっ……ひ、ヒルダさんっ! 縛るのはともかくここじゃないところでっ!!」
「……縛るのはいいんだ」
「だってここ、いつ誰が来るかっ……!」
「もー、アンゼちゃん、アンディ君になら人前で犯されてもいいとか言っちゃってたくせに」
「そ、それはっ……でもっ!」
 顔を赤くするアンゼロス。
 というか。
「そもそも、女風呂の脱衣場で女の子縛り上げて犯してたとかいうのを目撃されて一番痛いのは、ジモッティーで男の俺だと思うんですが」
「シャラップ」
「いやいやいや!」
 黙れといわれて黙っていい問題じゃないです。
 が、にーっとヒルダさんとライラは笑う。
「ほほ。アンゼロス、そなたも幻影が使えるはずではないか」
「自分で隠せばいいじゃない♪」
「い、いや、僕の幻影ってまだ一瞬錯覚するぐらいしかっ!」
「ほ。ならば見られてしまうのう」
「KIAIでなんとかしよー☆」
「ふえええっ!?」
 ……アンゼロス泣きそう。
 泣きそうなのは俺も同じ。
 だけど、この人たち引く気はないようです。
「題してアンゼちゃんパワーアップ大作戦!」
「ポロリもあるだよ!」
「ほ。楽しみじゃのう」
「ない! 絶対ポロリとかありえない!」
 ……やるんですか。
 やるんですね。
「う、うぅ……ごめんアンディ、付き合わせ……って何そんなノリノリにブッ勃ててるんだよ!」
「い、いや、アンゼロスの縛られ姿結構イイなーって」
「こ、このっ……! もういいから早く入れて終わらせろー!」
 ヤケクソアンゼロス。
 ……でも本当、わりとイイんだよなあ。マッパで髪も下ろしてるアンゼロスって意外とお嬢様然としてて。
 縄、似合う。
「いただきます」
「あーもー召し上がれ!」

(続く)


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