縄で吊られたアンゼロスにキスをする。
 宙吊りといっても最初から俺に犯させることを考慮しているので、腰の高さで吊り上げられている。そのアンゼロスとキスすることになると俺もしゃがみこんで、というかほとんど座り込んで顔の下に潜りこむような形でのキスになった。
「んぐ……ん、んん……ば、馬鹿、こんなキスなんていいから、早くっ」
「早く?」
「早く入れて中に出せっ!」
「随分殺伐とした事言うなぁ……」
「な、長々と楽しんでられる状況じゃないだろっ!!」
 赤面して必死なアンゼロスに怒られた。
 確かにそうなんだけど。
「でもせめてお前もちゃんと準備できてないと、ただでさえ不自由なのに余計手間かかるだろ」
「じ、準備なんていいからっ! ホントにいいからっ!」
「駄ー目ー。というかお前、早くしたところで、幻影使う前に終わってあいつらが解放してくれると思うか?」
「…………」
 ニヤニヤしているエロ女医と変態ドラゴン。
「……じゃあ……尚更さっさと入れろ」
 アンゼロスは変にこだわる。
「なんでだよ」
「ど、どーせな、お前に犯されて僕がいつまでも硬いまんまでいられると思うか」
「……自分で言うなよ」
 要約:どうせ犯ってるうちに濡れてほぐれるんだから同じだ犯せ。
 そういう乱暴なことはいじめる側が考える言い草であってな?
「それに……お前が僕に射精して、それでも誰も来なくてノーカンだっていうならそれもいい」
「?」
「ライラやヒルダさんの分まで僕一人で絞り尽くすまでだ」
『なっ!?』
 アンゼロスのヤケクソプランにギョッとするヒルダさんとライラ、あとジャンヌ。
「そ、それは困るのう」
「だけど、だからって手放しでほどいであげるのもねぇ……」
「……そうだ、とにかく早くよその人呼んでくればええだよ!」
「ジャンヌ!?」
 俺とアンゼロスが驚愕する。どこまで追い詰めれば気が済むのか。
 というかそんなに俺とアンゼロスのアブノーマルセックスの現場を見せ付けたいのか。何か見失ってないかそれは。
「と、とにかく早く入れろってばアンディ!」
「そ、そんなこと言われてもな……」
 アンゼロスの尻の側に回って無理矢理ネジ込もうとするが、腰の位置調節が普通のエッチの時と違って不自由で、うまいこと入れられない。
「うぅ……それになんだか状況が切羽詰まりすぎてて……」
「何萎れてるんだ馬鹿ー!?」
 ちんこが半勃ちぐらいまで萎縮していた。
 どんどん状況は悪くなる。状況が悪くなるにつれエロって気分でなくなっていく。
 これがそれこそエルフ領だったら、それこそ旅の恥はかき捨てでいいんだけど。
 ポルカはそれこそ互いに端から端まで顔を覚えてまだ余裕の田舎だ。見られたが最後、きっと酷い噂が立って、親父たちが連綿と築いてきたスマイソン家の評判が地に落ちること請け合いだ。
 そういうところで自分が変態でーすとカミングアウトできるのは人生捨てた奴かホンモノさんだけだ。俺はまだ人生捨ててない。
「うう」
「アンディ……」
 アンゼロスがもどかしそうに身をよじる。
「面白くなってきおったのう」
「ライラ……俺がポルカにいられなくなったら覚えてろよ」
「ほほ。なに、我と一緒の人生じゃ、どこでも天国じゃぞえ?」
 駄目だこいつは。
 と、そこでガチャリと脱衣場のドアが開き、ジャンヌが住民を連れて戻ってきた。
「ただいまだよー」
「…………」
 きょろきょろしながら入ってきた子は、……丸いアクセサリーのような角を額の左右に生やした幼い女の子。
「あら、サラちゃん」
「あ……ヒルダ先生、おかえりー」
 ジャッキーさんちの娘さんだ。
 ……なんでヒルダさんと仲良しなのかはともかく、正直見られたくない度ではかなり上位。
 俺はアンゼロスの尻を掴みながら身をすくめていた。
 ああ、終わり……。
 と、思ったが、吊り下げられたアンゼロスにへっぴり腰で取り付いている俺には目もくれず、サラちゃんはすぐ近くの服入れの籠に上着を放り込み始める。
「男爵様を取り返しに、森のエルフをやっつけにいったって聞いてたから、心配したんだよ」
「ふふふ、だーいじょぶよ。ディアーネは本当にすごいんだから」
「ほほ。まあ、そなたがおらねば積む場面もあったではないかえ」
「そうかしら。でも、まあ、アンディ君は味方に恵まれてるからね。きっとなんとかなったわよ」
「やっつけたの? 森のエルフ、もうこない?」
「やっつけ……てはないけどね。いえ、もうこれからは仲良くする時代よ」
「?」
「サラちゃんがここでみんなと仲良くしていけるなら、きっと森のエルフとだって仲良くできる時代なのよ。セレスタ人の先生とサラちゃんが仲良くするみたいに、みんな新しいお友達になればきっと楽しいじゃない」
「……そう……なのかな?」
「そうなの」
 なんだかサラちゃんとヒルダさんがとてもいい話をしているっぽいんだが、石のように固まって気配を殺している俺はそれどころではない。
 が、サラちゃんはさっさと躊躇なくすっぽんぽんになると、ヒルダさんを引っ張って温泉の方に行こうとする。
 やっぱり俺たちには気づいていない。
「……ど、どう……なってんだ?」
「……僕の幻影が、通じた……かな?」
「なんだ……やればできるなアンゼロス」
「はは……心臓止まるかと思った」
 アンゼロスの頭をわしわし撫でてやる。縛り上げられてるにも関わらずちょっと嬉しそうなアンゼロス。
 が。
「ほほ。しかし、せっかく隠れられてもアンディの腰の訓練が成らぬならそのままじゃぞ?」
「…………」
「…………」
 ライラの宣告に再びげんなりする俺たち。
 アンゼロスも縛られたまま肩を落とす。器用な。
「こ、この状況で続けるのは無理がないかなあ」
 脱衣場のどの辺で吊られているかというと、温泉側の隅っこだ。
 つまりサラちゃんたちからまる見え。
 いくらなんとか隠れられたからとはいえ、いつ見つめられるかと思うと気が気じゃない。
 が、アンゼロスはしばらく肩を落としていたかと思うと、俺に振り返ってこう提案した。
「逆に考えろアンディ」
「……逆?」
「ここはお前の家だとする」
「……うん」
「お前の家で、僕とお前がエッチする。これは当たり前のことだよな」
「そ、そうか?」
 微妙なところだ。
「それをあの女の子がこっそり覗いている……と思えばどうだ?」
「全然良くねえよ」
「あくまでそういう想定だよ。……その、えと……つまりだな?」
 アンゼロスは少し体を揺すりつつ、照れた顔で言う。
「……どうせ隠れきれてるなら、スリルを楽しんで抱いてくれないと、やった甲斐がないじゃないか」
「スリルって……」
 まあ確かに過剰にスリリングだけど。
 キッチギチに縛り上げられた美少女が、自分から犯して犯してと俺に求めているところを、誰に見られてもおかしくないシチュエーション。
 しかも知り合いの娘さんがたった数メートル先で無邪気に入浴している。
 そんな中で、こんなハードコアな状態の娘にチンポ突っ込む。
 突っ込んでる横で、のどかな入浴。
 ……うむ。
「もしかしてアンゼロス、本当はこういうの好きなのか?」
「こ、こういうの?」
 そりゃ誰だって社会的に破滅したくはない。しかし、アンゼロスもライラもオーロラもセレンも、そうして破滅したっていいという言葉で俺への依存を表現している。
 だが、そこまで突っ走るばかりでなく、見つかると見つからないの間でスリルを楽しむ、そんなギリギリの快楽っていうのもある。
「見せる」前提じゃなくて、「見られるかもしれない」の快楽。
「見せたくないけど見られたい、見られてるかもしれないけどやめないスリル。後ろめたい隠し事みたいなエッチ」
「……そ、そんな……うぅ、でも、ちょっといいかも」
 この辺、割り切れない感情と割り切る感情の切り分けが微妙なところ。
 多分ライラならお前の恥ずかしいところを他人に見せつけながら犯らせろ、と言ったら喜んで従ってしまうだろう。
 それに抵抗を示すアンゼロスだが、そういうのにギリギリといえる状況には興奮している。
 見誤ってしまうところだが、アンゼロスはあくまでその辺、ホンモノではない。
 そしてそういう「落ちていない」バランス感覚は、決して悪いものではない。
「お前も難儀な変態だよな……」
「あ、アンディほどじゃ……うぅ」
「縛られて犯されるのはOK、濡れてないのにチンポ突っ込まれて無理矢理馴染まされるのもOK、見られるかもしれないところでエッチするのもいい。本当に見られるのは嫌だけど、でも期待してるんだろ?」
「……し、してる」
「チンポ欲しいんだろ?」
「……欲しい」
「ほら変態。普通の女の子なら泣き喚くぐらいの変態シチュだぞ」
「しょ、しょうがないだろっ……だ、だって僕、そんなんでガチガチにしてるお前の女、だぞ?」
「…………」
 言われてみれば、いつの間にか完全勃起していた。
 アンゼロスと念入りに状況を楽しむ下地を作ることで、ようやく心理的に準備ができたってことだろう。
「変態」
「お前のせいだ」
「チンポ狂い」
「それもお前のせいだ」
「マゾヒスト」
「……否定できない」
「精液便所のマンコ奴隷エースナイト」
「……まんまじゃないか、なんて言って欲しいんだ」
「……愛してる」
「ここでそーゆーこと言うからお前は卑怯なんだ」
 ズブリ、とアンゼロスにちんこを押し込む。
 縛り上げられたほそっこい肢体がビクンと強張る。
 が、状況と俺の言葉にたっぷりと嬲られたおかげか、思ったよりも中にはたっぷり愛液が溢れていて、挿入はスムーズだった。
「ぅくっ……」
 うめくアンゼロス。
 基本的に今はアンゼロスは少しも自分で動けない。反作用を得られる地面にも壁にも手足がついてないので当たり前だ。僅かに腰を上下に揺らすことはできるが、基本としてはあくまで宙に吊られた肉穴だった。
 そのアンゼロスの体の向きだけを手で揃え、ゆっくりとギシギシ吊られたままに振り子のように腰で押し出す。
「っく、あっ……アンディ、もっと、激しく……っ」
「優しくじゃなくて?」
「こ、こんなスローなの、もどかしいばっかりで、やだぁっ……」
「激しくしたら縄が食い込むぞ?」
「いいから激しくっ……子宮、突いてっ!」
 アンゼロスが懇願するので、より早くペースアップ。
 自分の腰の突き上げよりも激しくアンゼロスの腰を引き戻して、衝撃を激しく早く強く与える。
「……っ、きぅ、く、うぅ、んぅぅっ……これ、これぇっ! アンディ、好き、大好きっ……僕、僕の、子宮、もっとっ♪」
「……どこに出して欲しい?」
「い、言わなくたって、わかるだろっ……お前、外に出したこと、ほとんど、ない、じゃないかっ……♪」
「いや、たまには出してみようかなーって」
 ここまでパーフェクトに穴奴隷状態だと、ぶっかければパーフェクトにいやらしい絵面になりそうな気がしている。
 身体中から精液滴らせながら全身に縄を食い込ませ、恥ずかしいところ全開で宙吊りで揺られるアンゼロス。
 ……割とゾクゾクする絵だ。
 が。
「やだ、やだぁっ……中がいい、子宮にくっつけて出してよぅっ……僕のおなか、お前の精子袋なんだから、ちゃんと入れてっ!!」
「……こんなカッコで受精したいのか?」
「したいっ!」
 ……即答するアンゼロス。
 そうまで言われてはさすがにこぼすわけにはいかない。
 俺はアンゼロスの体を掴み、思い切り揺さぶって突きまくる。
 アンゼロスは懸命に膣を締めながら、俺のその突き上げに舌を出して悦んだ。
 そして。
「っく」
「ふぁ……ふぁあっ……あ、熱いぃっ♪」
 ドクン、ドクン、ドクン……と、射精。
 髪を振り乱しながらそれを感じ取り、ビクンビクンと痙攣するアンゼロス。
「……メチャクチャ幸せそうな顔すんのな」
「……そう……かぁ……?」
 アンゼロスの呆けた顔を引き寄せ、抱き上げるようにしながら後ろから覗き込むと、アンゼロスは薄く微笑んで俺に額を擦りつけてきた。


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