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で、アンゼロスとライラは温泉療養。
二人とも未だに聖獣戦のダメージが抜けないらしい。
……まあ数回銀の氏族領の霊泉から水を運んできてもらって飲んではいたんだけど、それだけで癒えるほどダメージが低くなかったということだ。
ライラは外傷は完治しているが、それを癒した分の体力が戻らず、最近ちょっと元気がない。
アンゼロスは調べてみたら衝撃波の食らい過ぎ&打ち過ぎで全身の骨に少しずつヒビが入っていたのでこちらも要注意ということだった。
ヒルダさんとジャンヌはそれぞれの付き添い。オーロラとディアーネさんはアイリーナと茶飲み話に行っている。
そして、宿屋にはセレンとアップルの二人が残った。
「そーいえば、アンディさん」
食後のお茶を飲む俺に、セレンが絡んでくる。
「な、何?」
何かマズい約束でもしたっけか、と一瞬ビクッとする。
いやなんとなくだけど。
「最近ー、ノルマこなしてませんよね?」
「ノルマ」
……数秒考える。
もしかしてエッチを実地で鍛えるノルマとやらのことだろうか。
「あ、えーと、足腰のことならそもそもまだノルマ切ってないと思うんだけど」
「そうでしたっけ?」
あれ以来何度か言及されてはいたが、結局は「鍛えよう」と言うばかりでノルマそのものは設定してなかったはずだ。
「じゃあ今決めましょう」
「……えー」
別に無理に決めることないと思うけどなあ。
どうせやるときはやるし。
「あ、アンディさん。私も決めて欲しいです」
「アップル?」
珍しいな。アップルがこういう話題に積極的に絡んでくるなんて。
「その……わ、私、これならお役に立てると思うんです」
アップルは割と真剣だった。
「今回の事件で、私、なんかただそこにいるばっかりで……男爵様さえ戦ってたのに、私、なんにもしてなくて。私、なんかそれがすごく悲しくて」
「い、いや仕方ないじゃん。アップルは普通の子だし、好き好んで巻き込まれたわけじゃないし」
他が無闇にすご過ぎるだけで、アップルがすごくないのが悪いわけでは全然ない。
男爵はただのスケベ親父に見えるが根は結構しっかりしてるし、ポルカ出身者で初の剣聖号獲得者でもある。ディアーネさんやライラは言うに及ばず規格外だし、アンゼロスやオーロラも剣の才能でいえば何十人に一人ってレベルなのは間違いない。
というか、そもそも迷宮に放り込まれて怖気づくこともなく戦えるっていうのが既に普通ではない。
ちゃんと訓練を受けた歩兵隊所属の正兵でさえ、迷宮探索任務では一人での行動は厳重に戒められる。ただの市民は迷宮なんて入ったところで何もできずに逃げ惑うしかないのが「普通」であって、あんなに立ち回れるのは常識外だ。
無論、斬り合い殴り合いは不得意とはいえ、セレンもそういう意味では異常。
なんにもできなかった俺やアップルは、その意味で決して文句を言われるものではない。
アップルは理不尽に、自分にはどうにもできない事情で狙われて巻き込まれただけなのだ。途中からはむしろ自分から首を突っ込んでおいて、結局みんなの応援しかすることがなかった俺に比べればむしろ全然マシといえよう。
が、アップルはそうは思っていないようだった。
「私、今回本当に何の役にも立てなくて……わかってるんです。自分だけしかできないことじゃなくても、ちょっとずつでもできること、あったはず。それなのに、私は守られて突っ立ってるだけで、……これじゃあ、私……っ」
「わ、お、おいっ」
アップルがどんどん自分の言っていることに傷ついてしまったのか、耳を垂らし、そのまま泣きそうな声になり始めたので、俺は慌てて手をかざしてアップルに話を止めさせ、立ち上がらせる。
「立ち入った話になりそうだから、部屋で」
もともときわどい話題なのに、泣き出したアップルは直接的な言い方で「でも、エッチでなら」とか言い出しそうで怖い。
ただでさえ半ば大っぴらにハーレムと言ってるようなものなので(実際にエロい関係だとポルカ衆にバレてるのはセレン・アップルとライラにヒルダさんくらいだけど)これ以上変な噂の種は避けたかった。
「さ、こっち。ね、アップル」
「……うん」
感極まりかけて半べそのまま、おとなしくセレンに引っ張られて部屋に向かうアップル。
「でも、エッチでならお役に立てると思うんですっ。直接はみんなの役に立ってないかもしれないけど、それでアンディさんがみんなを満足させられるなら、私っ」
「オーケーオーケー落ち着けアップル」
そしてナイス予見、俺。
「別に俺、アップルが役に立ってないなんて思わないぞ」
「……でも」
「俺、本当はブレイクコアを助ける戦い、面倒だなって思ったところも少しあった。ディエルがあの時言ったような、そのまま撤退する選択肢だって、本当はナシじゃなかったよ」
でも。
「でも、俺はアップルが待っていてくれたから15年、それなりにしぶとく頑張って、幸せな未来を信じていられた。頑張れた。そうして待ってたアップルやセレンに、つまらないご主人様だって見下げ果てられたくなかったから、可哀相な奴に手を差し伸べる選択肢を迷わず選べた。……アップル、お前は確かに戦えないけど、お前がいてくれたことはちゃんと結果に繋がってるんだよ」
「それは……でも」
「あー、もう」
それでも自分が役立たずだと言い募りたい顔をするアップルに、ちょっとイラつく。
それを見たセレンは、やれやれ、という感じに困り笑いを浮かべて、アップルの耳元で囁いた。
「……役立たずだからせめて役に立ちたい、じゃ、アンディさんは嫌がっちゃうよ。……大好きだからもっといっぱい構って欲しい、って正直に言わないと」
「っっ……」
ぴくん、とアップルの耳が跳ねて、見る間に赤くなる。
……エッチの話題を話しても一向に赤面もしなかったくせに。
「ぅ……」
「……アップル」
「…………」
じー、とアップルを見つめると、困ったように視線を泳がせる。
「……本心隠してた?」
「か、隠してたわけじゃないですっ! せ、せめてこういうので役に立ちたいっていうのは……その……嘘じゃ」
「嘘じゃないよねー。ホントでもないけど」
「割と本気で困ったぞ俺」
「……で、でも」
「アンディさんはね。迷惑かけられないことよりも、甘えられる方が嬉しい人だから」
「……まあ、そうとも言う」
自分で自覚してたわけじゃないけど、確かにセレンの言う通り、勝手な自己犠牲精神よりは遠慮なく下心全開で甘えられる方が気持ちいい。
「……そ、それじゃあ」
「うん」
アップルが、真っ赤な顔のまま俺を見上げた。
「……こ、今回、本当に役にたたなかったけど……私、甘えて……いいですか?」
「当たり前だろ。お前、何首につけてる」
「……首輪、ですけど」
「それは、お前が甘えていい相手の名前が入ってるの。その名前は、お前がいつでも頼っていい相手のものなの。わかるか」
「…………」
「お前は俺のだ。俺はお前の持ち主だ。いいか、俺はお前のこと、役に立つからとか強いからとかで欲しくなったんじゃない。他の奴もみんなだ。……好きだからだよ。信じろ。好きな女が寄ってくるのを嫌がる男はいやしない」
「……っっ」
アップルは首輪を軽く撫でながら、ポーッとした顔でゾクゾク震えた。
セレンも赤くなって、苦笑いする。
「っ、もう。……それ、私も入ってるんですよね」
「当たり前だろ」
「……あ、アップルのニセモノとして、騙し討ちするみたいにあなたのものになった、私も……ですよね」
「見事に騙されたけど、でも好きだし」
「……ほら。こーゆー人だよ、アップル。……私たちの、理想のご主人様」
「……うん」
セレンとアップルは頷き合い、俺に真っ赤な笑顔を向けると、同時に服を脱ぎだす。
「え、ええ、二人一緒に?」
「もちろんです」
「……二人とも好きなら、一緒に犯してくれますよね?」
二人でほとんど同時にヒモパンのヒモを解いて落とすと、示し合わせたように抱き合い、アップルの上にセレンが重なってベッドに寝そべり、股間を向ける。
「アンディさん」
「……すっごく、欲しいです♪」
「……よ、よっし……覚悟しろよ」
俺も慌てて服を脱ぐ。
ふ、二人とも遠慮とか馬鹿馬鹿しくなるくらい貪り尽くしてやる。
(続く)
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