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 聖獣とひとしきり話し終えて、俺は手を振って別れる。
 手を振ると、聖獣も軽く尻尾を振りながらこちらを見つめ返していた。
 入れ替わりに聖獣の方に向かうディエルと、軽くタッチ。
 ……ここから先は俺の仕事だ、とディエルは呟いていった。
 それを見送ってから、俺は迷宮の入り口付近に戻る。

 半日の間に、マイアが伝令として氏族庄との間を数往復し、残りの氏族長や赤の氏族のエルフたちが結構な数集まってきていた。
 そして、流石にボロボロになり過ぎて未だに起きられないライラとその看病のヒルダさんを残して集まった俺たちを前に、一斉に跪いて印を切る。
「な、何これ」
「聖獣を倒し、癒した力が認められたらしいですわ」
 現金なこと、とオーロラが口を尖らせる。
 が、なんとなくホッとしているように見えるのは、やはり背負った数万の南の森の同胞たちに恥じない働きとなったことが嬉しいのだろう。
「……ぐぬ」
 最後まで立っていた銀の氏族のガスト翁も、渋々と祝福の印を切ったのを確認して、クリスティが微笑んで口を開く。
「この度の件、ありがとう存じます。トロット王国ポルカ男爵デュラン・グート卿、紫のルナリスの娘アップル、そして空色のディオールの娘オーロラ。あなた方への非礼を陳謝し、今後とも末永き友好を願い出たく存じます」
「お受け致す」
「……は、はい」
「もとより空色は光の精霊を戴く末席。お受けいたしますわ」
「では互いの繁栄を心より願い、よりいっそうの交流をもって将来をともにいたしましょう。……あなた方に森羅万象の加護を」
『森羅万象の加護を!』
 エルフたちが唱和した。

(続く)


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