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「…………」
 半日後。
 聖獣ブレイクコアは、ゆっくり目を覚ました。
 野原の上。
「……私は、どうなった」
 ブレイクコアの声に、俺が答える。
「どうにかなったぜ」
「なぜ私は地上にいる。なぜ私は生きている。……ああ、何故私は口を利くことができている。今までは口さえ自らに埋まってしまっていたのに」
「生まれ変わったからじゃないか」
 俺は、一角馬の首をポンポンと叩いた。
 その体は、普通の馬と変わらない。


 二度目に開けた穴で迷宮は機能を取り戻した。
 が、さすがに全く同じとは行かない。
「気」の浄化能力は半減し、そして正の「気」の噴出方向が変わってしまった。
 ……全部一応計算の上ではあるけど。
 基底部に回らずにバイパスされて地中に吹き出し、迷宮上部の草原がブレイクコア生存可能地点になったのだ。
 聖獣は基本として肉体が清らかな「気」に親しんでいるため、そこを離れると長生きできないらしい。
 ……そして、ブレイクコアの体はヒルダさんが手術して小さく繋ぎ合わせ、半減した「気」に合うサイズになった。
 もう彼は知性がある以外はあまり普通の獣と変わらない。これからはこの北方エルフ領の「力の象徴」であるかのような生き方はできないだろう。
 そして、浄化能力が低下したことで、おそらく「気」の流れ的にここより下流にある土地では魔物が生まれるようになる。
 この赤の氏族の大地は、清らか過ぎる安住の地ではなくなったのだ。
 が、ディエルにそれを伝えたら快く頷いてくれた。
「それは渡りに船だ」
 ……ああ、そういう話でもあったな。言われてみれば。


「これからは、エルフたちが会いに来てくれるってさ」
「……そうか。だが」
 ブレイクコアは遠い目をした。
「私は、もう役にはたたない」
「だから何だ」
「……死なないだけの一角馬など、いても仕方がないだろう」
「死なないだけでいるつもりならな」
 俺はブレイクコアの隣に座って、難儀な戦いを振り返ってようやく息をつく。
「だから友達になってくれ。俺や、たくさんのエルフたちと」
「……?」
「お前が名を知り、無事を祈るだけで、どこかで誰かが救われる。多分そういうこともある」
「……ナンセンスな」
「いいや。俺は少なくともそうだったね」
 ハーフエルフの彼女が待ってる。
 そう思って15年。
 多分、そんな支えがなければ逃げざるを得ない場面は多かった。
「多分お前もそうだろ」
「…………」
 一角馬は鼻息をブルルとふるい、少し考えて答えた。
「祈るだけでは何も解決しない」
「じゃあ話せ。それでも駄目か」
「……いや」
「永遠に覚えていてくれる友達って、多分すごく大切にされるぞ」
「……それしか取り柄がなくなってしまった」
「俺に比べればずっとマシだ」
「そうか?」
「俺は、ポルカって街に生まれてな……」


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