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夜明けとともに、俺たちは発つことにした。
……驚いたことにジャンヌだけは、着陸から離陸までずっとグースカ寝ていた。
窓の外を見ると、飛び立とうとするライラの足元に猫獣人が数人見送りにきていた。
「!」
ちょっとびっくりした。例の銀色の子もいた。
「……人間っ!」
「な、何?」
「……名前、言え。本当はどうでもいいけど」
「…………」
セックスの時に名前を聞かないのは、風習なのだと聞いた。
男が少なくなった頃に自然と出来た風習。誰の子かなんて関係ない、必要ない、欲しいのは子供だけだから、という。
「アンディ・スマイソン。ポルカのアンディ・スマイソンだ」
「……アタシはルナ・バジル。……そのうちお前を子供が探しにいくかもしれない」
「……その前に見に来る」
「ほ。この色男が」
ライラのちび幻像が茶化した。
そして、次の瞬間、羽ばたきが始まって俺たちは窓を閉めた。
数時間飛んで。
「ところでライラ。あの婆さん、どういう知り合いなんだ」
「ほ?」
ちびライラに問い掛けると、遠く、楽しそうな目をした。
「……ジャンヌと同じ。むかーしむかし、迷宮で会って、しばらく遊んでおった」
「なるほど……」
「この砂漠は我の庭じゃ。……ご主人様、時々は遊びにきてくれろ?」
「そうだな」
北の砂漠端が見えてきた。
しばらくはこの砂漠ともお別れだ。
(続く)
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