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 軽く濡れ手ぬぐいで身づくろいをした後、アンゼロスのことをやっぱり思い出しつつ、宿の一階の水浴び場に向かおうとする。
 と、ドアを開けたところでアンゼロスと鉢合わせた。
「あ……」
「……す、スマイソン……?」
 一瞬真っ白になる。
 アンゼロスもしばらく口をパクつかせて、何も言うことが思いつかなかったのか、パッと踵を返して
「あ、後でっ!」
 と叫んで走り去っていった。
 ポニーテールが角の向こうに消えてから、下に何かが転がっていることに気づく。
 ……泥と草が少しついた、祝福の塩。
「……気づいてた、のか?」
 だとしたら、ちょっとは俺を気にしてた……?
 そして、ふと振り返って、部屋の中ではオーロラが気だるそうに首をもたげて……ああ、これ見たよな。
「……うああああ」
 最悪。
 どんどんアンゼロスに不信感持たれる方にばかり転がってる。
 駄目すぎる。

(続く)


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