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しかし役立たずなりに何かできはしないかと、俺も俺で完全武装してアンゼロスの後をつける。
「駄目ですよアンディさん。そんなんじゃ怪しい人ですって言い回ってるようなものです」
「セレン」
「はい、ちゃんとマントかぶって。ルートは一本外して、隣の通りから追いましょう」
「……お前、いい奴だな」
「えへへー。何言ってるんですか、私はいつでもご主人様思いの有能雌奴隷ですよ?」
セレンと一緒に、アンゼロスを追って夕暮れの街を歩き出す。
肌寒い。
今まではまるでなんでもアリの、全能感がある旅路だったけれど。
ディアーネさんに守られていない俺たちは、こんなにも心細い。
だけど、それでも、ホテルで膝を抱えて待っているだけなんて出来なかった。
「……本物の、マスターナイトか」
敵に回した事のない、そんな未知の脅威を思い浮かべることさえ出来ず、俺はなだらかな丘の向こうに消えていく夕日の残光を見送った。
(続く)
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