アンゼロスを追って、夕闇に包まれた森の街を抜け、木々の間からついにルーカス将軍の屋敷を確認する。
「アンゼロスはちっこいから通りを歩いてても探しづらいな」
「そうですか? アンゼロスさんが歩くと周りのエルフがすごく反応するからわかりやすいですけど」
「……変なサーチの仕方してんなあ」
「えー? 普通ですよ? 探す時は現物よりも周囲の異常を探るのが基本です」
「……なるほど」
「あ、入っていきますよ。私たちどうします?」
「ちょっと待て。一応道具の確認をする」
路傍に一定間隔で置かれたぼんやり光る石(魔法だと思うが、刻紋の聖地らしいのでそっちかもしれない)の脇に膝をつき、自分の手持ちを指差し確認。軍隊入ってからの癖だ。
まずクロスボウ。これの整備は完璧。
次に矢。14本。何かと戦うと言うには少ないが、旅の荷物になる。そう多く持ち歩くわけにもいかない。こんなものだ。
ナイフ一本。刃渡り12cm。工作や野外料理には便利だが、武器としてはまあ役には立たない。一応あるのを確認しただけ。
細いロープ。これも戦いの役には立たない。ベッカー特務百人長は罠が得意と言っていたので、きっとこれ一本で盗賊の2、3人程度ならなんとかしてしまえるんだろうが。そういうの習っておけばよかったかもしれない。
火打石。うん意味無い。
オイル。焚き付け用。これも意味無い。
堅パン。ただの非常食。
竹水筒。砂漠大迷宮ではお世話になったけど今は以下略。
S字フック数個。便利道具。以下略。
あとは……。
「ん?」
ベストのポケットに違和感があって、中のものを引っ張り出す。
出てきたのは上等の布で作られた巾着。開けてみると掌大の、顔料塗りたくったような赤い石。
「……あ、やべ」
ライラの「秘宝」、息吹の封石。投げつけるとヘルズボアを一発で焼き殺すというアレだ。
ジャンヌの援護用に渡されたものの、あの時使わなかったので、折をみて返そうと思っていたのにチャンスを逃して借りパクしてしまった。
しかし。
「……これなら、いざって時には役に立つかもしれないな」
「それ、なんですか?」
「ライラの溜め息入りの石」
「……う、うわー」
察してセレンも苦笑い。この間の魔法講義の時のライラの言い回しを思い出して、えげつないアイテムなのは伝わったようだ。
とりあえず、アンゼロスに何かあったらこれに賭けよう。
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