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数十分後。小部屋の外の水場。
「なあアンゼロス」
「なんだよ」
「お前、なんで俺が身づくろいに来るといつも裸で下着洗ってるんだ」
「……い、言わなきゃわからないのかバカ」
「わりと」
実は今まで何度も遭遇しておきながら、微妙にわかってない。
「……まあお前バカだしなぁ……意外と女のことわかってないよな」
「なんだかとてもバカにされている気分だ」
「バカにしているんだバカ」
我ながらとてもバカな会話だと思う。
「お、女だって、破廉恥な現場に居合わせれば……その、いろいろ分泌してしまうものなんだ」
「……聞いてるだけで?」
「そうだ。見えてもいるし」
聞いてるだけでそんなに下着洗わなきゃいけないほど愛液って出るもんなのか。
……う、うるせえ、本当に今知ったよ。
「……そ、それに」
「…………」
「……なんでもない」
「なんだよ」
いきなり何かを言おうとして挫けたアンゼロスにちょっと怪訝な視線を向ける。
アンゼロスはふて腐れたようにじゃばじゃばやっていたが、数分してから囁くように、ぽつりと。
「……そうだな、お前バカだし……胸しか見ないからなぁ……」
「何が言いたい」
「うるさい」
いくらエースナイトとはいえ、裸で睨まれたってあまり怖くはないんだが。
見た感じただの美少女だし。
「言いたい事あるなら言ってくれないとわかんねー」
「う、うるさいって言ってるだろ! この状況でわからないお前に何を言っても無駄だ!」
「そんなこと言われても」
「うーるーさーいーっ!!」
食い下がろうとした俺に、アンゼロスがちょっと離れた間合いでチョップの動作をする。
控えめな乳が揺れて、空気が歪み、小川に水柱が現れ。
「……すげえ!?」
剣圧の衝撃波が剣なくても放てることにちょっと感動しながら、俺は軽く吹っ飛んで……あれ?
「ちょっ……うわあっ!?」
「……す、スマイソン!?」
小川の中に着地するはずのタイミングで衝撃がないことに驚愕した。
どうやら闇の中に、小川が流れ落ちる穴か何かがあったらしかった。
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