「この街は俺の故郷なのでいくつか注意点がある。よく聞いて欲しい」
 町外れをそれとなく歩きながら、ガラティアとグロリアさんに改めて配慮のし方を説明する。
「まずここで俺に接する奴は4種類に分けられる。ひとつは言うまでもなく雌奴隷。みんな俺の味方で美人でエッチだ。そもそも俺は可愛い子としかヤラないから雌奴隷はみんなレベル高い」
「いきなりそんな自慢をされてあたしはどう反応したらいいのよ」
 グロリアさんがゲンナリした顔をする。
「ああうん。基準に関しては今は関係ない。接し方の話だ。……雌奴隷の子たちはほとんどが首輪をいつも着けてる。でまあ、彼女たちはとりあえず普通に優しくしてくれるはずだからあまり気にしなくてもいい。問題はそれ以外」
 俺は四本立てた指を一つ折る。
「次に、クロスボウ隊の関係者。俺はセレスタでクロスボウ隊っていう部隊にいた。セレスタ以外では多分量産されてないクロスボウって武器を扱う百人隊だ。今は部隊が増設されて二百人いるけど、まあとにかくポルカで出会うセレスタ人の男はだいたいクロスボウ隊関係者だと思っていい。つまり俺の元同僚たちだ。……こいつらはアホだが割と気のいい奴らで、なおかつライラたちのことをよく知ってるので雌奴隷にはきちんと紳士的な距離を取る。が、取った上でさっきのバカ二人みたいに性欲に正直な奴らもいる。あわよくば裸くらいは拝んでオナニーのオカズにしたいという困った連中だ。奴らを避けろとは言わないけど、若干そういう意味で不快な部分があるかもしれないので注意して欲しい。あとエロに関しては若干配慮して話題を取り扱ってほしい。俺が雌奴隷いっぱい持つのを納得しきれてない男同士の嫉妬的な部分がどうしてもある」
「面倒ねぇ」
「ま、まぁ……ちょっと気持ちは悪かったけど根が悪い人たちではなさそうだった、かな……」
「うん。悪い奴らじゃないんだ。悪い奴らじゃ」
 あいつらとの距離感は独特だ。
 気の置けない友人たちでもあり、一面においては同好の士とすら言える。だが、だからといって間違っても雌奴隷を貸し出したりなんてことはしないし、言わせない。
 いくら俺が傍目に不義理な浮気者であるとしても、そこは向こうもわかってくれている。
 ただし、「見るだけ」という条件においては、今までの数々の行いの結果、なあなあで済まされている部分もある。
 雌奴隷たちとの濃厚な性生活や、一部全く見られることを気にしない子たちの行いによる面は確実にあり、そこに不埒な期待をするあいつらを責めるわけにはいかない。
 その過程を体験していない新参のガラティアやグロリアさんが、その落としどころを体感的に納得するまでには、まだまだ時間がかかるかもしれない。
「今は3人しかいないけど最大で200人来ることがあるし、あいつらはあくまで俺の悪友ということでそれなりの距離を置いて欲しい。まだ俺が雌奴隷持ち始めた頃には勢いでアンゼロスにダイビングプロポーズする不届き者なんかもいたからあまり油断はしないでくれ」
「う、うん」
「なんでアンゼロスさんに……」
「あいつもクロスボウ隊の隊員だったんだ。護衛歩兵として」
 二人ともクロスボウ隊から離れた後に知り合っているので、その辺のことを話すのは骨が折れそうだ。
 っていうかグロリアさんに至っては、ディアーネさんという神話みたいな存在の現物を見ないままに、ここまでの経緯を納得しなきゃいけないのか。……割と無茶な気がしてきたぞ。
「4種類って言ってたよね。残りふたつは?」
「ポルカの地元民。みんな俺のことを子供の頃から知ってる。で、鍛冶屋のスケベ息子ってことでロクデナシみたいな扱いをしてくるんだけど、とりあえずその扱いには異を唱えないで欲しい」
「ドラゴンライダーなんだから、そういう扱いは跳ね返せたりしないもんなの?」
「正直、俺はこの街のみんながそう扱ってくれる方が嬉しいんだ。15年も昔、鍛冶屋だった親父のことをみんなが覚えてくれてるのはありがたいし、スケベ野郎であることは反論のしようもない。それに……そんな俺を、ガキの頃に別れたっきりの俺を……また街の仲間として迎えてくれたみんなを、他人の力で威圧するような真似はしたくないんだ」
「なるほどね。……でもそれって相当ナメられるわよね」
「そう。めちゃくちゃナメられてるけど気にしないで欲しい。多分『もっとマシな生活の仕方はあるはずだから雌奴隷なんて考え直しなさい』みたいなことをちょくちょく言ってくると思うから、まあ適当に調子を合わせて、喧嘩にならないようにお願い」
 二人とも納得しかねる顔をするが、まあそこのところは飲んでもらうしかない。
 俺だって、本当はもっと街の皆に一目置かれつつ、親しい関係を維持できるように調整したい。
 でも、トロット人から見たら、どうしたって女の子をたくさん囲って孕ませ前提のセックスしまくるなんていうのはけしからん話なんだから、つつかれたら笑ってごまかすしかないのだ。
 価値観ってものはそう簡単には変わるものじゃない。
 それに俺は雌奴隷たちの愛情をたっぷり受け取っている。それさえ守れるならロクデナシでもいい。
 そのうちポルカは先王の手回しで、重婚も合法になる。そしてエルフや猫たち、またカールウィンの人々がこちらにもっと移住してきたら、いずれゆっくりと価値観は変わっていく。
 その頃になったらまた、俺の立場も変わるかもしれない。
 ……変わらないような気もする。
「それで、最後が『それ以外』。ポルカの住人でも、雌奴隷でも、クロスボウ隊でもないけど、俺のことは知ってる……っていう人も多分これからはよくこの街に来ることになる。エルフ領のエルフなんかは今でも結構見るし、トロットのえらい人とか、セレスタやレンファンガスからも訪ねてくる場合もあると思う。そういう人たちはきっと、逆に俺のことを大英雄みたいに持ち上げると思うけど、それもまぁ話半分に流してほしい。こっちにとっては何の気なしにドラゴンを回したことが、向こうではすごく価値ある手助けだったりして、俺のいないところで話が盛りに盛られてることがよくあるから」
「それもそれで厄介ね……」
「で、共通するのは雌奴隷以外に対して俺の雌奴隷だってことを過度に主張しないこと。もちろん露骨なエロも自重して欲しい。ここまででなんとなく理解してくれてると思うけど、俺への評価がそれぞれの立場で見事にバラバラだから雌奴隷ってものの扱いもあんまり安定してないんだ。あまり派手な行動をすると誰がどんな反応するかわからない。だから。雌奴隷とは言っても表向きはそれを押し出さず、あくまでポルカの観光客の一人みたいな感じに振る舞ってくれるのがちょうどいいと思う」
「あんた的にはそれでいいの?」
 ガラティアが訝しげな視線を向けてくる。
「俺は人に自慢しなくても裸の女の子に囲まれてるだけで幸せなので別にいいんだ。あと、みーんなすっぽんぽんで一日中戯れられる場所はいくつか確保してあるから、雌奴隷としてガッツリやる時にはそういうところに引き篭もって、思う存分時間を気にしないでヤろう」
「……ここにも、いくつもあるんだ」
「エルフとかが協力してくれてな」
 結界牢もそうだし、秘密温泉もそう。
 スマイソン家もある意味では、家ごとヤリ部屋になる頻度は多いといえる。
「……なら、早くそこに連れてって欲しい……んだけど」
「これから雌奴隷するならここで暮らすんだし、まずは街を知るところからだろ。焦るなよ。そんなにセックスしたいのか」
「それは……まあ、したい」
 ボソボソ声ながら、意外とはっきり主張するガラティア。
 結構積極的だ。
「淫乱だなぁ。何日か前に処女散らしたばっかりなのに」
「せ、せっかく雌奴隷になるって決めたんだし……こんなふつーっぽい暮らしとかじゃなくて、もっとエッチのことだけ考えるような生活になるのかなって期待してたもん」
 年若いというのは前のめりなものだ。
 もちろんセックスが気持ちいいというのもあるだろうが、どうせ決めた道なら突っ走ろう、という情熱すらも感じられて、ガラティアの積極性はまたベアトリスの無邪気な貪欲さとは違った味わい深いものを感じる。
 と
「それじゃあ私たちも一口乗せてもらっちゃおうかしら」
 急に思わぬ方向から声がかかり、驚いて振り向くと、すぐ近くにノールさんとミラさんたちの姿がある。
「小さい街よねえ。目ぼしいところをぐるっと見て回ったら一時間もかからないんだもの。……癒しのお風呂でふやけるのもいいけど、私としてはライオンちゃんの情熱に賛成。……弟くんのホームランドでの本気、見てみたいな……♪」
「ライオンちゃんって……」
 ガラティアは微妙な顔をする。
 そして、グロリアさんもノールさんの提案にニヤリとした。
「いいわね。この街ののどかさはもうわかったし、次はあたしらスケベ女にポルカの裏の魅力を教えてくれるっていうのも話が早いわ♪」
「裏って言ったって俺一人の領域だけど……」
「あたしもそこに囲おうってんでしょ?」
「……ええまあ」
「芸の肥やしがどうとかじゃなくて、今回は愛人身分の体験入会ってことで楽しませてくれるかしら」
 そして、ミラさんたち三姉妹も。
「愛人かあ。ちょっといい響きかも」
「え、私雌奴隷でもいーよー」
「シーマはちょっと真面目に考えなよ、もう。……私もいいけど」
「ひっひっひっ。だってアンディ君の絶倫チンポ素敵だもんねー♪」
 あっという間にダークエルフ四人とエルフ、獅子獣人一人ずつ、六人の女の子が俺の股間に狙いを定めてしまう。
 俺は積極的な彼女たちに困りつつも嬉しくもあり、六人をどこで犯そうかと考える。
 とりあえずは……町外れだし、秘密温泉かな。

(続く)

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