精霊祭も無事に終わり、元麻薬患者の女性たちをいくらか預ける算段も立った。
 となると、俺たちとしては次に回りたいところだ。
「ラビネス被害者の女性たちを戻すとなると、やっぱりシタールは外せないよな……あそこから拉致された人も多いだろうし」
「必ずしもあの町というわけではない。ラビネスはあくまで奴隷を買い付け、麻薬漬けにして扱いやすくする仲卸に過ぎん。奴を始めとした奴隷商に売るために、セレスタ南岸各地から無法者が人を拉致している」
「そういえばそういう話だっけ」
 バウズの言葉に改めて経緯を思い返す。
 ラビネスは確かに悪人だったが、奴一人で何もかも統率していたわけではない。
 ろくでもないことで稼ごうとする悪い奴は、特に珍しくなんかない。
 俺たちはその悪の一つを行きがかり上やっつけたが、それで解決したことはそう多くはないのだろう。
「まだまだ悪い奴は減ってはいないかもしれない……と考えると、シタールもあんまり呑気な気分で立ち寄っちゃいけないのかな」
「さあな。それに関してはお前がどう判断しようと自由だ。……悪の巣窟とまで呼ばれた町だ。あえて通り過ぎ、ファラールや赤クジラまで翼を伸ばすのも一つの手ではある」
 バウズはそう言って俺の反応を待つ。
 しかし、相談に混ざっていたライラは鼻で笑った。
「あの時は赤竜の小僧に遠慮してコソコソせねばならんかったが、もはや竜を三頭も擁する飼い主殿がチンピラどもに配慮も必要あるまい。なんなら綺麗にしてしまえばよい」
「綺麗にするってお前な」
「かの町の悪徳を誇る者共は、例の太った女の敵となる者を中心に既に焼き滅ぼしておるぞえ。今更二度も三度も変わらぬ」
「……え、そんなに派手にやっちゃってたの?」
「伝わっておると思うておったが」
「ディアーネさん越しに軽くは聞いてたけど」
 そう言えば何か後始末が必要な事をやったというのは聞いた。
 深く追及はしなかったが、まあその判断をライラに任せたのは俺だ。それがライラとして正しいと思ったのなら、異を唱える気はない。
 とはいえ、それがどれだけの効果をもたらしたのかはまだ想像できないし、ライラも自ら説明はできないだろう。
「一応、見るだけは見て……危なそうだったら長居はせずに挨拶だけしてラパールへ、ってことにしようか」
「ほ。気の小さいことよの」
「今回はディアーネさんもガントレットの四人もいないんだから、急に変なことに巻き込まれると手が足りなくて身動きできないじゃん」
「アンゼロスにオーロラ、勇者娘たちにマイアとエマがおって、なお不足の出来事が起きるものかの」
「……ま、まあ……うん」
 俺が悪人なら手は出さない。善人でも手を出したくない。
 ドラゴンを怒らせたら大変なことになるのを、数か月前に目の前で見たはずのシタール市民。そのドラゴンがバウズも含めれば四頭。
 火竜二頭に氷竜二頭、あの規模の町が死の世界になるのに三十分もいらないだろう。
 それでも悪い奴は何するかわからないしなー。
 犯罪者心理というのは、軍隊生活からすると専門に近いようでかなり遠い。
「でも用心はしながら行こう。うっかりはナシにしたい」
 なんといってもこの旅は純粋な俺の発案。ディアーネさん不在で「やらかした」とあっては申し訳が立たない。
「ほ」
「わかった。それでは準備しよう」
 ドラゴン二頭は委細承知とばかりに立ち上がる。
 頼もしいことこの上ないけど、やっぱり俺が号令全部出すのってむずがゆいな。

「私たちと昨日の続きをする約束は……?」
 ミラさんたち三姉妹には手を合わせる。
「帰りがけに寄らせてもらうから、その時にお願いしたい。ちょっと待たせちゃうけど」
「えー」
「日が昇った後にって言うから、今日やるのかと思ってたのに」
「ごめん。でも正直昨日は派手すぎたから、ちょっと今まだ本調子じゃないし、本調子に戻ってからまた続き……って話になると際限なくなっちゃうからさ。一応旅にも目的あるし」
「あー……」
「さすがにちょっと超人的だったもんねぇ……」
 シーマさんとルキノさんはわかってくれた。
 ミラさんはちょっと不服そう。一番物分かりがよさそうな雰囲気だと思ったんだけど……ってそうか、昨日は一人だけローションの効きが良くなる前に終わっちゃったからイマイチ欲求不満なのか。
 仕方なく、俺はミラさんにそっと顔を近づけ、似合わないけどキザったらしく頬にキスをしつつ囁く。
「しばらく待っててくれれば、種付けの快楽を教えてあげるから」
「っ……♪」
「あ、ずるいー」
「私たちにもそういうのやってよう」
 ミラさんだけにバランス取りをするつもりでしたことだけど、要求されてしまったので残り二人にも同じようにいやらしいことを囁く。
 ……地味にこれって面倒、というか、一度言われた女が見てる前で何度もやるのは恥ずかしい。
 でもこの三人と付き合うなら、そういうことができる男でないといけないんだろうな。

「シタール行くんですかー。それじゃあ私も行きます♪」
「いやちょっと待ってコスモスさん」
「昔馴染みが何人かいるはずですからちょうどいいです。あと行き道に雌奴隷の皆さんにいろいろお教えしたいので♪」
「いやコスモスさん連れていくと色々なところから苦情が来るんで!」
 なぜか俺たちが次の目的地に発つことを話すとコスモスさんがやる気を見せる。
 が、柱の陰からアシュトン大臣がめっちゃ睨んでいるのでやめていただきたい。あと多分イザベル嬢も小言を言うはず。
「でも私は連れてってくれるわよね?」
「ノールさんも下手に連れ回すのはどうかと思う土地なんで……」
 ノールさんにもご遠慮願おう。ディアーネさんがいる時ならともかく、今シタールに連れていくVIPをこれ以上増やしたくない。
「ぶー。前は私も入ったのに」
 確かにシタールの事件ではノールさんも協力してくれたのだけど。
 でも、ノールさんを連れ歩くということは、そのお目付け役のホセさんも、ということで。
「こういうの大声で言えないんですけど、ホセさん付きで連れ回すとあれなんですよ。人目があるから弾けられない、って、うちの雌奴隷たちがちょっと」
「……ホセのことなんか気にしなくていいのに」
「そうは言ってもなかなか……」
 ノールさんもホセさんを振り切ってついてくるとは言わない。
 その代わり、三姉妹同様に帰りがけにまた会う、と約束をする。

 みんな、この数日でタルクを満喫した。
 対決という名目の中、娼婦たちとの文化交流も果たし、うちの雌奴隷たちもレベルアップ……したかは定かでないものの、有意義な思い出を作れたことと思う。
「すごい街よねぇ……同じセレスタにいて、同じ性風俗産業に属してるのに、こんなにカルチャーショック受けるなんて……世の中まだまだ面白いわー」
 特にグロリアさんが娼婦たちの背中を見送りながら感慨深そうにしていた。
 俺もここの文化に初めて直で触れた時は「なんて場所があるんだ」と思ったものだ。シンパシー。
「でもここは……活気がありすぎて、ちょっと落ち着かない……」
 ルナはそう呟いて俺に腕を絡める。
 エロスもグルメもエキゾチックな風習も、陽性で極彩色の賑やかさがタルク。
 だが、それは祭りというのを差し引いても、少々テンションが高すぎるというのは確かに思う。
 旅行で楽しむにはとてもいいが、いつもこの勢いで暮らすのはきっと大変だろうな、と思わざるを得ない。
「猫コロニーはある意味ここ以上な気もするけどな」
「そうかな……みんな、エッチには積極的だけどのんびりしてるし……何よりアンディ以外のオスはいないから、へんな気持ちのぶつかり合いとかなくて、結構まったりしてる気がする」
「……うーん」
 あそこはとんでもないエロパラダイスだと思うのだけど、言われてみると種付け役が俺しかいないことで、確かにどこか、のどかさも感じる。
 ルナにとってはそういうペースの緩さが心地よいってことだろうか。
「ふむ。まぁ、どの町にもそれぞれの良さがあろう。次の町にもまた別の良さがある。早う向かおうぞ」
「アイリーナ様。次は治安の悪さで有名な街ですわ。気を引き締めてくださいな」
 馬車に乗り込むアイリーナとオーロラ。それに続いてみんながそれぞれ手土産などを手に馬車に乗り、バウズの持つ船にはだいぶ少なくなったものの、元麻薬患者の皆さんもまだ残っている。
 最後にラパールまで何人行くのかな、と思いながらも俺も馬車に乗り込むと、さっそく乗ったそばから服を脱ぎ始めているアイリーナを始めとした雌奴隷たちの姿。
「……行き道そんなに時間かからないと思うけど、ヤるの?」
「せっかくもう男の目もないことじゃ。移動時に遠慮して服などいらんわ♪」
「必ずしも種付けをしなくても、私たち雌奴隷の肌を楽しんでいただければと」
 アイリーナがまずすっぽんぽんになって俺の膝に乗り、フェンネルも脱ぎ終えた服を畳みながら俺に密着する。
 そして後から乗った女たちもその理屈に納得し、乗ったそばから服を脱ぎ始める。
「僕たち、もうこれからは他人の目がない時はずっとこれでもいいかもしれないね」
「雌奴隷とご主人様に相応しい移動時間と言えますわね♪」
「ネイア、ちょっと手伝って。狭くて脱ぎにくくて……」
「脱ぐのは構わないんですけど、せっかく裸でも皆がスマイソンさんの手の届く場所にはいられないのがもどかしいです」
「いっそのこと椅子壊しちゃう? 真ん中の座席の背もたれ取っ払えば、アンディ君が寝そべってみんなにべたべたされるのにちょうどいいんじゃないかしら☆」
「……まっすぐ飛んでる時はいいけど、加速したり振り回されたりを考えると背もたれ壊すのは良くないんじゃないですかね」
 あっという間に俺だけのエロエロ座席環境が勝手にできていく。
 雌奴隷たちは、種付け以外にも俺が喜ぶことを率先するサービス精神を娼婦たちから学んだようだった。
 とてもいいことだけどちんこ休まる暇がない。
 だって入れたくなるじゃん、こんなの。
 肌を楽しむだけでいいとは言いながら、みんな期待してるし。
「フェンネル。俺に抱き着いてちんぽ咥え込め」
「私でよろしいのですか?」
「入れたまま何分じっとしてられるか、我慢して遊ぼう」
「……私の方が我慢できなくなってしまいそうです♪」
 とりあえずフェンネルを抱きしめながら、みんなで俺に体を押し付け、目を楽しませてくれる雌奴隷たちの愛情を味わう。
 そしてその端っこでグロリアさんは脱ぐべきか脱がざるべきか悩んでいる。
「ノリの悪いこと言ってないで脱ぐべきかしらね……」
「無理に合わせなくてもいいですよ」
 彼女もだんだん雌奴隷の空気に逆らえなくなりつつあるな……。

(続く)

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