[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
まあ常に全裸の生活をしていると色々麻痺してしまうわけで。
アンゼロスが結界牢の村の中を眺め回して溜め息をついた。
「別にいいんだけど……やたらと緑豊かな森の中なせいか、こうしてみるとエッチな風景というより……なんというか、文明を知らない集落みたいだよね」
「わかりますわかります。……何人か服着てるとちょっと自分がマッパなのが恥ずかしいんですけど、もうこの状態になると誰も気にしてないからこそ、気にしてる自分が恥ずかしくなってくるというか」
ナリスが頷く。
俺もとりあえずでフェンネルと抱き合いながらそれを聞いているが、言われて見れば確かにちょっと長い時間全裸文明に浸りすぎてありがたみが薄れている気もしなくもない。
「フェンネル。お前も裸が恥ずかしくなくなってきてるクチ?」
「あ、んっ……ま、まあ、程度の問題ですが……こうして誰も彼もがご主人様と大っぴらにエッチする状態は、確かに……裸でいるほうが自然に思えてしまっているかもしれません。少なくとも、この結界空間の外で裸になるよりかずっと楽ですし」
「そうかあ……」
右向いても左向いても、誰かのおっぱいかお尻が見えている環境。
まだそれがつまらないと思うほど俺は枯れてはいないんだが、このままでは感性の磨耗が進んでしまうかもしれない。
「エッチは裸でするのが素晴らしいと思うけど、やっぱりメリハリはつけたほうがいいかな」
「……私はこのままでも構わないのですけど……外に出る時は服を着ますし、不道徳な秘密の園っていうのも楽しいですから」
「……ま、まあ、それにしたってそろそろ家もできるし、そしたらここから移るからみんな元の生活に戻るためにも、な?」
「その前に……もう一度、お種をいただけますか?」
「もちろん流し込ませてもらうけどさ」
抱き合ってはいたが、さっき出したっきり、ちんこは抜いていた。
フェンネルは嬉々として腰を動かし、その細い指でちんこの位置を合わせ、自分の膣の中にぬぷりと飲み込んでいく。
「ん、はぁっ……♪」
「あと、お種をいただくとかそういう表現より『もう一度気持ちよくなりませんか?』 とかの方が俺、好きだな」
「……子作りよりもそちらの方が雌奴隷らしい、ということですね」
「まあ、だいたいそんな感じ。心配しなくても俺いつも中出ししかしないから、同じだよ」
「……そうですね♪」
フェンネルは頷き、俺の首に腕を絡めながら腰を振り始める。
そんな俺たちをちょっと羨ましそうに一瞥し、アンゼロスは咳払い。
「……ってことは、みんなに服を着るように伝えて回るべき?」
「あ、ああ、頼むよアンゼロス……あ、でも服着ててもエロいことはするから」
「まあ、それは誰も異議唱えないと思うけど」
アンゼロスはそう言って、ナリスを誘って村の入り口の脱衣小屋(普通の家だけどみんなの服一式を置いてある)の方に向かう。
俺は木漏れ日に照らされながら、積極的に腰を振るフェンネルの髪を撫で、キスをして……そこで、村の広場あたりの空中が光っていることに気付く。
「あ、誰か入ってくる……」
それを聞いて、快楽に蕩けていたフェンネルが少し正気づく。
「え……でも、今回はみんな村の入り口で服を脱ぐから、入るときはそちらの方に座標を合わせているはずなんですけど……」
「……じゃあ普段出入りしてるのとは違う誰か……だったり?」
「!」
フェンネルが目を見開く。耳まで真っ赤になる。
……そういえば、ここは俺と、俺にエッチして欲しい雌奴隷だけだから全裸でもあんまり恥ずかしくない、と言っていたわけで。
「ちょ、ちょっと待ってください、ご主人様、ということはみんな裸なの、見られ……」
「いや、でも止めようがないし……あ、出てきた」
「ひっ!!」
フェンネルが身を強張らせて俺に抱きつく。ついでに膣もぎゅっと締まってきたので俺はたまらず射精してしまったのだが、その最中に闖入者は光の中から現れた。
「ふっ、と……」
現れたのは見知らぬダークエルフの女性。
長い黒髪と凛々しい目つき、すらりとした手足。
手本にしたいくらい美しい姿勢の立ち姿から伝わる覇気は、彼女が相当な実力者であると予感させる。
そんな彼女が周りを見渡して……無表情になり。
「……ああ。ヒルダの言っていた意味はこれか……」
最後に俺(フェンネルに中出し中)に目を向け、気まずげに微笑む。
「……やあ、弟君。……私も脱ぐべきかな?」
「いえ、ご随意に。っていうかやっぱり脱がれても困ります。俺の雌奴隷たちなんで」
さすがに気付いた。
既にその身に傷はなく、手足も目も再生しているが。
彼女は、ナンシーさんだ。
「ほっ……おお、そういえば全裸村じゃったのう」
「ええ、だから言ったじゃない」
続いて現れたライラとヒルダさん。
そして。
「……!? な、ななっ……なんだこの」
「カルロス」
登場早々異様な光景に仰天、即座にナンシーさんに目隠しとして顔面掴まれたカルロスさん。
……初めての俺以外の男の登場に一瞬村はシンとなり、次の瞬間あちこちから悲鳴が響き渡る。
……ああ、よかった、シャロンやテテスも悲鳴上げてる。羞恥心が捻じ曲がって既にそういう感覚なくなってやしないかと心配してたんだ。
「ご、ご主人様、私も何か着ないと……!」
「あ、うん。まずは幻影とかで誤魔化してから脱衣小屋行こうか」
「え、ええ、そうですね。そうですよね」
フェンネルが立ち上がる。ポタポタと穴から精液が垂れる。
「ああ、勿体無い……」
「いいからホラ。またあとで中出ししてあげるから」
「……や、約束ですよ」
ちゃっかり者だ。
全員、服を着用して広場に集まる。
……カルロスさんはライラがいつも着ている巻き布で顔を完全に隠され、縄でぐるぐる巻きにされていた。
「誰だよこんなことしたの……」
さすがに可哀想になったのでそう言うと、ナンシーさんが手を上げた。
「私だ。……まあタルクの水浴び場というわけでもなし、他人の女を無遠慮に見るのはマナー違反だろう?」
「だからってここまですることないんじゃないかいナンシー!?」
布巻きマスクの中からくぐもった声でカルロスさんが抗議する。さすがに芋虫みたいに地面に転がすのはどうかと思うよ、うん。一応コロニーリーダーで大商会の会長なんだし。
「というかだね、なんだいさっきの!? そりゃね、君がそういうアレなヒューマンだっていうのは理解してたつもりだけどどう見たって十人やそこらじゃなかったんじゃないか!? 父上だってタルク始まって以来の好色親父として有名だけど十人で我慢してるんだよ!?」
「……ひのふのみの……猫獣人とエルフが多いな。全部で二十人以上はいるか?」
「どんだけこの世の春を謳歌してるんだい!? というか白エルフって割とその辺堅かったはずだと思ったんだけどどういうことだい!? ヒルダ、まさか変なこと企んで彼に協力してやいないだろうね!?」
「やーねー。……三分の一くらいしか噛んでないわよ?」
「そんなに噛んでるのかい!?」
言われてみればヒルダさんには相当お世話になってるな。猫獣人コロニーに関しては確実にヒルダさんの魔法ありきでできた縁だし、アルメイダ落としやテテス関係にも少なからずヒルダさんの影があるし。
「まあ他所の家の夜の事情は気にしなくていいだろう、カルロス。大体、礼を言いに来たんじゃないか、私たちは」
「礼を言うのはやぶさかじゃないが一応ディアーネとヒルダとあとノールも最近怪しいしそのへんの幸せに関わることだよ!?」
芋虫状態のままばたばた暴れるカルロスさん。
どうでもいいけど、既にみんな服を着たんだから別に顔解放してあげてもいいんじゃないかなあ。
「幸せそうじゃないか、ディアーネもヒルダも」
「まあ、不幸とは思っていないが」
「ねー。今回は忙しくて混ざれなかったけど、本来あーゆーのって私の得意分野だし☆」
「ディアーネ! ヒルダ! っていうかヒルダお前オーリンズ君のことどうするの!?」
「誠実な旦那さんはヤりたい盛りの奥さんを十年も放置プレイしません。帰ってこないのが悪いんじゃない。一応オニキスには連絡取れてるんでしょ?」
「まあ死んではいないのは確かなんだけど……それなら会いにいってあげるとか。一応ヒルダも東方山地行ったことあるだろう?」
「あんなトコで常に移動してる行商人探すとか、それこそ何年がけになっちゃうわよ。それに帰ってきてって何度か連絡係にことづけたのに忙しい忙しいって断られっぱなしじゃない」
「う……」
ヒルダさんの旦那さん、割と苦しい立場っぽいな。
おそらく以前のヒルダさんとの夜の生活に耐えかねたんだろうけど、だからといって彼女の実家はタルクのトップ。家訓も苛烈なオニキス商会だ。
あまり堂々と絶縁もできず、自然消滅狙いの退避生活…………ってとこか。
おそらくその意図は既に誰の目にも明らか。本人同士も嫌ってるわけじゃなさそうなだけに、若干モヤモヤが残ってる感じか。
「で、でも、彼が今も無事ってことは、彼と出会ってあの凶暴な性生活も多少はマシになったんだろう? い、今のことには目をつぶってあげるから、オーリンズ君とやり直したりできないかい? やっぱりダークエルフはダークエルフとうまくやるべきだと思うんだけど……」
「時間切れだと思うけどねー」
「そこをなんとか……だ、だいたい本当に忙しいだけかもしれないじゃないか」
「本気でそう思ってるなら割と兄上のこと見損なっちゃうな。見る目だけはちゃんとした人だと思ってたのに」
「……ナンシー、君からも……」
「まあ、私も生死不明で消えたクチだから弁護したいところだが、オーリンズは……まあ、難しいと思うよ」
「ナンシー……」
「契約を何より重視したいお前の気持ちもわかるけれど、私たち長命種の色恋は、必ずしも命尽きるまで……とはいかないのも道理だろう。何も考えずに二人、見詰め合うだけで千年は少し長すぎる」
「……ナンシーも、そう思うのかい」
「一般論としては、決して間違ってないと思っているよ」
ナンシーさんはしゃがみ、カルロスさんの顔布をすぽんと取った。
「……私があんな姿になっても愛し続けてくれたカルロスには、感謝という言葉では言い尽くせないほど感謝してる。でも、それはカルロスだからできたことだ。誰にでもできることじゃない。私は、ダークエルフすべてにお前の美徳を同じように期待はできないよ」
「……だけど」
「私だって、不安だったんだ。お前の妻として私は決して立派じゃない。いつ捨てられても文句は言えなかった」
「ナンシー、それ以上言ったら僕は怒る」
「……だから私はヒルダの誘いに乗って、ここに来たんだ。お前がそれだけ愛してくれたのに、私はお前に何も返せないまま終わりたくなかった。……お前に、子供を産んでやりたかったんだよ、カルロス」
「僕は……僕は、君がいるだけでも、いいんだ。勘違いしないで欲しい。僕は君を愛しているんだ。君という妻を持っているという体裁を愛しているわけではないし、君に何かを返して欲しいと考えているわけじゃない。君が不自由なのが悲しいから、今回の話だって乗ったんだ。君がそんなに苦しい思いをするなんて知らなかったし、それが君の誠実の証だというのなら、僕はそんなものいらなかったんだ」
「ああ、お前はつくづく……全く、少しは女の意地をも愛して欲しいものだね」
ナンシーさんはカルロスさんを抱き締め、微笑んだ。
……その光景は、その少し滑稽なカルロスさんの姿にも関わらず、溜め息をつくほど美しい。
「……私とお前はこれでいいかも知れない。でもね、子供が大事なのは……夫婦ってものなら、当然なんだよ、カルロス」
「……オーリンズ君を擁護できないという理由は、そこかい」
「まあね。……夫婦っていうシステムが恋人と違うのは、子供を作って育てるためのシステムだということだ。逆に言えば子供という一番大きな歯車がなければ……夫婦と他人なんて実質的にはそう違うものじゃない。オーリンズは子供を作る前に去ってしまった。十年経って妻を責めるには少し手抜かりが過ぎると思うよ」
「……はぁ。君は、妹達に甘すぎる」
「ふふ。お前に言われることじゃないね」
……そして、そのナンシーさんの説得を横で聞いている俺は無意識に胸を押さえてうなだれポーズ。
心が痛い。結婚もしてないしする予定もまだなのに二人孕ませて既に一人生まれてます。
猫たちに至っては最初から結婚とかどうでもいいので孕ませろーとかもう論理の埒外すぎます。
「ごめんなさい。心の底からごめんなさい」
「な、なんでこのタイミングだかわからないけど猛省しろヒューマン! 何考えてんぐっ」
とりあえず心の痛みから逃れるために土下座すると、まったくよくわかってないカルロスさんが無意味に吠えたところでナンシーさんにグキリと腕で首を締め上げられる。
「君は、それでいいんだよ。義父上もそうだが、何人だろうと自分で愛しきれるなら好きにすればいい。愛されなくなった時に女がどんな思いをするか、どんな決断をするか……結局そんな話だ。オーリンズに逃げられるほど激しかったヒルダだって落ち度はあるだろうが、私はヒルダを責めるようなものとは思っていない。それだけのことだよ」
「ぼ、僕はヒルダのことを置いといても君なんか認めないぞぉ……!」
「カルロス。私の分の礼を言いに来たんじゃないのか?」
「ぶくぶくぶく」
「義姉さん、放してあげないと処置が必要になっちゃうわよ」
「あ、ああ、すまない。久々に両腕があるのが嬉しくてね」
……俺、わりと理不尽に責められてるという自覚はあるんだけどカルロスさんに同情を禁じえない。
頑張ってカルロスさん。
「この通り、傷跡もないし、手も足も自由に動く。ヒルダの見立てでは、胎も治っているはずらしい。……ま、それはカルロスと気長に確かめることにするけれどね」
ナンシーさんは俺にじっくり手足を見せてくれる。
もちろん裸というわけにはいかないが、その美しいバランスの肢体は優秀な運動能力を持つ女性独特のもので、ボリューム感のある胸やお尻とその肌を総合して、ディアーネさんやノールさんを髣髴とさせる。
「こんな夢のような術式を、人間の君が思いついたと聞いたときは驚いたよ」
「いや、俺が思いついたっていうか……ほどんどヒルダさんとブレイクコアとクリスティのお手柄ですけどね」
「……それでも、君がいなければ術式が土地を渡ることもなかったし、こんな風に使われることもなかったと聞いている。……ふふ、やはりドラゴンライダーというだけの何かが君にはあるのかもしれないね」
「まあ、運には自信がありますけど……そういえば手に足に目にって、メチャクチャ痛かったんじゃないですか」
俺を通して逆房中術で安全弁を作り、感覚を麻痺させたまま治す術は使えないはずだ。
ということは一箇所でさえ発狂しかねない痛みを三箇所で耐えたということ。
「まあ、確かに痛かったが……あの程度なら、数百年の不自由に比べたら安いものだったよ。それに私が魔法の扱いに慣れているのも幸いしたらしい。随分スムーズだったと聞いている」
「はー……なるほど」
それにしたって凄い精神力だ。ムチャクチャ痛かったのなら愚痴くらい言いそうなものなのに、笑っている。
「さすが初代『戦神』ですね」
「その言い方はムズ痒い。やめてくれ」
「拒否の仕方までディアーネさんそっくりだ」
「ははは」
笑いあっていると、勇んで現れたのはアンゼロスにオーロラ、そしてテテナリ。
「あの、ディアーネさんから昔すごい実力の戦士だったと聞きました!」
「お手合わせ願えませんかしら」
「やー、すごい興味わきますよ、セレスタ成立前の元祖エースナイト号持ちの人の戦闘術!」
「テテスちゃん、あんまり病み上がりの人に嬉しそうに突っかかるもんじゃないよ……」
ナンシーさんはクスッと笑い。
「なら、少し暴れさせてもらおう。……さすがに恩人の聖獣や白エルフたち相手に腕試しも気が引けたところなんだ」
結果。
「……さすがディアーネさんの師匠……」
「は、歯が立ちませんでしたわ……」
「一応全力で打ち込んだんだけど……いつの間に背後に回られたのか全然わからなかった……」
「アルメイダさんとどっちが速いかな……いちちち」
実力はエースナイトどころではなかったらしい。
四人まとめて大の字で完全敗北していた。
「何をやってるんだお前たちは……いくらなんでもなまり過ぎだぞ」
ディアーネさんはその惨状を見て呆れる。
「まあまあ。しかし最近は面白いな。こんな娘たちがあんな技を使いこなす」
「手足がある義姉上の技は初めて見たよ。部下たちの仇討ちに、私もやっていいか」
「遠慮するよ。……ディアーネにはまずかなわない」
「どこまで本気だか」
「ははは。まあ、勘弁してくれ。せっかく治ったのにまた怪我をしてはカルロスが泣いてしまう」
木剣を放り出して肩をすくめるナンシーさん。さすがに年長者の余裕だ。
(続く)
前へ
次へ
目次へ