ネイアは俺やベアトリスの目を気にしつつ(ベアトリスは自分の身に起こったことにいっぱいいっぱいで他人なんか見てなかったが)、少し恥ずかしげに服を脱いでいく。
そのネイアにヒルダさんが近付き「いいのね?」と一声かけて避妊魔術を解除する。
「ほ。そういえば、どいつも避妊をしておったのう。外様のそなたがいち早くそうして種植えを乞うたと知ったら、何人が臍を噛むやら」
「……いけないでしょうか」
「ほほ、どうせ遅かれ早かれじゃ。そなたが一番乗りをしないなら、この場の誰かが啜るだけのことよ」
ライラは鷹揚に笑い、どこかから取り出した布でベアトリスを包み、まともな姿勢で寝かせてやる。
「飼い主殿の精力は、雌どもの取り合いで枯れるほど少なくもない。たっぷり受けて孕んで自慢するがよい」
「……はい」
素直に、そして恥ずかしげながらも嬉しそうに頷くネイアが新鮮だ。
いや、まあこの前のライナーとの決戦前あたりで俺に愛される覚悟は決めたはずだから、なんにもおかしくないんだけど。
「ネイア。……妊娠してくれるか?」
「あれだけしたいと言い張って、今さらそんなことを聞くんですか」
「俺はみみっちい男だからな。できればいつも、はっきり言葉にして欲しいんだ」
「……はい。もちろん……あなたの子を、妊娠したいです。これから、何人でも」
最後の下着をそっと脱ぎながら、ネイアは俺の求めに答えて言葉を紡ぐ。
もう、それを妨げる言い訳は何もない。
「じゃあ、たくさんセックスしないとな。ハーフエルフも純血ほどじゃないにしろ妊娠し辛いし」
「案外簡単に孕まされてしまいそうな気がするんですけど」
ネイアはヒルダさんやブレイクコアに促されるまま、俺の腕に寄り添うように座り、その豊満なおっぱいを惜しげもなく俺に寄せ当てながら、口付け寸前の距離で囁き合いに応じる。
「授かり物だからわからないぞ。現にまだアップルは妊娠してないし」
「それじゃあ……たくさんするしかないのでしょうね」
「カールウィンで一人で産むなんて言うなよ? 産むときは必ずポルカだ」
「気が早いです。孕ませてから……私とあなたの子供を、ここに宿らせるまで犯してから、言ってください」
「……俺好みの言い方だ」
「……やっと素直になれた私を差し置いて、ベアトリスの調教に夢中になられたら寂しいですから」
クスッとネイアは微笑み、そして我慢できなくなったように、俺にしがみついて深い深いキスを押し込んでくる。
肌が熱い。
柔らかな乳房が、俺の生まれたばかりの肩から胸に向かってプルリと滑る。
いやらしい手つきで尻を撫でても唇を離すことはなく、甘えきった鼻声だけで反応する。
……しばらくネイアの舌に口中を嘗め回され、いい加減息が苦しくなった頃合にようやく唇が離れる。
濃密な唾液の混合物が泡を作り、糸を引き、垂れ落ちる。
そして、その行為を他ならぬネイアが積極的にやったという事実が甘美な満足感となって俺を震わせ、またネイア自身のタガもさらに緩んでいく。
「ん、んんっ……ん、んむぅっ……♪」
ネイアは一息を挟み、さらにキスを続ける。
こうして恋慕と情欲に溺れる彼女の顔は、いつも以上に幼く見える。そんなことはないのだろうが、ベアトリスよりもさらに幼く思えてしまう。
甘える女、素直な女というのは、気を張った女よりずっと幼くなるものだというのは事実だけれども。
あのネイアがそんな幼さを丸出しにして、俺に狂おしいほどの愛情を表現してくれている。
そして、その子宮に子種を欲しがり、それ以上に俺の寵愛を求めている。
ライナーを倒して、何かが終わり、何かが変わった。その実感を最も強く与えてくれるのは、彼女のこの変化かもしれない。
「っぷはっ……ネイア、がっつきすぎ」
「んっ、く……キスが、気持ちいい……いえ、楽しい……違う。とにかく、キス、してるだけで……たまらなく……沸き立つような、安らぐような、とても良い心持ちになるんです」
「……ああ、なんとなくわかる。でも、ちょっと待ってくれ」
「……あ」
「寂しそうな顔するなよ。キスならいくらでもしよう。……チンポと子宮でも、口と口でも」
「……はい……♪」
キスだけではもうたまらない。
セックスをしながら、キスもする。
恋人か夫婦か、とにかく積極的な情熱に満たされた、行為としては何の変哲もないセックスをする。
その宣言に、ネイアはとろけそうなほどに嬉しそうな顔をする。
「股を開け、ネイア。……って、グチョグチョだな」
「……はい。グチョグチョです」
俺がネイアを組み敷くように体勢を入れ替え、ネイアの股間に手を入れれば、そこはもう手のひらがベットリと粘液に包まれるほどの濡れ具合。
それをネイアは従順に認め、早く早くとばかりに足を伸ばして俺の腰を引き寄せる。
「あなたの熱い種付けを……スマイソンさんとのセックスを期待して、こうなってしまいました……♪」
「……そういうの、俺が言わせるまで我慢してもいいんだぞ?」
「私は……雌奴隷なのでしょう?」
ネイアは浮かされたような目つきで、俺の肩に手をかけ、少しでも引き寄せようとする。
「奴隷らしくするというのは、こういうものかと思っていたのですが……♪」
「まあ、人それぞれだけど。……やっぱ可愛いからいいや」
ネイアの淫乱な物言いに少し面食らったけど、彼女なりに少し焦ってるせいかもしれないな。
本人の言うように、ベアトリスへの嫉妬。
もっと自分に夢中になって欲しいという想いが、ネイアに性急さを与えたのかもしれない。だが、そんなネイアも可愛らしいし、無理するな、なんて水を差すのも気が引けてきた。
「好きなだけ、求め合おう。……ネイア、入れるぞ。お前の中で楽しませてくれ」
「はいっ……たくさん、たくさん……気持ちよくなっていって、くださいっ……♪」
ネイアの濡れそぼった無毛の陰唇を広げ、先ほどのベアトリスとの行為の跡も乾ききらないちんこを押し込んでいく。
今まで幾度も犯してきただけあり、ベアトリスに比べると嘘のようにスムーズにちんこが入り込んでいく。当たり前だけど。
そして、その挿入の途中から腰に足を絡め、首を抱き締めるようにしがみ付いたネイアは、予告通りにキスと子宮口までの挿入を同時に受け入れながら、離すものかとばかりにぎゅっと手足を引きつける。
可愛らしいが、これでは動けない。
俺はそのままの姿勢で、キスと膣内の感触をじっくりと楽しむことにしたが……そのまま十分ほど経ってもネイアは断続的に息継ぎをしながら情熱的に舌を動かし、膣奥に入れさせたままの腰も離そうとしないので、ちょっと埒が明かなくなってきた。
「ん……んく、ん……ね、ネイアっ……その、少し……んむっ」
「んん……ん、んんっ……♪」
ネイアは喋ることすら惜しいという感じで続けてしまう。
俺は仕方なく、強引に腰を動かすことにする。
ネイアの膣内をちんこで擦るのではなく、ネイア自身を強引に腰で揺するように。
揺らし、僅かな茎の出入りを重ね、勢いで彼女を犯すように。
「んっ……んふ、んんっ♪」
ネイアは、そんな風にされても口と手足を離さない。
強引に揺すられて、無理矢理ちんこの快楽を生み出すために使われるのが本道とでもいうように。
それでも自分は腰を密着させ、万が一にも抜けて外出しなどさせたくないというように、俺の体にしがみ付いている。
呼吸も制限されて結構しんどいけど、俺はそんなネイアを追い立てるように腰を振りたてる。
そこで、放心していたベアトリスがようやく正気づいたようで、視界の隅でゆっくりと身を起こして俺とネイアの交尾をぼんやり見つめ、そしてじんわりと目を見開いて顔を赤くしているのが見えた。
「……ん、んっ……」
俺はネイアにそれを教えようと、視線と肩タップでネイアの注意をそちらに振る。
ネイアは、ベアトリスの表情を見て少しだけ硬直したものの、それから目を細めただけで俺との交合に気持ちを戻してしまう。
俺はタイミングを計って唇を離し、ネイアに短く問いかけた。
「いいのか?」
「……はっ、はいっ……私は……っ、こうされるのが好きで、たまらなくてっ……ベアトリスの前でも、我慢ができない変態で、いいんですっ……♪」
またちょっと暴走気味の雌奴隷意識を表明するネイア。
「な、……な、ナニを……」
「ほほ。飼い主殿のアレは強烈じゃからのう。惚れ込んでしまう女が多いのもわかるじゃろう、そなたも」
「えっ……わ、わかんないわよっ!? って、ネイア・グランス、あなたそんなっ……」
混乱して口をパクパクさせ、何を言えばいいのか困っている感じのベアトリスに、ネイアは視線をやり。
「……私は……スマイソンさんの雌奴隷になる、約束……だったんですよ……っ♪」
それだけ言って、またむしゃぶりつくようにキスを再開し、俺の腰に足を絡めたまま自分で腰を揺すり始める。
自分が堕ちた事を認め、誇り、見せ付ける。
ベアトリスに対抗して抱かれたいと言い出してしまってから、ネイアはもう、自分がこうなるのを半ば予想して……いや、決意していたのだろう。
ベアトリスに興味を奪われたくない。自分を可愛がってほしい。
その思いに素直になると決めた時、根がまっすぐな彼女にとって、ここまでが直通だったということか。
そんな自分を受け入れたネイアが愛しくて、俺はそのラストスパートに付き合い……子宮を幾度も叩くように突き上げた末、最後の一撃とともに射精を開始する。
「んく……んん、ん……♪」
溢れ出るほどの精液が膣奥で膨れ上がり、ネイアは唇を合わせたまま身を震わせ、陰部からの濁液と一緒のタイミングで口元から涎も溢れさせてしまう。
互いに唾液を混合させ、送りあっていた俺たちは、ひとつ咳でもすればすぐそうなる状態なのだった。
そして、涎や精液が吹き零れても、それでも互いの唇に執着する……あまりにも本能的なセックスを見せ付けられて、ベアトリスは途中から文句を言うことも忘れて呆然としている。
失った腕を取り戻すために、仕方なく俺に抱かれただけの彼女にはカルチャーショックの状態なのかもしれない。
そうとわかっていても、俺はセックスを続行する。
はばかることはない。別に外で堂々と見せているわけでなし。
……少しだけ、ベアトリスの最終的な困惑を楽しみにしながら。
「……ズルい」
そして、数日。
ベアトリスは仏頂面で森の秘密の温泉に浸かり、ヒルダさんから古傷の治療を受けながら叫ぶ。
「ズルいわよここ! なんなの、このあったかい湧き水!」
「……温泉な」
「お、温泉だかなんだかしらないけど! こんなのあったら簡単すぎるじゃない!」
「何が?」
「け、怪我もほとんど治るし……病気とか、衰えとかも消すんでしょ!? こんなのあったら、私たちなんで苦労してきたんだか……!」
「これからは苦労しなくていいってことだろ」
俺はベアトリスの湯治を見守りながら指摘する。
「これからはカールウィンの人たちもみんな、ここで癒されていいんだ。それにお前、はっきり言ってかなり見栄えがよくなったぞ。どんだけ髪の手入れに気を使ってなかったんだ」
「……う、うるさいっ!」
ベアトリスは手を治療した後、この秘密温泉でたっぷりと湯治をさせたところ、見る見るうちに貧相さが改善された。髪のボサボサさ加減が霊泉効果で回復したのもかなり大きいが、それ以外にも体つきが歳相応に女らしくなり、表情の陰が減ったのも大きい。
短期間で霊泉すげえな、と思うと同時、もうすっかり俺に入浴の様子を見られることをおかしいと思っていないベアトリスに少しだけ歪んだ満足を覚えてしまう。
あんな形とはいえセックスをしたおかげか。あるいは、ネイアのあの姿を見たショックで、ここらでの公序良俗に対する認識がおかしくなっているのか。
少し楽しいから放っておこう。まあヒルダさんとかブルードラゴンもいるから、風呂で男に見られて平然としているのはそんなに珍しい反応というわけでもないし。
(続く)
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