前へ
「ぐ、……ぬぬ」
「はいはい、貴方の負けだ、ガストじーさん」
パン、パン、パン、と手を叩き、長衣の若者がニヤニヤしながらガスト翁の肩に肘を掛ける。
「で、ディエル……貴様、馴れ馴れしいぞ」
「いいから黙れよガスト」
赤の氏族長ディエルはここまでじっと黙っていたが、急にガスト翁を押しのけて全員の注目を集める。
そして。
「割と面白かったがね。口先だけで変わるほど、エルフってのは柔らかい種族じゃないぜ」
「ディエル、そなた」
「何を言い出す」
アイリーナ女史とゴルクスがディエルの台詞に目を剥く。
「外への政策に、賛成してくれたはずじゃ……」
「ああ、あれね。その、なんつーかほら、な?」
「どういうことだ」
「とにかく必要なんだよ、実行力が。みんなが見て、これなら自分も変わらなきゃっていうものが」
ディエルはオーロラを指差した。
「やってみせられるな、空色の姫」
「……わたくしたちは理不尽な狼藉さえ止められればそれでよろしいのですが」
「つまり口だけか」
「……そうではありません」
ああ、この青年、この短時間にオーロラのノせかたを理解してる。なんかすごいぞ。
「じゃあ、そうだな……」
ディエルはニヤッと笑う。
「とりあえずお前ら聖獣いっぱつブッ殺して来い」
『はぁ!?』
(続く)
次へ
目次へ