「さて、そろそろ時間切れねー。それじゃとっておきの30分にしてあげる♪」
「ちょ、ちょっ、ヒルダさん!?」
「姉上!? 私たちの分をなくすようなことは許さんぞ!?」
 ディアーネさん、気持ちはわかるけどもっと純粋に心配して欲しいんだ。3分一発なんてペースで抜きつづけられたら死んじゃう。
「大丈夫よぉ、ヒルダ先生を何だと思ってるの?」
 口を尖らせつつ服を脱ぎ、俺のちんこを両手で包むヒルダさん。
「ええと……」
 目をさまよわせディアーネさん。
 そして伸びているライラとセレンが代弁する。
「欲求不満の淫魔じゃな」
「砂漠で行き倒れかけたところにチンポ差し出された旅人ですかね」
 ライラはともかくセレンのその例えはどうなんだ。
「ちーがーうー。これでも魔法のお医者さんなのー」
 子供っぽく言いながらも手はスナップを利かせて高速でちんこを刺激する。射精直前まで頑張らせてあとは舐めるなり入れるなりという、前戯としての手コキではない。もう最初っから抜きにきている、熟練した容赦ない動きだった。
「うあ、ちょ、そんなっ……!?」
「ヒルダ先生にかかれば、例え一晩ケモノのよーに子作りしたおちんちんだって……よい、しょっ、と。────!!」
 いきなりタマをむんずと掴まれ、呪文を唱えられる。高められていた快感がヒルダさんの手のひらから一気に加速し、そして、
「うが、あああああっ!?」
 びゅるるるるっ、と射精。
 精子地獄魔法の影響でまるで小便のような量が吹き出す。まるで噴水だ、と他人事のように思う。
 そして、少し弱まった射精が持続……って。
 止まらない。1分経っても止まらない。
「え、えええ!?」
「ヒルダ先生の108の必殺技のひとつ。バルブクラッシャー♪」
「どういうことですかっ!?」
「これから10分くらい射精が止まんないのでよろしくー♪」
「ま、待って、死んじゃう、って、うぐあっ」
「大丈夫よぉ、わんわんとおんなじように射精と同じ勢いで精子ができちゃうだけだから」
 だけって。なにが「だけ」なんだ。
「じゃ、いくわよー?」
 そして、あろうことかそのびゅっくびゅっくと泉のように射精を続けるちんこを自分の膣に容赦なく呑みこむヒルダさん。
「う、お、あっ!?」
「えへー……こ、これ、たまんないでしょ? ずーっと射精しながらおまんこで絞られちゃうの」
 ヒルダさんは、ただ奥底まで迎え入れて、それだけでは済まさない。
 子宮口まで亀頭を入れさせ、絶え間なく種付けさせながら、さらに膣道を巧みに操って乳絞りのようにギュッギュッとちんこを下から上へと三段締めで絞り上げる。
「はぁっ……たまん、ないっ……♪ おなかが、妊娠汁でいっぱいになってくぅっ……♪」
「ま、待っ、これ、シャレんならな、うああっ!?」
 ただでさえ頭がクラクラするような快楽が、持続する。
 視界が霞む。
 ちんこ、きもちいい。
 まんこ、さいこう。
 …………。

「……ーい。おーい、アンディくーん」
「!!」
 ハッと目が覚めた。いや、目は閉じていなかった。
 目を開けたまま気絶しかけていた。
「あ、やっぱりこれ、はじめてだと難易度高かった?」
「え、えっ……?」
 射精は……止まっている。
 止まっているが、それでも相変わらず、ヒルダさんが腰を上下させるたびに奥から精子がぶちゅっ、ぶちゅっと溢れて腰に流れ落ちてくる。
「無茶しすぎだ姉上」
「うー、これでもちょっと手加減してたんだけどなー」
「こ、これで……手加減?」
「うちの旦那さんにはもうひと手間、快感が鋭くなっちゃう幻影魔法かけたりしてたんだけど」
「……気ィ狂うんじゃないですかそれ……」
「大丈夫よぅ、そうならないギリギリを見極めるの得意だもん」
 悪魔だ。大悪魔がいる。
 気が狂うギリギリで、それでも狂えないという快楽に毎晩翻弄され続けた旦那さんの心中やいかに。
 一種の拷問じゃないだろうか。
「次の必殺技しちゃう?」
「駄目です」
「えー」
 これは矯正しないといけない。
 窓から数秒、抜けるような砂漠の青空を見た。見たことのないヒルダさんの旦那さんの人のよさげな笑顔が見えた気がした。
 そこに誓う。あなたが帰ってこれるようにせめてもの忠言をかけておきます。
「ヒルダさん」
「?」
「ちょっと座ってください。いや俺の上じゃなくて。そこ。正座」
「??」
 ヒルダさんを作業台の上に正座させる。流れ込みまくった精液が見る間にその腰の下に広がっていくが、それは見ないことにして。
「気持ちよければいいってもんじゃありません」
「でも気持ちいいほうがステキでしょ? セックスなんだから」
「あなたは気持ちいいほうがいいでしょうが男は気持ちいい以外にもセックスの楽しみがあるんです」
「……そうなの?」
「そうなんです」
 この人、セックスで限界ギリギリの快楽を与えることを追い求めるようになって長いんだろう。
 その快楽の拷問を加えることに全く疑問を感じていない。
「いいですか。……セックスが気持ちいいことはもちろん必要ですが、相手を自分の手で気持ちよくさせることにも楽しみがあるんです」
「あるわねぇ」
「ヒルダさんのそれはあなたばっかり気持ちいい!」
「……え、でもアンディくんだって気持ちよかったでしょ?」
「そうじゃなくて、男のほうの頑張りが全く入る余地がない!」
「精液いっぱい出されて、ぶっといおちんちんでゴリゴリされてすっごく気持ちいいけど?」
「それは体の反応が勝手にヒルダさんの快感に繋がってるだけで男の征服欲はちっとも満たされてないんです!」
「せ、征服……欲? や、やだなぁアンディ君、ヒルダ先生のこと征服したくなっちゃった? でも先生アンディ君だけにってわけには」
 うん。やっぱりこの人、ちょっと勝手過ぎることを自分で理解できてない。
 なまじっか凄い技を持って、相手への奉仕に自信があるせいで、相手のプライドを根こそぎ奪っちゃってることをまだ気づけてない。
 過度の奉仕はそのままサド行為だ。
 そしてサドもマゾも、相手の欲望と折り合わなければ愛情交歓にならない。
「敢えて言います。……ヒルダさん、もうエッチで必殺技禁止」
「え、えー? 何、気持ちよくなかった?」
「違います。もっと相手を思いやってください」
「思いやるって言っても……でも、気持ちよくないんじゃしょうがないもん……」
「気持ちいいだけなら商売女で充分です。そして俺は商売女が必要なほど女に困ってません」
 うわー。我ながら超いけ好かねえ発言。
 でも言わなきゃ。
「愛が欲しいなら変な見栄はやめて下さい。俺はただセックスの上手い人としたいんじゃなくて、ヒルダさんと、どうせならラブラブでエロエロなエッチがしたいんです」
「…………」
 ヒルダさんが、ポーッと赤くなった。
 ディアーネさんが咳払いをして、ライラがくっくっくっと肩を震わせ、顔を上げたセレンがぶくーっとむくれる。
「何だよ」
「アンディ。……本気でウチの姉を落としにかかるな」
「全くもって、ズバズバ直球で女の見栄を剥ぎ落としにかかる悪いご主人様じゃの」
「もーっ……本気で人妻奴隷にする気ですかっ!?」
 いやそこまでアレのつもりじゃ。
 ただこのままじゃヒルダさん、いつまで経ってもセックスうまくいきそうにないし。
「……う、うんっ……じゃあ、必殺技、封印する」
「わかってくれましたか」
「……そしたら、らぶらぶでえろえろなえっち、してくれるんだよね、アンディ君」
「します。きっとできます」
 俺だけじゃなくて旦那さんもきっと。
「……らぶらぶ、えろえろ……」
 ヒルダさんはしばらく真っ赤になって呟き続けて、急に恥ずかしそうに体を隠し、そして。
「……えと、あの、……じゃあ、ちょっと待ってね、仕切り直しね。10分待って」
 その辺から服をかき集めて、たたた、と出て行く。
「……な、なんか、様子が変、かな」
 俺の独り言を聞きつけて、ディアーネさんが本日何度目かもわからない呆れ顔。
「阿呆。……恥ずかしくもなるさ、ノリだけでエッチしていた……というか、射精させて楽しんでいただけの女がそんな真剣に求められたら」
「身づくろいかのう」
「私ならそうしますね」
「……十人長、底なしだ」
「僕らの番は……」
「そ、そうですわ。今のうちにお情けを」
「まあまあ、姉上を少し待ってやってくれ」


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