朝になる。
 タルクの朝はとても早い。ダークエルフ系商工会の本拠だけあり商業はとても盛んで、連日朝市が立つ。
 そんな沸き返るような活気が、通りから結構離れているはずのカルロスさんちの別館にも届いてきて、俺はゆっくりと目を開く。
 目の前には乳首。呼吸に合わせて規則正しく上下していて、ちょっと視線を上げるとそれがセレンだとわかった。
「?」
 状況を思い出そうと半身を起こしてギョッとする。
 ベッドの上で俺以外に5人の女性が一人残らずマッパで雑魚寝している。ものすごい性臭だった。
「……な、なんだこりゃ」
 セレンとディアーネさんはともかくあとの三人は……アンゼロスとオーロラとあとダークエルフの美女はなんだってこんなところで。
 と、寝惚けた頭で考えて、事情をようやくじんわり思い出す。
 昨日の午前中オーロラに逆レイプされて、夜にアンゼロスに告白し直されて三連射して、その上ディアーネさんの姉上にもえーと、そうだ。
 やっちゃった。
 不倫。
「…………」
 ちょっと凹んでブッ倒れると、寄り添うような体勢で寝ていたセレンがパチッと目を覚ました。
「あ、……アンディさん、おはようございますっ」
「おはよう」
「朝……ですね」
「うん」
 セレンは指で髪を梳きながら起き上がり、俺と同じように周囲を見回して苦笑い。なんというカオスだ、と思ったに違いない。
「でも……早起きは三文の得、です♪」
 そしてそのまま俺の股間に体を倒して、朝立ちちんこにチュッとキス。
「おはようのキスなら先に顔にして欲しかった」
「あ、あはは……そういえば、そうですね」
 ちょっと気まずそうに笑いながら、やわやわとその豊満なおっぱいで俺のちんこを挟むセレン。何の気負いも抵抗もなく、恋人同士だから腕を組む、というのと同じ調子で自然にパイズリを始めるあたり、セレンも相当根っからの好き者だ、とか思った。
「……こんな朝からするのか?」
「しないんですか?」
「……い、いや、してもいいけどさ」
「じゃあしましょう。継続は力なりっていうじゃないですか」
「それは何かが違う」
 とは言いつつもセレンのパイズリでぐんぐん大きくなる俺のちんこ。ツッコミと裏腹の正直な下半身に、にへら、と笑ってセレンがフェラチオを始める。
「ん……ちゅ、んむ……っ」
 ちゅぷちゅぷと浅く、リズミカルに顔を前後させるセレン。
 されるがままの俺。
 どうせなら立ち上がってセレンを押し倒したいな、と思ったところで、ヒルダさんが目を覚ました。
「ん、んー……ちゅっ」
「!!」
 寝惚け顔で顔を上げて、目の前にフェラをするセレンを認めたかと思うと、目も開ききらずに俺のタマにキスするヒルダさん。この人もかなり本物だ。
「……んー……くさぁい……昨日からずっとお汁まみれのタマタマ……」
「…………」
 しょうがないとはわかっていても「くさーい」とか言われるとちょっと凹む。
 それでもヒルダさんは寝惚けたまま俺の足を抱き締め、股間から顔を離さない。ゆるい吸引力でちゅーっとだらしなくタマを吸い、そして小動物のようにペロペロと舌を出してみたりもする。
 セレンの奉仕とは趣の違う、どちらかというと本能、習性一辺倒で性器に吸い付いている感じだ。気持ちいいかは置いておいて、根っからのスケベという感じの所作が実にエロエロ人妻という感じでたまらない。
「セレン……出、る……っ」
「んふー。いははひふぁーふ♪」
 いただきまーす、だろうか。嬉しそうに何事かを言ったセレンの口の中に、射精。
「んぐ……ん、んっ……ごきゅっ……んぐうっ!?」
 ドクッ、ドクッ……と、何度も何度もセレンの口の中で痙攣を続ける俺のちんこ。
 そろそろ大人しくなる頃合いかと思ってもなかなか射精が収まらず、セレンの口からでろでろと精液が零れ落ちる。
「ん……あらあら」
 それを片手で受け止め、滴る糸を舌で辿り、セレンの口元までペロペロと舐め上げる、まだ目が半開きのヒルダさん。
 ……ああ、もしかして昨日の精子地獄の魔法、意外と効果時間長いのだろうか。
 このだらしない大量射精はそのせいか。
「んー……おいし♪」
「や、やら、かえひれぇっ」
「あらあら、欲張りさんね。お口に入ってる分を飲み込んだら?」
「うぅーっ……」
 恨めしそうにヒルダさんを見ながら、ごくごくと喉に絡まる精液を飲み下すセレン。
「この分の栄養でアンディさんに今日も元気にいってもらうはずなんですよぅ」
「……え、栄養?」
 きょとんとするヒルダさん。こくんと頷いたセレンが医療光術で俺にエネルギーを返す。
「医療光術……?」
「そうですよ?」
「ザーメンでやってる人は初めて見たわ」
「アンディさんは元々体よりおちんちんのほうが元気な人ですから」
「ある意味珍しいわねえ」
 珍しいのか?
「でも、それなら尚更……どっちにしろアンディ君は腰振れないし」
「あっ」
 そうだ。俺はどっちにしろ、例の幻影魔法を足にかけてもらわないと満足には動けない。無駄骨だ。
「じゃ、じゃあ今かけてくださいよ、あの魔法っ。もう随分時間が経ってるから大丈夫でしょう?」
「ま、そうだけど。こんな朝から大丈夫? こんなにエッチばっかりして飽きちゃわない、アンディ君?」
「いや飽きるとかは滅相もないですが。それより早く身づくろいしないと朝ご飯の時間に間に合わないんじゃ」
「冷静ですねぇ」
「それでいておちんちんはとってもスケベで正直……。ディアーネちゃんもいい人見つけたわね」
「褒められてるのか皮肉られてるのかわからない」
「褒めてるのよ?」
「褒め言葉に決まってるじゃないですか」
 二人して不思議そうな顔をする。彼女らの価値観が微妙にわからない。


 とりあえず他のみんなを起こし、近くの水浴び用のオアシスに向かうことにした。
 朝食までちょっと時間があったし、流石にみんな大量の射精を食らって相当匂う状態だったのだ。

 で、タルクには独特の風習がある。
 水浴び場では混浴上等、裸を恥ずかしがらないのがマナー……らしい。
 もちろんそれは露出の肯定、ヌーディストの推奨ということではない。
 水浴び中はルールが違う、というだけのことであり、道を裸に近い恰好で歩いたら奇異な目で見られること自体は変わらない。
 この辺のルールは余所者にはよくわからない部分ではある。
 が。
「天国だ」
「天国っスね」
 いくつもある広い広い水浴び用オアシスのひとつで、俺とベッカー特務百人長は同時に呟いて、遠くはしゃぐダークエルフ娘やオーガ娘たちの裸体を思う存分鑑賞しながら、目を動かさずに握手していた。
 本当はお義理でも頷き合うべきなんだろうが、この素晴らしい光景から目を離すのは神への冒涜だ。多分。
「あらあら、本当に男の子ねえ」
「ベッカー……ここで見る分には許すが、気に入った娘を見つけたとしても、くれぐれも着替えやトイレなんか覗きに行くなよ。お前はやりかねんから心配だ」
 ヒルダさんとディアーネさんが近くにザバザバやってくる。二人ともその素晴らしい裸体も陰部も全く隠していない。
 というか、ディアーネさんの風呂での羞恥心の薄さはここから来ているんだろうか。
「素晴らしい風習としか言いようがありませんな。いや、確かに着替えやトイレも乙なもんですが合法的に見られる場所があるなら無茶はしませんぜ」
「そう願うぞ。さすがにここでやらかして、もし見つかったらかばい立てしたくない」
「地元だからですか」
「そうだ」
 頷いて、俺の隣に座るディアーネさん。そのディアーネさんの隣で暢気に鼻歌歌っているヒルダさん。
 さすがにダークエルフの慣習に付き合って裸を衆目に大公開するのは気が引ける、ジャンヌやオーロラ、アンゼロスらは観光客用の屋内水浴び場に行った。そういうのも一応あるらしい。
 ちなみに男用の屋内水浴び場は閑古鳥だった。
「自分のちんこを見せたくないからと行って女体パラダイスに出ない奴は男じゃない」
「全くです」
「アンディ、ベッカー……まあ悪いとは言わんが」
 呆れるディアーネさん。
 止めないでいただきたい。ここには男の夢と書いてロマンとふりがなを振って「いきざま」と読むべき何かがあるのだ。
「まあアンディさんはエッチでいいですよー。それでこそ受け止め甲斐があるってもんです」
「……セ、セレンちゃん。いや君たちが肉体関係にあるのは知ってるけどおじさんの前ではちょっと自重してくれないか」
「?」
 ベッカー特務百人長は、おおまかには男性の領分(混浴とはいえ気兼ねのない距離とテリトリーというのは何となくできてしまうものである)であるにも関わらず、べったり俺にくっついてニコニコしているセレン(とディアーネさん姉妹)に少したじろぐ。
 まあセレンのプロポーションは完璧に近いし、至近距離で夜の生活を匂わせながら俺にベタベタしているのを見ると色々と悔しいのだろう。ちょっと優越感。
 ……まあ一人じゃ満足に歩けもしない俺を介助するっていう名目があるんだけど。まさか松葉杖でもってオアシスの水の中を歩くわけにもいかない。
「ほ。まあお主は向こうのダークエルフやオーガ娘をじっくり鑑賞しているがいい。我らは坊やと子作りするゆえな。ま、邪魔せねば見ても構わん」
 ザバザバとあとから近づいてきたのはライラ。見事に巨乳組がこっちに勢ぞろいだ。
「ライラ、オアシス内での性行為は禁止されている」
「なんじゃつまらん。我の受胎の様を衆目に見せ付けてやろうかと思うておったのに」
 ディアーネさんに諌められて、本当につまらなそうに溜め息をつきつつ、俺の頭にその巨乳を乗せるライラ。セレンとディアーネさんもくっついて、なんか水の泉にも関わらず肉布団状態だ。
 つーか現時点で超目立ってる。
「……ほ。我のおらんうちに匂いがまた複雑になっておるの、坊や?」
「え?」
「昨夜のうちに……さらに新しい女、三人ほど抱いたな?」
 ライラがニヤついた声で乳の上から言うと、特務百人長がざざっと後ずさった。
「三人!? お前どんな性生活を」
「……まあいろいろありまして」
「いろいろってなんだよ! 詳しく! つーか俺に一人ぐらい紹介しろよ!」
「黙れベッカー。お前は自称ハンサムなんだから自分でなんとかしろ」
「隊長ー!?」
 ああ、騒がしい。というかちゃんと向こうのパラダイス見ろよ特務百人長。


次へ
目次へ