「おいライラ! アンディは来ているか!?」
朝方、ライラの邸宅にディアーネさんが飛び込んできた。
そしてベッドに絡まり転がっている俺とライラとジャンヌ。
「……ほ。ディアーネではないか」
「ほ、じゃない! ……よかった。アンディ」
寝惚け顔の俺を心底ほっとした顔で抱き締めるデイアーネさん。
「今のお前では子供にだって襲われたら手も足もでないからな。夜歩きして夜盗にでも絡まれたかと心配した」
「す、すみません」
よく考えたらディアーネさんに断らずに出てきてしまっていた。そのまま外泊は確かにまずかったか。
「ん。次からは気をつけろ」
ぽんぽん、と背中を優しく叩かれる。
と、その優しい抱擁の下で、裸の下半身をぺちょぺちょと舐める舌の感覚。
ディアーネさんが苦い顔をして俺から身を離し、確認する。股間にライラが顔をうずめていた。
「……この色ボケ竜」
「ほ? 別に発情しているは我ではないぞえ? 坊やのここが朝から女を欲しておるから慰めておっただけじゃろが」
ぬけぬけと言うライラ。ちょっと頭が痛い。
「ライラ。それは発情じゃなくて生理現象なんだ」
「野暮を言うでないわ。どうあれ勃ったら女に入れる、あれだけ女を飼ってまだそれが男の甲斐性と気づかぬかえ?」
「それは何か違うと思うぞ多分」
そんなのが甲斐性だったら街はただのレイプ地獄だ。
「大体ライラ、お前は昨日さんざんアンディとしたんだろうが。ずるいぞ」
「いやディアーネさん、そこで話をややこしくしないで」
「黙れ。私はベッカーの馬鹿が来てから二週間近く禁欲状態だというのに。もう我慢できない、とりあえず一回私にもシろ」
「え、あ、ちょっ!?」
押し倒される。
ディアーネさんが手早く服を脱ぎ捨て、俺にまたがったその時、また玄関が開いて誰かが入ってきた。
「ごめんくださいな。スマイソンさんはこちらに……」
オーロラだった。
寝室に入ってきて絶句する。むせ返る性臭と、裸の幼女と、美女と、ディアーネさんと俺と合体シーン。
「……き、きゃああああああああああっ!?」
一瞬で真っ赤になったオーロラは顔を押さえて脱兎の如く。
それを見送ったディアーネさんは、やれやれ、と溜め息をついて。
「続けよう」
「追わないんですか!?」
「別にこの現場を見て想像することの何一つ、誤解というわけでもあるまい」
「ぐふ」
確かにそうだけど開き直りはよくないよ。多分。
青空の下、例の酒盛り場。
とりあえず旅の仲間一同、顔を揃えて朝食タイム。
「……朝食時に聞くことではありませんが」
こほん、とオーロラが咳払いをする。
「す、スマイソンさんの恋人はアンゼロスさんではありませんでしたの?」
「ち、違っ……いや、その」
アンゼロスが一瞬で真っ赤になって俯く。今日はポニーテールだ。
が、アンゼロスが俯いたのを見てオーロラはこっちに視線を向ける。
「その……まあそこは微妙な……」
アンゼロスとは距離感を掴みかねている。いきなり愛を囁くような関係になるわけでもなく、かといって今までの関係に戻れるわけでもなく。
極限状態だったとはいえ、少なくともあの時俺はアンゼロスを誰にもやらない、と言ってしまい、アンゼロスはアンゼロスで俺の好意を受け入れるようなことを言ってしまった。その事実をどう扱っていいのか、お互いにもてあましている状態なのだ。
が、その辺のことは特に関係なく、セレンは隣から俺の腕を抱き締めた。
「誰が恋人でも私はアンディさんの雌奴隷ですから♪」
「なっ」
真っ赤になるオーロラ。そういえばオーロラは、ここに至るまでセレンが何者なのか、どうして俺にくっついてきているのかわかってなかったのか。説明した覚えないし。
「わ、私は……少なくともアンディとは添い遂げるつもりでいるぞ?」
少し恥ずかしそうにしながらも言い切るディアーネさん。
「そして我は今後飼われる予定じゃ」
「じ、十人長はすごい男だよ! 女の四人や五人ぐらい余裕だよ!」
「ちょ、ちょっとお待ちになって!」
オーロラは両手の人差し指でこめかみを揉み解しながらしばらく目を閉じて黙考。
「……こ、この中でスマイソンさんと、その、関係を持った方は……?」
セレンとディアーネさんとライラとジャンヌがパッと手を上げる。愕然とするオーロラ。
「……ど、どういう……」
「俺も、その、ちょっと、えーと……」
「ほ、まどろっこしい。シンプルに白状せんか。みんな俺の女じゃ、責任持って孕ませてやると」
「…………み、みんな俺の女だから、責任もってはらま……ええと、とにかくそんな感じになったみたいよ?」
俺のチキンハートをどれだけ絞ってもそこまでしか出てこないんだけど。
「アンディ、もっとシャンとしろ」
「そーですよー、そんなんじゃ私たち不安になっちゃいますよ?」
ブーイング。不安になってるのは俺の方だ。
「……それでみなさん、納得……されて、るん、ですのね」
「納得……とは言いがたいが、まあアンディだからな」
「アンディさんじゃしょうがないですよねぇ」
「ほ。坊やは良い男じゃからの」
「だな♪」
くらくらとテーブルに肘をついて頭を抱えるオーロラ。複雑な顔のアンゼロス。
よく考えたら微妙な距離感と言ってもアンゼロスは決して俺に近づこうとしているわけじゃないし、こんなだらしなく関係広げてる俺にはもう幻滅してるのかもしれない。
ちょっと凹んだ。
「……なあスマイソン、そうやって美人ばっかり引っ掛けるコツ教えてくんね?」
「と、特務百人長は素で引っ掛けられるんじゃないですか。顔はいいんだし」
「なんかテメーに言われるとムカつくな」
俺にどうしろと。
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