タルクは冬でもポルカでいう夏くらいの暑さだ。
ポルカは夏でも長袖があまり邪魔にならない程度の気温なので、まあ要するに普通の場所で言うなら春か秋くらい。
真冬の雪の中から飛んでくるので子供たちは途中で服を変えなくてはいけない。そこらへんの管理はフレナのお目付け役を兼任するネイアを始め、何人かの随伴の大人たちがやることになる。
で、俺はというと、もうほぼポルカからノンストップで全裸のまま過ごすため、着替えるというよりタルク近くなったらようやく服を着る、という感覚になる。
いや、だって同じ「小屋」に相手が10人も乗ってるんだもん。そりゃヤリっぱなしになる。
どれだけ派手にイかせても、順番にヤれば5人か6人も進むころには普通に復活する。こっちは連発でも相手はゆっくり2〜3時間ごとのセックスになるわけだし、ほぼ無限ループだ。
もちろん飲まず食わず寝ずでセックスしまくっているわけではないが、まあ雰囲気も後押しして、起きている時間はほぼ誰かにちんこ突っ込んでいる状態になる。歩き旅よりは随分早く済むとはいえ、女の子側もセックス以外にやることはなく暇なのだ。そして俺は数々のドーピングと訓練のおかげで、今となってはもう種切れの心配はないくらいになっている。
……ときどき自分の精液が本気でどこから供給されてるんだろう、と怖くなったりもするけど、まあそういう状態なのでずっと小屋の中は淫臭でいっぱいの旅路。
……んで。
「やあよく来たねヒューマン。子供たちも元気そうで何よりだがいやちょっと待て今君の方の客室からエレニアちゃん出てこなかった? うん僕の見間違いじゃないよね去年よりまたニュッと背が伸びてるけどあれエレニアちゃんだよね? 確か君の乗ってるやつってドでかい多人数用ベッドであれに乗ってきてるってつまり」
「落ち着いてくださいカルロスさん」
「落ち着けるかこの野郎ついに実の娘に! もう今年からお前にレベッカは接触させないかんな! もしレベッカと同じ空間で息吸ってみろ! もう二度と繁殖できないようにナイフで切り取って砂漠トカゲのエサにしてやるかんな!」
「だからレベッカちゃんはまだ5歳でしょうに……」
「先月6歳になったよ! 祝え! いや違った、実の娘13歳にちんちん向けられる男が姪っ子6歳に発情できないなんて信用できるか!」
カルロスさんが発狂しかけたのでナンシーさんが音もなく現れ、いつものように首をキメて黙らせた。
「ぐえー」
「やあ、半年ぶりだねアンディ君。いや、夏の精霊祭の後に一度コスモス本舗に来ていたからタルク自体は4か月振りというところか?」
「……あ、はい。ご無沙汰してます」
オチたカルロスさんの襟首を掴んでそこらのベンチに寝かせ、それからナンシーさんは肩をすくめて子供たちが宿舎に入るのを見守る。
「そろそろ手狭かな。今年は何人増えてるんだい?」
「……え、えーと……去年と比べると24人……かな?」
「……二年前の勘定では足りないね。来年までに増築するとしよう」
毎年増える俺の子供。まあ空の旅には不安のある乳児は連れてきていないが、特に猫獣人コロニーの子が増加著しい。
オニキスの敷地内にうちの子供たちが泊まる専用の宿舎まで建ててもらっているのだが、それでも泊まり切れずに一部はディアーネさんの兄弟の私室を一部借りて泊まっている状態だ。
「なんだったら外の宿屋を借りますけど……」
「それでは私たちの面目が立たない。心配しなくとも土地は十分あるし、子供たちに仲間外れを作りたくない。何より、レベッカには気軽に精霊祭の夜をいとこたちと楽しんで欲しいんだ」
「……そ、そうですか」
カルロスさん夫妻の娘であるレベッカちゃんは、待望の一人娘ということでカルロスさんに過剰に保護され、普段はなかなか自由が利かない。それに実のところ、他に歳の近いいとこもいない。
100人近いディアーネさん兄弟の中でも、ここ10年で子供を産んでいるのは俺のところにいる姉妹だけだ。本来、ダークエルフはそんなに頻繁に子供を産まない。
しかし子供は、子供感覚を共有してくれる相手が欲しいものだ。だからレベッカちゃんにとってはうちの子供たちが唯一気兼ねなくふざけ合える相手になっているのだ。
「しかし……うん。アンディ君、私も感心はしないぞ? 子供というのは育てられている事実を盾に取られれば、親には逆らえないものだ。特に男親にとって長女というのは可愛い。愛してしまう気持ちはわからないでもないが、だからといって肉体関係は」
「いえ、その……むしろこっちが必死でストップ掛けている状態でして……」
「……?」
エレ。これが普通の大人の感性ってものだ。パパはどうやっても悪者にしかならないんだ。
……と言ってもわかってくれないよなあ。
さて。
予定通り、到着したのは夕方。
子供たちは庭に並んだパーティテーブルで豪勢なバイキングの夕食を取り、そのあと家族用水浴びプールで水浴びをしてから眠りにつく。
そんな子供たちにカルロスさんはさりげなく接触し、精霊祭本番の日に全員にプレゼントを与えるのだ。
驚いたことにカルロスさんは、俺でさえ時々名前が出てこないことがある二百人もの子供たちを、年に一度しか会わないにもかかわらず全員記憶している。顔も名前も、それぞれの好みも。
そんなカルロスさんの心遣いにアネモネが惹かれるのはとても自然なことだと思うわけですコスモスさん。
で、俺はそんな子供たちの姿を見守……ることはできず。
「はいはーい皆さんご注目ー! オーナーがお見えですよー♪」
コスモスさんがそう言いながら「コスモス本舗」前の通りを、俺の腕を引いて歩く。
と、近くの雑貨店からも飲食店からも従業員の女性たちが慌てて顔を出し、そして店じまいを始める。
「はい今日はこれで閉店閉店ー♪」
「ちょっ……え、どういうこった」
「お店の都合ー♪ 精霊祭までお休みだからまた今度来てね♪」
「おっ、おい、まだ飲んでんのに!」
酔客がぽいぽいと追い出され、その原因と思われる俺とコスモスさんを見て訝しげな顔をする。
「なにも店じまいしなくても……」
「ウチの系列店はみんな娼婦の副業ですし、今日は本店に混ざれないと不公平ですから♪」
これから娼館である「コスモス本舗」に入るわけだが、中でプレイ真っ最中の客も場合によっては追い出されてしまうのだろう。評判的にそれどうなの、と思うが、俺が訪れるということはそういう「祭り」になってしまうらしい。
そう。今や俺は「オーナー」。この娼館を中心とした歓楽街の支配者……ということになっている。
いや、コスモスさんがそう言ってるだけで、実際は店に対して何の貢献もしてないし稼ぎを受け取ってもいないんだけど。
どうもコスモスさんを孕ませた時点から、事実上の「夫」として財産を共有していることになっていたようで(少なくともタルクの法ではそういうことになるらしい)、もう娼館は自分のものなんだから所属娼婦もつまみ食いし放題。
いつかコスモスさんが押し掛けてきたときにそんな売り文句を言っていたような気がするが、そういう意味だとは思っていなかった。
で、俺はつまみ食いしなくても普通に雌奴隷もドラゴンたちもいるので、下半身が寂しいということは全くないのだけど、コスモスさんとその副官格のイザベル嬢が「ポルカに保養に行きたいならオーナーにしっかりアピールしなさい」と通知しているらしく、タルクに来たらここで娼婦たちの相手をしないといけない流れになっている。
別にポルカに来たいなら俺に媚びなくても普通に運ぶのに。……とはいつも主張しているし、実際ほとんどの所属娼婦たちは理解しているようなのだが、それはそれとして「オーガ並みの射精量と底なしの連発力、何よりコスモスさんとイサベル嬢を三輪車して平然とイカせるテクニックの持ち主」という俺に挑みたい娼婦がたくさんいるらしかった。
さすがは全員、好きで娼婦をやっている本物のドスケベばかりというだけはある。
「お久しぶりです、オーナー♪」
「いやイザベルさん、四か月前にも来たよね俺」
「それだけ空いていればお久と言っていいと思うです。はい、今回のイザベルコイン」
じゃらら、とイザベルコインがずっしり入った金貨袋を渡される。
もはや意味あるんだろうかこれ。……まあ娼婦たちにしてみれば後でそこそこの額の現金に換金できるんだろうけど。
「こんなに使うほど時間ないんだけどなあ……っていうか一応子連れで精霊祭楽しみに来てるんで、娼館にしけ込みっぱなしにはなれないってわかってるよね?」
「気が変わってくれるのを期待してるですよ♪」
「俺の知ってるイザベルさんはもっと娼館の運営に厳しい人だったような気がする……」
俺が滞在するということは、さっきも見た通り、娼館として収入を得ることを投げ捨てることでもある。
こんな状態はもうちょっとなんとかして締めるのがイザベルさんの役割だった気がするんだけど。
「んー……まあ現状ほっといても特に経営が苦しいというわけではないですし。オーナーも稼いできてくれてるわけですし」
「いや俺何も稼いでないけど?」
「稼いでるですよ? コスモスさんと一緒にわりとぐいんぐいん経済回してるです」
「…………S&F財団の件?」
「はいです」
えー。あれってどう収入があってどこに金が回ってるんだろうと思ってたらこっちにも回ってたの。
いや、まあいつの間にか「オーナー」にされるくらいだから、逆にいつの間にか出資者になっててもおかしくはない……のかなぁ?
悩む俺。まあそもそもあの活動での金の流れは本当に俺には理解不能なので、コスモスさんとアイリーナ、テテスの管理に最初から丸投げしてるんだけど。
そこに待ちきれなかったらしい娼婦たちが首を突っ込んでくる。
「オーぉナー♪ ガキどもと楽しみたいっていうならちゃっちゃとハメまくっちゃう方がいいと思うんだよねー。ってわけで私と一勝負しようよ早く早く♪」
「ドミナはあとにしてよ。イキ狂っちゃったあとみんなでどけるの大変なんだからさー」
「なんだよー。オーガ差別よくないと思う」
「オーナー、オーナー。ポルカに行きたいって新人の子が4人いるんですけどガチハメ審査してあげてくださいなー」
いつもながら服とも言えないスケスケ衣装に身を包み、しかしそれを感じさせない明るさでセックスを誘ってきてくれる彼女たちは、あまり陰気な雰囲気を好まない俺にとってはとても好ましい。
でもまあ、今日は。
「……うーん。じゃあ……とりあえず、はい」
袋から出したイザベルコインを、目の前のイザベル嬢にじゃらりと返却。10枚。
「?」
「イザベルさん、ポルカに来ないし。たまにはガッツリとハメ倒してみたいな」
なんだかんだ言いながらも裏方業務ばかりしているイザベル嬢。
とはいえ、こうも長い付き合いになってくると色々可愛いところもわかってくるし、それに。
「……10回、イザベルに中出しする気です?」
「んー、まあきっちり10回でもいいんだけど」
耳元に唇を寄せ。
「イザベルさんもそろそろ孕ませてみたいな、って。……避妊解除料?」
子供たちよ。無節操な父を許してほしい。
でもこういう形以外で、この異常なスケベ空間で特別な好意を示す方法を知らないのだ。
……そして、イザベル嬢は童顔に急に大人びた艶笑を浮かべ。
「いいことを教えてあげるですよ。……もう5年前から、オーナーとのエッチは避妊なしのガチンコしてるです♪」
「じゃあ素直に10発だ」
「♪」
囁きとはいえ、隠すつもりがそんなにあったわけでもない。
俺たちのやり取りを聞いて、周りの娼婦たちが口笛を吹いたり黄色い声を上げたり。
コスモス本舗での晩は壮絶に経過する。
晩、というか翌朝の結構な時間まで大暴れしてしまう。
ポルカにも娼婦たちは常に何人か保養に来ているし、その気になればいつでもヤラせてくれるとはいえ、娼館で好きにヤリ放題というシチュエーションは……例えるなら店で傍若無人に品物を齧るような、妙にテンションが上がってしまうものがある。
他にもいろんな場所で言われてるけど、ここにしばらく住んで心行くまでつまみ食い生活……なんてのも勧められたし、ちょっとアリかもな、なんて思う。
いや、まあさすがに取り繕えない堕落だけどね。
ヴェイパー・パレス生活も実質大差ないんだけど、一応各地の祭りとかいろいろ気を回してる分だけ、今の方が多少は体裁が整っていると思いたい。
……で、ふらふらと街を歩いてカルロスさんちに戻ると、子供たちが精霊祭パーティー設営中の庭を駆け回り、ドラゴンたちが設営に協力しつつ、子供たちが建築事故に巻き込まれないように気を配っている騒がしい光景がある。
ステージだとか料理用のかまどを作っている間を子供たちが遠慮なく駆け回り、見ているとひやひやするが、本当に危ない真似をする前にドラゴンたちが瞬間移動のような敏捷性で子供たちを止めている。
「邪魔したら悪いし、全員宿舎に閉じ込めておいた方がいいんじゃ……」
「子供にとってはこういうものを見るのも立派な経験だよ、アンディ君」
「ナンシーさん……」
「邪険にするばかりが能じゃない。ほら、ピーター君なんて手伝ってくれてるよ」
「あれはメイドさんにおだてられたからでは……」
「褒められてやる気を出すのは悪いことではないんだ。そしてそこから自分の才能や楽しさを見出すこともある。……ピーター君は建築にも才能があるかもしれないよ」
「かまど作りで建築の才能ですか……?」
「何も考えないで誰でも立派に作れるというものじゃないんだ。見ていると石選びと積み方のセンスはいい。ディアーネあたりにコツでも教わったのかな」
「……かもしれませんね」
設営か。
……よく考えたらポルカの祭りの設営も、確かに子供にも参加させることって多いな。
人手が足りないからっていうのもあるけど、やっぱりノウハウの伝承や、こういう才能の発見なんて目的もあったりするのかな。
……何より、祭りは大人も子供もみんなで作るから楽しいっていうのもあるか。
「さて、そういえばメイドたちが君を探していたが」
「……あー」
「心当たりはありそうだな。それならいいんだ」
ナンシーさんに言われて、俺はちょっとだけ気まずい笑顔を浮かべつつその場を離れ……メイドさんたちの元に向かう。
年末のタルクでは、子供たちはオニキスの精霊祭パーティーを楽しむ。
そして俺は……コスモス本舗と。
「お待ちしておりました。ご主人様」
「……毎回だけど、やっぱりどうなのって思うんだよね。俺をご主人様呼ばわりは」
「我々の心の問題……心のご主人様とお考え下さい」
「余計に罪が深い気がする」
敷地内でも設営の喧騒から離れた場所に、オニキスのメイドたち専用の宿舎がある。
そこに連れ込まれると、中にいた20名ほどのメイドたちは、ズラリと裸エプロンにヘッドドレスだけの破廉恥な格好で一斉に一礼した。
……コスモス本舗、そしてこここそが、タルクの精霊祭における俺の主な目的地。
というか、この二つの場所に長時間滞在を強いられる。
オニキスメイド団のうち、特に「メイドならご主人様に性的な奉仕を迫られたい」という難儀な願望を抱えている一団。というか、困ったことに多数派か少数派かで言うと多数派に属する人たちが、俺にここでのご無体な活躍を期待しているのだ。
「確かにメイドさんにエッチなことをするのはロマンなんだけどさ……雌奴隷たちにメイドの恰好させるのとはちょっとツボが違うのも事実なんだけどさ」
居並ぶダークエルフメイドさんたちに近づき、動かないように指のジェスチャーで示しつつ、背後に回って一人ひとりのお尻を撫でていく。
「こんなので喜ぶ変態がオニキスメイドの大多数だなんて……カルロスさんも大変だろ」
ぺちん、と触っていたメイドさんのお尻を手のひらで叩くと、叩かれたメイドは艶っぽく悲鳴を上げる。
「も、申し訳ありません……ご主人様があまりにも理想的過ぎて」
「お前たちの主人になった覚えはないぞ」
「……でも、こうして……私たちの願望に付き合っていただけて、なおかつ」
叩かれたお尻……メイド長は、熱っぽい瞳で俺に見返る。
「何人ものはしたないメイドを続けて犯してなお衰えぬ性欲……そして、いざとなればオニキスを相手に私たちを奪い取れるほどの権力……それを持つ人など、滅多には……♪」
「……理論上は確かにできるかもしれないけど、俺はカルロスさんと喧嘩する気ないからな」
と言いつつも、結局孕んだらなんとかして手元に置いちゃうんだろうなあ、と思う。
でもあの子とあの子だけは注意しないと。それこそ「姪っ子」なんだよな……と、まずはメイドたちに順番に口奉仕をさせながら目星をつける。カルロスさんの弟妹の子、つまりレベッカちゃんの従姉が何人かいるのだ。
……今いるのはどっちも既に何回かセックスしちゃってるんだけど。
孕ませて結局首輪かけることになったら本当にカルロスさんに何も反論ができない。
「ところで避妊魔法はちゃんとしてるんだろうな」
「ええ、もちろん全員解除しております」
「なんでそっちが正解だと思った!」
メイド長は目を逸らし、他のメイドたちがぼそぼそと。
「え、だって……仕事として奉仕の末に主人に孕まされるのこそメイドの本懐でしょ……?」
「だよね」
「ポルカ行ってる子達はふつーに子作りしてるって言ってたし……」
なんで君たちそういうストロング方向に前のめりな生き方するんだ。あと俺、避妊魔法してるって信じてたからポルカに来たメイドの子とエッチしてたんだよ?
「ポルカに来ても三か月交代くらいで帰って行ってるからわからないけど……まさかもう孕んだ子とかいないよな?」
「…………」
「いるの?」
いるみたいでした。
一応オニキスの血筋じゃない外部の子だからセーフ。
……いやセーフじゃないよ。なんで内緒で孕もうとするんだよ。
ほとんどずっとセックスばかりだけど、精霊祭本番の夜だけは解放される。
S&F財団の仕事もパーティーの中で行われるし、子供たちの喜ぶ顔を見たいという父親としての気持ちもある。
……そして。
「それでは今夜の目玉。『砂漠の宝石蝶』ノールの華麗なるダンスをお楽しみ下さい……えっ、パウラも出るの? あ、ええと……母娘でのステージをどうかお楽しみを!」
慌てたようなカルロスさんの挨拶が終わる前に、ステージの上にノールさんと一人娘のパウラが躍り出る。
「宝石蝶に娘!?」
「いたのかよ!?」
驚愕に揺れる客席。そして、ノールさんと手をつないで現れたパウラは、8歳児とはいえノールさんと同じようにセクシーな衣装に身を包み、しかしノールさんの艶やかさとは対照的な快活ステップを披露しながら俺に時々無邪気に両手で手を振る。
「パパー!」
「……って、こいつあの!」
「オニキスの種馬婿!」
……はい。そうです。
男たちの殺意に満ちた視線に縮み上がることになる……かと思いきや、「なんだコイツなら仕方ない」みたいな空気になった。
え、いや、それでいいのかよあんたら。
「ほほ、まあ、飼い主殿が竜を連れ回しているのは公然の秘密じゃからの」
「……一応今も秘密にしてるつもりなんだけどなあ」
「いくらでも間接の証拠はあるじゃろ。それに、そなたの功績の噂もそろそろ広がってきておる。酒場でも歌われておるぞえ」
「まじ?」
ちょっと聞きたい。
……いや、「種馬婿」が異名なのに功績は本当に輝かしく歌われているんだろうか。聞かない方が幸せかもしれない。
そして、気もそぞろになった俺を目ざとくパウラは見抜いていた。
「パパー! ちゃんとこっち見てよー! 脱いじゃうぞー!」
「やめなさい!」
8歳児が脱衣で視線を集めてはいけません。
っていうかママも脱ぐ真似とかしないで。これ一応健全な祭りだから。
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