翌日。
 ノールさんは流石に疲れ果ててしまったようでなかなか起きてこなかったが、ヒルダさんとディアーネさんはさすがの貫禄で朝には完全復活していた。
「アーンディーくーん☆ お買い物しーましょ♪」
「荷物持ちはやぶさかじゃないですけど、それならライラでも連れてきた方がいいですかね」
 ライラは幻影術の応用で見た目より遥かに大量の荷物を持ち運べる。
 が、ディアーネさんがそれを止めた。
「ライラは私が借りる。そういう用件はマイアに頼んでくれ」
「え、まだ猫獣人コロニー行くには早いんじゃ……」
「ベッカーが妙な情報を掴んだらしい。王都を確認してきたいんだ。ここからなら今日中には戻ってこれるだろうし、他のメンバーには当初の通達通り今日中は休息させる」
「あらら。気をつけなさいね、ディアーネちゃん」
「言われるまでもない。それに私とライラなら、それこそドラゴンでも出てこない限りは滅多なことはないさ」
 ディアーネさんはマントを肩にかけて酒場を出る。
 俺たちは顔を見合わせて肩をすくめる。どういうことかは知りたいが、言われて決断を下す権利もないので事後報告を待っても大差ない。
 しかし王都か。なんだろ。

「これこれ。やっぱりバッソンでも流通してるのねぇ、オニキス石鹸♪」
「真っ黒の石鹸ですか。なんかいいんですかそれ」
「洗ったあとの肌ツヤが違うのよー♪ ポルカの霊泉といえど、やっぱりこだわりたいわよね」
 ヒルダさんは雑貨屋で楽しそうに物色を始める。
 俺は俺でオナニーブラザーズから頼まれた煙草を探す。ハムと酒も頼まれてるけど、そっちは雑貨屋じゃなくてちゃんとした店がいい。そっちのが安いし。
「ネコミミ印を二人合わせて20箱……おいおい、手加減しろよなぁ……」
 棚にあったのでは足りないので、店主に頼んで追加を出してもらう。
 木箱を動かしながら店主は気さくに話しかけてきた。
「それにしても最近見ないじゃないかスマイソン十人長。転属しちまったのかと思ってたよ」
「一応家はここなんだけどね……もしかしたらもうすぐ引っ越すかもしれないけど、今はまだ」
「ケイロンちゃんもかい? そういやアイザック十人長も年越してから来ないね」
「アイザックはもう百人長だよ。あいつはそのうち戻ってくるはずだけど」
「だよなぁ。最近牛オーガのおばちゃんが来るけど、あの人もアレだろ、アイザック十人長の姉貴が何かだろ?」
「……アイザックまだ三十路だよ」
「あー、じゃあお袋さんかぁ」
 アイザックは珍しい種族なせいで随分年上に見られていたようだ。
 まあ牛オーガは女はともかく男はまんま牛顔だから、正確に歳を見て取るのは難しいけども。
「アンディ様」
 そんな世間話をしていると、マイアがどこからか髪飾りを見つけてきていた。
「これ、高い?」
「いや、そんな高くないはず」
 物欲に乏しいマイアにしては珍しい。
「おっちゃん、いくら?」
「金貨七枚」
「……この髪飾りに? 三枚だろ、せいぜい」
「七枚だって」
「煙草こんだけ買うし、オマケで」
「……五枚」
「四枚」
「あーもう、わかったよ……」
「よ、おっちゃん男前」
 マイアにそれを買ってやる。
「セレスタ物の髪飾りなんかつけるんだな、マイアも。アクセサリーはエルフのが基本だと思ってた」
「母様やジュリーンが、もう少しオシャレした方が男の飼い主様は喜ぶって……」
「ああ、アスティたちはいいこと言ったな」
 マイアはその辺ちょっとストイックなところがあるから、そういう感覚を持つのも大事だ。
 というか、興味を持ってくれたほうが俺としては嬉しい。物欲の低いマイアはご褒美に困るのだ。
 既製品以外にも自分でアクセサリー作ってやることもできるし、もっとオシャレに興味を持ってくれると大変よろしい。
 ……と。
「ふふふ。よくぞ目覚めたマイアちゃん」
「え、きゃっ!? ひ、ヒルダ!?」
「ブローチとか腕輪とか、つけすぎはよくないけどワンポイントでファッション締められるし、イヤリングも気分変わるわよー♪ 印象が変わるとアンディ君とかすぐ張り切っちゃうんだから、面倒がらずに色々試してみなさいな」
「や、そんな、慣れたらでいいっ……!」
 ヒルダさんに捕まって鏡の前で小物講座の生徒にさせられるマイア。
 ……カウンターに肘を突いて、それを店主のおっちゃんが横目で見る。
「……さっきから気になってたけど、あの二人はスマイソン十人長のナンだい」
「はははは」
 俺は笑って誤魔化すしかなかった。

 店を出て街中を歩くと、ほどなくして見知った顔に会う。
「ボイド!」
「……え、スマイソン十人長! それにヒルダ先生にマイアさんも、来てたんですか」
 シルビアさんを肩に乗せて歩いていたボイドだ。
「シルビアさん今日は休みか」
「いえ、仕事場に送るところっス」
 オーガの肩で送迎される若い女の子。
 ……ちょっとだけ、シュール。
「そろそろ再召集っスか」
「いや、レンファンガスのキングフィッシャー将軍とかに情報交換しに行くついでに休憩で寄ってるだけ。ディアーネさんの目算ではまだあとしばらくは休暇だよ」
「そっスか……」
 ちょっと残念そうなボイド。
 ……そろそろ休暇、飽きてるのか?
「あ、アーニー君って、あれじゃないですか少しお行儀がよすぎるって言うか」
 慌ててボイドの肩のシルビアさんがフォローにかかった。
「うちの父がちょっとアーニー君ナメちゃってて……その、お恥ずかしい話ですが、毎日のように『お前軍にも見捨てられてるんじゃないか』とかイビッてて」
「あ、いや、その、こんな長く休みくれるなんてそうそうあることじゃないから、お義父さんの言う事も余計なお世話って程じゃないんスよ」
 ……生々しいなあ。いや、もしウチの雌奴隷たちの父親が近くに住んでたら、俺も似たような姿勢でちくちくされそうでまたアレなんだけど。
 いや、もし全裸でケツ並べさせてだらだら子作りしてるなんて知ったらイビるくらいじゃ済まないよね普通。
 と、無意味に戦慄する俺。
「でもね、それこそ滅多にあることじゃないんだから楽しんだほうがお得よー。次、いつどれだけ休ませてもらえるかわからないんだから」
 ヒルダさんがそう忠告する。
 確かに、ボイドは特に、早く十人長になるためにエースナイトも目指さなくてはいけない。今の休暇が終わったら、仕事の上に修業に明け暮れ、休めない日々が来るかもしれないわけだ。
「そ、そっスよね」
「うん。アーニー君、お父さんのことはあんまり気にしないで。あんまり酷いようなら泣かすから」
「あ……あんまりひどいことはしないで下さいよシルビアさん。シルビアさんみたいな娘がいたら過保護になるのは僕だってよくわかるんスから」
「もう、アーニー君ってば……♪」
 のろけた。
 何の躊躇もなく自然にのろけに入った。
 ……オナニーブラザーズ、お前らの想像は概ね正しいかもしれない。


 肉屋でハム一塊、酒屋でオーガキラーを二瓶。
 かさばる煙草も面倒だったが、これらはこれらで重い。
 マイアがいてくれなかったら途方に暮れていたと思いつつ、昼時に隊舎に帰還。

 女子隊舎には行かず、男子隊舎の自分の部屋にいったん戻る。
 何年も住んで私物が大量にあり、まさに自分の巣のはずなのに最近はここにホーム意識が薄くて困る。
 ……とりあえず食事の時にはミカガミたちに挨拶しとかなきゃ、と思いながら、私物の中から何をポルカに持ち出すかゴソゴソと物色を始める。
 お袋のセーターは持っていっておいたほうがいいよな。
 エロ絵巻は……まあこれはこれで好きなんだけど、もうこれでオナニーするようなことはないかもしれない。
 オナニーブラザーズに持っていったら喜ぶかも知れないけど、残してって隊の誰かに譲るのもいいかも。
 あと細工用の工具類……。
 などとゴソゴソしていたら、ノックの音が部屋に響く。
「アンディ」
「……アンゼロスか、どうした?」
 食事ができたって伝令かな。
 いつもなら半鐘叩いて知らせるけど、今はミカガミたちしかいないのでそんな伝達法も面倒臭い。
 というか女子隊舎には一度伝われば皆に伝わるので、男子隊舎にいる一般兵は俺しかいないし、ピンポイントで呼んだほうが早いよな。
「え、ええと……昨日、ヒルダさんたちとエッチしたのなら、風呂とか入ってないだろ。まだ昨日の残り湯が綺麗だし、背中流そうと思って」
「……そっちか」
「?」
「や、なんでもない」
 怒られないかなあ、とちょっと思ったけどミカガミたちと食事番の補給兵二人を除いたら俺の雌奴隷しかいないんだった。背中流すくらい問題はない。
「頼むよ」
 ガチャリとドアを開けると、アンゼロスがお風呂セットを抱えて待っていた。髪はあっさりポニーテール。
 この隊舎だとどうしても二年くらい前の半男装アンゼロスをイメージしてしまうので、女の子らしい髪型のアンゼロスが出てくるとギャップに一瞬戸惑う。
「……お前も」
「?」
「女の子になったよなぁ」
 わしゃわしゃと髪を撫でつつ俺もお風呂セット……に被った埃を払い、抱える。
「どういう意味だ」
「なんかちょこんとタライ持って立ってるお前、ちょっと可愛いと思った」
「う……」
「行こうか。……いろいろ洗ってくれ」
「い、いいけど、お昼まで時間ないからあんまりイタズラするなよ」
「ちょっとならいい?」
「……内容にもよる」
 二人で寄り添って風呂場に行く。

 そして風呂場に着くと、オーロラやアップル、ルナ、そしてネイアにミカガミ姉妹までみんな入浴していた。
 がらりとアンゼロスと一緒に入ると一瞬場が静まり返る。
「……って」
「きゃ、きゃああ!?」
 ミカガミ姉妹とネイアが慌ててざぶんと湯に沈む。他の女の子達はきょとんとその三人の挙動を見た。
「……アンゼロス。どういうことだ」
「ぼ、僕がさっき見たときには誰もいなかったんだよ」
 とりあえず脱衣場に押し戻される俺。
「ミカガミとネイアの全裸は前に見たことあるけどな」
「でも彼女達が上がるまでおあずけ! ……って、たったあれだけしか見てないのに」
 脱衣場で俺の勃起ぶりに気付き、顔を赤くして溜め息をつくアンゼロス。
「たったあれだけってなんだよ。というか主にちんこにキたのはお前のお尻とイタズラしていいっていう許可だぞ!」
「いいとは言ってない! 内容によっては構わないって言っただけだ!」
 お互い丸出しのまま軽くいがみ合い。
 そして溜め息。
「……と言っても、まあ待ってたらすぐお昼だからお風呂入ってる時間もないし……その前にコレ、どうにかしないとね」
「まあほっとく手もあるけど」
「ちんちん大きくしたまま食事とかみっともないだろ」
「オナニーブラザーズは食事中に勃起ぐらい何の造作もないぜ!」
「あいつらを手本にするな」
 呆れたアンゼロスはそのまま跪き、俺のちんこに舌を伸ばす。
「おい、いきなり……」
「急がないとだろ。……あれから結構、結界牢でヒルダさんの講義聞いたんだ。僕の舌技……前と同じと思うなよ?」
 アンゼロスはクスッと笑って俺のちんこにキス。
 ……と、そこでアップルとオーロラもカラリと脱衣所に戻ってきた。
「すみません、幻影で仕切り置きますからアンディさんも……って」
「……あ、アンゼロスさん、いきなり抜け駆けとはずるいのではないですか」
 二人が俺の下半身に抱きついてちんこを飲み込んでいるアンゼロスに抗議にかかる。
 が、アンゼロスは涼しい顔。
「ただ鎮めようと思っただけだよ。アンディが、僕にイタズラしたくて勃起しちゃったって言うから……」
「そ、そういうのは本来私の専門ですから!」
「ご奉仕で負けるわけにはまいりません」
 脱衣所の扉を半開きにしたまま、アップルとオーロラも俺の前に跪く。

 三人並んだエルフ娘の口を、俺は数度ずつ突いては持ち変える。
「ふん、くふ、がっ……んぐ」
「んちゅ、ん、んぐ、んんんっ……はっ」
「むふう、んふ、ん、んんっ……♪」
 脱衣所の真ん中、裸で跪いたそれぞれに飛びきりの美少女の口の中に、容赦なく飛び込んでは快楽を貪る我がちんこ。
 アンゼロスは口は小さいが懸命にちんこを深く飲もうとし、オーロラはリズミカルに口の浅い位置で刺激し、アップルはどれだけちんこを叩きつけられてもそれが自然であるかのように受け入れる。
 アップルは喉でちんこを喜ばせることを知っているかのよう。
 そして三人の唾液で次々ベトベトになりながら俺は彼女らの頭を撫で、とてもいい気分。
 風呂に入れないまでも射精はさせようという心遣い、それに負けまいと口を並んで差し出す心遣い。
 俺のちんこを真摯に優先してくれる心遣いが嬉しい。
 そんな俺は調子よく腰を振り、とりあえずアンゼロスの口の中に射精してみることにする。
 跪いて口だけを差し出す可愛いエースナイト。
 俺の真面目な雌奴隷。
「イくぞ、アンゼロス……そろそろっ……!!」
「ん、んぐ、んっ……んぐぷっ!?」
 そして射精。
 輸精管のバルブを解放すると、アンゼロスが目を見開いた。
 俺も射精を開始した一秒後に気付いた。
 ……精子地獄。ちょっと、出過ぎる。
「んぐ、んぐ、んぐっ……げぇふっ……!!」
 アンゼロスは必死に飲み込もうとするが、量が量、濃さが濃さ。
 すぐにえづいてしまう。
 そしてアンゼロスの口を離れたちんこは、その胸や腹に落書きでもするようにザーメンを撒き散らし、まだ足りず。
「うんっ……んぐ、んく、んけふぅっ、けふっ!!」
 慌てて、とりあえずという形で吸い付いたオーロラの口の中も瞬く間に満たし、咳き込ませる。
 アンゼロスとオーロラはあえなく顔も身体も精液と自分の唾液まみれになってしまった。
「あ、あうー……せ、精子地獄かかってるなら早く言ってよ……」
「飲みきれませんわ……こんなにこぼしてしまいました」
「ま、まあ飲まなくても別にいいんだけど……」
 しかし不覚にも精液を飲もうと苦心し、半べそで挫折する二人のエースナイトに興奮してしまい、ちんこはさらに硬度を保つ。
 それをスッと握ったのはアップル。
「駄目ですよー、もったいないじゃないですか」
 ちょっと呆れたように二人を見つつ、豊満なおっぱいをぷるんと揺らして俺にしがみつき。
「それじゃ、私がお手本を見せます……アンディさん、またたくさん、出してくださいね……♪」
 俺への積極的なフェラチオを開始する。
 ……そして、それがまた濃厚な気持ちよさを見せ始める。
 俺から攻められているときとは違い、自分で唇と舌を使う番になるとアップルの技術力の向上が如実に出る。
 彼女もまた、ヒルダさんのエロ技講義を聴いてレベルを上げていたようだった。
 じゃっぽじゅっぽと俺のちんこを吸い、舐め、呑むアップル。
 そのダイナミックでいやらしいちんこへの奉仕は、他の二人……そして脱衣所からおっぱい隠すことも忘れて見入るミカガミ姉妹とネイアをも唖然とさせる熱心さだ。
「す、すごい……ケリーさん並みに出されてる……」
「ケリー兄ちゃんにはああいうのできないよ……」
「……あ、その……できれば早く済ませて下さい、上がりたいだけです」
 そんな視線が興奮を呼ぶ。
 アップルもテンションが上がってきたようで、俺がゾクゾクッとするのを理解して深く深く亀頭を吸い上げ、射精を導く。
「くおおっ……!!」
 その次の射精も、激しい。
 アップルの喉をザーメンが打ち、口の中を満たさんとする。
 それを、唇の端からだらだらこぼしながらもアップルは最後まで咳き込むこともなく、ゴクンゴクンと果敢に飲んで見せた。
「……ん、はぁっ……♪」
「の、飲んじゃったんだ」
「……えへへ、飲みきれた……ちょっと夢だったんです、アンディさんがこの状態のときも、しっかり肉便器しようって……♪」
 口の端から垂れた精液を手で溜め、啜り直しつつ微笑むアップル。
 とんでもない大技で、とんでもなく健気で……とんでもなく、可愛らしい。
 愛しくてまたちんこが脈打つ。
「何度出す気だ……まったく。僕が面倒見てやるから今度は……」
「お待ちください、わたくしの順番ですわ」
 体中ベトベトの二人が争ってまた俺の腰に抱きつこうとする。
 その一方で浴室の三人も好機とばかりに脱衣所に滑り込み、出て行こうとするが……。
「あの、スマイソンさん。そんなじっと見ないでいただきたいのですが」
「わ、私たちの身体まで物欲しそうな目で見ないで下さい!」
「あたしとお姉ちゃん、ケリー兄ちゃんの子供いるから……でもすごい匂い、五分もいたら変になっちゃいそうだよー……」
「ケイト!」
 しかしじっととか物欲しそうに見てるというのは誤解だ。
 ちゃんとちらちら見てるぞ。主にネイアのお尻を。


 夕方になってディアーネさんとライラが戻ってきた。
「どうでした?」
「……王都は祝賀ムードだったよ。先日、王子が生まれたらしい」
「さっそくですか」
「王も王妃も若い人間族だ。不思議じゃないだろう。問題は、その祝賀使節としてバスター卿が莫大な祝いの品を寄越した。セレスタやアフィルムよりも」
 そしてこめかみを軽く揉むディアーネさん。
「その使節への返礼訪問と、先の大侵攻での剣聖保護への謝礼を名目として、先王がレンファンガスへ動いている」
「!?」
 先王が!?
「よ、よく動けますね」
「本来は珍しくルース王が自ら訪問しようと粘ったんだそうだ。理由もあるからむげには出来ない。セレスタ側としてはルース王にはあまり外に手を回して厄介な存在になって欲しくない……折衷案として、先王が発ったらしい。まさか、権威のない隠居とはいえ一人では動かせない。剣聖も相当数つけた上でな」
「……それは」
「おそらく、そこまで根回ししたらセレスタが折れざるを得ないと計算の上での……バスター卿の動きまで含めて、トロットから仕込んだ駆け引きだろう。こんな真似が若いルースに出来るとは思えない……先王かガードナー公爵あたりの策か。このままいけば、探索事業にも参画するだろうな」
「…………」
「ドラゴンと諜報旅団のエースナイトで先んじているとはいえ、あの先王と剣聖旅団の進撃力を持ってすればおいしいところを取られる危険は捨てきれない。……やってくれるよ」
 あの爺さん、やっぱり大人しくしてはくれないか。
 ……あくまでトロットのためなんだろうけど、今後も敵に回るような展開にならないのを祈るばかりだ。


「おおお、すごいっすねベッカー特務百人長! まさか偶然あのノールさんが来てるなんて!」
「ははは……まぁ、なぁ」
「ナリスちゃん、知ってるのあの人?」
「ディアーネ百人長のお姉さんだよ」
「ほう……言われてみれば面影があるな……強いのだろうか」
「ナリス、セレスタのお酒のオススメは?」
「えーとですね……騎士長の口に合うとなると……うーん」

「おいベッカー君、なんだいあのクソやかましいわりに妙に隙のない美女軍団」
「……スマイソンにチョメチョメされた子の会。あの一番小さい子は除く」
「……マジかよ」
「それより酌手伝って、ホセさんよ」

(続く)

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