息吹の封石を使う武器の開発に成功したので、ケイロン、ランツ、ゴートの三人に試用させてみた。
「うお、すげ、めっちゃ火ぃ出た!」
「ちょっと火力過剰じゃねっすか」
「それよりこっちのアーバレスト、本当にこんな弦の強さでいいんですか? これ、下手すると人間でも手で引けちまいますよ」
「それ以上強くすると弦の衝撃だけで炸裂しちまうの! あと火力過剰はその通りなんで使用は注意するように。人間相手には直撃は避けろよ。ハナから殺す気だったらその限りじゃないが」
『へーい』
「まあコレ見てそれでも向かってくるようだったら相当なもんだよな」
 ケイロンがその辺の道を縁取る木の柵に軽く振る。
 熱線が一瞬近くを通っただけなのに、柵は見事に発火した。
「おわ」
「消せー! っていうかゴート、柵ごと蹴っ倒せ!」
「いいんすか」
「全焼するよりマシだ!」
 ゴートが言った通りに柵を蹴り倒して事なきを得る。
「あとで修理な。ケイロンが」
「ええー!? そんな威力だって教えてくれなかったスマイソンだって悪いじゃんよ!」
「ドラゴンブレスが出る石だってことは前に言ったろうが!」
 全面的に油断したケイロンが悪いと思うのだが、結局手伝わされた。


 ジャッキーさんちでは、封石の封印箱を作る。
 ブレスが封じてある息吹の封石をさらに封印する箱というとなんだか変な話だが、叩きつけるだけで炸裂するんだから衝撃を与えないようにする必要がある。
 普段はライラが幻影術で隠し持っているので大量にストックしておく必要はないが、いざという時、手元に1〜2個持っておくにはこういったものが必要だ。確かに誤ってぶつけるかも知れないと思うとちょっと気が気じゃないというケイロンたちの主張もわかる。
 まあ封印といっても普通に割れ物を運ぶ要領で、硬い箱の中に柔らかい布とか綿とかを詰めてその中に入れる構造なのは変わらない。
 あとは万一の誤発動でも被害を食い止めるために、ブレスの拡散を防ぐ紋を箱の中に刻んでおくだけだ。
 刻紋をもってしても完全に熱を封殺することはできないので、箱が赤熱したりして火傷する恐れはあるが、まあそのまま丸焼きになるよりはマシだろう。
「お、ぼっちゃん、そのペンついに買ったんですか」
「いや、……森の聖獣と新入隊員が協力して作ってくれた」
「へえ、作れるもんなんですねえ」
 想像を絶する貴重品の集合体だけどね。
 ……正直よそで見せびらかす気にはなれない。
 一応ペン軸は黒く塗って、パッと見で一角馬の素材とはわからなくしてるし、ペン先もインクまみれで普通に見た限りじゃ宝石には見えないだろうけど、盗んで売ったらすごい金になるのだろう。
 刻紋師以外にとってはただの羽ペンでしかない南の森のペンはそういう意味でもちっと気楽かもしれない。
 ジャッキーさんはそんな超素材とは気づいていないだろうからいいんだけど。
「やっぱ剣で刻むより小回り効く方が楽だわー」
 カリカリと箱に刻紋を施していく。
「じゃああの剣はお払い箱ですか。……なかなかの業物ですし、アンゼロスさんにでも譲ってあげたらどうですか」
「アンゼロスかぁ」
 ……アンゼロスもディエルから手に入れたショートソードまだ使ってるし、わざわざこっちをあげるのもなあ。
 いや、待てよ。
「……オーロラとかいいかも」
「なに、そっちがぼっちゃんの本命ですか? てっきりアンゼロスさんみたいな庶民的な女の子の方が好みかと思ってやしたが」
「や、どっちも好きだけどさ」
 今さら本命も何も、という気はするけど。俺はみんな大好きだ。
 でもオーロラは俺と同様、紋を刻める。有効活用してくれそうな気がした。

「刻紋剣、ですか」
「俺用の刻紋ペンが出来たから、こっちはオーロラが新必殺技にでも役立てて欲しいんだ」
「……気軽に言ってくれますこと」
「いらない?」
「まさか。……期待していただけたからには結果で返す所存ですわ」
 オーロラは俺の剣を受け取った。
 いつものオーロラの得物より短いので扱いづらくはあるだろう。
「例えば、鈍い敵に軟化の紋を刻み付けて斬撃叩き込むとか。お前、岩人形苦手だって言ってたろ」
「そうですわね。さすがに私の剣ではなかなかああいう敵は断ち辛いのです。……切り裂くのと紋を描くのはまた随分勝手が違うのが問題ですが」
「でも、克服するんだろ?」
「ええ」
 ひゅっ、ひゅっ、と刻紋剣を振ってみせるオーロラ。
 その刃を撫で、そして少し困ったように笑う。
「とはいえ、今は斬撃波のマスターを優先したいところです」
「あんなのシャロン相手でもなければ必要ないだろう?」
「いえ。……アンゼロスさんにこの前破られてしまいました」
「えぇ!?」
 マジで?

 アンゼロスとボイドは野原で相変わらずの格闘訓練をしていた。
 ……そして、前よりずっとアンゼロスは優勢になっていた。
「おおお、りゃああっ!!」
 ボイドの長く太い腕がアンゼロスめがけて力任せに薙ぎ払われる。
 それをアンゼロスはギリギリで回避。
 両手を胸の前で打ち合わせ、
「……ハッ!!」
 ドン、と両手を前に突き出すことでボイドを触れずに吹き飛ばす。
「何あの打ち方」
「近距離、広範囲を打つ打ち方だそうですわ。我流で編み出したんだそうです」
 オーロラの解説で納得し、ちょっと怖くなる。あいつ、ちょっと前まで剣とチョップでしか打てなかったのに。
「この間、本気でやろうというので斬撃波を打ったところ、アンゼロスさんは衝撃波を合わせて攻撃を拡散してしまいました。……せっかく絶対の決め手を手に入れたと思えば、もう破られてしまうのですからたまりませんわ」
「……末恐ろしいな」
 ボナパルトのおっさんも、そういえばアンゼロスと手合わせした時「大剣聖になれるんじゃないか」と言っていたな。
 この分では遠い話でもないだろう。
「別に衝撃波が使えることは、それほどの決め手じゃない」
 汗を拭いながらアンゼロスが寄って来て、言い切った。
「ボナパルト卿も言ってただろ。飛び道具に頼るなって。衝撃波は間合いとタイミングの調節にはなるけど、結局のところ大した攻撃力はない。いろんな打ち方を試してるのは、単にどんな状況でも落ち着いて戦えるように選択肢を確認してるだけだ」
「ま、嫌味ですこと。斬撃波にかかりきりのわたくしを詰っているようですわ」
「正直、アレを使いこなすよりオーロラは基礎体力をつけた方がいいと思うけどな。大体お前の戦術は決闘に偏り過ぎてるんだ、たった2発しか打てない技を4発に増やそうと6発に増やそうと、それで戦線離脱じゃしょうがないじゃないか」
「兄は無制限に打てたのです。わたくしもいつかは」
「切り札を持つのは悪いこととは言わないよ。でも切り札だけじゃ博打は打てないぞ」
「むー……」
 アンゼロスはこの間のオーロラの大躍進によってすっかりお株を奪われたかと思いきや、まだまだそうでもないらしい。
「ただでさえ持久性を補う種だった両利きの腕を一度に使ってるってことは、単純に持久力は半分になってるって事だ。お前は基本的なパワーが足りなくて押し負ける分、人より余計に疲れやすいんだから、このままじゃ肝心なときにはボイド以下なんてのも有り得るぞ」
「……わかっています。体力増進もきちんと進めますわ」
「それがいい。……僕たちで守るんだ、アンディも、みんなも」
「ええ」
 二人は頷き合う。
 戦術論について争いつつも、互いに目標を同じくし、そのために早く強くならなければならないという点では認識が一致しているらしい。
「あ、あのー……すんません、さっきので肩が脱臼しちゃってるみたいですごい痛いんスけど……」
「あ、ボイド……ごめん。今入れてやる」
 脱臼はすごい痛くて大の男でも結構悲鳴上げるってのに、ボイドは我慢強い子だった。

 ボイドの脱臼の事後処置と、消耗した体力、打撲などの負傷の治療のためにそれぞれ温泉に向かう。
 俺も便乗してボイドといっしょに男湯に向かった。
「アンゼロス十人長もオーロラ十人長も強いスね……最近特に実感してるっス」
「昔はあんま強いと感じなかったのか?」
「アンゼロス十人長は素手での戦いに慣れてなかったし、なんだかんだでパワーでは圧倒できると思ってたっスから。……本気になったらパワーも凄いんスよね、あの人」
「伊達にあんな鎧で暴れてたわけじゃないからな……というか、あんなチビの癖にあの恰好でガード&アタック戦法してたんだからナメてちゃ駄目だ」
「全くっス」
 ざばー、と二人で汗を流して。
「よし、背中流してやろう。まだ肩痛むだろ」
「あ、すんません。あとで俺もお流しします」
 たまには部下との交流をする俺。
 特にボイドは階級低いし、一人だけ元アイザック隊だしで、避けられてるわけじゃないがまだまだ溶け込めてない部分がある。こういうところで仲良くしとくのが吉だろう。
 ちなみにもう一人の「一人だけ別の班」のケイロンは性格的にも階級的にもちっとも心配ないので除外。
「オーガの背中マジでけえなー。……床ブラシ使っていい?」
「勘弁してくださいよ」
 アイザックなんかに比べると大きい方でないとはいえ、2メートル半に及ぶボイドの背中は(オーガ独特の逆三角体型もあって)馬鹿っ広い。
 端から端まで擦るだけでも一苦労だ。
「あー……気持ちいいっス。こんな丁寧に洗ってもらうのはしばらくぶりっス。……こないだのバッソン戻った日もあんまりゆっくりできなかったし」
「バッソンでは誰かに洗ってもらってたのか?」
「あー……たまに川でシルビアさんに……」
「万死!」
「いでっ!? そ、そこでスマイソン十人長が怒るのはおかしくねっスか!? あんなに雌奴隷とか連れてて」
「俺はあんまり背中流してもらってないよ!」
 意外とそんな記憶はないのだった。お風呂で洗ってもらうのは主に前方ばかり。
「やっぱり理不尽な気がするんスけど!?」
「大人しくしろこの野郎! 罰として俺のシルビア嬢に関するあられもない妄想をランツとゴートに存分に語ってやる!!」
「そういう精神的陵辱は勘弁してくださいマジで!」
 ※これは打ち解けるためのおふざけです。本当です。

 部屋に戻る前に一度男爵の館でピーターの顔だけ見て、ちょっとくすぐってから帰途につく。
 そして部屋に戻ると、ベッドでルナとアンゼロスが睨みあっていた。
「何してんだよ俺の部屋で……」
「今日は私が可愛がってもらう。最近ご褒美少ない。たまには気絶するまで激しくして欲しい」
「僕だって最近あんまりしてもらってないんだぞ。譲れ」
「外では上司の言うことはちゃんと聞け、でもご主人様のベッドに入ったら階級は気にするなってディアーネ言ってたもん。聞く義務ないもん」
「それはこっちだって同じだ」
 今夜のお相手どっちがやるかと争っているらしい。
 別に何人かまとめて来たって俺は構わないんだけど。……あー、でも二人に最近ちょっと少なめだったのも確かか。
「アンゼロス」
「なに……ひゃっ!?」
 いきなりアンゼロスを突き飛ばしてパンツを下ろす。尻だけ丸出し。
「なっ、ずるいっ……」
「ルナ」
「え……にゃーっ!?」
 同じくルナもパンツ下ろして尻丸出し。
「喧嘩は禁止。あと俺が夜に犯す相手は別に一人と決めてないけど、あんまり我侭言うと罰としてしばらく見学の刑」
「け……見学の刑?」
「かたっぽ気絶するまで犯しまくってもお前にはさわってやんない。逃げたらヒルダさんにイキそうでイけない魔法かけてもらう」
「や、やだっ!?」
「よし、じゃあ仲良くな」
「にゅ……」
 尻丸出しの二人を隣同士くっつけあい、ごめんなさいと言わせあう。
「……ごめん」
「ごめんなさい……」
「よしよし。それじゃ今日は二人仲良くたっぷり犯らせてくれ」
「うん……犯して」
「私も……」
 欲求不満のエースナイトと猫娘。
 二人ともとびきり優秀な女の子なのに、俺のエッチな横暴に従順に従って、恥ずかしいところから汁を滴らせている。
 昼間の凛々しいアンゼロスやルナの姿を知っているだけに、妙な優越感が俺を支配する。
「ほら、入れるぞー……ん、っと」
「んぅ……っ♪」
 アンゼロスの尻たぶを掴み、そのキュウッと狭い膣の中に挿入。
 体の小ささはアイリーナやジャンヌほどではないが、鍛えているからかその締まりは決して引けを取らない。
「アンディぃ……っ♪」
「ほら、後輩に示しがつかないだろ、雌奴隷。……ご主人様って言ってみろ」
「うん……ご主人、様ぁ……♪」
 オーロラと言い争っている時とは別人のような可愛らしい声で俺をご主人様と呼ぶアンゼロス。
 その髪を撫でながら、俺は屈服させるように覆い被さって腰を振り始める。
「ん、ううっ、んくっ……アンディ、アンディ、僕のご主人様っ……僕の、おまんこの、ご主人様っ……♪」
「アンゼロスっ……俺の、マゾ雌奴隷っ……マゾ便所、マゾ子種袋っ……!」
「うん、うんっ……僕、ご主人様の子種仕込まれるの大好きっ……♪」
 ボイドを圧倒した体で。オーロラを戒めた口で。
 こんなにトロトロと俺を喜ばせ、俺への慕情をほどよく変態的に吐露するアンゼロス。
 その体を徐々に、徐々に強く揺さぶり、膣壁を使い子宮を叩き、その下半身に欲望をなすりつけていく。
 アンゼロスはそれが激しくなるにつれ、すっかり強気な十人長から駄目っ子淫乱ペットの顔に堕ちていく。
「はあっ、はああっ……♪ ご主人様、ご主人、さまぁ……僕のおなかにザーメン出してっ……僕をご主人様のザーメン穴として使ってぇっ……♪」
「変態っ」
「うん、僕、変態っ……変態ご主人様大好きのド変態奴隷っ……♪」
 もう既に俺の言葉を越えて自分を貶め、悦楽に浸るアンゼロスに、俺はいつものことながらとてつもない可愛らしさを感じながら奥底に吐精。
「んぁあああっ……♪」
 アンゼロスがそれを感じて快楽の極みといった声を上げる。
 すぐにそのまま、汚れたちんこを隣のルナに押し込む。
「んきゅうっ……!!」
「今夜は二人で合わせて10回相手してもらうからな」
 ヒルダさんのノルマに合わせて。
「うん……っ、10回……私、残りの九回全部でもいいっ……!」
「できもしないのに言うなっつの。欲張りは見学の刑だぞ」
「にゃ、ご、ごめんなさいいぃ」
 俺が離れていかないようにすぐさま尻尾を絡めつけるルナ。
 大体そんなに長持ちするわけではないのだ。意外と快楽に弱いので簡単に気絶する。
 だけどそれでも犯されたいルナが可愛くて、俺もルナを後ろからがっちり抱き締め、そのおっぱいを荒々しく揉みしだきながらセックスを続ける。
 ルナはすぐに快楽に瞳を霞ませ、理性を失ったようににゃーにゃーと鳴きながら腰を振り始める。
 そして、その腰をねじ伏せるように激しく膣を味わった後、そのまだ幼いとすら言える子宮をちんこで叩き伏せ、射精。
「にゃああああああ……っ♪」
 ルナはくてりと力を抜き、はーはーと余韻に浸る。
「ふうっ……アンゼロス、次、お前上ね」
「ものぐさご主人様だなぁ……♪」
「嫌か?」
「全然」

 夜はまだまだ長い。

(続く)

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