周りではまだワイワイガヤガヤと熊鍋突付きが続いている。
 鍋の数に対してエルフの頭数が多いので、まだ食べていない腹ペコエルフも多かった。まだまだ鍋会は続きそうだ。
 そんな中で、自分たちだけ内緒で幻影空間にしけ込んだ俺とブレイクコア他三名。
「もう数千年生きているが、礼とはいえ誰かと交尾をするなんて覚えがないな……はは、笑っていいぞ、私は少し怖い」
「まあ性別さえ忘れてたってんならそれもおかしい話じゃないのか……いや、しかし性別を忘れるなんてあり得るのか」
 俺なら何年先でもちんこがあることを忘れるなんてできそうにないが。
 ……と思っていたら、ブレイクコアは苦笑いした。
「聖獣だからな。君は私の姿など、ここで目覚めたときの姿と肉塊のときの姿しか見たことがないだろうが……私はかつてドラゴンの如く大きかったし、ある時には猫のように小さかった」
「は……?」
「死なないということは便利なものでな、魔法で自らを適当に改造しても平気で機能する。この森を守るためにドラゴンとも格闘できる大きさになっていたこともあるし、暇潰しに自らを矮小化させたこともある。そんなことをしてきて、使いもしない部位がどうだったか、など大した問題ではなかった。おそらく生やそうと思えば生やせただろうし、逆も然りだ」
 改めてデタラメな存在だ。
「それなのに……怖い?」
「私は戦って自らの存在意義を保ってきた者だからな。……だ、誰かを心地良くすることになんて縁がない。こんなバケモノが、人を喜ばせようなどと分不相応ではないかと思うと、怖くなるのだ。……それでも君に礼がしたい。言ってくれ、できることなら何でもしよう。多くの生き物は若い雌を好むのでこんな恰好だが、望むなら……」
 ブレイクコアは角に指を添え、なぞるようにしながら目を閉じる。
 フッと視界がぼやけ、気づくと見た感じの年齢が十歳ほど上がっていた。俺と同じかそれ以上だ。
「こんな風に、君の好むように変わる事もできる。ドラゴンの変化術と似た術式だ、見た目だけでなく触り心地も変えられる」
「ブレイクコア……」
 ブレイクコアは俺が呆然としているのを見て、焦ったようにまた姿を戻す。
「き、気持ち悪かったか、すまない」
「い、いや、そんなこたないけど」
 そこまで俺のために色々と必死になる姿勢が理解できない。
 確かに助けた。あの時は哀れ過ぎる状態だったし、ディエルなどは見捨てたって構わないと言ったぐらいだ、それでも助けたことは感謝するに値するというのはわかる。
 でも、俺はその中の一人に過ぎなかったのだ。
 実際に助けたのはディアーネさんやボナパルト卿、ライラやマイアの力だ。
 裏方としては俺も働いたが、これほど飛びぬけて感謝されるものではないだろう。
 ……ということを、とりあえずしどろもどろながら正直に話してみた。
 するとブレイクコアは、少し泣きそうになりながら微笑んだ。
「……すごく嬉しかったんだ」
 ぽろりと涙をこぼしながら。
「あの時、目覚めて最初に君が私の全てを許して、肯定してくれたことが、ただ優しく微笑んでくれたことが、たまらなく嬉しかったんだ。私は、戦って勝つことでしか人に笑ってもらえたことがなかったから」
「…………」
「私は愚かだった。何千年もの長い時間を理性とともに過ごした聖獣でありながら、たかだか数十年誰も見てくれなかっただけで孤独に耐えられなくなるほど弱くて、そしてあんな醜悪で厄介なモノになった。そんな風に間違った愚かな私を、ただ優しく微笑んでまたこの世に迎えてくれたことが、……そんな優しいものがこの世にあったんだということが、何よりも嬉しかったんだ」
「そんな大層なもんじゃ……」
「ディエルからも聞いた。誰もが恐れた醜怪なバケモノを、寂しくて泣く子供と呼んで憐れんだ君の言葉を。こんな私に、もう一度未来をやるんだ、と歯を食いしばった君のことを、私は聞いた」
「あー……」
 そんなことも言ったっけ。
 と思っていたら、マイアが自慢げに俺の腕に抱きついた。
「竜が望む正義は、そういうこと。竜が飼い主に望む優しさは、そういうもの。アンディ様は、そういうのを持ってる」
 訳知り顔でアイリーナも頷く。
「気を張って見せる正面の美しさを称えられるのも悪くはない。じゃが、本当に救われるのは弱い背中をも抱き締め、愛してもらえることじゃろうて」
「確かにあの時のアンディは恰好良かったな。……もしも私がブレイクコアだったならば、その場で恋に落ちていたかもしれん」
 ディアーネさんも肯定する。
「だとすれば私は本来から雌だったのだろうな。あれ以来、君のことばかり考える。いつか君にまた会えたら、何がしてあげられるかばかり考えていた。……なあアンディ、私にできることをさせてくれ。君がもし、雌を抱くことに飽きていないなら……私の体で、喜んで欲しい」
 ブレイクコアは服をするりと脱ぐ。
 夕闇の草原に、その肌が晒される。
「……えーと、な、ブレイクコア」
「ああ……」
「多分お前が思ってるほど俺は立派な奴じゃないし、がっかりするかもしれないけどさ」
 俺は彼女の肩を抱き、ひとつ深くキスをして。
 ちょっと角に髪引っ掛けたりしつつ。
「……っ、はあ」
「犯すからには本気でやるからな?」
「……抱いてくれる、のか」
「悪いけどドラゴンとも毎日エッチしてるからな。多少の変身ぐらいで動じるわけないだろ」
「……っ♪」
 耳をピンとたてて嬉しそうな顔をするブレイクコアを、俺は本格的に押し倒す。
 柔らかい草原の土に、彼女の裸体が転がった。
「あと、どうせなら」
「……?」
 俺は自分でも割とどうかと思いつつも、残りの三人を手招きした。


 元々布の少ない服を脱ぎ捨て、ディアーネさんの引き締まった褐色の裸体がブレイクコアの隣に並ぶ。
「よ、よろしくな」
「ああ……」
 ブレイクコアとディアーネさんが照れたように顔を見合わせた。
 ブレイクコアは少し肉体年齢を引き上げて、ディアーネさんとあわせても遜色のない二十歳前後(人間換算)にまで成長してもらっている。
 そして、その上に覆い被さるは。
「よくよくこういう形が好きじゃのう」
「アンディ様が望むなら、私はどんなポーズでも……♪」
「わ、わらわも別に嫌いとは言っておらんぞ?」
 マイアとアイリーナ。
 北の森の誇る重要人物たちが、熊鍋の続く草原の真ん中で一糸纏わぬ全裸となって腰を突き出しているのは壮観だ。
「それじゃ、せっかくだからブレイクコアからいくぞ」
「ああ……♪」
 ブレイクコアの前の穴は、どれほど期待していたというのか、まだ指一本触れていないというのに随分と濡れそぼっている。
 俺はそのささやかな茂みの下の穴を指で軽く探り、中まで準備が出来ていることを確認して、挿入。
「っく、はっ……♪」
 さすがに処女とかそういう概念が適用できるのかも怪しいブレイクコアだ、突き破る感触や出血の気配はない。
 だが、初めて人間の男を受け入れたであろう彼女は、その違和感と未知の快楽に眉根を寄せ、必死に慣れようとしていた。
「はっ……はっ……こ、こんな風に……する、のだな……っ」
「まだまだ序の口」
 俺の代わりに、彼女の上に覆い被さっているマイアが呟く。横顔を見るとちょっと不敵に微笑んでいた。
「生意気だぞ」
「あ、んっ♪」
 その尻の穴に無造作にズボッと人差し指を突っ込んで戒める。いや悦んでるだけだけど。
「でも、確かに、まだまだこれからだっ……!」
 マイアのアナルに指を突っ込んだまま、俺はもう片方の手でブレイクコアの腰を引き寄せ、抽挿を開始する。
 片方は華奢、片方は成熟したての、二人それぞれに瑞々しい女体にグイグイと抜き差しをして楽しむ。
 ドラゴンと聖獣、北の森の切り札が両方とも俺の下であられもなく喘いでいる姿はひどく興奮を誘った。
「ふ、深っ、すごっ……こんなに、っ……こんなに、嬉しい、もの、なのかっ……♪」
「嬉しい……?」
「ああ、嬉しいっ……君の欲望が、私を求めているのが、すごく、っ……♪」
 ブレイクコアは感覚に戸惑いつつも、自らも腰を突き上げて健気に俺に合わせ、涙を流しながら微笑んだ。
「交尾っ……くだらないと、思っていたのが、ウソみたい……っ!! 嬉しいっ、嬉しくてっ、たまらないっ……♪」
「うんっ……♪」
 通じる所があるのか、俺に尻穴をほじくられながらもマイアが頷く。
 そのマイアの直腸を指でひときわ乱暴にこじりつつ、俺は最初の射精をブレイクコアの膣奥に激しく叩きつけた。
「はっ、うううっっ……!!」
 ブレイクコアが突っ張っていた足を滑らせ、それでも俺の腰に足を巻きつけながら射精を受け入れる。
 ビクン、ビクン、と軽く震えながらキューッと締め上げ、俺の射精に最後の一押しを与えてくれた。
「はあ、はあっ……」
「……すご、いっ……交尾、たまらないっ……」
「……アンディ様、これだけお尻並べといて聖獣だけ使ったぁ……」
「そ、そう言うなって」
 不満を漏らすマイアにちんこを入れ直す。抜く時にやたら寂しそうな顔をしたブレイクコアが可愛くて、手を伸ばして髪を二、三度撫でつつマイアを使い始める。
「ん、くぅっ……アンディ様のちんぽ、来たっ……私のおまんこ、喜んでるっ……♪」
「この淫乱め、急かしやがって」
「うん、私、淫乱っ……アンディ様のおちんぽ好き過ぎて変になりそうっ……♪」
 その細い華奢な腰を跳ねさせながら、マイアは赤い夕日の中でいやらしい表情を俺に向ける。
 そのマイアの頭を捕らえて吸い上げるようにキスしつつ、しつこく膣奥にちんこを打ちつける俺。
「んーっ……♪」
 後背位のまま、俺に負けず劣らず激しく腰を使いながらも、首を振り向けてキスをする顔はとろけ、幸せの極みという表情をするマイア。
 そのマイアからおもむろにちんこを抜き去る。
「あ……」
「これだけ尻を並べて……って言っただろ。もっと並べた旨みを堪能しないとな♪」
 俺がそう言って隣の二人に向き直ると、ディアーネさんとアイリーナが上気した顔で待っている。
「このドスケベめ……」
「そんなにわらわの膣が恋しいか……はぐっ!」
 アイリーナの膣に、聖獣と竜の愛液で汚れたちんこを無遠慮に突き刺す。
 それだけでアイリーナは軽く絶頂し、愛液をしぶかせた。
「こ、このっ……少しは心の準備をさせいっ……♪」
「じゃあ先に言うぞ。……めっちゃ犯す」
「っっ……♪」
 俺は言うが早いか、アイリーナの小さな尻を鷲掴みにして思い切り腰を振りたくった。
 ジュポッジュポッと下品な音が鳴る。アイリーナが下のディアーネさんにしがみ付くようにして怒涛の快楽に悶絶する。
 周りではまだガヤガヤと鍋会の真っ最中。
 ここで素っ裸で腰を突き出し、人間の男に犯され悦ぶ白の氏族長の姿は誰にも見えていないが、もしも見えていたら大変なことになるだろう。
「はあっ、はあああっ、あああっ、あう、あああぁあっ……♪」
 そのシチュエーションの刺激もあるのだろうか。
 アイリーナは呂律の回らない様子でディアーネさんの豊満な胸に顔を埋め、俺のちんこの出入りに無抵抗でやられ放題を楽しんでいる。
 そのアイリーナから、だいぶ高まったちんこを引き抜いて、その下のディアーネさんへ。
「はあっ……お前のその姿、やはりフェイザーに反論できるものじゃないぞ……♪」
 期待汁をだらだらと溢れさせながらそういうディアーネさんを黙らせるかのように、一撃。
「っく、あはぁっ!」
 奥まですんなりと受け入れるディアーネさん。息も絶え絶えのアイリーナ越しに手を伸ばしておっぱいを鷲掴み、アイリーナを挟み込んだままその尻を折檻するように激しく腰を振る。
 もはや射精欲が全てに勝り始めていた。
 そんな俺の血走った目をいとおしそうにディアーネさんは眺めつつ、俺のちんこの激しい蹂躙を助けるように腰を突き上げて答える。
「くふ、あ、あっ……こ、興奮、してるな、アンディっ……私も、壊され、そうだっ……♪」
「ディアーネさん、出しますよ、出しますからっ……」
「ふ、ふふっ……物足りないが、まだまだ序の口、なんだろうっ……♪」
「はいっ……まだまだ、させてくださいっ……!!」
「ああっ……まだまだ、してくれっ……♪」
 ディアーネさんが上気した顔で囁くと、揺すぶられているアイリーナや隣のマイアも同調する。
「アンディ様、私にもザーメン詰めて……♪」
「わ、わらわももう少し付きあってやらんでもないぞ……?」
 そんな俺たちの様子を見て、放心していたブレイクコアはうっすらと微笑んだ。
「……ああ、私は……異常ではない、のだな……♪」
「え……」
「……同じ、気持ちだ……もっともっと君にメチャクチャになるまで、身を委ねてみたい……♪」
 その、ブレイクコアの要求を聞きながら。
 俺はディアーネさんの締まりのいい膣の中に、二度目の射精を叩きつけた。


 熊鍋が終わる頃、俺はブレイクコアに三発、マイアの膣と尻穴に一発ずつ、アイリーナの子宮に二発、ディアーネさんの膣と顔に一発ずつ射精して一息ついていた。
 みんな満足そうに星空の下に裸で転がっている。俺はブレイクコアに膝枕しながら星を見上げてぼーっとしていた。
 と、そこにルナが戻ってくる。
 俺たちの近くで立ち止まり、尻尾を得意そうに立てながら緑色の宝石を差し出した。
「見つけた。これでいいでしょ?」
 ……その後ろからてくてくとライラが歩いてきて、俺たちのいる空間を微妙に胡散臭そうに見つめ。
 しばらく止まって考え込んでから、顔の前で指をリズムよく振り、そして。
「ふんっ」
 幻影結界を破壊した。
「あ」
 そして、二人がギョッとして止まる。
 幹事なのでまだ近くにいたディエルが、何事かとこっちを見て目を見開いて固まった。
 折り重なって白濁まみれのディアーネさんとアイリーナ。汁の溢れた白い尻を晒してうつ伏せで転がっているマイア。
 そして股間から腰にかけてザーメン流しながら俺の膝に幸せそうに膝枕で目を閉じている、若干エロい体つきになったブレイクコア。
「…………」
 さあどうしよう。
 と思ったらライラが慌てて幻影を張り直したらしい。
「ほ、ほほほ。もう熊鍋は終わってしもうたかえ?」
「お、おい黒竜、今そこで」
「なんじゃ夢でも見たか?」
「……いやまだ何も言ってないが」
 ライラはディエルの胸倉をおもむろに掴み。
「夢、でも、見た、か?」
「…………あ、あー、そうだな、そうかもしれん」
 力技で押し通した。
 で、幻影内にぽつんと残ったルナは。
「え、えーと、おつかい終わったけど……」
「……ご、合格だ」
 流石にむっくり起き上がったディアーネさんから合格を貰い、その石を渡してから。
「……それで、混ざっていい?」
「この状況で!?」

 しょうがないのでルナも可愛がりました。
 時間稼ぎしてくれたライラ、ごめん。
 埋め合わせはまた今度する。

(続く)

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