本田鈴乃の朝は快楽で始まる。
ベッドサイドの窓から差し込む光に瞼を透かされ、まどろみを続けるか、それともうつつに戻るべきかと10%出力ぐらいで悩む頭に、突然子宮直撃の快楽が送り込まれて、脳に血が通うのを待たずにいきなり官能の渦に喘がされることになるのだ。
「…………ひぁあああっ!?」
ずるり、と遠慮会釈なく膣孔を回転しながら侵略する無粋な異物。
だが鈴乃の膣はそれを安心すべき存在感として受け入れる。
異物は子宮にぐぐっと密着し、その不規則に荒れた表面をぐりぐりと押し付ける。
その刺激に鈴乃は状況もわからずに甲高く声を上げてしまう。
「ひ、ひひぃイぃっ!!」
ビクン、と全身が不随意に強張り、眠りを貪っていた全身の筋肉に強制的に血が行き渡り始めるのを感じる。
その両足首が何かに縛られ、ベッドの足方向から湧き上がった無数の弾力と暖かさのある異物が掛け布団の中を走り回る。
それは女性として怖気立つべき異様な感覚だったが、先の膣への刺激で目を覚まされていた鈴乃は、その異物の正体に思い当たってすぐに抵抗を止め、全身の性感帯を的確に撫で回す感触に身を委ねた。
おぞましいけれど優しい。いやらしいけれど愛しい。
鈴乃にとって、全身を委ねるその脱力こそが、愛情表現。
中学三年生にして少し深刻で複雑な恋愛に過ぎるとは自分でも思う。
が。
「さ、さいとーっ……♪」
「お目覚めか、姫様」
ベッドサイドにもぞりと持ち上がる、イソギンチャクのようなよくわからない生命体と、そこから発せられる声。
それに対して鈴乃は全身を優しく嬲られながら、精一杯素っ気ない……と自分では志している、めちゃくちゃに鼻にかかった甘ったれ声を上げる。
「まだ、眠いぃっ……あと五分ー……」
「この状態で五分もありゃあ、どうなるかぐらいわかんだろう?」
「……しらないーっ」
「この淫乱眠り姫が」
斎藤、と呼ばれた怪物が、その身体から伸びる触手で一斉に鈴乃を激しく弄繰り回し始める。
「ひあぁああああ、い、いじわるぅぅっ♪♪」
適度に筋肉のある背筋、手入れの行き届いた乙女の腋に、撫でさすることを目的としたバターナイフのような形の触手がデロリデロリと粘液を舐めつける。
腕を拘束するように触手が絡みついて固定する。これは鈴乃の趣味。しっかりと腕を捕まえられているとイキ狂って身体が浮き上がる感覚に襲われても安心していられる。
まだまだ発展途上の胸は親触手から伸びた無数の細い触手によって覆われ、ムニムニと感触を楽しまれる。乳首は吸盤型触手によって別途にいやらしく、吸われたりチュポンと弾かれたりを繰り返して開発され続けている。
一本の触手が腰に絡みつき、固定ついでにヘソ穴をぐりぐりと刺激する。
斎藤は鈴乃のヘソ穴を犯したいのかな、などとたまに思うが本能的なものであって別にそんな無茶は意図していないらしい。
でも斎藤にだったらヘソを使って射液されても悪い気はしないな、と思っている鈴乃である。
そして下半身は、尻をうねうねと這い回り、時々菊座をつつく細い触手群と、膣に突き立てられている少し太い男根型触手。
この触手は回るわ膨らむわうねるわ突くわとやたらと器用で、そしてこの触手が膣をこそぐのが鈴乃は嬉しくて愛しくてたまらない。
「んぅうっ……ね、寝るのっ……まだ、寝るんだからーっ……♪」
感極まって噴出す汁は人間の精液そっくりで、しかも量が多い。
子宮の直下で爆発するその射液が、鈴乃を虜にし始めるまでにそう時間はかからなかった。
それがブチまけられると圧倒的な幸福感を感じてしまう。
触手が出す粘液は性感を増大させる、というのは斎藤自身から聞きはしたし、この最後の白濁も成分的には普段分泌されているローションじみた粘液と大差ないとは聞いているのだが、鈴乃は絶対にそれだけではないと思っている。
あるいは、それは斎藤の持つ特質ではなく、鈴乃の女としての本能の問題なのかもしれないけれど。
「……斎藤が出すまで、絶対起きないっ……♪」
「言ったな、気絶すんじゃねえぞ?」
触手が意気込んで、鈴乃の身体で一斉に我が身を扱き出す。
鈴乃に快楽を与える優しい感触はある段階から触手自身の本能的な、全身を擦り付ける動きへ変わっていく。
斎藤のような「触手」にとって、女の柔らかい身体で触手の先端を刺激するのは非常に気持ちのいいことらしい。
単性生殖ゆえ、それは性欲といえるものではないとのことだったが、それでも鈴乃は自分の身体で快楽を得て夢中になっていく、テンションを上げていく斎藤の動きが嬉しい。
自分をこんなにも気持ちよくしてくれる触手が、斎藤が、愛しくてたまらない。
布団の中でグロテスクな触手で完全に拘束され、全身のありとあらゆる場所をその快楽のために擦り上げられながら、鈴乃は鼻にかかった甘い声を上げて快楽に瞳を霞ませる。
そのトドメに。
「……ひにゃああああっ!!」
顔の横に長く伸びた、ハーフエルフの証である少し短い耳を触手に巻きつき啄ばまれ、一気に達して膣で触手を食い締める。
そしてその瞬間、鈴乃の腹の中で、幸福が爆発する。
「っく……ううっ!!」
「ああぁーっ……あ、あー……あ……」
爆発的な、白濁の噴射。一瞬膣奥が張り詰め、膨らまされるような量。
無論、噴出して溢れる。
その一瞬で、鈴乃は完全に白旗を揚げる。
「あー……さ、斎藤っ……♪ すきぃっ……♪」
「ふー……いや告白はいいからそろそろ起きろ。学校だろ」
「……もー、本気なのに」
「はいはい」
斎藤が触手で掛け布団を取り除けると、中には全裸のまま粘液にまみれて余韻に浸る鈴乃。
パジャマは最初から着ていない。ベッドの脇に畳んで置いてある。
風呂から部屋に戻りついたらもう脱いでしまうのだ。
風呂を上がってから眠るまでは斎藤にねちょねちょに愛してもらう時間である。気絶するように眠ったら斎藤がその身を拭き、布団をかけてくれるのだった。
「いいか鈴乃。触手ってのは確かにお前ら女にとってたまらん快楽を提供できる」
「……うん」
「だがそれだけだ。ま、ドスケベの俺が言うこっちゃねーが、幸せってのはハメてイキ狂ってそれだけで良し……とか、そういうもんじゃねえだろう?」
あまりにも斎藤にべったりになってきた鈴乃に、斎藤は説教を始めた。
触手だらけのイソギンチャクの化け物がハーフエルフの少女に煙草吸いながら説教というのは実にシュールな光景である。
「……でも、斎藤って優しいし、結構面白いし……別にえっちなだけじゃないじゃない」
「お前そんなんじゃ男に都合よく騙され放題だぜ?」
斎藤はゆっくり諭す。
「お前の気持ちは先に快楽ありきだ。まあオナニーもよく知らないところに全力で触手を教えちまった俺が悪いんだが……まず快楽があって、その他は言い訳になってんだよ」
「…………」
「そういうことだろ、俺への『好き』ってのはよ」
「…………」
「悪いが俺は、お前に陵辱以外のことはなんもできねえ。この星じゃ養うこともできやしねえし、ガキ孕ますこともできねえ、結婚とかその手のことなんてもってのほかだ。しばらく置いてくれたことは感謝するが……あんまり本気になられても困るんだわ。俺のことは俺のこと、触手はノーカンってことで……恋愛はよそでやってくれねえか?」
斎藤は触手モンスターとしての自分の分を弁えている、極めて常識的な性格だった。
もっとも分裂して増えているぐらいなので、記憶は相当昔から共有されている分、過去に火傷の記憶もあるのかもしれないが。
が。
「……斎藤……」
鈴乃はそれが妙に悲しい。
自分がエルフでも人間でもない半端者であることをずっとコンプレックスに思っていて、それを割り切るに至れた原因が斎藤にある鈴乃は、そんな理屈は納得したくなかった。
斎藤のことをかなり本気で好きなのだ。
最近いつも夢に見る。
斎藤の触手にに全身縛られ、胎を苗床にされて次々に触手を産み落とす、おぞましい夢を。
……おぞましくて幸せな夢を。
「……」
そして、閃いた。
地球の科学はさすがにエルフも触手もまだ学問にさえ組み込めていないが。
宇宙というのは広いのだ。
数日後。
勉強を終えて(これでも受験生だ)風呂に入り、上がった鈴乃はいつものように部屋に入ったところで服を脱いだ。
そして脱ぐ様をベッドの上から見物している斎藤に「えっち」と言っては「お互い様だ淫乱」とかいつものようにイチャついた会話をした後、斎藤に近づく前に机のケースから一錠の薬を取って、斎藤の前に座った。
「なんだお前、病気でもしてるのか? じゃあ今日は自重して寝る方が……」
「ちーがーうー。むしろ今日は絶対犯らなきゃ駄目なのっ」
薬をパウチから取り出して、斎藤に見せる。
「なんの薬だと思う?」
「……風邪薬じゃないのかよ」
ぱく、と口に入れて、飲み込む鈴乃。
「へへー。……これね、斎藤の故郷の星の『洞窟』の壁と、エルフの体液を同じ成分にする薬」
「……は?」
「だから、エルフの体液を斎藤の星の『洞窟』の壁と同じ成分にする薬」
「いや、だから鈴乃、お前それどういうことかわかって……」
「斎藤こそわからないの?」
じんわりと自分の唾液の味が変わる。
身体から漂う匂いが若干おかしくなるのを感じる。
そして。
「さあ、斎藤。……抱いて♪」
「待て、おい、鈴乃こっちくんな! それってつまり!」
「うん。……『あたしの体の粘膜に斎藤の体液が触れると、いい確率で新しい個体が生まれる』ってことだよね?」
「馬鹿! お前本気で苗床になっちまうぞ! 腹の中から触手がモゾモゾ出てくるようになっちまうんだぞ!」
「なりたいのっ!!」
もぞもぞ逃げる斎藤に、裸でタックルをかける鈴乃。
まだ成長中の可憐な身体を押し付け、鈴乃は斎藤の触手を自らに挿入しようと手で捕まえようとする。
「馬鹿、お前なっ……まだお前若いだろうが! そんな捨て鉢になるんじゃねえよ!」
「捨て鉢になってるのは斎藤の方でしょうっ!!」
鈴乃は斎藤を睨む。
斎藤の動きが止まった。
「あたしと斎藤がお互い好き合うのなんて、地球人とエルフが好き合うのと大差ないじゃない。生物種として違うけど、お互い魅力を感じあえる相手じゃない。なのになんで勝手にエルフにとって自分はノーカンなんて言うのよ!!」
「……あのなあ、鈴乃」
「あたしは斎藤が好き。斎藤とだけエッチしたい。あたしは確かにまだガキかもしれないけど、でもあんたの子供なら産みたいって思えるくらい、女として、出来上がってるんだから」
ぐい、とひときわ太く、そしていやらしい形をした……器用でそして愛おしい、自分の膣のための触手を股間に導いていく。
「だから、観念しなさいよ。……あたしと会ったことが運の尽きだって。この広い宇宙のこの時代に、あたしとあんたが出会っちゃったことは、そんなノーカンで済む話しじゃないんだって」
「……鈴乃」
「あたしたちの人生が長いのは、無駄に老いるためなんかじゃないよ。……その間に運命の相手に出会うためなんだよ。それがあたしの場合、早かっただけだもん」
「……てめえ、本当にそこまでできるんだな? 触手の生贄になる覚悟、あるんだな?」
「馬鹿。違うよ、斎藤。……あんたの子供、独り占めで作るんだから♪」
ギチギチ、と触手に巻きつかれながら、うっとりと鈴乃は言う。
若さゆえの暴走とも言える。快楽による洗脳と言えるのかもしれない。
だが、鈴乃にとっては、それは紛れもなく愛ゆえの熱情であり、斎藤にとっても初めて異種族と本当の意味でする『セックス』と言えるものだった。
「斎藤っ……斎藤、入れていいよ……子宮にも、尿道にも、お尻にだって突っ込んでいいよっ……口でも鼻でも、あんたの粘液擦りつけて、どこででも孕むからっ♪」
「……やだよ馬鹿。本当にそんなとこから触手が出てきてお前がブッ壊れたらたまんねえ。あと千年はお前を俺の苗床にするんだから」
「……っ、もう、斎藤、優しいんだからっ……♪」
本人たちはいたって本気である。
そんな倫理の壊れた会話の中でも、斎藤のひときわ男根に似た触手は鈴乃の膣を割り開き、奥までグリグリ侵入を開始していた。
「はぁあぁぁっ……♪」
全身を縛りながら、鈴乃の膣だけを慎重に使った陵辱。
膣だけを狙った、胎だけを狙った子作り。こうでないと、きっと鈴乃は苗床として耐え切れないから。
膣だけをこそぎ、子宮を突付き、内壁をねぶって粘液を擦りつける。
その一滴一滴がもしかしたら斎藤の分身として鈴乃の体内で芽生え、いずれ這い出してくるかもしれない。
その予感が鈴乃にたまらない幸福感を与える。
好きな相手の子供を作る行為。子供を仕込まれるというセックス。
触手と愛し合うなんて壊れてる。
触手を産みたいなんて壊れてる。
きっと誰もがそう言うだろうが、鈴乃は胸を張ってそれを肯定するだろう。
自分は触手を愛してる。
触手モンスターに心を奪われた変態でいい。
そんな恋だってあっていい。だから、神様は、
ハーフエルフの自分の存在を認めたのだ。
「斎藤、斎藤っ……好き、大好き、だからぁっ♪」
「鈴乃……この淫乱馬鹿女がっ!」
「うん、あたし、淫乱で馬鹿で……斎藤大好き女っ……♪」
「……ちっ、一回しか言わねえぞ、鈴乃っ……」
じゅぽじゅぽじゅぼ、と鈴乃の膣に激しく触手を出し入れしながら、斎藤は鈴乃に不気味な本体を近づけた。
そのイソギンチャクの化け物のような本体に、愛しげに舌を伸ばす鈴乃。
その鈴乃を引き寄せ、本体にキスさせながら。
「愛してる」
小声でそう呟いて、そして斎藤は鈴乃の膣の中に白濁した粘液を噴射した。
「んああああああああっ♪」
鈴乃はその射液で、自分に触手が宿ったことを祈りながら、絶頂。
そして、気絶する。
それから約一ヶ月。
「生えるとしたらもう一人前になってるはずだし、やっぱ眉唾だな、あの薬」
「なんだぁ……せっかくミレニア女子大の薬学研究会、紹介してもらったのに」
「ミレニアぁ? あのエルフの嬢ちゃんたちの? 駄目駄目、あれ全然本気で研究とかしてねーよ」
「むー……」
グロテスクな斎藤と抱き合うように腕と触手を絡め合って、寝物語。
寒くなってきたので斎藤も布団でいっしょに寝るようにしたのだった。
「あたしがハーフだっていうの伝えなかったのがよくなかったかなぁ……あんまり遺伝子的に変わらないはずなんだけど」
「いいさ。どうしても本当に産みたきゃお前が自分で研究しろ。若いんだからいくらでも時間はあんだろ?」
「そだね。……ね、斎藤。もう一回ぐらいエッチしない?」
「この淫乱」
「愛だよ愛♪」
こうしてグロテスクなモンスターと中三のハーフエルフの甘い甘い夜は更けていく。
ちなみに志望校ランクはえっちのし過ぎでちょっと落ちた。
結局鈴乃もミレニア女子大付属高校に行くことになりそうである。
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