アパート「しまむらハイム」の管理人・静音さんはハーフエルフだ。
母親がエルフで父親が地球人。
この父親というのが曲者で、割とあちこちで色々な異星人相手に浮名を流し、異母姉妹が何人もいる有様らしい。
しかし母親同士がそれを巡って険悪というわけではなく、そのおかげで男女観については静音さんもある程度、浮気……というか重婚的環境に対して寛容なところがある。
寛容というか……相手に女がいようがお構いなしというか。
「エルフなんだから婚期に関しては千年単位でじっくり考えていいですよね、静音さんは」
ハーフと言っても肉体のポテンシャル的にはエルフと同様、数千年クラスの寿命が約束される。
銀河文明にアクセスするということは他の異星人たちと同様の恩恵に与れるということであり、それで得られる莫大な加護は出身種族のハンデをほぼ帳消しにする。やろうと思えば一万年でも十万年でもいけそうな気がするが、その辺はまあ肉体以外の要因とかあるんだろう。
「エルフですけど現代人ですから。ライブで生きてますから。今という時代を仏陀の如く諸行無常と見限るほど枯れ果てるつもりはないんです。何より愛情ってそういう計算で先送りにする類のことじゃないと思うんですよね」
「いや落ち着こうか。まずそれ向ける相手を手近で妥協しちゃってるのが問題なわけでしてな?」
「小野崎さん。古来……日本では、男女間が結ばれる過程を、パッと見の物色から始める恋愛に求める方がイレギュラーだったんです。手近というと聞こえが悪いですが、縁というのは決して糸口としては馬鹿にしたものではないんですよ?」
湯気香る大浴場。
浴槽の中、全裸美女に半ば馬乗りされるような形で迫られる。それは草食系男子としては夢のシチュエーションかもしれない。
しかしまあ、そういうのは相手から生々しい焦りが感じられると、それだけでちょっと腰が引けてしまうものでありまして。
静音さんはハーフ。つまり地球人としての顔がある。
現在も学校の同級生などといった横の繋がりがあるので、周囲が男捕まえてどんどんお幸せになっていっている情報を入手し続けているわけで。
そこから来る「そろそろ幸せにならないとちょっと私色々ヤバくない?」的な気持ちがビンビンと伝わってくるのであります。
まあ俺だってそろそろ同級生やバイトの先輩後輩などの結婚情報も多くなってくる年頃だけど。たまに予想もしてなかった奴から「え、一応もう嫁さんいますけど?」とか言われてガツンと来ることはある。バイトでどっちかというと駄目な方の奴とか。しかも年下。
コイツですら結婚してくれる女がいるんだな……という気持ちは、そういうこと言われてハハハと笑って冷やかすくらいしかできない自分にどうしようもない劣等感を抱かせる。
酒とパチンコとAKBの話しかテンション上がらないような奴なので、幸せそうかというとそうでもないし、ウチに帰ってくればみかんやウメさんを始めエロでも趣味でもガッツリ付き合ってくれる相手がたくさんいる俺は、実のところそういう奴よりずっとずっと勝ち組なのは、理屈的にはわかっている。
しかしそれでも、酒とパチンコとAKBが人生の慰めだとしても、そいつの方が人生の段階を一歩上に行っているという事実は漠然とした焦りを生む。俺もうちょっと人生を真摯に生きた方がよくない? と鏡の中から語りかけてくる俺がいる。
だから静音さんが、とにかく手近でも二股三股でもなんでもいいから人生に潤いを求めたくなるのはわからなくもない。特に静音さんはアパートの管理人だ。しかもエルフだ。都合のいい出会いなんてそうそうない。
後何年干物な生活しなきゃいけないの? 私は別にそんな特殊な人生送らなきゃいけないほど何か悪いわけじゃないよね? ……という彼女の心の声は痛いほどに伝わってくる。
けど、それを役得とニヤニヤできるような人間ではないんです俺。重いの背負ってる子は他にもいるんです。キテレツ県民の積載重量には限りがあるんです。
「ご存知のことと思いますが我が家のみかんと俺はずっぷずっぷの関係にありまして。ついでにウメさんとその元同僚ライムちゃんとも無料無制限サービス的な関係でありまして」
「不動さんと生田さんも妊娠を前提としたお付き合いしてるんですよね? 知ってます」
「なんでアンタの方がダイレクト表現なんだ」
「事ここに及んで、濁すことにこだわる意味がないでしょう?」
苦笑した静音さんは頬と頬を近づけ。
「そんなに難しく考える必要は無いんです。私も子沢山を前提とした健全な賃借関係を結びたいだけですから」
「斬新過ぎる表現しないで! 俺のニューロンにだって限界があるんです!」
「え、特に難しいことはないでしょう? 一ヶ月の賃料38000円、廊下やお風呂などの共用部の掃除と毎日のゴムなし中出しエッチ含む管理費2000円」
「エロマンガですか!」
「妊娠期間中は医師の診断により性行為を控えることもありますのでご了承下さい♪」
「どこまで本気なんだこのこの人」
「実現して困る部分は一言たりとも挟んではいませんよ……♪」
「ちょっ、静音さん待って待ってそんな腰落としたら入る入るチンポ入る」
「もー、何がそんなに嫌なんですか。そんなに孕ませたくないんですか」
「基本的に男だって孕ますのは特別の勇気が要ることなんですが!?」
ぐいっと静音さんの体を押して起こし、肩ををポンポンッと叩いてから手を引いて洗い場に上がり、すのこ(発砲スチロール製。頑丈だけど若干ソフト)に正座する。静音さんも正座させる。
ビンビンにちんこ立てた男の正座。そしてその前に困惑した美女の正座。なんてシュール。
静音さんはわりかしおっぱいもある。無論こちらを性的に捕食しようという勢いなので、特に隠すこともなく堂々と晒された濡れおっぱいは非常に刺激的だが。思わずむしゃぶりつきそうになるが。
「あのですね? そりゃ俺も日常的に色々インモラルな真似してますし、静音さんが家庭環境的にバッティングに寛容なのもわかっていますけど。この口でいちいち言うべきことじゃないとは思うんですけど。でもね、エルフ的価値観でいくならエルフ的価値観に従って行動すべきだと思うし、日本人的価値観でいくならそっちに絞って行動すべきだと思うわけです。なんというか本末転倒な物を感じるんですよ」
地球人的焦りとエルフ的寛容を組み合わされたがゆえの収拾のつかなさというか。
そりゃ一応「オトコがいる」という気持ちの分は敗者ではなくなるだろうけど、それ実は何も解決してなくない? というか。
こっちはただ気持ちいいだけなんだから完全に他人事と切り捨ててしまってもいいのかもしれないが、なんかこう……ね?
ということをたどたどしく説明したのだが、静音さんは苦笑して。
「理屈はそうなんですけど。……はっきり言ってしまえば、それこそこだわってもしょうがない部分だと思うんです。どうやっても私はハーフエルフだから、地球人と同じような幸せを求めて生きても、地球人として満足して人生が終わるわけじゃないですし。かといって、男の人はエルフとしての時間感覚にあわせてじっくり選べ、焦るな……って言われても、実際そんなの意味ないと思うんです。だって、たとえ何年待ったって、それで理想の出会いが絶対来るなんて誰も保証してくれないんですから」
「……まあそれはそうなんですけど」
「子供じゃありません。判断を他人に任せる必要なんかないんです。千年先のことなんて千年後に考えたらいいんです。問題はそれまでの時間が寂しいものになるか、そうでないか、なんですから……こういう衝動が、刹那的なものでしかなくてもいい……私は小野崎さんとセックスすることを、少なくとも『やりたくない』と思ったことなんて一度もないんですよ」
「…………うーん」
「というより、秘密でしたけど、このしまむらハイムに入居したときからずっと妄想していたことですから……♪」
いやそれは別にみんな気づいてました。
……いや、うん……でもそう考えると、確かに……無理に思いとどまらせるようなことでもない……のか?
「では納得したところで……始めましょう♪」
「え……う、うん……?」
身を乗り出してきた静音さんが、俺にそっとキスをしながら押し倒し、唇と舌をアゴから喉、鎖骨、胸、ヘソ、と辿って、細いアゴで陰毛を撫でつけながら肉棒にたどり着く。
そのままそれを舌で舐め、唇で愛撫し、指をそえて愛おしそうに頬ずりする。
「……な、慣れてるんですか」
「そんなことはありませんよ。でも、これから……毎日お世話になるものですから……♪」
「いやそれは」
毎日って決定事項なのか? ……あれ?
そして唾液をたっぷりと纏わせた上で身を起こし、大胆に足を広げて自分の陰部を広げてみせる。
いや、見せたわけではない。上になって俺のチンポを膣内に迎えようとしているのだ。
「本職の人にはかないませんけど……その分は情熱で補いますから……♪」
「う、うっ……!?」
静音さんの膣内はぬっとりとした愛液に溢れ、膣肉は熟れている。
まさに発情した雌肉という感じだった。
が、それも途中までで、ある程度まで進むと妙に狭くなり、つっかかりを覚える。
……俺は図らずも何人ものソレを奪っていたので、すぐに心当たりを見つけていた。
「処女……膜」
「っ……の、残って……るんです、ねっ……」
「え、経験……ないんですか、あるんですか」
「……道具なら」
「あー」
うん。そうだよね。これだけ飢えてる人が頑なに道具オナニーしてないってことないよね。
ある程度のところまではスムーズに入れたってことは、つまり途中まで突っ込んだオナニーで満足してたってことか。
「……いただきます」
「!」
静音さんがその先を躊躇しているようなので、俺は軽く手のひらを立ててから、静音さんの腰を掴んでグッと軽くブリッジした。
それは大して大きい動きではなかったが、抵抗を打ち抜き、根元まで受け入れさせるには充分な衝撃だった。
「っく……つ……っ」
「キツいですか……?」
俺は根元まで包まれて、適度に熱く締め付けて震える膣肉で気持ちいいけれど。
静音さんは唇を噛み、少し涙目になりながらそれを受け入れる。
「……ちょっ、ちょっとだけ……いたかった、です……けどっ」
「ゆっくりやりましょう」
……なんかまだ微妙に「これでいいのかなあ」感を抱えつつも、猫背で痛みに慣れようとする静音さんを励ます。
そして、しばらく待ってから……少しずつ、少しずつ腰を揺すり始める。
最初は静音さんから。やがて俺も彼女の動きを補助するように。
しかし、それなりの時間を彼女の膣内で過ごしていると、動いていなくても結構な刺激になってしまっていて、最初にお喋りしながらも勃起して性感だけは盛り上がってしまっていたのも相まって、揺する動きは大したことないのに早くも追い詰められ始めている。
少しの間、スピードを調整してそれに抵抗しようとしていたものの、静音さんも辛いなら粘るのもどうかなあ、と考えが変わり、俺はあえてその快楽に乗っていくことにする。
「少し……早めます、よっ……!」
性交に慣れない膣内。男を知らなかった胎。
それでありながら、これから月々風呂掃除や庭掃除、電灯交換込みの管理費2000円内のサービスで、毎日俺と子作りもしよう、なんて言ってしまう静音さん。
何かとアンバランスで貪欲な彼女の魅力に、もう少し向き合ってもいいな、と少しゾクゾクしながら、俺は込み上げる絶頂の気配をそのまま昇華し。
「っ……う、出ま……すっ……!!」
「っっっ……♪」
彼女の膣の奥底に、精液を吐き付ける。
漂う湯気の中で気が遠くなりながら、汗だくの体が発泡スチロールのスノコで音を立てのを聞きつつ脱力。
静音さんの体を持ち上げ、チンポを彼女の膣内から引き抜こうとして。
「……静音さん、そっちに体重かけたら抜けません」
「……まだ一回目ですよ?」
「いや一応処女なんですから一回目で終わりましょうよ」
「でも小野崎さん、まだ硬いですし……」
静音さんは身を起こすと、俺の動きを無視してお尻をグイと後ろに突き出す。
頑として続きをするという彼女の決意表明だった。
「ご遠慮なく、これも管理費内ですから……♪」
「いや、ちょっ……ああもう」
そのままなし崩しで抜かず三発まで離してもらえなかった。
「ということがあって……それ以来なんとなく静音さんの色目にだけは逆らえないというか」
「ズルいよねえ。強権だよねえ」
俺の説明(と、ウメさんの相槌)を聞いたさくらは溜め息をついた。
「そうは言っても、いくらなんでもアパートの廊下で昼間から立ちバックは駄目だと思うわ。エルフのあれで外の人に見つからないとはいえ」
「夜ならええんかい」
ゴロゴロしながらモンハンしてたみかんが冷静に突っ込みを入れるも、さくらは少し考えて。
「今回の件を盾にして管理人さん公認でプチ露出プレイはアリかも」
「お前少し価値観おかしくなってきてない?」
「ええ。ケン君のせいです」
ぐうの音も出なかった。
ごめんなさい。
もどる