エロいことがアリになっても、毎日の生活があれば自然と無制限のエロ三昧ってわけにもいかないわけで。
 俺もバイトを掛け持ちしている(それぞれ月あたりの稼働日が少ないからそんなに忙しくはないけど)から、疲れて帰ってきた日にはみんななんとなく察してくれるし。
 タガを外したエロエロハーレムというのも悪くはないけど、そういう阿吽の呼吸アリで女の子たちと仲良く生きる毎日っていいよね……。
 なんて自己完結していたら、別にそう思ってる人ばかりでもなかったらしく。

『プロなんです』
「……はい?」
『いいかいザッキー。このウメさんはえっちなお店でチーフまで務めたプロなんですよ?』
「……う、うん。そうだよね?」
『それなのに! もう無料でいくらでも付き合ってあげるという! 業界用語でカキタレというアレになったのに! なーに勝手に雰囲気が盛り上がるの待ってるのかね若人!』
「自分でカキタレ言うのはどうかと思う!」
『しかもバルチャーなんだよ!? ちょいと階段上がればいつでもご在宅なんだよ!? ふつーに考えたら日常的に「ちょっとおトイレ」って感覚で抜きに来るべきでしょう?』
「バルチャーの定義についてウメさんとは一度深く語り合わなければいけない気がしてるんだ。彼らは新時代のハゲタカであってただの無職じゃないんだぞ!」
『でも無職じゃん』
「標準で陸上戦艦持ってる自営業だよ!」
 違う。ガンダムXの話はいいんだ。
 往来の真ん中でスマホに向かってガンダムネタの全力ツッコミはどう考えてもクールではない。
 幸いにして第一京浜の歩道なんて、多少大声出したところで誰も気にするようなロケーションじゃないけど。バスや大型トラックがびゅんびゅん飛ばしてくし。
『というわけでザッキー。帰ったらすぐ私の部屋に来るように。性のプロのお・も・て・な・しという奴を教えてあげるよ♪』
「いやそのフレーズはそろそろキツい」
『黙らっしゃい。エルフに一年や二年の時事ネタ誤差を細かく要求すんな』
 通話終了。
 俺は薄曇りの空を見上げ、足元のマルエツのビニール袋をちらりと見て溜め息。
 これ、みかんが転がってる自分の部屋に置いて、それからノコノコとウメさんの所に行くのか。
 ……なーんて、いちいち周りの顔色窺っちゃうから思ったほどのパラダイスになってないのだろうけど。


 で、寝っ転がって早売りマガジン読んでたみかんに「買い忘れがあったからもっかい出てくる」と微妙な嘘をついてウメさんの部屋へ。
 しまむらハイムの二階の端っこにあるウメさんの部屋は、階段の位置の都合上、あまり露骨に足音を立てずに向かえるのでありがたい……とか、周りをキョロキョロしつつ思う。
 今日は日夜子嬢もいないし静音さんも今は風呂掃除中。もちろんさくらも昼間なので仕事でいない。
 平日の真昼間のそんなしまむらハイムで、一応、大の男(しかも一応とはいえ大卒)の俺がフラフラと自由な年上女性の誘いに乗って、エロ目的で部屋に上がりこもうというんだから背徳感はなかなかだ。いや、敗北感に近いかもしれない。
「大丈夫、俺はまだ本気出してないだけ」
 一言、自分を励ます。うん最高にかっこ悪いこと言ったね、俺。
 そして、それでも興味には勝てずにそっとウメさんの部屋をノックしてしまう。
「はいはーい、開いてるよん」
 ウメさんの嬉しそうな声が聞こえてきた。

 実際のところ、みかんやウメさん、さくら含めてエッチをする関係になった……とは言っても、時々風呂の混浴から羽目を外す流れになったらみんなで乱交状態になる……なんてことがある程度で、そういつもいつもエロの糸口があるわけじゃなかった。
 これはありがたくもあり、少しもどかしくもある。
 ありがたいというのは、やっぱりエロ以外にも生活ってあるもので、それぞれ一日の疲れもあれば、翌日への体力も必要だ。何より、いつ誰と顔を合わせても常にエロを意識するのは結構精神的にハードだったりする。
 俺は、今のところ多少はエルフたちの認識隠蔽に耐性があるが、それだけの人間だ。
 エロゲ的な状況にはあこがれるし、ハーレム王になりたくもあったけど、いざとなると精力も体力もそうそう乱交にはついていかないし、自分より有能で社会的にも成功してて人数も多い女の子に強気にはなかなか出られない。ていうか最近のハイスクールD×Dってそんな感じだよね。
 でも、だからといってエロに興味がない、もうこりごりだ、なんていうわけでは全くない。
 ヤりたいといえばヤりたいのだ。適度に。
 頼めばやらせてくれるとは言っても、だいたい常に複数人がいる状況で「それはともかくセックスしようぜ!」なんて言える男気はないだけで。
 女の子に囲まれててもそういうこと言えるGESUさはあまり鍛えられるものじゃない。
 そんな時に「ウチくればすぐにでもヤれるよ」なんて堂々と誘われたら、高揚せざるを得ないじゃないか。
 もう午後も浅くはない時間。みかんには買い忘れの買い直しなんて言ってるわけだから、あまり時間は長くかけられない。
 だけどウメさんの言葉が本当なら……うん。ちょっと喉鳴っちゃうね。
「お邪魔しまーす……」
 最後にもう一度左右を確かめてからドアの隙間に滑り込む俺は、どう見ても犯罪者か何かのように見えたと思う。

 で、中にいたウメさんはというと。
「いらっしゃいませ〜♪」
 綺麗に片付けられ、ベッドを真ん中に再配置した部屋を背に、ウメさんはピンクのスケスケキャミソールで三つ指突いてお出迎え。
「お、おお……すごい、なんか本当にそういうAVっぽい」
「AVってゆーな。お店って言いなさい」
 少し口を尖らせたウメさんはそう言いつつ膝立ちで俺に擦り寄り、ニッと笑ってズボンに手をかける。
「とゆーわけで、始めちゃおうザッキー。どうする? 手がいい? お口で抜いちゃう? それともさっさとおまんこしたい派?」
「ほ、ホントに話が早いな」
「もったいつけてのセックスは他の子に任せまーす。ザッキーにはどこまでもお安い女でいてあげよう」
「あ、あんまり急展開だと俺もなかなかついてけないとこはあるんだけど」
「ちんちん全力で突っ張らせてカマトトぶんなってー♪」
 ひとしきりウメさんとじゃれあった後、結局ズボンを脱がされてチンポにキスされる。
「ん♪ ……それじゃヌキヌキの帝王たるウメさんの価値をとくと教えてあげよう」
 そう言って心底楽しそうに俺のチンポに頬ずりし、見せ付けるように舌を出しながら大口を開けてチンポを口に入れるウメさん。
「はむっ♪ ……ん、んっ……ん、んんっ♪」
 ぱっくりと咥えた後、吸いながらゆっくりと頭の前後を開始する。
 ゴージャスな金髪、スカイブルーの双眸。
 胸、腰、お尻と、それぞれ柔らかそうながらも、メリハリの効いたワガママなスタイル。
 町で無防備に見かければ、男なら誰もが視線を吸い寄せられる美貌。そんな彼女が、楽しそうに、そして丁寧に、俺の肉棒に口唇奉仕をする。
「んぐ、むふっ……こーら、何ボーッとしてんの」
「え、あっ……よく考えたらウメさんにこんなことしてもらえるの、男として贅沢だなあって」
「ふふん。他の子が物足りなくなるくらいに贅沢させてあげるよー♪」
 そう言って俺の肉棒を色っぽく舌先でなぞるウメさん。
 挑戦的な瞳と得意げな耳の角度がなおのこと魅力を引き立てる。
「それにしても、急にこういうこと言い出すなんて……なんかあったの?」
「なーんにもないから痺れを切らしたんじゃないの。このアパートのセクシャルリーダーとして、ザッキーの中の獣を引き出してあげられないもどかしさというか、ね……れるっ」
「……いや、ホントはやりたいけどさ、一日に一度二度くらいは……でも、乱交になるといわゆる賢者タイムっての、あるじゃん? あの間のテンション維持がキツいんだ。みんなで尻突き出して待ってるのに一服ってわけにもいかないし……だから結構溜めていかないと」
「ま、そだよねー。とはいえエルフの秘薬でそのワイズマン・ミニッツを消してあげることもできるけど」
「それはそれで、俺が肉奴隷として品種改良されてるみたいで……」
「色々めんどくさいなあザッキーは。やりたいなら襲えばいいし、お預けしたいならお前お預けな、って言えばいいだけなのに」
「男は俺一人なのに、そんなエラそうにできないよ」
「じゃあ意見的に対抗するために男子増やす?」
「誰が得をするんだそれは」
「うんうん。自覚あるのはいいことだ。ハーレムゲーで急にモブをエロ参加させるのはアウト中のアウトだよね。それはともかくとして、独占するならキョロ君第二形態くらいの気持ちでいこうぜ」
「エロ中にGJ部の話を出すのはやめてくれないか」
 そんな馬鹿な事を言いあっている合間にも、ウメさんは亀頭をまんべんなく舐めあげ、笠の下を舌先で幾度もなぞり、俺の性感を刺激し続ける。
「みんな、この一本と深く繋がりたい……一番大事なトコを捧げたいって覚悟キメてんだからさ。ライバルいっぱいいてもめげずに。だから、遠慮ばっかも優しい行動とは限らないよ?」
「わ、わかってはいるけど……」
「オトコが先にヤル気にならなきゃ、女がエレガントにエッチに持ち込むのは難しいんだよ? みかんちゃんやらナマデンワちゃんやら、ちょっと空元気を振り絞って乱交の空気に乗ってるんだから、たまにはザッキーが悪者になってでも自分で押し込まないと」
「こんなことしてるのに、まるで他の子とのエッチを勧めてるみたいだ」
「私の急な積極性がおかしいんじゃなく、ザッキーの消極性に問題があるっていってんのよー」
 ウメさんはそう言うと、射精の瞬間が近付き始めた俺を一旦部屋に上げ、自分はキャミソールを脱いで素っ裸になる。
 うっすらと汗ばんだパーフェクトボディは、キャミソールの下にはパンツの一枚すら纏ってはいなかった。
 傾いた太陽の光が窓から差し込み、ウメさんの金糸の髪とうっすら濡れた裸身の曲線を煌かせる。
「ザッキーってば、ドワオッとハーレムな状態になっちゃったからエロリーダーとしての私に仕事はないかも、なんて思ってたけど、やっぱり私でどんどんザッキーは練習すべきなんだよ。というわけで毎日猛特訓宣言です」
「その擬音はよくないと思う」
 ウメさんは俺をそっと押しのけてベッドに転がり、片足を抱えるようにして陰部を見せ付ける。
「セックスくらい当たり前だ、相手も求めてるんだからサービスで抱いてやるんだ、くらいの気持ちになるまで、暇があったらここにいつでも通うことっ。ま、ローションだとか潮吹きだとか、あんまり汚れるプレイは……お風呂が共同だし時間帯によってはちょっときついけど、普通に中出し一発二発とかならいつでも受け付けてるかんね♪」
「そういう意識改造もどうかと……」
 軽口に軽口を返しつつも、俺は行動としては一切の躊躇もせずにウメさんにのしかかる。
 唇と舌、手で散々高められた挙句、最高の女体を「フルタイムで犯しにきていいよ」と見せびらかされたら、理性と下半身が別駆動してしまうのも許して欲しい。
 そして、その陰唇をちんこでぐりぐりと掻き分けて押し込み、感動的な暖かさと弾力、締め付けに恍惚としたのも束の間、今しがた脱ぎ捨てたシャツの胸からツヨガリーノーウラガワーニーと急に歌が流れ出す。
「……出る?」
「う、うん……」
「よいしょっ……と」
 ウメさんは入れたまま手が伸ばせるように、足で俺の腰を抱え込むようにしながら器用に転がってベッド上の位置を変える。
 そして、俺はウメさんと肌を合わせたまま電話を取ると、その声の主はみかん。
『今どこじゃ』
「あ、あー……ちょっとついでに遠出しようと思って駅に」
『ホントかのう?』
「……な、なんだよ」
『後ろが静か過ぎる。声もなんか上ずっておるぞ』
「…………」
『やましいことでもしておらんか』
「……別にぃ?」
 下からウメさんに睨まれた。誤魔化すならもっとうまくやれってことか。
『できるだけ早く帰って来い。あと帰りがけに駅前でメガマックお持ち帰りじゃ』
「……それが言いたかっただけか」
『腹が減ったんじゃー。おつまみじゃなくて腹に溜まるもの食いたいんじゃー』
「ったく。わかったわかった」
 電話を少し強引に切ると、ウメさんが溜めていた息を盛大に吐き。
「誤魔化すならもっとうまくやってよ」
「……面目ない」
「っとにもう。……早く行ってあげなよ。私はいつ来てもさせたげるから」
「……入れるだけ入れておしまいってのはわびしいなあ」
「ふふ、おまんこだとそんなに早くイカせるってわけにはね……口や手なら特急で出させてあげるけど……あっ、やっぱ駄ー目。今回はこのまま引っこ抜いて悶々としなさい」
「ええー……」
「我慢できなくなったら性懲りもなく来ればいいよ♪ ウメさんとのエッチはいつでもレジューム可能だぜぃ♪」
 ウメさんはそう言って俺から身を離し、裸のまま見送ってくれる。

 で、夜中。
 コンビニに行く振りをしてウメさんにメールを入れ、そっと再訪問すると。
「ひひひ。こういうのいいねぇ」
 ウメさんはイタズラっぽい笑みを浮かべつつ、裸でベッドで待っていた。
「……あんま悪いことしてるわけじゃないけど悪いことしてる気分だ」
「さあ、昼間のキッチリ続きを楽しんでって、ザッキー♪」
「……お世話になります」
 ずっとわだかまっていた性欲を処理したくて、俺は少し無造作な感じにウメさんにのしかかってしまう。
 それすらも目論みの内、とばかりにウメさんは同じように足を絡め、俺を受け入れつつキスをする。
 コンビニに行って帰るほどの、約十分。その間にウメさんに精液を流し込む。
 傍から見ると歪な肉体関係。
 だけど、俺と彼女の間にはどこか清々しい暖かさが流れている。

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