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 そして、最後に。
「わ、私も……いいですか?」
「うん」
 アップルが残った。
 まだ出る俺。
 ポルカの……に近い癒しの霊泉万歳。いつも入ってると弾切れの気配がないんだこれが。
 ……バッソンに戻ってからが怖い。
「私も……しゃぶる、んですよね」
「ふ、普通にしてもいいけど」
「いえ、しゃぶらせてください」
 ちょっと真面目顔で言って、俺の、他人の唾液と自分の精液でベットベトの股間にかがみこむ。
「…………」
 そして、ジーッと観察。
「なんだよ……」
「いえ、その……なんだかすごく懐かしい感じが」
 ちんこ前で記憶と対話しないで下さい。
「……私、昔、アンディさんのおちんちんしゃぶりながら毎日過ごしてた……んですよね?」
「俺はアップルのおっぱいとかおしりさわりながらね。裸で毎日飽きもせずに絡み合って、ちんこ勃ったらアップルがフェラ抜きして、また絡み合っての繰り返し」
「それを……何ヶ月も」
「うん」
「…………っっ」
 ぶるり、とアップルが震える。
 怖気立ったのだろうか。いやそんなことはないと信じたいけど。
「……い、嫌だった?」
「いえ、その……」
 アップルはちらりとマイアを見て、クスッと笑う。
「す、素直に……」
「?」
「その……私、よく、耐えられたなって」
「?」
「きっと……セックスの本当の味を知っちゃった今なら、耐えられないと思うんです」
 アップルが俺に向けた目は、紛れもなく、嫌悪でなく期待の瞳。
「きっと飲まされちゃったら、今度は入れて欲しくなっちゃう……♪」
「……そ、そうか」
「ええ」
 あのころの俺は。
 まだセックスという事物を知らなかった俺は、それをしてしまったら、ポルカを離れられただろうか。
 物乞いになってでも。よその丁稚を何年続けてでも。
 俺はポルカに残り、飽きもせず毎日アップルに、そしてセレンにちんこを入れ、子種を毎日幾度も注ぎ続けていたんじゃないだろうか。
「……お前が我慢してくれてよかった」
「え……?」
「多分……あの頃にお前が俺の筆下ろしなんかしてたら、きっと俺、死ぬまでお前をポルカで抱き続けるだけの駄目人間になってた」
「……残念。それ……私たちにはきっと、ご褒美だったのに」
「っっ」
 呟いたアップルの優しい目が、まるで15年前の、俺を裸で抱き締め続けてくれたあのアップルそのものに見えて。
 俺のちんこはまたはしたなく膨らむ。
 アップルの鼻先で、自己主張する。
「……舐めていいですか?」
「ああ……舐めて。『今日は十の鐘まで大丈夫だから』」
「あ」
 アップルが俺のちんこを握ったまま嬉しそうな顔をした。
「なんだか、すごく……響きました。あの頃の台詞ですか?」
「うん」
 そう。アップルは、あのアップルだ。
 俺のことを必要として、待ってていてくれたアップルその人だ。
 今さらだけどそれを実感して、俺は嬉しくなる。
「はむんっ……ん、ちゅるっ……♪」
 アップルは嬉々として俺のちんこをしゃぷり出す。
 慈しむように、それでいて急かすように。
 アップルの口に入っているのは、あの頃のつくしのような子供ちんこではない。
 だが、それでも、俺たちは今、時を越えた心持ちだった。
 あの頃と同じ感覚。
 約束を果たすような愛情交歓。
「んぶっ……んちゅ、んんっ……は、んんっ……♪」
 ねっとりと、まったりと。時に激しく、時に哀願するような舌使い。
 かつて少年の日、昼から夕方までひたすら身を任せていたスキンシップ。
 麻薬のような互いの存在への渇望、繋がることへの欲望、アップルにとっては恥じらい、俺にとっては無知ゆえに果たされなかった最後の一線への、今は途切れる事のない道筋。
「ん、んんっ……ね、ねぇ、アンディさんっ……これ、イッたら……」
「アップル……」
 アップルは、ぼうっとした顔で。
「えと、その……本当は、おちんちんは口じゃなくて……」
「……ああ」
「……おちんちんは……女の子の、おまたに入れるもの……なんですよ?」
 あの日言えなかった言葉を、呟いて。
「ああ。……お前のマンコ、犯すから……だから、イカせて」
「…………あ、あぁっ……♪♪」
 答えを聞き、アップルはぼうっとした顔のまま、涙を流した。
「な、なんで……なんで、涙……」
「……はは」
 俺はそんないじらしいアップルの髪を撫でて。
 再び舌を差し出したアップルの口に、あっさりと射精した。
「んっ!! ……ん、んぐ、んぐっ……んぐぅっ……んくくっ」
「お、おい?」
 そして、アップルはその射精を、逃さない。
 飲む。
 ゴクゴクと飲む。
 今までの連続射精で多少量が細っているとはいえ、それでも尋常な量じゃない。ジョッキに半分は優にある量を。
 なんとアップルは、躊躇いなく、まるで清水を飲むように貪っていた。
「んぷっ……ふ、はっ……」
「お、お前……」
「……あ、あれ?」
 しかもそれは、何かの決意の元での挑戦、などではなく、どうやらアップルが感極まった末の本能的な飲精だったらしい。
 飲み込んだアップル自身が一番きょとんとしている。
「……すごいな、お前」
「……え、えへ。なんででしょうね、なんだか……飲めちゃう気がして」
 照れたようなアップル。
 そのアップルを抱き締め、押し倒す。
「あんっ……」
「アップル……アップル、犯すよ。……飲んでくれたご褒美だ。孕ましてあげるよ」
「……はいっ♪」
 アップルは、にっこりと微笑む。
 その笑顔には過去への躊躇いも、戸惑いもなく。
 例えそれが淫蕩による陶酔の結果だとしても、俺はそんな笑顔になれたアップルが泣きたいくらい愛しくて。
「アップルっ!!」
「きゃっ……」
 アップルの服を引きちぎるようにひん剥いて、その下半身を沈まない太陽の下に晒す。周りで疲れ果てて転がっているマイアとジャンヌが「あー」「ずるいだよ……」とか言い出しているがそれはほっといて。
「もう……がっついちゃって」
「アップル……アップル、犯すからな! お前のマンコ、俺の精液で満タンにしちゃうからな!」
「……はいっ」
 困ったように、それでも真っ赤になって足を開いてくれるアップルに、俺は一も二もなく襲い掛かり、前戯もなく一気に奥まで刺し貫く。
「ひぁっ……!!」
「く、あっ……」
 その秘洞は、恐ろしいほどに気持ちいい。
 柔らかく、濡れそぼりつつもキツさは損なわれず、俺のちんこをしっかりと食い締めていた。
「アップル……アップルっ」
「アンディさぁん……!」
 そして、股間以上に激しく抱き合う俺たち。
 アップルはまだはっきりと思い出せていないだろうけど。
 これは、今ようやく、アップルが15年前の「続き」と、初めて認識しながらのセックスだ。
 15年分のセックスだ。
「うあ、うああっ!!」
「あああ、んん、く、ひあああっ!!」
 二人で喚くように喘ぎながら腰を叩きつけ合う。
 アップルの極上の体が俺のひと突きごとにたわむ。美しい顔立ちが切なそうに歪む。
 無様で、衝動任せで、なんとも恰好は悪かったけど。
 でも、とても幸せなセックス。
 すごく心地良い、受け入れ合い。
「アップル、もう出る……出ちゃうよ」
「出して、出して出してっ……私の子宮、満たして……私の卵子犯して、あなたの子供、作ってっ……お願いっ!!」
「ああ……出るっっ!!」
 そして、二人で激しく体を震わせつつ、射精。
 ……ビュク、ビュクっと精液がアップルの膣の中で飛び散る。
「アップル……」
「アンディ……さぁんっ……」
 期せず、二人して首輪を撫でた。
 俺とアップルの、始まりの首輪。とても大切な、婚約首輪。

「……それにしても」
「?」
 アップルがちょっと困った顔をした。
「少ないですね」
「あ、ああ」
 ちょうど精子地獄の魔法が抜けたっぽかった。
「……いっぱいになってないです」
「まあ……な」
「…………」
 アップルがじーっと俺を見つめる。
「いっぱいになってないですよ?」
「…………」
 えーと。
「……いっぱいに、する?」
「はい♪」
「一度や二度じゃちょっと足りないと思うけど」
「はいっ♪」
 ……うん。頑張る。

(続く)


エンブレム反転
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