翌日は爽やかな朝だった。
夕方から夜のうちにアンゼロス&オーロラとしたのが「公平」のためだったので、他の子もその後はエッチ要求なしだった+みんな温泉で疲れも取って快眠というコンボのおかげだろう。
とはいえ、まあそれもそれで寂しい……とは感じるけど。
……いやいや。何贅沢言ってるんだ俺。これ以上やったらまた体力尽きてへろへろになるだけじゃん。
「ん……」
で、布団の中でウダウダとそんなことを考えつつ、どう気合を入れて起きようかと悩んでいたところ。
特にノックもなくバキンとドアが開いて、スタスタと近づいてくる足音がした。
……バキン?
「……んぅ?」
何か変な気がしてドアの方を見る。
ノブがねじ切られていた。
「……えぇ!?」
ちょっとビビって目が覚める。睡魔が未練たらしく張り付いている頭の中がクリアに……なるかならないかというところで、布団の上にバフッと荷重がかかった。
「ぐえ!?」
「起きろ人間っ」
「ま、マイア!?」
慌てて首を上げてみると、俺の上に跨るようにマイアが座っていた。
相変わらず何を考えているのかわからない、でもちょっと怒ったような無表情。
「朝ごはんだから」
「あ、ああ、ありがとう」
いきなり馴れ馴れしくなったことにびっくりだ。今まではつかず離れず、微妙な距離にいてライラの顔色だけ窺っていたというのに。
感慨にふけりながら上半身を起こすと、マイアはそのままじーっと腰の上に座って、俺の顔を見つめている。
「ん、どうした?」
「……寝癖ついてる」
がし、と俺の両耳を掴むマイア。
そして引っ張って頭を下ろさせると、いきなりペロペロと髪を舐め始める。
「ちょ、ちょっとマイア!?」
「?」
「そ、そんなのしなくても適当に濡れ手ぬぐいとか櫛とかでなんとかするって」
「こっちのほうが早い。……れる」
俺の抗議を聞き流して舌でそのまま寝癖を整えるマイア。
……うわあ、もしかして俺、今甲斐甲斐しく世話焼かれてる?
あのマイアに?
……やべ、ちょっと嬉しい。
でも。
「……マイア、注意しておく」
「?」
「いくら俺に早く会いたくてもドア壊しちゃ駄目」
「な、誰がお前なんかにっ……あう、…………ごめんなさい」
じーっと見てるだけでだんだん勝手に語気が弱まって結局謝るマイア。
本当に子供みたいだ。
マイアを伴って食堂に出ると、ディアーネさん、ライラ、ヒルダさんの年長組とアンゼロス、オーロラ、ジャンヌの年少組、あとアップルとセレンのポルカ組がそれぞれテーブルでお茶をすすりながら話し込んでいた。
年少組のテーブルの話題は……と。
「一日じゃ効果は出ない……よな、多分」
「しかし本当に豊胸効果などあるのでしょうか。……いえ、なければないで構わないのですが……お肌も凄くすべすべになることですし……でも……」
「十人長の足がたった一週間やそこらで治っただよ? おっぱいぐらいなんとかなると思うだが」
「ジャンヌ、一応僕とオーロラも十人長なんだが……」
……うん。はいりにくい。
年長組は。
「私はローテーションを決めるべきだと思う」
「しかしのう。その場の雰囲気が良くなってもローテーションに遠慮してしまったのでは悲しくないかのぅ。それに、何かの事情で誰かが止めたらどうする」
「それで飛ばしちゃったんじゃローテーションの意味無いし、不満がかえって溜まっちゃうわよねえ」
「ううむ……だが、早い者勝ちというのもな……」
なんだかよくわからないけど混ざっちゃいけないと第六感が告げているので、アップルとセレンの卓へ。
「おはよう、二人とも」
「あ、おはようございます」
「ごはん取ってきますねー」
笑顔で挨拶するアップル、素早く食事のプレートを取りに厨房に走るセレン。
うん。この二人は平和そうだ。
「今日はマイアちゃんも一緒ですか?」
「うん、なんか起こされた」
「ライラ様の命令だったから」
と言いつつ、俺が椅子を引いても座ろうとしないマイア。
「……ほら、マイア、座れ」
「…………」
マイアはじーっと椅子を見る。
そして。
「えい」
手をかざしていきなり氷の玉を生成、頭くらいの高さからボトリと落っことす。
大砲の弾ほどの大きさの氷の玉を落とされて、椅子が粉砕される。
「何やってんだ……」
「……椅子、足りないから、人間の膝の上に座る」
「いや、よそのテーブルから取ってくるから。というか壊すな」
「……ひざのうえ」
「ま、マイア」
ああ、アップルの視線がちょっと痛い。
もしかしてもしかしますかご主人様? と言わんばかりに薄ら笑いを浮かべて古い牛皮の首輪を撫でないで。うん超ごめん。やっちゃったよ。うん。
「ああもう、しょうがないな、いいよわかったよ膝に乗れ」
「♪」
マイアが少し嬉しそうな顔をして俺の膝に座る。
そしてアップルとセレンが同じようなニコニコした顔で問い掛けてくる。
『随分仲良くなったんですね♪』
「な、なんだよ、いいだろ」
「悪いか混ざ……ハーフエルフども」
マイアが混ざり物とか言いそうになったので頭をべちんと叩く。
その馴れ馴れしさも二人はピクリと反応した。
待ってその笑顔なんか怖いよ。
「別に仲良くなるのは悪くはないですけど」
「黙ってるのはどうなんでしょうね?」
……ああ、つまり。
黙って浮気されてる感じが我慢ならないのね。
堂々と「女増やしたぞ」と宣言するのはそこそこ許してくれるあたり謎だが。
「昨日ライラが色々して色々あってマイアもええとその、ごめんなさい?」
「何がですか?」
「きちんと説明しましょうよ、アンディさん?」
ごめん本当にその笑顔なんとかして。
「人間。竜に乗るなら堂々としろ」
「……うぅ」
マイアにまで発破かけられる俺。
……と、この辺でセレンとアップルは気色悪い笑顔を引っ込めて口を尖らせた。
「内緒にしないで下さいーっ」
「その……アンディさんが、底抜けにエッチなのはわかりましたから。せめて隠し事はナシでお願いします……私たち、捨てられること以外は大抵我慢しますから」
「だそうだけど。私に夢中になってこのまざ……ハーフエルフたちと縁切る?」
……ああ、つまり、自分たちの知らないところに行く=捨てられるのが我慢ならないわけか。
……うん。
「切らない。悪いけど俺は欲張りでしつこいスケベだ。一度手に入れたら逃がさないぞ」
「はい、よくできました♪」
「それじゃあ説明してください。どういうことですか?」
「……あー」
爽やかな朝ごはん。
の最中に、新参のペット膝に乗っけて旧来の雌奴隷たちに犯行(エッチ)状況説明。
……ああ、なんか爽やかじゃない。爽やかじゃないぞ。
「なるほどな」
溜め息をつくディアーネさん。
「ふふふー……ライラちゃん、余計なことしてくれちゃってっ」
ライラの乳をいきなり鷲掴みにするヒルダさん。
「ひぁ、な、なんて触り方をするっ」
何やらヒルダさんの手つきに必殺エロ魔術でも絡められていたのか、変な声を出すライラ。
「お前はすぐそうやって女に優しくする……まったく」
苦い顔をするアンゼロス。
「負けませんわよ」
もう何やら戦闘態勢のオーロラ。
「まあライラ姉様のすることじゃしょうがないだな。……でも膝の上はアタシの専売特許だぞ。明日は譲るだぞ」
「うん」
何やらライラの子分同士でそれなりに通じるものがあるのか、いきなり商談に入っているジャンヌ。
「……うーん。さすがに九人目ともなるとみんな視線がちょっと厳しい」
「当たり前だ。九人だぞ。……童貞喪失からたったの数ヶ月でうちの父上といい勝負じゃないか」
「来年あたりにはアンディ君の周り、後宮みたいなことになってそうねえ」
「ほほ。竜の主じゃ、後宮くらい良いのではないか?」
「それは、こ、困る。……僕とのエッチが月一回とかになったら」
「わたくしは毎日中出しという約束でしたのに」
「ぜーたく言うでないだよ。……あ、アタシは三日にいっぺんでも我慢できるだよ?」
「私は……どうだろ」
「ふふ、アップルったらもう完璧に雌奴隷馴染んじゃって♪」
「え、あ、あう……」
「まあアンディ君の精力自体は……父上愛用の砂漠トカゲの肝臓酒とかでなんとかさせるとしてー。問題はアンディ君の足腰の持久力よねえ」
「アンディ。……特訓だ」
「ひぃ!?」
なんだか問題が整理されたら巡り巡って俺にキツい方向に話が回ってきたぞ!?
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