夕方のことだった。
「アンディ」
足が動くのが嬉しくて、犬のように町内をぐるぐる4周ほど散歩してから宿に帰ると、アンゼロスとオーロラが真剣な顔をして近づいてきた。
「話がある」
「あ、ああ」
二人とも、午後も剣の稽古をしていたらしく、それぞれ帯剣し、少し疲れた顔をしていた。
ボナパルトのおっさんは散歩の途中、饅頭屋とか服屋で見かけたので、二人っきりでガチンガチンとやりあっていたのだろう。
それで俺に話となると……やっぱりアレだろうか。剣関係。
もっと本格的に稽古がしたいからいい場所教えてくれ、とか。
……つっても俺も半分かた地理忘れてるから、セレンか男爵を頼った方がいいと思うけど。
「なんだ?」
「……アンディ」
すーっと息を吸い込んだアンゼロス。
「昨日みんなといっぱいエッチしたのに、僕たちだけのけ者にしたそうじゃないか!」
「……ああ、まあその」
全然関係なかった。
「不公平ですわ! そもそも、わたくしにはそれこそ毎日昼といわず夜といわず、無理矢理しつこく精を流し込んでいただけるはずだったではありませんか」
「いやそこまで言ってないと思うけど」
「うん。前に聞いたときよりなんか酷くなってる」
俺とアンゼロスが冷静に突っ込むと、オーロラはちょっと赤くなって咳払い。
「おほん。……多少要望と混同した点はありますが」
要望って。
「まあ、僕だってそれぐらいはいいけど」
「それぐらいって、お前的にそれ以上があるのか、アンゼロス」
「……え、えーと、そうだな……いくら雌奴隷といっても三食とお風呂の時間くらいは置いてくれないと困る」
「そんな24時間耐久セックスとか未だかつてやった覚えはない」
「……まあ、それ以上しつこく犯されると社会的に困るってだけで、そこまでじゃなければ」
ほとんど無制限じゃないかこのスケベ娘は。
「話が逸れましたわ」
「う、うん。問題はそこじゃない。……そうだ、冷静に言っておかしいじゃないか、そういう場面で僕たちが抜けるのって」
「ええ、ですから」
と言いかけたオーロラとアンゼロスを、後ろからガバーッと両手で肩を抱く影。
「公平公平♪ ……という言い訳にしとけば、堂々とみんなを出し抜いてエッチしても怒られないもんね〜♪」
「ひ、ヒルダさん!?」
「そ、そんな言い方はないでしょう」
「んふふ〜♪」
ヒルダさんの尻からこう、尻尾のようなものが見える気がする。いや獣人じゃなくて魔物的な何か。
「でもさー、昨日はちょーっと特殊な状況だったのよ。ねー、ディアーネちゃん?」
「う、うむ。……確かに特殊だった」
頷くディアーネさん。いつからいたんだ。
「特殊……?」
「一体何が。もしや全員お尻の穴で、とか……」
「……ゴクリ」
「はいはい、オーロラちゃんもアンゼちゃんも妄想突っ走らないの! ……えっとね。自分がどれだけ変態で、どれだけアンディ君に犯されたがってるか告白しないと犯してもらえないルールだったのよー♪」
「……アンディ」
「アンディさん……」
「い、いや俺が悪いの!?」
そのルールにしたのってほとんどジャンヌとライラだった気がするんだけど!?
「だーかーらー。公平って言うんならみんなと同じルールじゃないとねー?」
ヒルダさんが妖しく笑う。
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