俺が温泉療養を始めて三日が経過した。
「ふんふーん♪ ……このくらいまでは大丈夫かなっと。はいアンディくん、足動かしてー。違う違うおチンポじゃなくてひっだりっあしー」
「い、いや、全力で下半身に力入れてるのにちんこだけ動かすなって無茶ですよ」
「それもそうかしら」
平然と素っ裸で俺の足の診察をするヒルダさんの眼前で、ちんこ、もとい左足は少しずつ持ち上がる。
20度ぐらい。それ以上は鼻息荒くしても厳しい。
「はいお疲れ様ー。感覚のほうは戻ってきてる?」
「そういえば、ちょっとぼんやりはしますけどなんとなく足引きずる感覚が戻ってきてます」
「な、る、ほ、どー。うんうん。計算上方修正。あと三日でいけちゃうかしらね」
「おお」
「あ、杖なしで歩けるようになるまでの日数よ? 傷痕完全に消えるまでにはまだ一週間は要ると思うわ」
「傷痕……消えるんですか」
「というより鹿肉部分が完全に自前の組織に駆逐される感じになるのかしら。今の調子ならいけちゃいそうなのよねー、毎日段々と鹿肉ラインが短くなってるし。見ててわかるでしょ、ほら」
「……言われてみれば」
ヒルダさんの指摘の通りに、鹿肉で補った移植部分は当初の2/3くらいになっている。
これが消えたら療養完了。晴れて俺は五体満足、一応誰にも迷惑かけない身体に戻れる、というわけだ。
「それにしてもすごいわねえ」
「ええ」
「ホント惚れ惚れしちゃう」
うっとりするヒルダさん。
……霊泉の効果にこそ感心していたものと思っていたのだが、どうやらうっとりしていたのはそこじゃないようで。
「で、アンディ君、いつになったらエッチ再開してくれるの?」
「ちょっ……」
あけすけに聞いてくるヒルダさん。
「おいアンディ」
少し離れて聞いていた酒屋のジョニーが、目はガン睨みしつつ顔の下半分は中途半端に笑っている顔で近づいてきた。ああ疑惑の顔だ。
「どういうことだ聞かせろ。そもそもヒルダさんとお前はどういう関係なんだ」
「い、いや、その」
「えへへー。……えーと、今のところ……」
「ヒルダさん、ちょーっと黙ってようね」
「大体この野郎! アップルちゃんとセレンちゃんにツバつけてただけでも気に食わないのに美人人妻ダークエルフ超美乳が主治医だと!? 許せねえ!」
「お、お前だってちゃんともう嫁いるしいいだろ!」
花屋のジェシカはこいつと結婚したらしい。
こないだ会ったが相変わらずいい乳してた。割と幸せものだと思うんだがなあ。
「大体、その、ヒルダさん、ここは男湯ですよ? アンディの治療のためとはいえ、そんなにべったりくっついて混浴しちゃうのは羨ま、いや、俺らはおっぱい見れて嬉しいですがその、ねえ? いつアンディがその気になって襲っちゃうか」
「うふふー。大丈夫よ、まだお風呂でYARITAI放題できる体じゃないから。できるくらいまで治ったらちゃんと隠れてするからご心配なくー♪」
「か、隠れて? 隠れて何をやらかすんですか?」
「それはもちろん」
「ヒルダさん、面白半分で俺をこれ以上苦しい立場に追い込むのはやめて」
「えー、事実(予定)を言ってるだけなのにー」
女湯に連れ込まれるのだけは勘弁してもらい、だからと言って男湯に女子がぞろぞろ入っても困るので、そもそも必要最低限であるヒルダさんだけ一緒に入ってもらうことにして数日。
ヒルダさんは例のタルクルールと、ついでに俺への誘惑意図が絡まって、割と早い段階で薄布装備さえ放り出してフルヌードで俺とべったり入浴していた。
まあポルカにそんなにすごい剣士がいるわけでもなし、いきなり襲われても幻影魔法の扱いに長けたヒルダさんなら軽くあしらえてしまうだろうが、それにしたってあけすけ過ぎるのはなんだかなあ。
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